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前橋市の前橋気象台の標高は海抜112メートルであるので、そこでの観測した気圧を海抜0メートルの気圧に換算する。観測した数値よりも少しだけ気圧が高くなる。
同じように他の地点の観測所の気圧を海抜ゼロメートルの気圧に換算して、同じ気圧の場所を線で結ぶ。これがいわゆる等圧線であり、天気図となる。
つまり、普通に見る天気図は海抜0メートルの気圧を示したもの。これを「地上天気図」という。
テレビの天気図も、yahooの天気図も、tenki.jpの天気図も、全部「地上天気図」である。普通の天気図をわざわざ「地上天気図」と呼ぶには訳がある。それは「高層天気図」と区別するためだ。
だから、地上天気図では岐阜県に高気圧の中心があるように書かれていてもその上空にも高気圧があるとは言えない。
わかるかな?
山の天気は上空の天気、すなわち高層気象による。高層気象は高層天気図をみると分かる。
私も昔はラジオの短波で高層天気図を書いたことがある。非常に難しい。ちなみに、ご存じのとおり普通の天気図はNHK第2による放送を聞いて書くことができる。
学生時代に授業などで天気図を書いた人は多いと思うが、登山を趣味とする人間なら、少なくとも八ヶ岳のような冬の稜線を歩くレベルのような者が普通の天気図(地上天気図)を書けないというのは情けない。もっと言うと、恥ずかしい。
高層天気図の話を続けると、「高層天気図は、700hPaになる気圧が何メートルの高さにあるか」、という書き方をする。700hPaの気圧に相当する高さは3000メートルほどなので、日本アルプスの天気を考えるためには「700hPaの高層天気図」を見るとよい。
http://www.jma.go.jp/jp/metcht/pdf/kosou/aupq78_00.pdf
↑700hPaの高層天気図
晴れた日の3000メートルの稜線では西風が多い。700hPaの高層天気図を見ればそれは一目瞭然である。
もういちど言うと、地上天気図では岐阜県に高気圧の中心があるように書かれた天気図でも3000メートルの高さでは違うということ。
自宅で登山計画を練っている間、毎日、地上天気図+高層天気図+目的とする山のライブカメラを観察していると、しだいにその山の天気の「くせ」が分かって来る。自宅上空の雲の種類や変化を観察するのもよい。高層天気図を利用する場合のポイントは風向・風力・それとWET AREAである。さらには、テレビ等での気象予報士の言葉(感触)を注意深く聞いて欲しい。
冬山を単独で登ろうと思っている人は、天気だけでもそれくらい用意周到に準備して欲しいものである。それが冬山登山の基本である。
アルプス山岳救助隊の動画をYouTubeで見たが、ピッケルすら持たずに八ヶ岳で滑落した者に救助隊員がド叱る場面があった。「山を舐めるな!」ということだ。天気を知らずに山に入る人間はいないと思うが、天気図も読めないで登山をするのだったら登山を続けるのは止めた方がいいと思う。少なくとも冬山には入るべきではない。山は甘くはない。
http://www.imocwx.com/wxfax.htm
↑最新の地上天気図
http://www.jma.go.jp/jp/metcht/kosou.html
↑高層天気図
http://www.jma.go.jp/jp/metcht/suuchi.html
↑数値予報天気図
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一方、ラジオ以外の電波が入らない山の中の場合は画像による天気図を見ることはできない。
その場合、NHK第二の放送を聞いて「天気図をとる」ことが武器となる。そういう意味で登山の基本はやはり地上天気図になる訳だ。
地上天気図に始まり地上天気図に終わる。それと観天望気。それと、プロの解説による天気予報。さらには、地元に伝わる天気予報の話も有効になる。「後立山を登っているときに剱に雲が湧いたら逃げろ」とはよく言われたものだ。
どちらにしても、携帯の電波がどこの山でもOKな時代が来れば話は違うが、まだまだ日本の山はラジオに頼る部分は大きいと思う。
黄金のピッケル賞を受賞したアルペンクライマーの谷口ケイさんの登山記録を読むと、ちゃんと天気図をとっている場面が出てくる。読んでいて面白いし、やっぱり真面目だなと思う。
http://www.gendarme.org/cgi-bin/ita/ita.cgi?CONF=kei?DISP=1050679736
↑北アルプス/明神岳南西稜〜前穂、奥穂〜大キレット〜南岳〜横尾尾根下降
