＜読書『数字が明かす小説の秘密』＞　（ベン・ブラット）DUBooks

2024年11月21日 21:35小説レビュー（書籍）全体に公開

＜読書『数字が明かす小説の秘密』＞　（ベン・ブラット）DUBooks

※本書のオビには『小説のテキストを解析して数値化することで、小説にまつわる様々な「ルール」や「思い込み」を検証する』とある。新しい切り口で小説を理解する試み。小説の最初の文に天気が登場する小説だとか、エンディングをどう終えているか、など興味の尽きないテーマで小説を斬っていく。

◆「副詞使用率」と「作品の人気」の相関関係は、『副詞が減れば減るほど「良い」作品』とされる。ウィリアム・フォークナーやジョン・スタインベックの各種受賞作などが例として取り上げられ、説得力がある。

◆男女間の使用語には違いがあり、女性はactually, everything, their, pillow, ringなどを、男性はabove, something, the などの語を多用する傾向がある。

◆驚いたことに、the, and という、ありふれた単語を数えるだけでも、作家による違いを認識できる。

◆This sentence is written by a woman といった文章は、男性が書いた可能性が高い。

◆男性によって書かれた古典文学作品はsheよりheがよく使われる。男性の手による古典文学においては女性より男性について書かれたものが多い。また、NYタイムズ・ベストセラー作品でも、50作品中45作品がshe よりhe を多く用いている。

◆「叫ぶ」という単語を用いた例を調べると、he よりsheのあとに使われる回数が2倍以上。男性作家は男の登場人物より女性に頻繁に「叫ばせ」ている。なお、作家が自分と反対のジェンダーを描くためにもっともよく使う単語は、kissed, exclaimed, answered, loved, smiledなど。

◆作家によって、感嘆符やsuddenlyなどの各修飾語を使う頻度も異なる。

◆アメリカ人の文章はうるさい動詞(loud)を頻繁に使う。cried, excalimed, shouted, roared, screamed, shrieked, called, announced, declaredなど。一方、英国人は静かな動詞(quiet)をよく使う。whisper, murmured, sighed, grumbled, mumbled, muttered, gaspedなどだ。

2024-11-21 ＜読書『Consultant

2024-11-21 ＜読書『地図の博物図鑑』ベッツ

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