登山者が山を歩く事で自然環境を破壊する、という意見があるようです。
具体例として、山を歩く事で植生を破壊する。ゴミや食べ残しを放置して自然環境を汚染する。排泄物により水質を汚染する。登山者が野生動物のストレスになり生態系に影響を与える。などです。
昔はどうだったのか知りませんが、最近登山を始めた僕はどれもピンときません。
以下、あくまで僕の行動範囲内での私見と自己弁護です。
僕がいつも行く神奈川県の丹沢山塊では、これまでマスクやグローブなどの落し物は見た事がありますが、山で意図的に捨てられたゴミを見た事はありません。
定期的に清掃活動をされている方々のお陰というのもあると思いますが。
排泄物の問題に関しても、山小屋や避難小屋にバイオトイレもありますし、最近はマナーとして簡易トイレを持つ登山者も増えているようですし僕も持ち歩いてます。
植生破壊や野生動物への影響に関しては正直良く分かりませんが、密猟や盗掘目的ならともかく、登山を目的として山に入る人が野生の植物や動物に大きな影響を与えているとは思えません。
このように、僕が山を歩く事で自然環境を破壊する事は無い!と言いたいところですが、残念ながら僕の考えが及ばないところで何か影響が出ているのでしょう。
でも、僕がこれまで日常生活を送る上で間接的に破壊してきた自然環境の規模に比べれば、山を歩く事による破壊など微々たるものではないでしょうか。
遠い昔の話ですが、僕は大学の卒業論文のテーマに環境問題、主に地球温暖化について取り上げました。
当時、先進国を中心に国際的に環境問題への関心が高まっていました。ですが、発展途上国は言うまでもなく、日本ですらまだまだ一般市民まで浸透しておらず、僕の周りで地球規模の環境問題を自分の事として考える人は殆どいませんでした。もちろん僕もです。
世間はバブル崩壊後の混乱期でそれどころではなかったでしょうし、まだ温暖化を実感するほど気温も高くありませんでしたので危機感が無いのも当然だと思います。
論文の内容は、人類が何も対策せずこのまま活動を続けていく事で温暖化が進むと仮定して、地球の平均気温が1度上がる毎にどのように生態系が変化するのか、どのように気候が変動していくのか、海面が上昇し陸地が水没する事でどのような被害が出るのか、等を参考文献から丸パク……引用してシミュレーションしたのですが、2050年時点の地球の変わり様に衝撃を受けたのを覚えています。
そして、当時の僕を取り巻く状況を見渡した時に、最早手遅れではないか?と絶望したのも覚えています。
まあ、あくまで何の対策もしない場合の予想ですし、単位ギリギリで卒業したアホな大学生の論文ですので何の説得力もありませんが。
そんなアホ大学生が勝手に絶望している間にも、当然世の中は動いていて、京都議定書やパリ協定(温室効果ガス削減の為の国際的な取組)などを始め、急速に環境問題への対策が講じられ、今の日本では小学生でもSDGsを日々実践している状況です。
僕も度々トイレの電気を消し忘れたり、テレビをつけっぱなしでスマホをイジっていて、小学生の頃の娘達に「何やってんの!?消しなよ勿体無い!」と叱られたものです。
少し話はそれましたが、アホ大学生ながら環境問題を勉強した僕の体感として、山を歩くより下界で活動するほうが自然環境を破壊してるのでは?と思っています。
そして声を大にして言いたいのは、登山を始めたことで自然の素晴らしさを知り、以前より自然を守りたい気持ちが強くなった事です。
「この素晴らしい景色を100年後の登山者にも見て欲しい。この山の空気を200年後の登山者にも感じて欲しい」と思うことで、これまで以上に環境問題について考えるようになりました。
何が言いたいかというと、登山をする前の自分よりも登山をしている今の自分の方が、間違いなく地球にとって優しい人間になってるハズ!と言うことです。
とはいえ、僕が環境保護の為にやってる事は少ないし、その影響はごく僅かなものでしょう。
今の僕が、電気も車も使わずゴミも出さない生活をするのは無理な話です。
ですが、微力でも環境汚染を減らす事は出来ます。例え車のエコ運転やアイドリングストップやゴミの分別程度の活動でも、間接的に山を守る事に繋がる筈です。
今後も自分の出来る事を出来る範囲で増やしていき、そしていつの日か「登山者が山を歩く事が自然環境を破壊するのかもしれない。でも、山を愛する登山者だからこそ山を守りたいと考えてるし、環境保護の為の活動をいつもしているんだよ」と胸を張って言えるようになりたいものです。
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