先日の山行にて北アの西穂高〜奥穂高間にある、間天のコルという場所でひとりビバークをした時のあってはいけない経験談です。
間天のコルに到着したのは18:00過ぎ。
天候は良く無く周りはガスが立ち込め、眼前にある天狗岳側の逆層スラブの岩肌も十分望めないほど視界は悪い状態だった。
かろうじて1張りだけ設置可能なサイトスペースにシェルターを張り、取りあえず潜り込んだ。
ここまでの行程で緊張を強いられる状況の連続だったので、体を横たえた瞬間、一気に眠気が押し寄せてきて食事は後回しにしようと目を閉じ眠りの入口に差し掛かった頃である。
時刻にして18:30〜18:40頃、何かが歩いてくる気配を感じた。
私のように奇特なビバーク者ならいざ知らず、こんな時間にこんな場所に人が来るはずが無いし、来てはならないはずである。
ましてや日曜〜月曜にかけての幕営なので、他のビバーク者とかち合う確率は下がる。
一気に現実に引き戻され、また緊張感が体の隅々まで拡がっていく。
シェルターの中で聞き耳を立て音のする方向を聞き分けると、間ノ岳側からこちらのコルに向けて進んで来ている模様だ。
恐る恐るシェルターの入口を開け、そぉーっと覗いて見ると、ひとりの男性が今しがた下降してきた岩壁前に立っている。
薄らとガスが立ち込め、落陽の射さないほの暗い中でゆっくりと近寄ってくる。
「こちら側の人」なのかはたまた「あちら側の人」なのかの見当がつかないので思い切って声をかけてみる。
陰陽師:「こんな時間にどうした??」
来訪者:「……。」
陰陽師:「誰なんや??」
来訪者:「*?&#%+$−;」
陰陽師:「ナニ!??」
来訪者:「…ホタカ……、ドコ?…」
勘の鋭い方はお気づきでしょうが、そうです外人さんです。
その(2)へ続く
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