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1. 概要
キバナショウキラン(Yoania amagiensis)は、光合成を行わない腐生ラン科植物で、菌根菌と共生し、地下の微生物ネットワークから栄養を得ています。高尾山周辺では、2020年以降に広範囲で発生が繰り返し確認されており、その分布拡大メカニズムに関心が集まっています。特に、動物(カマドウマ類)による種子散布が有力な仮説とされています。
2. カマドウマによる種子散布メカニズム
URL ;https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%9E%E3%83%89%E3%82%A6%E3%83%9E
・カマドウマ(フトカマドウマ、マダラカマドウマなど)は夜行性で広範囲を跳躍移動。
・果実(液果)を摂食し、微細な種子は消化を経ても損傷せず糞として排出。
・消化によって発芽率が高まる効果も確認済み。
・高尾山周辺にはカマドウマが豊富に生息し、散布の現実性は高い。
3. 発生の「神出鬼没」現象の要因
・地中菌根菌ネットワークの拡大・衰退に左右される。
・種子は長期間休眠可能で、条件が整うと突発的に発芽・発生。
・動物散布は局所集中だけでなく、複数年かけた緩やかな広域拡大を形成。
4. 高尾山周辺での発生記録
・2020年:南高尾や高尾山周辺で複数株の広範囲発生が確認。
・2024年:日影沢・裏高尾で6月中旬以降、複数地点・日付で発生。
・2025年:高尾山6号路、大垂水峠、日影沢、蛇滝林道などで6月下旬にかけて広域に発生が確認。
これらのデータから、近年キバナショウキランは高尾山域で周期的かつ広範囲に発生していることがわかる。
5. カマドウマの大きさと行動特性
・フトカマドウマの胴体長は約15〜30mm、脚を広げると最大約10cm。
・翅はなく飛行しないが、跳躍と夜間移動で数百メートル以上の行動圏。
・人為的な運搬(登山者の荷物等)による広域拡散の可能性もある。
6. 結論
・高尾山でのキバナショウキランの突発的広域発生は、カマドウマ類を中心とした無脊椎動物による散布と、菌根菌ネットワークの変動が複合的に関与していると考えられる。
・風散布や水散布の影響は限定的とされ、主要経路とは見なされていない。(私は、経験上から、水散布の影響は大きいと言う気持ちを持っている。)
・今後、昆虫の行動圏、菌根菌の分布、休眠種子の存在を継続的に観察・分析することで、より詳細なメカニズム解明が期待される。
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