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寒い毎日ですが皆さま、お元気でお過ごしでしょうか。
今年は登山に関しては遠征も無く、大きな目標もなく、イマイチな1年になってしまいました。まぁ時にはこんなもんです。諸事情もありますし、ちょっと怪我したりもあったり、気が抜けてしまったり。この歳になると時間もその他諸々も無限にあるわけではなく有限ですから、どうしてもその都度の優先順位の中で山は後回し・・・になってしまうこともあります。来年以降はわかりませんが、まだまだ登りたい山はワンサとあるので、無理なくひとつずつ叶えられていったらいいなと考えています。
で、それで話が終わってしまうのはいささか寂しいので(笑)。
昨年の今頃にも書きましたが、今年読んだ本の一覧を並べて紹介してみたいと思います。1月から読んだ順番に。
「縦走路」新田次郎
「ミスター・ビップ」ロイド・ジョーンズ
「木曜日にはココアを」青山美智子
「問いのない答え」長嶋有
「広く弱くつながって生きる」佐々木俊尚
「雪の練習生」多和田葉子
「球界の野良犬」愛甲猛
「ロングヘアーという生き方」リリーフランキー,みうらじゅん,高見沢俊彦
「音叉」高見澤俊彦
「地球幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク
「一九八四年」ジョージ・オーウェル
「一発屋芸人列伝」山田ルイ53世
「友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」」山中伸弥, 平尾誠二・惠子
「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる」幡野広志
「夫のちんぽが入らない」こだま
「仕事は楽しいかね?」デイル・ドーテン
「献灯使」多和田葉子
「恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる」林伸次(← まだ読みかけ)
「縦走路」
50年以上前に書かれた新田次郎の山岳小説。八ヶ岳を舞台にして繰り広げられる恋愛モノでもあります。50年前の昭和の「山男」たちはどうしてこうも恋に不器用すぎるのか、というお話でもあったり(笑)。山関連の本は今年はこの一冊だけになってしまいました。
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「ミスター・ビップ」
東南アジアの貧しい島で暮らす1人の少女の物語。とある先生と巡り合い、一冊の本を毎日読み聞かせてもらうことから心が救われ、成長してゆくのですが、様々な葛藤や試練、悲しみと向き合いながらも生き抜く力を得てゆく姿に大きな感動を覚えたお話でした。この本が今年読んだ中では一番良かったかもです。
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「木曜日にはココアを」
素敵な物語でした。人は支え合ってこそ生きてゆけるということを改めて思い知らされるような。読んだ後に優しい気持ちになれるお話です。ラストを読み終えると何故かまた最初から読み直ししたくなってしまいます。
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「問いのない答え」
長嶋有さんの小説は初めてでしたが、この作品はとても独特な文体で理解に時間が掛かり、そのぶん読むのにも時間が掛かってしまいました。次から次へと現れる登場人物はざっと30人以上。その一人一人の感情変化やそれぞれの小さな差異、SNSで簡単に繋がれる現代特有のユルイ人間関係とその距離感・・・という、ともすればふんわりした空気のようなものを、克明に文章表現した物語です。ホンの些細な人情の機微を逃さず言葉に変えることができる作家さんというのは凄いなぁと思ったものです。
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「広く弱くつながって生きる」
私の好きなジャーナリストの1人でもある佐々木俊尚さんの著作。佐々木さんの本を手に取るのは4冊目かな。社会様式そのものや今まで世間を覆っていた価値観が大きく変化する時代の中で、個々がいかに穏やかな生き方を目指してゆけるか、そのヒントを与えてくれる一冊でした。
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「雪の練習生」
「献灯使」