ヤマレコに多い登山者のように、日帰りで晴れているうちに登下山したり、天気が崩れればエスケープ出来るような山小屋(たとえば赤岳鉱泉や西穂山荘など)を使っての冬山なら問題が表面化しないと思われるが、人間は欲が出てくるものである。技術も知識も体力も経験もない人間が他人のレコを見て憧れや欲求だけでもっと厳しい冬山に入ろうとすれば必ず山は牙をむくと思う。
今さら天気図を書くなんて、書いたところでデタラメだし…、なんて思うことは間違いだ。天気図を書くことで気象にも強くなっていくし、天気図を書いていると不思議と自然に山と対峙していく自分の心を感じることができるはずである。純粋で真面目な気持ちで山を想い山に対して敬けんな気持ちと畏怖の気持ちがあれば、山に行く頃には山は晴れるような気がする。
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以上、uedaのおっちゃんの日記に私がおせっかいセンサーで書いたものをアレンジしたものです。参考になれば幸いです。ちなみに、山小屋などで天気図を書いている人を見たら静かにして騒ぐのだけは止めて欲しいものです。隣のテントでも同じことです。
【追記】
写真の本は大昔に高層天気図を書くために買ったものとしての紹介です。今となっては必要ありません。今はインターネットで数種類の高層天気図が見られるので本当に素晴らしい時代と思います。
付け加えて、私がここで言いたかったのは、地上天気図は登山の基本ですが、その気圧配置が金太郎飴のように上空まで同じではないということです。
yamaChoco2さん、こんにちは。
「地上天気図」はご存じの方も多いと思いますが「高層天気図」までの方は登山者の中でも、山岳会やその方面に関心のある方以外は少ないのでは・・
高層天気図の補足説明ですが、水素(H)やヘリウム(He)の入った風船に観測する機器をぶら下げた物体を上昇させながら、電波でデ−タを送ってくる仕組みです。
>八ヶ岳で滑落した者に救助隊員がド叱る場面があった。「山を舐めるな!」ということだ。
そうですね、私達も時々その言葉使いますね。
>技術も知識も体力も経験もない人間が他人のレコを見て憧れや欲求だけでもっと厳しい冬山に入ろうとすれば必ず山は牙をむくと思う。
yamaChoco2さんの言うとおりです。レコ見て私も登れると思い遭難・事故等もあるのも事実です。
山は時として優しく迎えてくれる事もあり、厳しく迎えてくれる事もある事を忘れないでほしいですね。
nonkibouさん、初めまして。コメントありがとうございます。
高層天気図というか、気象も含めて登山の安全に関する知識の習得には終わりがありませんね。
一方で、昨今の登山ブームは私のような古い山男には驚くようなことが多くためらいます。
日記中に書かせてもらったように、冬山にピッケルすら持たないで遭難して救助隊員にド叱られる人がいたり、基礎的な登山用語も知らないで冬山に簡単に入る人がいること自体でもビックリです。
技術・知識など、やはり山を舐めているのだと思いますが、山岳会などに所属していなくて誰からも叱られないと、舐めていること自体を気づいていないのだなぁと思ったりします。
nonkibouさんの日記を少し読ませていただきましたが、やはり私も草の根でやっていくことが改善になるのかなぁと思ったりしました。私にそれができるかどうか分かりませんが、そんなことを思いました。
ありがとうございました。
yamaChoco2こんばんわ
いま5k走ってきたぜ
天気図は難しいなぁ・・たしかに森林限界超えるなら必
須かもね。今日は、京都散策、また日記にでもあげまっ
さ。おやすみ でわでわ
おっちゃん、こんばんは。
今、日記見てきたで。
バーバリーなんて、おごったね
私がおっちゃんに言いたいのは、地上天気図の気圧配置が金太郎飴みたいに上空もずっと続いていると思っちゃダメだよということね。
アマゾンで地上天気図用紙買って勉強しておくれやす。
ま、これが最後通牒だね。
ふふふ・・天の機嫌はいつも観察してるけど
マジで・・アマゾンで売ってるんや?
いっぺん買うてみるわ
朝から嫁、めちゃ機嫌ええ
最後通牒ならぬ、最後通帳やね
(嫁の機嫌は最後は通帳の力という新格言
でわでわ
uedaのおっちゃん、おっはー(あっちもこっちもだね
>マジで・・アマゾンで売ってるんや?
売っているよ。プライムで。だから送料かからんよ。630円。
それにしてもやっと私の言うことを聞いてくれそうだね。
今まで色々とヒドイ言葉も使いながらも、釈迦に説法というより馬の耳に念仏状態だったけれど、やっとという感じ。
ま、これで「本当の山の安全」という意識に点火できればいいけどね。今まで言ってきたことはプライベート講習会だったら十万円分の価値があるだろうけれど命代に換算したら換算できんからね。
さぁ、燃えるゴミを捨てにいこっと
yamaChoco2こんばんは。
ホントにyamaChoco2さんの解説は、とても分かりやすくて面白いですね!
