各種山容の中で、最も登頂欲をそそられるのは尖峰ではないでしょうか。即ち、○○のマッターホルンとか○○の槍ヶ岳とか、正式山名とは別に尊称が付いている山です。
四国では以前も触れたように、「阿波のマッターホルン」黒笠山が有名ですが、高知県の無名峰の中には、低山、中低山、高山のそれぞれに誰もが登頂欲をそそられる山容をした尖峰があります。
(1)低山編・天王ノ森(530m)[香美市]
この山は、高知県の最高峰・三嶺や土佐矢筈山に、高知県側から登ったことがある方は、必ず目にしています。
香美市香北町から同市物部町に入って最初の国道のトンネル「臼杵トンネル」を抜けると、右前方に究極にそそり立った山が姿を見せます。それが安徳帝の行在所でもあった天王ノ森です。役場の台帳上での山名は平家ノ森となっています。
が、不思議なことにこの山は、地形図(大栃)に独標点はあるものの、等高線がピークとして描かれてないのです。平家残党の思念がピークを隠したのでしょうか(何言うとんねん)。
登山口は大栃の明石橋。廃村・天王を過ぎると急登になっていきます。
山頂背後から展望が広がっています。
更に尾根伝いに山上廃村「熊押」を経て、大平山(816.5m)まで縦走できます。
(2)中低山編・剣ケ岳(972m)[土佐町]
この山は、稲村ダムから稲叢山(1506m)や西門山(1497m)に登ったことがある方や、紅葉の名所・瀬戸川渓谷を訪れたことがある方は目にしています。
瀬戸川渓谷・アメガエリの滝展望所から望めば、地面から巨大な剣の剣先が飛び出たような山容の剣ケ岳がその雄姿を見せています。
切り立った岩盤の山頂部からして、登山道は険しいのではないかと思われるかも知れませんが、コースは側面から背後に回り込んでおり、僅か一時間足らずで登頂できます。但し、登山道があるのは9合目までで、そこからはシャクナゲの稜線を藪漕ぎすることになります。
山頂側の断崖からは180度の展望が広がっています。
私からすれば優しい山ですが、拙著読者の中には途中で道が分からなくなり、引き返した者もいます。読図(地形図=西石原)を怠らず、四ヶ所の分岐さえ間違わなければ登頂できます。
尚、地形図での山頂部の等高線標高は960mですが、森林基本図に独標点が記載されていたため、そちらの高度を採用しました。
(2)高山編・大登岐山(1477m)[本山町・土佐町]
この山は有名峰・野地峰山頂から遠望することができます。
剣ケ岳同様、山頂直下が大岩壁になっていることから、昔は天狗岳と呼称されていました。
登山口は南東の桑の川林道にありますが、私が訪れた時は路面が100m位の距離に亘って大崩落していました。土砂の上を歩いて登山口へ向かったのです。
稜線はヤブが多いのですが、手前の登岐山(1446.4m)山頂や大登岐山山頂はきれいで、特に大登岐山頂からは200度ほどの展望が開け、県境尾根等を見渡すことができます。
登山口にある森林管理署の林業関係の看板には、拙著読者等が印を付けている模様。
地形図=本山。
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