この2つは共に多和田葉子さんの小説。三代にわたるホッキョクグマの人生を描いた「雪の〜」と、日本の近未来のディストピア社会を描いた「献灯使」。多和田さんはまだこの2冊しか読んでいませんが、深い物語性と言葉1つ1つの美しさにため息が出そうな感覚になります。とあるラジオアナウンサーの方が、「もしかしたら次にノーベル文学賞を取る日本人は村上春樹さんより多和田さんの方が先かもしれない」と仰っていましたが、これは本当にそうなるかもしれません。「献灯使」は今年、アメリカで最も権威のある文学賞を受賞しています。
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「球界の野良犬」
元プロ野球選手、その昔は横浜高校の絶対エースとして活躍した愛甲猛さんの波乱の野球生活を綴った自伝です。今の優等生ばかりのスポーツ選手では考えられない様なヤンチャっぷりに驚かされたり笑えたり。昨今のパワハラ云々の風潮と対比して読むと時代の違いをまざまざと感じさせられます。
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「ロングヘアーという生き方」
フジテレビの「僕らの時代」で収録された対談集です。笑えました。しかしリリーさんって俳優業、作家、イラストレーター・・・幅広過ぎて掴みどころない人ですよねぇ。みうらじゅんさんの博識っぷりにも驚かされます。
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「音叉」
THE ALFEE・高見沢さんの処女小説にして70年代初頭の青春群像劇。時代の変革期の中で自分自身が何者なのか、何処へ向かうのかを模索し悩み続ける主人公と仲間たち。その姿を通してかつての若者たちと現代と若者たちの何が違って何が同じなのか、その対比がとても分かりやすく丁寧に描かれていました。またミュージシャン目線ならではの独特の心象描写もありで楽しく読め、今後の作品にも期待したいです。
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「地球幼年期の終わり」
『2001年宇宙の旅』の作者による、壮大なスケール感のSF大作。宇宙からやってきた未知との遭遇によってもたらされる人類の戸惑い、変化、進化、そして予想外の結末・・・。60年前に発表されたSF文学史に残る傑作という触れ込みを見て手に取りましたが、今読んでも大変面白かった作品です。
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「一九八四年」
これまたやはり70年前の作品ですが、世界中で大ヒットした近未来小説。かなり難解でしたが時間を掛けて読みました。完璧なまでに構成された全体主義のディストピア社会の恐ろしさが描かれています。遥か昔の小説なのに、現代の世の方がむしろこの物語の世界観に寄ってきつつあるような気が・・・。
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「一発屋芸人列伝」
ルネッサーンス!の山田ルイ53世、なかなか文章力があり読ませる人だなと思いました。クスッと何度も笑わされ、時に唸り、時にホロリとさせられます。同じく一発屋にカテゴライズされてしまった芸人さんたちの悲哀と図太さが入り混じった生き様を、丁寧な取材で追っています。
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「友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」」
多くの気付きに溢れる一冊でした。ノーベル賞の山中さんと2016年に亡くなったラグビー界の英雄・平尾さん、その熱き友情の日々。御二方の言葉の中にそれぞれ含蓄があり、人生を豊かに生きるためのヒントが散りばめられているように思えました。
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「ぼくが子どものころ、ほしかった親になる」
私が大好きな写真家である幡野広志さんの初めての著作。写真家として、2歳のお子さんを持つ親として、そして重い病を患っている身として、氏の真っ直ぐな生き方が綴られたエッセイとなっています。自分自身の言葉と信念を持つ人はどんな状況や環境でも強いのだなぁと思います。
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「夫の〜」
