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2023年10月23日 22:59登山史メモ全体に公開

ヤマレコの記録よりみた大文字北面登山史(未定稿)その9

5.ヤマレコの記録 その5
 2014年になると、大文字山全体で234件、北面は13件(記録者の実人数は5人)。比率は5.6%で、前年、前々年に比べ少し増加している。記録者の5人とは、fu-tyan氏、yakeikaryudo氏、hehe氏、edasama氏、iwamou氏である。fu-tyan氏以外の4人は、いずれもはじめて大文字北面の山行記録をあげたメンバーである。私が注目したいのは、これらの人々が北面に関心をもつにいたったきっかけが、ヤマレコにあげられていた先行記録の存在ではないかと思われる点である。もし、この推測がまちがっていなければ、ヤマレコの記録が北面への関心を高め、それに触発されたヤマレコ・ユーザが北面に入って自らその記録をアップすることで、さらに北面の魅力を他者へと広めていくという「大衆化」のサイクルが、徐々にではあるが、発動しはじめたことを意味していると思われる。
 2月14日のyakeikaryudo氏の山行は、第一尾根からA沢に入り、中尾の滝と幻の滝をまわるものだが、写真にそえられたコメントから氏がfu-tyan氏の先行記録を参照していることがわかる。
 2914年3月15日のedasama氏の記録には、次のような記述がみられる。「今日は(も)大文字山。でも銀閣寺からの王道ルートはさすがに歩きつくしたので、同じ銀閣寺からすぐ左の尾根に取り付く中尾城跡ルートを選択。滝もあるらしいし。」「歩きつくしたと思っていた大文字山だったのに色んな発見をして楽しい山行だった!!」
 この記述から、edasama氏は今まで大文字山には何度ものっぼていたが、北面に入るのは今回が初めてであったことがわかる。大文字山によく登っている登山者であっても、この頃になるまで北面に関心がなかったことがよくわかる記述であり、このころから北面の魅力が徐々に登山者の間で広がっていったことがうかがえる。
 edasama氏は銀閣寺登山口から第一尾根に登り、中尾城址をすぎたあとA沢に入り、中尾の滝を見たあと第二尾根経由で幻の滝を往復し、出逢坂に行かずに再び第二尾根経由で表登山道に合流して頂上に達している。前年もそうであったが、この頃の記録を見ると、今よりも第二尾根がよく利用されていることに気づかされる。
 2014年10月15日のhehe氏の山行も同様である。銀閣寺登山口から第一尾根にとりつき、中尾城址に出てA沢に入り、中尾の滝と幻の滝を見てまわっているが、中尾の滝から幻の滝へは第二尾根経由で行っている。そのあと第二尾根を登って山科A17で表登山道に合流している。
 「ほとんどメインの道しか歩いた事のない大文字山ですが、その『裏』には、通の歩く道が…。でも踏み跡は一杯あるけど道標がない京都の低山!そこで、この山に詳しい方にお願いし案内して頂きました」とあるように、hehe氏も北面に入るのは今回がはじめてあった。案内者は明記されていないが、fu-tyan氏だと思われる。そう思う理由は、同じ日付でほぼ同じコースをたどる山行記録をfu-tyan氏が掲載しているからである。このhehe氏の記録は、北面探索のパイオニアであるfu-tyan氏の記録が、それまで北面に関心を寄せなかった登山者に北面の魅力を発見させる契機となったことを如実に示してくれている。
 はじめて北面に入ったhehe氏は「ここまでの道、分岐があちこち多くて…、一度では…、覚えられません!道迷い必至!!。でも、静かでとてもいいコースでございました。」とか「途中までは地図を見ながら、覚えようと試みますが…、もう途中で諦めました、次、一人で歩いたら絶対迷う自信あり!」「それくらい道があちこちに…おまけに分岐も!あり過ぎです!」といった感想を残しているが、この迷路のような状態こそが北面の登山者を引きつけるひとつの魅力となっていることを示してくれている。
