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2023年10月03日 13:50登山史メモ全体に公開

ヤマレコの記録よりみた大文字北面登山史(未定稿)その5

5.ヤマレコの記録 その1(2011年まで)
 ヤマレコは2005年10月30日に発足したソーシャルメディアである。しかし、最初のうちは登録者数も少なく、登録された記録も少ない。大文字山にかぎると、2021年2月22日現在で見ることのできる2005年の山行記録はわずか1件であり、記録数が統計的に有意味と思われる100件を越すのは2012年がはじめてである。2012年以降であれば、ヤマレコの記録は、大文字山にやってくる登山者の傾向を推定するのにそれなりに有効といってよいだろう。
 もっとも、大文字山は観光スポットでもあるので、登りに来る人はじつに多種多様である。遠足で火床に登りに来る幼稚園や保育園の園児もいれば、京都観光にやってきた外国人も含まれる。ヤマレコに自分の山行記録を残すほどの人は、そういった観光客とはちがって、登山を趣味とする登山愛好家である。それゆえヤマレコの記録から推定できる大文字登山者の意識や行動パターンは、大文字山に実際に登っているすべての登山者のそれではなくて、そのうちの限られた層のものにとどまることになる。
 2021年2月22日時点で見ることのできたヤマレコの大文字登山の記録でいちばん古いものは、1983年9月1日のnunon氏のもので、銀閣寺側表登山道の往復記録である。もちろん、1983年にはヤマレコなど存在していないから、この記録はあとから入力したものである。それ以降、1986年、1989年、1997年、1999年、2001年にそれぞれ1件ずつ記録が残っている。いずれの記録も大文字山北面には足を踏み入れていない。
 2001年以降しばらくは残された記録がく、2004年に復活する。2004年、2005年、2006年は毎年1件のみで、2007年に7件、2008年16件、2009年24件、2010年31件、2011年77件と徐々に増加し、2012年にはじめて100件をこえ、151件となった。
 北面の登山記録がはじめてあらわれるのは、2009年の2件である。この年の大文字山の記録全体が24件だから、2件というのはかなり大きい比率となる。記録者はどちらもpine氏である。現在残っているヤマレコの記録からすると、大文字北面登山の最初の記録者はpine氏ということになる。2件のうち1件は5月9日の山行で、銀閣寺側登山口から第一尾根を登って頂上に達している。もう1件は11月23日の山行で、山頂から第五尾根と下り、途中で新田川の源頭の小池から比叡平ペット霊園に出て、池の谷薬草園にむかっている。感想に「前から気になっていた旧登山道を通って薬草園に行きました。」とあるので、この第五尾根にはかつて登山道が走っていたようである。なお、この年の24件の大文字山山行記録のうち、この2件を含めた8件がpine氏のものである。
 翌2010年には北面の記録は3件となる。ちなみにこの年の大文字山全体の記録は31件である。一番古い3月27日のpine氏の山行は、前年11月の廃道探索の続きで、今回はB沢東股を白川との合流点まで完全下降している。途中現在「二段の滝」とよばれている滝を発見しているが、たんに「小滝」と記されているのみである。「GPSを頼りに道なき道を進んでみると、言われれば登山道と思しきトレースぽい面影がある。今回赤テープを忘れずに持参し要所要所に目印をして歩いた。大文字山といって舐めてはいけない。一旦道を外れるとなかなか戻れず道迷い遭難になる」とあるように、道なき道をくだっている。と同時に「森林帯や突然広い平原みたいなところに出たり、沢を何箇所か渡渉したり、結構バリエーションに富んだ面白い道である」との、大文字北面の魅力もすでに指摘されている。
 次の9月25日のHaloHalo氏の山行は、pine氏とはちがって、意図して北面に入ったのではなくて、誤ってこの方面に足を踏み入れたものである。池の谷地蔵尊の近くで、「比叡平ペット霊園」の案内表示を見た氏は、北白川ペット霊園に出られると勘違いして、新田川沿いに白川までくだろうとした。しかし、藪にはばまれて途中で引き返している。現在国土地理院2万5000分の1の地形図京都東北部には、この新田川にそって黒破線路、黒実線路が記載され、通行可能のようだが、2009年の時点では歩行が困難になっていたようである。氏のコメントでは、土地の人のはなしでは「10数年前には行けたらしい」とあるが、私がもっている1969年編集の国土地理院の5万分の1の地形図「京都東北部」(1967年に改測された2万5000分の1の地形図)には、新田川沿いに幅員2.5〜5mの道路が池の谷地蔵尊から白川合流点まで記載されているので、20世紀の終わりになるまでは、どうやら通行可能であったのだと思われる。
 3番目の記録は、fu-tyan氏の10月11日の山行で、銀閣寺登山口から大文字川本流を最後まで詰めて第一尾根に登り、そのあとも表登山道には入らず、表登山道のとおる主稜線の北側、標高差にして20mから30m下の山腹をトラバースする細い道をたどり、B沢の源頭にして第五尾根の付け根あたりに出ている。
 この記録は、このあとヤマレコにおける大文字山北面探索のパイオニアとなる氏の最初の記念すべき記録であるが、表題に「雑踏の大文字山 裏街道&マニアティック街道」となっていることからわかるように、氏は人の多い表登山道を避けるために、意図的に北面に入ったのである。つまり、氏が北面に入ったのは今回がはじめてでなく、すでに何度も足を踏み入れていたことがわかる。
 この記録の感想欄は、氏のブログへのリンクがはられているだけの簡単なものだが、そのリンク先の氏のブログ「ふーちゃんのデジカメ・ウォーキング」を閲覧してみると、fu-tyan氏が2006年1月から大文字山北面に足を踏み入れていたことがわかる。氏がヤマレコに初記録を掲載した時点で、すでに氏は北面に精通していたのである。ヤマレコ以前の氏の活動については氏のブログに記録が残っているので参考になる。
 2011年の大文字山登山の全体の記録数は77件となる。そのうち北面に入ったものは7件で、その比率は高い。しかも驚くべきことに、この7件すべてがfu-tyan氏の記録であった。この年の氏の大文字山域での山行記録は12なので、氏は大文字山に来るたびに北面に入っていたといってもよいであろう。
 この年の氏の記録から、2011年の時点で、「中尾城跡」、「中尾の滝」、「幻の滝」にピークハンターさんの地名表示が存在していたこと、「熊山」、「子熊山」、「出逢坂」が地名として認識されていたこと、「二段の滝」がまだ「無名の滝」であったことなどが、わかる。
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