タイトルこそセンセーショナルですが、これも素晴らしい私小説でした。誰にも明かせなかったような自分の内面、苦しみを繊細にさらけ出した著者こだまさんの表現力と覚悟に惹かれました。誰の人生にもドラマがあり、人の数の分だけ生き方や価値観があるということを改めて感じました。この本も今年読んだ中でベスト3に入ります。
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「仕事は楽しいかね?」
ビジネス書、自己啓発書のカテゴリーに入る本なのでしょうか。物語形式になっており、とても分かりやすくユニークな一冊でした。
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というそれぞれの簡単な感想です(長くなりましたが)。つまらなかった本は幸いにして一冊も無し。どれもそれぞれに余韻が残る良い作品ばかりに出逢った・・・という感じです。読むのがゆっくりなのであまり沢山は手に取れませんでしたが。
特定のジャンルや作家に拘らずにその時点で読みたいと思ったものを読みますが、その時の自分自身にとって絶妙のタイミングで良い物語や作品に出逢えた際の幸福感というのはたまらないものがあります。そして本というのは読めば読むほど物知りになってゆくのではなく、逆に「世の中には自分の知らない世界がこんなにもあるのか」と打ちのめされてしまうものだったりもしますね。でもそれがまた何とも心地良かったりもするのです。
来年も良い本にたくさん巡り合えたらいいなと思いつつ・・・(目標読書数は今年の倍くらい)。
同じくらいの気持ちで山にも行かなきゃね(笑)。
今年も一年皆様とは楽しく交流させて頂き、本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。ぜひ良いお年をお迎えください。
たくさん面白そうな本の紹介ありがとうございます。読めば読むほど、知らない世界があったのか、は全く同感です。
感想は書き留めているのなら、もう少し小出しにお書きいただけるとうれしいですね。
yoneyamaさん、コメント頂きありがとうございます。かなりランダムすぎるチョイスなため全く一貫性がありませんが、幾らかのご参考になれば幸いです。小出しに...はい、出来るだけそのようにマメに書ければ良いなと思うのですが、来年以降はもう少し頑張ってみようかなと考える所存です。
山の本かと思いましたが、色々なジャンルの本なんですね!ryoさんらしいチョイスかなと思いました♪
私も読書が趣味でしたが、最近は仕事と山で忙しく本はなかなか読む暇がないです💦でも今年買ったのは「黒部の山賊」です。三俣荘でも売ってました♪最近は山関係の本をほんの少し、だけです😅
読書って自分の世界が広がったり勉強になったりとか、とても良いと思います。でも私は感想文が苦手です、ryoさん全ての本の感想を書かれてて文章力も含めて素晴らしいですね♪
popieさん、山の本は今年はほとんど読めずじまいでしたー。いくつも手に取りたい作品はあれど、来年の宿題にしたいと思っています。黒部の山賊ですか。覚えておきます。横浜のカモシカスポーツの書籍コーナーなんかにも面白そうなのが沢山置いてありますね。
読書や映画鑑賞って私もしない時期は全くしないですが、一旦エンジンが掛かると一定のペースで続けられます。あ、登山の方もエンジン掛けなきゃいけませんね(笑)。
ジャンルを問わず、この様に読まれた本を紹介して頂けると、とても分かり易くて参考になります。
一部笑激的な題名の本も有りましたが、説明を読んでなるほど〜と、思いました
私も幾つか読んでみたいと、思う本がありました。
題名は違いますが私も、新田次郎氏の「孤高の人」上・下を読みました。
その他は、ハンス・シュトルテ氏の「丹沢夜話」3冊、角幡唯介氏の「極夜行」、樋口明雄氏「炎の岳」、あと遭難関係の本数冊ですが、こうしてみるとほとんどが山関係の本ばかりですね
今度は私も、他のジャンルを読んでみようと思いました。
来年はryoさんのヤマレコも楽しみにしています
kazさん、山関連以外の本ばかりですが何かご興味あれば是非手に取られてみて下さい。笑激的なアレは1年ほど前に出版され、結構なベストセラーになりました。タイトルとは裏腹にかなり真面目な小説になっているんですよ。
孤高の人は上下巻買ってあるのですが、まだ読めていません。山岳文学史に残る傑作でしょうから早く読めればと思っています。角幡さんの極夜行も売れましたよね。私は以前に別の著作を読んだことがありましたが、THE・冒険家という感じの御方ですね。教えて頂いた数冊、逆に参考にさせて頂きました。来年はヤマレコも頑張ります!多分(笑)。
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