山歩きをする者にとって鈴と杖と言えば、熊除け鈴とストックだろう。
以前の日記にも書いているが、どちらも使っていない。
沢の流れ、小鳥の囀り、稜線を渡る風など自然が織りなす音色の中に、割って入ってくる熊除け鈴の無機質な音が好きになれない。
鈴を鳴らして歩くな! とは声高に言わないが、TPOをわきまえて欲しい。
ストックを使っているならストックどうしを打ち鳴らしてもいい。
山歩きや渓流釣りには、防犯ブザーと笛を持参する(熊よりも事故った時の気休め用)が一度も鳴らした事はない。いつも柏手で済ましている。
知り合いには、”ストックに頼らないと歩けないような山には入らない” と公言している。ストックの功罪についてここでは語らないが、山頂まで土に覆われている山が多い我が国では、古来から使われている木製の金剛杖が登山道を傷めにくいのではないだろうか。エコツアーと称する団体がストックを突き突き歩いているのは滑稽である。”ストックを上手く使っているなー” と思えた登山者には、まだ数人しか出会っていない。
修験者が持ち歩く錫杖は一説によると、”足元の小さな虫たちよ、踏まれないように早く逃げなさい” と、シャンシャンという音を鳴らすのだとか。こう有りたいものである。