 2014年10月28日のfu-tyan氏の行程は、銀閣寺登山口から大文字川を源頭まで遡り(旧道)、火床経由で表登山道に出て、A17より第二尾根を下降して、中尾の滝に出る。そのあとA沢の上東股を遡り、幻の滝を経由して出逢坂に出ている。 そこで第三尾根を乗り越してB沢西股を下り。枝沢から第四尾根にとりつき熊山(ピークハンターさんのものでないプレートありと記録されている)、孫熊山、子熊山(ここにもピークハンターさんのでないプレートあり)まで進んだあと、支尾根をくだってB沢東股に入り、そこから第四尾根の支尾根を登り返して、熊山に登り、さらに第四尾根をつめて頂上に出ている。それまでのヤマレコの記録では数少なかった子熊山まで行った記録である。このころになると、この山域に入る人数も増えたのか、樹木に振りかけられたペンキのスプレーを見て、「最近団体で入ってくる人が多い(-_-;)」との感想が記されている。
 fu-tyan氏の2014年11月8日の山行では、山頂から第四尾根を下降し、熊山と子熊山をめざしている。しかし熊山をすぎたあと、GPS搭載のタブレットがフリーズしたために進路がわからなくなり、子熊山方面には進まずに、西側のB沢西股にくだってしまう。このことはfu-tyan氏のような、北面探索のパイオニアで、この山域のエキスパートといってよい登山者であっても、不測の事態に直面して、慌ててしまうと簡単に道に迷ってしまうおそれがあるということを示している。大文字山北面の油断ならない点である。
 B沢にくだってから、今度は西の第三尾根にとりつき、尾根の稜線上に出た後、しばらく第三尾根を北上するが、時間切れで現在の鹿山ピークの手前で引き返している。この時点では、fu-tyan氏は鹿山の存在を認識していなかったのではないかと思われる。引き返したあと、出逢坂でA沢上東股に入り、幻の滝の手前で第二尾根にとりつき、A17で表登山道に復帰している。
 2014年11月14日のyakeikaryudo氏の山行。子熊山のプレートを見るのと幻の滝の以前には存在していたピークハンター氏のプレートがなくなっているのを確かめに、北面に入っている。yakeikaryudo氏とfu-tyan氏はお互いに知人であり、fu-tyan氏の記録に触発されて、この山行を計画したのは明らかである。
 大文字川の堰堤から第一尾根にとりつき、出会峠(yakeikaryudo氏の表記のママ、現在の「眼鏡坂降り口」だと思われる)よりA沢に入り、中尾の滝にはいかず、そのままA沢をくだっている。山中越えの道路に出たあとB沢入口からB沢に入る。二段の滝を通過するが、氏はその滝の名前を知らない。そのままB沢の西股を遡行し、枝沢から第四尾根に向かい、孫熊山の近くで第四尾根にのっている。第四尾根を子熊山まで行き、そこから支尾根をくだってB沢東股に出ている。この行動から、この時点で氏は曾孫熊山、玄孫熊山のことを知らなかったのではないかと推測される。さらにB沢東股を遡行して熊山乗越に出て再び第四尾根にのっている。天の原は透っていないので、フライパンについての言及はない。
 熊山乗越から北に進んで、熊山三叉路でB沢西股におり、第三尾根を横断して、A沢上東股に入り、幻の滝を経由して(写真のコメントに幻の滝は滝でなくて石切場の跡との説明がある)、第二尾根に登りかえし、A17に出ている。ヤマレコではA沢を白川まで下降した最初の記録となる。
