10月13日の思い出（1/3）

私が若かった時の話です。
今はない東京八王子の
事業所に異動となり、部下が
2人付くことになりました。
2人の内、A君は無断欠勤や
社有車を電柱にぶつけては
上長に報告しないなど
少し問題のある方でした。
一方、B君はA君の同期で
真面目で趣味が私と同じ
バイクでした。
それまで２人共、登山は
やっていませんでした。
私の部下になってもA君は
月一欠勤しては、私が自宅に
電話を掛ける始末でした。
A君は有名な難関大学卒で
プライドが高くB君と私を除く
回りの方と衝突している感じ
でした。
6月、B君から高尾山に登る
誘いを受けました。私は
体力に自信がなかったので
断りましたがA君を含め、
会社仲間5人で高尾山を、
楽しんだようです。そして、
何度か山行を重ね、7月には
富士山に登ったとの話をA君
から聞きました。
A君は単独で登るようになり
本当に嬉しそうに毎週私に
いろんな山の話をして
くれました。山用に中古の
四駆を買ったと聞きました。
山に疎かった私もA君に
「登山届を出してから山を
楽しんでね。」
と言ったものです。
A君も業務態度が良くなり
無断欠勤もなくなりました。
その年の10月は10〜12日まで
3連休でした。
翌13日に私が出勤した所、
A君が久しぶり無断欠勤した
ので自宅に電話掛けたの
ですが、出てこなかったので
上長に報告し、上長がA君が
一人で住む会社近くの
マンションに行った所、
鍵がかかっており、警察と
不動産屋、都内に住むＡ君の
家族に連絡を入れて部屋を
開けた所、Ａ君は
不在で車がない以外は特に
変わった様子もありません
でした。
警察に捜索願いが出された
その夜、私の自宅に一本の
電話が入りました。
「（中略　悲痛な声で）Aの
父と申します。息子がどこの
山に行ったかご存じあり
ませんか？！」＜2/3に続く＞