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2022年09月12日 20:41災害ボランティア全体に公開

災害ボランティアの作業

災害ボランティアに行って、従事することになる作業は様々です。
災害の種類にも、地震だとか水害だとか津波だとか、いろいろありますが、そうすると被害の規模や内容もいろいろになります。
私も全ての作業に従事したわけではありませんが、ケースとして多いものもあると思いますので、以下に書き連ねてみます。

1.泥出し
被災により流れ込んだり溜まったりした、泥を取り除く作業で、水害のあとはこの作業が多数を占めます。
作業場所も様々で、庭や畑などの屋外はもちろん、物置や住居内でも泥出し作業がありました。
特に家屋内に溜まった泥は、早めに取り除かないとシロアリの繁殖するもとになります。
ニオイや粉塵のもとにもなるので、元の暮らしを手に入れるには泥出しは必須です。
家屋内に入り込んだ泥は、多くが床下に溜まるので、大工さんなど専門のスキルを持つ人が床板を剥がしたあと、ボランティアが現場に入って泥をスコップですくい、土嚢袋に詰めて外へ搬出します。
床板剥がしは、場合によってはボランティアの手で行われることもあり、この辺の有無は災害ボランティアセンター(以下、「VC」)によっていろいろですが、もしそれをやる場合は主にバールなどを使って床板を剥がしたあと、床下に溜まった泥の除去を行います。
水を含んだ泥は非常に重く、スコップ1杯分でも相当な重さです。
特に床下の泥となると、床板を載せる基礎と基礎の間で作業を行うので、力の入れ辛い大変な作業ですし、たとえ室内に蛍光灯が灯っていても、土は光を反射しないので薄暗いことが多く、ヘッドライトがあると活躍します。
また、トイレや台所などの水回りは、基礎の他にも配管が床下に張り巡らされていたりして、作業は結構困難になります。
床板を剥がせない、または剥がさない場合は、手の届く範囲内で泥出しを行うか、床下に潜り込んでの作業となりますが、床下に潜る場合は土や泥の上を腹這いになりながら移動し、高さが30cm〜40cmくらいしかない、頭すらロクに上げられないくらい狭い空間の中、しかもヘッドライトの明かりが頼りという暗いところで、泥を懸命にすくっては土嚢袋に入れていきます。
全身汚れるので、雨具とヘルメット、ヘッドライトが役に立ちますが、粉塵を吸い込まないよう口元にマスクは欠かせず、あっという間に汗でびっしょりです。
それを、這った姿勢のままで泥をすくうので、腕の力がみるみる消耗していくのが分かるくらい、辛い作業です。
30分もやると休憩が必要なほどになります。

なお、土嚢袋に泥を詰める際は、満タンに詰めると運ぶのが大変なくらい非常に重くなるので、泥に含まれる水分量にも依りますが6〜7分目に留めたほうが良いと思います。
満タンに詰めてしまうと、重くて運ぶのが大変になり、一輪車を使っても容易でなく、下ろす人がヘトヘトになってしまいます。
このように、泥出しは大の大人でさえ大変な作業で、家一軒を完了させることすら、大人数人の班でも数日を要したりします。
一人暮らしの高齢者世帯だったら、到底ボランティアの力を借りないとできません。
被害が広範囲なら膨大なマンパワーが必要で、人海戦術で挑まないと完了は程遠いです。

2.廃棄する家財等の搬出
水害にしろ地震にしろ、ひとたび災害に遭うと、その地域からは膨大な災害ゴミが生じます。
濡れた畳はカビが生えてしまうから捨てないとならないし、水を吸って膨らんで形が歪になった木のタンスなどは乾かしても元には戻りません。
地震になると、屋根から落ちた瓦も災害ゴミです。
その他にも、ソファやら本やら食器やら、家の中に貯め込まれていた家財が廃棄の対象になるので、これも家族だけでやろうとすると大変な作業になり、ボランティアの手が必要になります。
廃棄に当たっては、家主や家族の希望を尊重し、取っておくか捨てるかの判断をお任せします。
廃棄する災害ゴミは、VCや自治体の指定する仮置き場やクリーンセンターに運びますが、軽トラが大活躍です。
積載量はトラックとかには及ばないけど、軽いゴミとかもたくさん出るし、狭い道でも簡単に入れて小回りが利きます。
1で書いた土嚢袋の搬出についてもそうで、やはり軽トラが大活躍しますが、VCによっては台数が不足することもあり、軽トラの台数が少ないといろいろな作業が滞り始めます。
引く手数多の大活躍の軽トラですが、高速道路などを使う長距離の運転が疲れるのがネックで、遠くから軽トラで来る人はかなりの猛者です。

3.汚れた家財等の清掃
泥や土などにまみれた家財などの清掃です。
私は泥出しの作業にばかり加わるので経験はありませんが、家主やその家族が使っていた家財等を綺麗にします。
東日本大震災では、これで持ち主の手に戻ってきたものがきっと多くの勇気や元気を与えたことでしょう。

4.避難所の設営作業
稀なケースだとは思いますが、避難所の準備に関わったこともありました。
体育館の床に雑巾を掛け、パーテーションを設置し、段ボールベッドを用意したりしました。

5.災害救援物資の搬入と配布
他県や他市町村から送られてくる支援物資を、集積場所に運び込んだり、求めに来る被災者に何が必要かを聞いて手渡したりしたこともありました。
これも稀なケースだと思います。

以上、1〜5までを挙げてみましたが、どの作業に従事することになるのかは、当日行ってみないと分かりません。
当日行ってみないと分からないので、どの作業になっても良いように準備をしていきます。
私は泥出しが最も多く従事した作業でした。
災害ボランティアは、被害のあった当初は多くの人間が参集しますが、日が経つにつれ徐々にその人数は減っていきます。
人数が減っていくのに、完了した作業案件の数よりも、新たに舞い込む作業案件の数のほうが多い、そんな状況も経験しました。
あるところでは、VCが床板剥がしを認めておらず、床板剥がしが進んでボランティアの手が大量に必要になったところ、発災から相当の日数が経過してしまったためにボランティアがさほど集まらなかった、というところもあったようです。

発災から日が経つほど、災害ボランティアはリピーターの力が頼りになります。
特に水害は被害が広範である上に作業のボリュームが多いので、2回、3回と加わらないと回らない、片付かないことも多いです。
そこまでしなくてもいいんじゃないの、と思う人は多いと思いますし、私の家族もそうなのですが、そこまでする必要と意味は、作業に関わった人でないと分からないと思います。
そこまでしなくてもいいんじゃないの、と言うべき人、判断すべき人は被災地の人であり、被災していない人の言うことではないと思います。
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