 2014年11月30日のfu-tyan氏の山行。銀閣寺登山口から「旧道」(大文字川を源頭までつめる道)をとおって第一尾根に。ここで龍王尾根という地名が出てくる。記述からすると、第一尾根のうち中尾城址から南にくだった鞍部から南の部分が龍王尾根であるようだ。他にも打越尾根という地名が出てくるが、どこななのか特定はできない。第一尾根からA沢に入って中尾の滝、そのあと第二尾根を登ってA17に出ている。ただし、途中で幻の滝を往復し、幻の滝のピークハンターさんのプレートが復活しているのを確認している。A17から火床を往復して山頂に出たあと、熊山を目指して北面を下る。熊山から孫熊山を経由して子熊山まで行き、そこから引き返して熊山の南の交差路(熊山乗越)でB沢西股に入り、第三尾根を横断して中尾の滝の東側でA沢上東股に下り、そこから第一尾根に出た後、大文字川を下って表登山道に戻っている。今でも孫熊山から子熊山にむかう分岐は迷いやすいが、さすがのfu-tyan氏もここで少し迷っているのは興味深い。
 なお、このfu-tyanさんの山行にはhehe氏も同行していたようで、同日付で同コースのの山行記録がhehe氏によってアップされている。hehe氏の感想にもfu-tyan氏に案内していただいたと明記されている。なお、hehe氏の記述によれば、この山行中に2人パーティとソロの登山者と会ったとある。
 2014年12月8日のfu-tyan氏の山行記録は、第五尾根の下降記録で、ヤマレコではこれがはじめてとなる。第五尾根を下降したあと、もとに戻ってB沢東股にくだり、そこから子熊山めざして第四尾根の支尾根を登り、さらに孫熊山あたりからB沢西股に出て、第三尾根にのぼり、出逢坂経由で頂上にいたっている。この記録によれば、第五尾根にはテープもあり、ロープも張られているとあるので、それ以前からも登山者が歩いていたことはまちがいない。
 2014年12月14日のyakeikaryudo氏の記録は、11月30日のFu-tyan氏とhehe氏の記録に触発されて、復活した幻の滝のピークハンターさんのプレートを確認しに行ったものである。ヤマレコの記録ではじめての白川沿いの琵琶町八大龍王社からA沢に入るコースをとっている。A沢を遡って幻の滝に出てプレートの復活を確認したあと、出逢坂から第三尾根を北行し、現在鹿山、子鹿山と呼ばれているピークまで進んでいるが、これもヤマレコの記録でははじめてのことである。ただし、この時点では鹿山、子鹿山のプレートはもちろん、そのような地名認識もまだ生まれていないようである。
 第三尾根の中間あたりの変形十字路で氏は東西方向に進む4人組に会っているが、その4人は自分たちがどこにいるか把握できていない状態だった。これは、北面に読図力のない、あるいはGPSを駆使できない登山者が入り込んできていることを示している。
 第三尾根の北端ピーク(現在の子鹿山)までいった氏はそこから引き返して、現在鹿山とされるピークの東から支尾根ぞいにB沢に下り、B沢東股を遡行、子熊山に登り返す。そのあとは熊山経由で頂上に出た後、A沢上西股を経由して出発地のA沢出口に戻っている。
 2014年12月18日のfu-tyan氏の山行は、中尾城址、中尾の滝、幻の滝、熊山、子熊山のプレートを確認する山行である。ルートについては略すが、中尾の滝から幻の滝を経由して出逢坂までA沢上東股の谷コースをとっている。出逢坂から第四尾根に行くルートは、第三尾根を北に行き、交差点でB沢西股にくだり、そこから南に進んで、熊山乗越に出るというものであった。なお、子熊山まで行って引き返している。孫熊山、曾孫熊山、玄孫熊山については認知されていない。
 2014年12月20日のiwamou氏の山行では、頂上からA17経由で第二尾根に入り、第二尾根をくだって中尾の滝へくだっている。中尾の滝からはトラバース道をとって第一尾根のコル(眼鏡坂降り口)へ行き、そこから大文字川へ降りて、銀閣寺登山口に出ている。感想に「結局途中で出会った大文字山のエキスパートに道を教えていただき、中尾の滝を教えていただきました、」とあり、これがおそらく氏の初めての北面だったことがわかる。さらに、ヤマレコに記録は残していないが、fu-tyan氏と並ぶような北面のエキスパートが存在していることもこの記録からわかることである。 
 
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