先日、初めての縦走に挑戦してみました。奥秩父、雁坂嶺から甲武信ヶ岳までの一泊縦走です。これまでテント泊登山自体はしたことがありましたが、どれもテントを置いて周回・ピストンをするものばかり。衣食住すべてを担いで移動するのは初めてです。10時間も本当にできるんかいな、と我ながら半信半疑ながらも、どこかで「初めて」をやらないと物事は始まらない。初日で無理そうなら笠取小屋に泊まって引き返せばいいよという心づもりではじめたものの、入山早々大きくつまずきました。克服したはずの股関節痛です。
林道を歩き始めて1時間程度、早くも大腿筋膜張筋が疲れ始めます。これについては過去に記事をしたためました。骨盤のでっぱりのすぐ下両脇、太腿と腰の境目の横っちょにある小さな筋肉です。きつい登りで疲れたのならまだわかるけど、この平らな道でどうして?そこ以外、疲労も負担もどこも感じていないのに。
これまでの経験で、ここが疲れ始めると間をおかず筋肉痛が始まり、間もなく股関節の痛みに変化することがわかっています。ですのでこの段階で抑えなくてはいけない。歩き方を変えてみたりストックを突く場所を調節してみたり、負担のかからない歩き方を模索しながら進みます。小さな筋肉の疲労が徐々に股関節の痛みに変化しつつある中で雁峠への登りをどうにかこなし、燕山への登りに差し掛かったところで変化を感じました。傾斜のある登りに入った途端に大腿筋膜張筋と股関節の負担が減ったのです。何故だ、なぜ平らな道で痛み始めたものがきつい所に入ってから楽になるんだ。
小屋へとたどり着いた頃には痛みはあまり感じなくなっていました。問題の小さな筋肉にも疲労は特に感じません。念のため寝る前にロキソニンを服用して翌朝、問題なさそうだ。ただ思い当たることがあったため、二日目はストックを使わずに歩くことにしてみました。テント泊の時にストックなしで歩くのは初めてのこと、不安でしたが雁坂嶺への登りに踏み出してみればどうにかなりそうです。結局そのままストックを使わず、東破風山に着いた頃には痛みも不安もどこへやら。快調に縦走を追えることができました。
それにしてもわからないのは、どうして平らな道で筋肉の疲労が始まったのか、です。普通なら平坦な道で筋肉が痛むことはなく、きつい登りで痛むのが当たり前というものです。しかもストックを使っている分楽になっているのに、林道歩きの何がきつくて故障が始まったというのか。ここに思い当たるところがありました。「ストックを使って楽になっている」というのは、果たして本当に?実は私これまで、ストックを使うと早くなると感じはするものの、楽になると感じたことはなかったのです。もしかして、ストックを使うと早くなりすぎて痛みを誘発してしまうのではないだろうか。
そもそも股関節の痛みがなぜ起こるかというと私の場合、膝が安定していないことが原因のように思います。O脚・ガニマタの影響で、着地の際に膝が「ぶるん!」と震えてしまい、それを抑えるために大腿筋膜張筋が使われる、と考えています。それなら膝が「ぶるん!」としないように、着地の際には登りも下りも前足の衝撃を極力ゼロに近づけたい。着地の衝撃がほとんどなければ膝が震えることもないだろう。そして実際、股関節の痛みはほとんど出ないようになっていますから、大外れではないように思っています。ところがストックを使うとどうしてもスピードが出てしまい、前足の着地の衝撃が自覚できないレベルで大きくなってしまう。そのため膝が不安定に「ぶるん!」と震え、大腿筋膜張筋の疲労に繋がってしまうのではないだろうか。そして実際にストックをザックに括り付けた二日目は初日よりも快調に歩けたものですから、もしかしたらそうなのかもしれない。
ただそれでもわからない。二日目、初日の疑問を確かめるためにわざと大股に歩いてみたり速足に歩いてみたりと試したのですが、何も問題が出なかったのです。徳ちゃん新道の下山口から道の駅の駐車場まで40分ほど、ほとんど走るようにして歩いてみたのですが、大腿筋膜張筋に疲労の兆しさえ感じなかった。速さが原因ではないのか?それじゃ原因は……ストックの有無?もしかして、ストックを使うと自覚できないレベルで体のバランスが変わってしまい、歩くフォームが崩れる。なんでかわからないけれどもともかくそれが原因で、股関節の不調につながるということなのでしょうか?うーむ……すると私の場合、ストックを使うことができない、ということになるのかもしれない。
