カラスからのメッセージ②

2022年11月01日 00:20山怪全体に公開

　10月26日から二日間岩手の山旅に出かける。一日目は「岩神山～兜明神岳と朝島山」二日目は「七時雨山と遠別岳」（詳細は山行記録を参照）。その1週間前に西上州・毛無岩で転倒し左胸部を打撲した痛みが残っていたが、冬が来る前にもう一度岩手の山に登りたい気持ちの方が勝っていた。盛岡からレンタカーを借り一座目の兜明神岳登山口へと向かう。薄日指す中時々にわか雨はあったが無事山頂に立ち展望を楽しんだ。快適に登山口へと下る。登山口にある道の駅の建物が見え始めたその時、左前方の電線に二羽のカラスが留っていて「かあかあ」と鳴いている。山麓にカラスがいる事など当たり前であり「昨日のカラスの話」など忘れて通り過ぎる。道の駅で名物のキノコそばを食べ次の朝島山の登山口へ車で移動する。朝島山は紅葉がとても素晴らしい里山であった。里に近い事もあるのか再び山頂付近でカラスが「かあかあ」と鳴いているのが聞こえる。それよりもここはクマ出没が多いらしいので無事遭遇せず下山できたことにほっとする。この日は盛岡繁華街に近いビジネスホテルに宿泊。心地よい疲れの中熟眠できた。
　二日目はまだ薄暗い早朝ホテルを出発する。車に乗り込もうとした瞬間頭上に視線を感じる。暗闇の中真っ黒い体で電線に留る一羽のカラスだ！繁華街でもありカラスはいるのは当たり前だろうが、私をじっと見つめる姿に鳥肌が立った。「シッシッ」と追い払うも飛び去って再び電線に留りこちらをじっと見て「かあかあ」と鳴いている。昨日から3度目の遭遇に偶然とは思えない感覚がよぎる。この気持ちを振り払うように車を七時雨山登山口へと走らせた。七時雨山は牧歌的な雰囲気が漂う明るい山。ただここでも山頂付近でカラスの鳴き声が聞こえる。今度は「一昨日のカラスの話」が頭によぎり、常にカラスに付きまとわれている感覚が現れる。
遠征最後の遠別岳登山口に無事到着。静かな原始の森で覆われる山道を快適に歩いた。「こんな山深い所にカラスはいない」「今までの遭遇は偶然だ」と思っていた。ただその静けさを破るように下山途中でまたしても数羽のカラスの鳴き声を聞こえてきた。身震いがしてきた。そして車に乗り込もうとした瞬間またしても頭上に一羽のカラスがいた！私を見て鳴いている。鳥肌が立ち強い恐怖を感じた。500ｍ先にある売店まで付いてきて電線から私を再び見ている。店員さんによると「この辺りでカラスを見かけたことはない」そうだ。この後ようやく大空に向かって飛び立っていった。
この5度に渡るカラスとの遭遇は単なる偶然とは思えない。言葉を発しないカラスからの何らかのメッセージを受け取ったと感じる。「現代民話考」（前述）で記されていたカラスによる「死のしらせ」ではないことを祈る。

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