70年代に太平洋の向こうからアルミフレームの背負子にナイロン製の袋を取り付けたフレームパックがやって来た。合理的で体系的かつ思想的な山歩きはとても新鮮で根性と忍耐を養う従来の登山概念をひっくり返す程の衝撃を覚えている。
フレームパックの最大の特徴と言えばヒップベルト、換言するならば尻帯ではなかろうかと思う。腰で荷重を支える方法は欧州型ザックと比べると画期的であった。それまでは肩と背中で背負うスタイルから三所攻めならぬ腰を加えた3箇所で支える方法は荷重分散には素晴らしい効果であった。
これに倣って現在のザックにはこの尻帯が取り付けられた製品が目につくが、製造業者によっては、ウエストベルト、腰帯と称している場合がある。ウエスト(waist)は腰ではなく胴体の一番くびれたところと辞書には書かれていた。確かにウエストで荷重を支えようとストラップを引っ張れば苦しくて山歩きどころではない。
腰骨の辺りはhipで、尻はbuttだろう。女性の後姿を見てヒップが・・・失礼。こんな使い方になる。詰まらない拘りかも知れないが、山中でウエストを締め上げているハイカーを見かける度にこんなこと考えて仕舞うのだ。
考えてみれば、ヒップベルトには大概パッドが入っているだろうし、ウエストベルトはナイロン性幅広のテープである場合が多いように思う。ヒップベルトは荷重を支える為に腰骨へ、そしてウエストベルトはザックの揺れを抑えるためにウエストで程々にが原則ではないかと考えた次第。
※追記
明治時代に入り外来語が大量に日本国内へ入って来た当時、日本語にはなかった概念や言葉などを現代のように安易にカタカナで逃げずに日本語に置き換えた先人達の苦労と叡智は計り知れないモノがある。
しかし、何故hipを腰、buttを尻と訳さなかったのだろう???
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