それならそれでまあ、いいのでしょう。二日目は結構なアップダウンをきちんとこなせたのだし、これからはストックを使わなければいいだけの話です。ところがそれだと気分が悪い。何故って、ストックを使っているなら両腕の重さは地面に逃げているのだから、少なくともその分は絶対に楽になるはずだからです。理屈ではそうなる。ところが現実はそうなっていない。こういうことが許せないという、ワタクシとても難儀な性分なのです。これからは楽になるストックの使い方を研究してみないとなあ、という、ただそれだけの話に延々と文字数を費やす辺りも併せて難儀な性分にお付き合いくださった皆様、お付き合いありがとうございました。
山登り、やればやるほどなぜなぜ?どうして?が尽きません。一生楽しめる趣味ですね。
以前『ストックは変な癖がついて理想的な二足歩行を阻害するのでお勧めしない』と仰っている方がおられたのですが、私もそれは事実だと思っています。
本来2足で歩くよう最適化されているところに2本の足(杖)を追加するのですからバランスは大なり小なり崩れて当然。
よって『フォームの崩れに起因する故障』を誘発する可能性は高いと感じます。
それでもなお私がストックを使うのは理想的な二足歩行のフォームを崩してでも足の負担を減らしたい場面があるからで、具体的には登り全般と急な下りです。
これは登降による筋肉の負担を減らすのが目的です。
あくまでも推測ですが、beginner8422さんの股関節痛の原因がフォームの乱れや身体の捻じれに起因するものであると仮定した場合、ストックの使用は却って逆効果の可能性もありますね。
とはいえ筋疲労を軽減したい場面もあるでしょうから、ケースバイケースで使い分けるのがよろしいのでは?と思いました。
こんばんは、コメントありがとうございます。記事中のバランスのこと、自分の推測に裏付けをいただいた気分です。体のバランスやフォームが局所的に崩れる、例えば大きな段差の登下降時などに関して言及した記事を読んだことはあるのですが、それにとどまらず全般的に起こりうるというのが私にとっては新しい発見でした。
とはいえおっしゃるように、ストックを使って楽に歩きたいというのも事実です。使いたい場面できちんと使えるように練習しようと思います。
言われてる骨盤のでっぱりのすぐ下両脇の違和感は、日帰り山行とか荷が軽い時にも起こるのでしょうか?
というのも、重い荷物を腰で持ちすぎると、そういう状態になることがあるからです。
そういう時、肩との重量配分でならなくなったり、腰ベルトの位置の調整でならなくなったりすることがあります。
姿勢も関係するかもしれません。ストック使うと、少し前屈みになりますしね。
重い荷物に慣れれば、そういう症状は出なくなってくる場合もあります。
今度そうなったら、腰ベルト外してみてどうなるか、試してみると良いかも。
只、長時間そうしてると肩が死にますけど💦 ひとつの可能性としてコメントしてみました。
こんにちは、コメントありがとうございます。問題の筋肉の違和感ですが、実は日帰りの荷物では感じることがありません。テント泊の重さになった時に限って感じるのです。そしてストックはテント泊の時にしか使ってこなかったので、使い方をよくわかっていないというのが実際のところでもあります。
荷物の腰過重については考えたこともなかったので、とても新しいご指摘でした。実際、私のザックは腰過重をウリにしているドイターのものですので、なおさらご指摘に説得力があります。
これまでは「肩3腰7」と、よく言われる重さ配分にして盲目的に背負ってきましたが、試しに改めてみようと思います。
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