![]() |
#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルはアイザック・アシモフ『銀河帝国興亡史Ⅱ ファウンデーション対帝国』の続き。第2部「ザ・ミュール」19「探索開始」から24「転向者」まで。
ミュールの特殊能力は人間の心を操るものらしい。カルガンとファウンデーションが、そして独立貿易世界の最後の砦の1つヘイヴンが、ほぼ無抵抗のままミュール艦隊の軍門に降ったのは、戦っても無駄、どうせ勝てないと信じ込まされ、無気力に陥ったからだという。だが、なぜか無気力、無抵抗の心という病に冒されない人々がいた。ファウンデーションの支配層に抵抗していた地下組織出身のベイタとその夫トラン。ファウンデーション随一の心理学者にして生き残りのエブリング・ミス。ミュールの道化師だったマグニフィコ。いずれもマグニフィコと行動を共にしている人々だ。かれらはヘイヴンがミュール軍に降伏する直前に銀河帝国の中心トランターへ向けて旅立った。トランターの古い記録を調べれば、ハリ・セルダンの予言は本当に外れたのか、それともミュールといく変数も予測の範疇に入っていたのか、わかるかもしれない。そして、もう1つ。銀河の正反対の果てにあるという第二ファウンデーションを見つけるために。
だが、精神探索を受け付けないマグニフィコがあやしい。かれがミュールではないのか。ミュールによって転向させられ、ミュールの忠実な総督の座におさまったカルガンの将軍いわく。
「ミュールはファウンデーションを征服した。それはかれのより大きな目的を成就するための兵器工場に急速に変えられつつある」
「全銀河系の征服だ。引き裂かれたすべての世界を再統一して、新帝国を建設するのだ。頭の鈍い愛国者くん、きみたち自身のセルダンの夢を、本人が望んだ時期よりも700年も早く成就するのだよ。そして、その成就に、きみ(ハン・プリッチャー大尉)も一役買うことができるということだ」
ミュールによって転向させられた元ファウンデーション秘密情報部大尉で、現ミュール軍大佐のハン・プリッチャーの弁。
「いいかねーーかれは人間の感情バランスを調節することができるのだ。小さなトリックのように思われるが、これはどうしても打ち負かすことができない性質だ」
「有能な将軍の頭に、たとえば、ミュールに対する完全な忠誠心とミュールが勝つという完全な信念をしみこますことは、かれにとって容易なのです。かれの将軍たちは感情的にコントロールされている。かれらは裏切ることはできないし、弱くなることもできないーーそして、コントロールは永久的なのです。かれのもっとも有能な敵が、もっとも忠実な部下になる。カルガンの将軍がその惑星を明け渡して、ファウンデーションの総督になったりするのです」
「ミュールの天分は逆の方向にも、もっとずっと効果的に働きます。絶望はひとつの感情です! 決定的瞬間に、ファウンデーションの中心人物がーーヘイヴンの中心人物がーー絶望した。かれらの世界はほとんど戦わずに陥落した」
「それは世界に作用させることもできるし、個人に作用させることもできる。それは、あなたがたを降伏させようと思えば、喜んで降伏させることができ、あなたがたを忠実な下僕にしようと思えば、そうすることができる力です。そういうものに、勝つことができますか?」
「ミュールのプログラムは知的で価値のあるものだということがわかる。わたしはーー転向ーーして以来ずっと、かれの経歴を7年前の出発点からたどってみた。(中略)
ファウンデーションが鍵です。それは銀河系で最大の産業集中領域になっている。そして今や、かれはファウンデーションの原子力技術を手中に収め、事実上、銀河系の支配者になっている。これらの科学技術ーーと、その能力ーーを使って、かれは帝国の残りの部分に自分の支配の認知を強制することができる。そして、最終的にーー気が狂っていてもう長くは生きられない老皇帝の死とともにーー自ら皇帝の位につくことができる。そうすれば、事実にふさわしい名を得ることになる。それーーと、この能力ーーがあれば、かれに逆らう世界が銀河系内にあるだろうか?
最近の7年間で、かれは新帝国を確立してしまった。言い換えれば、セルダンの心理歴史学があと700年かけなければ達成できないことを、かれは7年間ですべてやってしまったことになる。銀河系はついに平和と秩序を持つことになるだろう。
そして、きみたちにはそれを止めることはできないーーちょうど、惑星の突進をきみたちの肩で止めることができないと同様にね」
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する