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『山の突然死』には、急性心梗塞、急性心臓死、出血性脳梗塞など5件の事故が紹介されている。著者の柏さんが労山の方であること、最近日山協の事故が表出されなくなったこともあるかもしれないが、紹介されている事例のおそらく4件は労山会員の内容であろう。もちろん他団体や未組織登山者にも多くの同様の事故が発生しているのであるが、発病までの既往症、仕事や家庭などの多忙やストレスの状況、そして医療機関のコメント、少しでもこのような発病を未然に防げたかもしれない所見など細かく紹介されていることは、中高齢者が世界的にも稀な構成比を占めていることや、多種多様なストレス社会に事前準備不足を余儀なくされている日本登山界に対して、労山(日本勤労者山岳連盟)が果たすべきことを行ったものだと思う。僕もこのうちのお一人の葬儀に参列させていただいた。既往症をお持ちの方や危険因子をお持ちの方は、しっかりした山岳会に入っていれば、仲間からバックアップが受けられる。しかし、単独行の登山者は家族からしかバックアップは受けられない。家族が山に精通していればまだよいが、そうでない場合は非常に危険だ。普段の健康状態を現実として捉え、しっかりした会に入るか、家族と管轄警察署に計画書を確実に出すなど実行してほしい。
『滑落遭難』(羽根田治著)も6件の事故事例が紹介されている。今年の夏に起きている北アルプス等の山岳事故の大半は、特に下山中にバランスを崩したり、浮石に乗ったりして滑落死しているものばかりだ。亡くなった方々には申し訳ないが、普段のトレーニングや準備を、その山に向かうため十分満たしたものであったであろうか。現在五輪中であるが、彼らがそこに出るためにどれだけのトレーニングやモチベーション維持、計画を、自らの意思で努力してきたことは周知の通りだ。「登山もスポーツである」このことを忘れていないであろうか?(否、知っているのであろうか?)一日何時間もアップダウンを行うのに、どれだけ膝や心臓に負担がかかるのか。だからこそ、普段のトレーニングを忙しい中でも時間を見つけて行えば、ほとんどしないのと全く違う。加齢による体力の衰えはあるが、日常トレーニングをしている年配の方はやはり強い。逆に20台30台でも基礎体力や精神的体力が不足している方も多い。「突然死」とか「滑落」は高齢者の問題だけでもないと感じている。
自分も既往症を持つ身として、体調管理、トレーニング、モチベーション維持の工夫、そして有事の際の準備は、登山を開かれたスポーツとして捉える者として実践し続けていきたい。
スミマセン
生意気かもしれませんが、その通りだと思います。
hanepataさん、ご賛同ありがとうございます。
お互いガンバりましょう!
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