今回も非常に勉強になりました。
私も本格的な登山を始める前でも、キャンプや波乗りで常に気象情報をライブカメラJAPANやyahoo天気図などでチェックはしていたのですが・・
お恥ずかしい話し「高層天気図」については、雑誌で何度か目にした事があるぐらいで、どのような物かほとんど全く知らなかったです。
(難しいとの観念がある為か)
登山を始めてからは、山のライブカメラやtenki.jpの高度別数値計算結果などをみて予測を立てていましたがyamaChoco2さんの日記をみて少しづつ勉強をしてみようかと思いました。
あとYouTubeで私達家族も同じ動画を観ましたよ!!
BCで遭難してヘリで救助される時に救助隊が危険と判断してボード切って置いていったら不服そうな態度でいる要救助者も!!
隊員に「ボードと命どっちが大切や」ッて怒鳴られてましたよ!!
>天気図を書いている人を見たら静かに!
長年のオートキャンプなどで、我家族では当たり前なんですがテント場では暗くなったら静かにする!が基本のマナーと思っています。早朝もです!
しかし昨年に一人で赤岳鉱泉でテント泊していた時にサークルか山岳部の学生達と思うんですが、夜の9時頃まで「キャーキャ」とうるさかったんで、関西弁でやさしく注意したんです。
「キャーキャ騒ぐんやったら自分の家の近所の川原でキャンプしたら」って!!
そして翌朝、その学生達がテーブルでラジオを聴きながら天気図を書いていました。
yamaChoco2さんの様な人に指導していもらっていたら、あの時の学生達もきっと天気図を勉強する以前の最低限の基本マナーを理解していて、その中の誰か一人が「他の人も居るから静かにしようよ」って注意したんじゃないかなと思いました。
大人でもまるっきり気遣いが無い人がいてますけどね!!
テント場で夜中のAM3時からの電子音を鳴らしてビーコン作動検査する最低限の基本が無い登山者など!!
「yamaChoco2さんだったらどの様に注意しておられるんだろう」なんて思ってしまいます。
yamaChoco2さんの日記に長々と書き込んでホントにすいません。m(_ _)mぺこり
とても勉強になるのでこれからも家族で楽しみに拝見させていただきます。
失礼いたしました。
ryuu88さん、こんばんは。
ほんとにryuu88さんは真面目に山と向き合っていらっしゃいますね。
youTubeの動画は私が見たのとは違うかもしれませんね。私が見たのは。軽装で冬山に入り「ピッケルももたんで、山を舐めてるぞ」ってド叱られていました。
私が長々と書いたのは、地上天気図が上空まで続いている訳じゃないということと、やっぱり、登山を趣味としている人なら天気図をとってほしいという思いです。ま、uedaのおっちゃん向けなんですがね。
高層天気図や地上天気図も同じですが、「変化」というのが重要ですね。1枚だけの地上天気図からでも状況は分かりますが、現在の天気から良くなるのか悪くなるのかという判断は数日間の「変化」を頭に入れたりしていなければならないと思います。山に入る数日前から天気図をにらみ、山にいる間も天気図を意識すれば、空に浮かぶ雲や風が何を意味しているかが分かるかと思います。観天望気もとても大切だと私は思っています。
”静かにする”ということで思い出したんですが、山ではCBの無線を使うことが多いですが(パーティーの場合かな)、「沈黙時間」というのがあるのをご存じでしょうか?
私も長いこと忘れていましたが、今、思い出しました。
9時、11時、16時、20時の1日4回各15分間を沈黙時間として、緊急連絡を傍受するための時間ですね。
その時間に無駄な会話をしていたら注意することは必要ですが、いまどき、そういうことすら知らない人が多いかも知れないでしょうね。
とても為になります
私も高い山へ入るときには地球気という高層天気図を必ず見て予想を立てるようにしています。
でも、まだまだ初心者の私には予想するのが難しく、なかなかその通りにはならないです。
しっかりと予想立てられるように頑張っていきますね
mitukiさん、こんにちは!
たびたびのHN変更ですみません。
「地球気」というのはサイトのことなんですね。知りませんでしたので調べてみたら(こういう所がuedaのおっちゃんと違うところ)、良いサイトですね。
逆に、こういうサイトなら自分で作れそうですね。
あと、時間がグリニッジ標準時なので9時間をプラスするところがポイントですね。
それと、やっぱり数日間の変化を見なければプロでも正しい予報というのは難しいと思いますね。
それにしても、mitukiさんは本当に真面目にステップアップされていて感心します。素直で真面目で言うことなしです。頑張って継続させてくださいね
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