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#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルは前野ウルド浩太郎 『バッタを倒すぜアフリカで』が今朝でおしまい。
バッタの大量発生を受けてウルド氏に殺到するメディア。いつまでもこんなことしてたら、誰も協力してくれなくなるよ、マジな話。
「1時間以上、電話で延々と質問を受けた挙げ句、たった1行しか説明が使われなかいこともあった。正確に物事を伝えたいが、「紙面の都合で」「社内規定により」と、掲載前の内容を確認させてもらえないことが多く、大切な部分が削られ、誤解を招く表現が誕生し、全ての責任を押し付けられているような感覚に襲われる。そんな説明を私はしていないのに。自分が大切にしてきた信念が汚され、心が捻れて歪み、奈落の底に堕ちていく。
別に記事の内容や構成に口を出したいわけではない。事実確認をし、明らかな誤りが世に広まるのを防ぎたいだけなのだ。」
「大手新聞社の名を名乗り、取材依頼してきたため、まともであると判断し引き受けたところ、自分の名前を冠した記事をウェブに掲載されたこともあった。フリーランスの小づかい稼ぎに長時間付き合わされてしまった」
「やれこっちで講演してくれ、やれ弊社のプロジェクトにアドバイスをしてくれと、様々な案件が一斉に襲いかかってきた。「意見交換会」というう名の情報の一方的な搾取。「前野さんのご厚意で」という名の一方的なタダ働き。色んな人々が群がってきて、貪り食われていくことに恐怖を感じた。」
ハイインパクトな学術ジャーナル「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に「集団別居仮説」に関する論文を発表する。なんども編集者によるリジェクト(不受理)を受けては落ち込み、そのたびに論文の内容を見直し、共著者たちの意見を聞き、英文校閲をかけ、論文をブラッシュアップして、別の学会誌に投稿していくウルド氏の足跡は、それだけで読む価値がある。幾多のジャーナルからのリジェクト(うち何度かは査読に回されたうえで拒否された)の嵐にも負けず、最終的にPNASから「メジャーリビジョン(大がかりな習性が必要)」をもらって、60日間でレビュワーから鋭い指摘にすべて答え、修正を加えて、悲願のアクセプト(論文受理)の知らせを受けるまで粘りに粘った不屈の精神は、聞くものを熱くさせる。
ウルド氏の研究は、サバクトビバッタの防除にも役立つ可能性があるという。
「我々の研究成果に基づくと、オスの集団を見つけても即座に農薬を散布せず、そのまま放置プレイをしつつも場所だけは把握しておき、夕方以降、産卵直前や産卵中のカップルが密集してきた時点を見計らって防除するのがよい。このほうが、農薬を撒く範囲を限定できる。
おまけにオスが足かせになり、メスの機動力は著しく低下している。日暮れ以降、カップルは集団で産卵し始めるが、その間、その場にじっと留まっている。
これまでは日中、活発に飛び回っているバッタを対象に、空中から農薬を散布することが多かった。だが、ほとんどの農薬はバッタにかすりもせずに大地に舞い降り、環境汚染が懸念されていた。
今回提案した方法は、バッタの生態をうまく応用することで、必要以上に農薬を使用しない、環境や健康に配慮した防除に結びつく。バッタ退治はこれまで、植物防疫に関わる大きめの組織が担当することが多かったが、この方法ならば農家レベルでも実践可能だ。バッタを迎え撃つ、一つの技として提案できる。
とある論文で、村人がバッタを夜にかき集めたという記述を見かけた。おそらく村人たちは、バッタが夜に集団で産卵する現象を経験的に知っていたに違いない。だg,あ誰も科学的に報告していなかった。これは、農薬を使用せず、素手でやっつけることができることを意味する。もちろん労力はかかるものの、環境に極めて優しいバッタ退治方法になりうるのだ。
しかも、もし繁殖中のメスやオスを特定の場所に人為的に誘引することができれば、画期的な防除技術になりうる。希望は生きる糧となる。論文内でも夢を語ることは無益ではないはずだ。もちろん自分で手掛けたいが、少なくとも次世代に情報をわたすことはできた」
学術出版社の論文ビジネスやオープンアクセスジャーナルの実態についての記述もある。興味がある人は読んでほしい。ウルド氏の印税や学術賞の賞金の、実に気持ちのいいお金の使い方と、そうやって使ったお金が巡り巡って自分に返ってくるエピソードも多くの人に知ってほしい。お金は天下の回りものなのだ。
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