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「熊を彫る人」という藤戸さんの仕事をまとめたノンフィクションがあり、ちょうど家の近所の図書館に入っていたので、それを読んで予習をしてから行きました。この本はまだ近刊で入手しやすいと思いますが、写真が素晴らしく、文章や構成もわかりやすいのでお勧めです。
こうして予習をしていった訳ですが、生で見た作品はやはり想像していた以上の迫力がありました。自然界の動物の生命力が1本の木に驚くべき精緻さをもって彫り出されているとともに、それを包み込むような作家の自然を慈しむ気持ちを、強く感じさせられるものでした。恐らく動物単体としてだけでなく、アイヌや北海道の歴史を背景とした、動物と人との関わりを描写した作品が多く含まれていることが、一層そのように感じさせたに違いありません。
私自身は人生の大半を都会で過ごして来ましたが、もしかすると以前であれば、この作品に接しても表面的にぼんやりとしか見ることが出来なかったところ、山歩きがひとつのきっかけで、作品の中に生きる自然の力をより強く感じ取れるようになったのかも知れないと思います。普段から山や自然に親しんでいる皆さんならきっと心を打たれるはずです。会期はあと数日しかありませんが、お近くの方もそうでない方もぜひ機会を作って見に行ってみてください。
「現れよ。森羅の生命― 木彫家 藤戸竹喜の世界」
2018年3月13日(火)まで、国立民族学博物館(大阪・万博記念公園内)にて
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/thematic/aynu20180111/index
熊を彫る人−木彫りの熊が誘うアイヌの森 命を紡ぐ彫刻家・藤戸竹喜の仕事
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682257
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