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1日休んだおかげで腰痛はだいぶ緩和した。くしゃみをすると電流が走るのが怖いくらい。
#朝ラン #早朝ラン #ランニング
オーディブルは貴志祐介『新世界より 中巻』の続き。
というわけで、やはり業魔の正体は村社会からつまはじきにされた能力者の少年少女だった。無意識の情動から呪力が漏れ出るのをコントロールできなくなると、周囲のありとあらゆるものに(悪)影響を与え、その姿かたちを変えて、時には命を奪ってしまう。大人たちが必死に守っていたのは、いったん業魔になると、かれらには殺す以外に対処のしようがないからだった。それは、業魔になってしまった子どもも同じこと。呪力をコントロールできずに、自分の親を意図せず殺してしまった瞬は、最後は死を望んでいた。その場に居合わせたはずの早季はだが、大人たちに記憶を奪われ、瞬の名も顔も、忘れて思い出せない。ただ、顔のない少年Xといたはずの姉の痕跡が、心の奥底に残っているだけ。
〈早季はいったい、八丁標は何のためにあると思ってた? 外から何かが襲ってきたとき、あの注連縄が防ぎになると思うか?〉
〈八丁標は、外敵ではなく、内なる敵に対処するために作られたんだ。この場合の敵は、絶えず漏出している僕らの呪力だ。悪鬼にせよ、業魔にせよ、僕らにとって、恐怖とは、内からやって来るものなんだよ〉
〈僕らは、幼い頃から繰り返し、外の世界に対する恐怖を、無意識に刷り込まれてきた。巨大な暗黒世界のイメージは、、僕らの内に対する、もう一つの暗黒の宇宙、無意識と同一化されるようになる。心の中で、無意識を外の世界と直結させることで、漏出する呪力を、八丁標の外へと導くんだ。八丁標は、『穢れ』、つまり漏出した呪力を外へ放出するための心的装置なんだよ〉
〈でも、それで謎が解けると思うこともある。たとえば、ミノシロだ。ほんの千年前には、あんな生き物はいなかった。進化の尺度で言えば、千年なんて、昨日みたいなものだよ。ミノシロの祖先は、おそらく、海にいるミノウミウシだろうけど、そんなに短い時間で、どうやって、あんな大きな生き物に進化できたんだろう?〉
〈ミノシロだけじゃない。トラバサミも、たぶん、カヤノスヅクリだってそうだ。僕は、この千年の間に作られた生物図鑑に、一通り目を通してみた。そういう常識外れの進化の加速が始まってるのは、きわめて限られた場所、八丁標の周辺かららしいんだ〉
変わり果てたすばる(ブルドッグ)の姿を見て。
〈わかるだろう。これが、僕に起きたことの結果なんだよ〉
〈呪力の漏出が、止まらないんだ。それも、どんどん激しく、制御不能になりつつある。無意識の暴走により、呪力の異常漏出が起きて、周囲のものすべてが破壊的な影響を受け、異形化してしまう。これが、橋本・アッペルバウム症候群だ。僕は、業魔になったんだよ〉
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