![]() |
ところが70年代後半に紹介されたBackpacking時代はそうは行かなかった。インターネットも携帯電話もない時代だ。
先ずは丸善などの要所を扱っている書店へ出掛けて行き、Backpackerなどの雑誌を購入して来る。雑誌の広告から魅力的な商品を扱っていそうな店、Sierra Designs/The North face/The Ski Hut etcへ当時一枚140円の国際返信用切手を5−6枚同封してカタログを請求すると早くて1ヶ月。長いと忘れた頃にカタログが届く。勿論、翻訳ソフトなどないので辞書を片手に商品の説明を和訳する。学校の英語よりもこういう英語はよくできるのは何故なんだろう。恋文でも書くように丁寧にOrder Sheetへ記入をする。
ここまでは序章だ。当時はFedExもなくあるのは郵便だけ。船便で数ヶ月、航空便でも1ヶ月はかかる時代だった。商品の合計と運賃を計算した金額を銀行へ行ってドル建ての送金小切手を作ってもらう。確か本店でしか出来ないので銀行の支店で申し込むと7−10日は掛かったと思う。為替も200円台前半であったろうか。同時に大蔵省へ貿易外支払い報告書と言う緑色の印刷物へ原産国やら何やらを書き入れて銀行経由で提出をする。個人輸入は特殊な行為であったのだ。
そして注文書と送金小切手を書留で送り待つこと1ヶ月。近所の郵便局(配達局)から書類が届く。待ってましとばかり本局へ走る時の喜びは例えようがない。書類は通関許可証と関税が記載されているので関税を郵便局で支払うと待ちに待った商品が受け取れると言う仕組み。
こんなに面倒くさいことをやってもThe Ski Hutで扱っているTrail WiseのPack Backやダウンジャケット、Sierra Designsの60/40Mountain Parka、Day PackやThe North Faceのテント、シュラフやDown Jacketなどなど。当時の国内では手に入らないモノを手に入れる喜びもあった。
もう50年近く前の話だ。今では関税も下がったり撤廃されたり、スマホとクレジットカードがあれば簡単に手に入る。米国東海岸のメーカーの商品でもタイミングが良ければ一週間で手元に届く。一方で大手Outdoorブランドは街のどこでも目につくようになり、夏休み中必死にバイトをしなければ手に入らなかったシンチラジャケットの価値が下がってしまった様に感ずるのは個人的な思い入れが強いからだろうか。手元のそれは27回目の冬を終えた。
それにしても待つ喜びがなくなってしまったことが残念な気がしてならない。
長文御免
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する