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あのとんでもない夏の暑さからやっと解放、 巷はナシ、ブドウ、リンゴ、ミカン・・・。秋が始まりましたね。となると温泉の温もりが恋しくなる季節。山の帰りに温泉に我が身を静めているときの愉悦の時ぞ。ああ〜考えただけでもいくつかの山の温泉が脳裏をよぎる。
山の温泉に身体を浸していると、しみじみとこの国の湯の温もりに感謝の念を抱かざるをえませんね。
土の中から湯煙が湧き出し悶絶の気にさせる ♨効能・・・。不思議と言えば不思議。
常世の国の深い地下から吹き出す尊い水(湯)あだやおろそかにしてはなりません。
温泉に浸かることはわが身を禊(みそぎ)することでもあり、当然湯に入るには作法がある。いきなり湯にドボン!なんざもってのほか。
入念に身体を清め(洗い)“しかるべきところ”を入念に洗い清め、湯船に身を浸ける。即ち全身で湯と対面し語ることでありますね。
やがて身体が温まり、湯と肌とが一心同体寄りあって一つに溶け合う。「う〜ん」「ふぅ〜」「あぁ〜」と思わず吐息が漏れる。ここで無理に吐息を抑えてはいけません。この吐息は身体の邪念が抜け出る吐息だ。
邪念が抜ければ次第に吐息も止み、一瞬天を仰いで「ふぅ〜」と寡黙瞑目。心身が癒され、よこしまな考えも忘れ去り尊い我が身は“つかの間の菩薩”様と相成る。
人其々だが、なんと言いましても里や海の温泉より山の温泉で決まり。山の温泉は皆が寝静まった真夜中にムックリ置きだし、抜き足差し足湯舟にドボン!。
周りの山々も眠っている。月が窓から顔を出している。
湯船に手足を伸ばし温泉に身体を浮かせ、ウットリと湯の精に包まれ夢心地になった瞬間だ。
我が脳味噌も“うつけ状態”となり魂が遊離する瞬間だ。禅の「無」の境地とはこのことでしょうか。
深夜の湯船もいいが夜明けまじかな早朝のお湯も侮れない。山の稜線が真珠色に染まるころ湯に浸かり、明け方の山の色変わりをぼんやり眺め、小鳥のさえずりを聞きながらなにを思うでもなく魂も抜けた”空白のとき”はこたえられませんね。
小さく開けられた窓から冷気がそよぎ、のぼせた頭を冷やし、ようやく寝ぼけマナコが息をふきはじめる。
しばらくして、どこからかきれぎれなヒトの声がする・・・。世間も目覚め動き出したようだ、
いわずと知れた温泉大国日本。
こんな豊かな温泉に恵まれ、それを暮らしのなかに当たり前のようにとり入れた国は世界広しといえども二つとない。
さて近年は秘湯ブーム。山深い「秘湯」と銘うった温泉宿も演出よろしく、きまったように炉端があって、クマやシカの剥製、クマの敷き皮。まあそれも御愛嬌。
でもね、秘湯の多くは部屋もお粗末、布団も汚れ、経営者が「秘湯」に甘えているとしか思えない「秘湯」も多々散見。
玄関先に「日本秘湯を守る会」なる大提灯をぶら下げて悦に入っている”秘湯温泉モドキ”もそこかしこに。
「秘湯」なのに団体バスが押し寄せ、、阿鼻狂乱の秘湯モドキを演じる始末。そんな秘湯モドキはこちらから願い下げ。
湯船に手を加え(清掃のこと)清潔で、施設が多少古くても主人が宿を慈しんでいる気配が偲ばれ、客を笑顔で迎えて部屋に通される、そんな呼吸の漂う秘湯が安心できる。
宿に着いて先ずは一風呂。食事の後に一風呂。寝る前に一風呂。みなが寝静まった夜中に一風呂。夜明けに一風呂。朝食後にまた一浴び。
勘定を済ませ宿を出ると、湯の成分が全身に沁みわたり身体全体がしなやかで足取りも軽い。
もうじきススキが揺れる秋ですな。さてと、どこぞ秘湯に旅立つ家出準備(山の温泉)でもしましょうかな。
※ 写真は、最近年と共に毛深くなった、露天風呂に浸かる愉悦状態の私。
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