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参考1:鈴木 雄大 / Yudai Suzuki | The North Face Athletes|https://www.youtube.com/watch?v=Q7XgULEfGVs
参考2:未踏の挑戦を追ったドキュメンタリー『ガンバルゾム』〜未知の高峰を目指して〜 始まり|https://www.youtube.com/watch?v=0fgOYRLRdqA
昨年、鈴木さんはペルーのキトラフ南東壁の初登と、パキスタンのツイII西壁の登攀に挑戦しました。どちらも世界でも特に難易度の高いアルパインルートとされています。
その経験談は、想像を超えるものでした。ほぼ垂直のテクニカルな岩壁を極限状態で登り続けること、容赦のない曝露に耐えながら高所で人間の限界を押し広げること。その過酷さは、言葉では言い表せないほどです。
でも、そんな偉業そのものよりも、私が一番印象に残ったのは、鈴木さんの姿勢でした。
|「初めての滑落」と「笑いながら登ること」 |
鈴木さんは、キトラフ南東壁の登攀中にクライミング人生で初めて滑落したことを、何気なく話していました。また、何日も壁の上で過ごし、寝返りを打つのも危険なくらい小さなスペースにテントを張ったことも。
でも、一番驚いたのは、その語り方です。どんなに過酷な話でも、さらっと笑いながら話していました。
実際の映像を見ても、張り詰めた緊張感やドラマチックな演出はなく、100〜200メートルのほぼ垂直な岩壁を登りながら、ニコニコしている鈴木さんが映っていました。それは無理に作った笑顔ではなく、緊張の裏返しでもなく、困難そのものを楽しんでいるような自然な笑みでした。
|逆境における「笑いの反射」|
もちろん、私の登山経験なんて鈴木さんには遠く及びません。でも、彼の反応には、どこか見覚えがありました。
私も、厳しい登りの最中にふと笑っていることがあります。理由はわからないけれど、気づけば笑ってしまっているのです。
最初は「自分だけかな?」と思っていました。でも、鈴木さんの姿を見て、もしかすると笑いは、人間が本能的に恐怖や不確実性を中和するためのメカニズムなのではないかと考えるようになりました。
極限まで追い込まれたとき、パニックになるのではなく、軽さを選ぶのは、脳の防衛反応なのかもしれません。
|仕事と人生への応用|
この気づきは、登山だけでなく、日常にも応用できるのではないかと思いました。
この件とは別に、ここ数ヶ月ある実験をしてみています。
仕事でプレッシャーを感じたときや、思い通りにいかないことがあったとき、「まあ、死ぬわけじゃないし、大したことない!」と自分に言い聞かせて、意識的に笑ってみるのです。
これは、問題を軽視するということではなく、視点を変えるということです。
登山では、一瞬の迷いが命取りになります。迷いは躊躇を生み、躊躇はミスにつながります。でも、どんなに疲れていても、どんなに厳しい状況でも、心を軽くすれば、思考がクリアになり、状況をコントロールしやすくなります。
この習慣を続けていると、予想外のトラブルや人間関係の難しさ、不意の問題に対して、以前ほど動揺しなくなりました。気づけば、心が自然とニュートラルに戻るようになっていました。
まるで、山が私に「安定の技術」を教えてくれたかのようです。
|笑いの習慣を身につける|
年齢や経験を重ねることで、困難を乗り越える術は増えていきます。でも、これは「時間が解決するもの」ではなく、意識的に身につけることもできる習慣だと思います。
キャリアの初期であっても、新しい挑戦の最中であっても、意識的に「軽さ」を持つことは、大きな違いを生みます。
困難そのものを消すことはできません。でも、それをどう経験するかは、自分次第で変えられます。
そして、この習慣が根付けば、やがて自然な反射となり、どんな状況でも揺るがない強さにつながるのではないでしょうか。
次に困難に直面したとき、ぜひ笑ってみてください。
否定するのではなく、視点を変えるために。
もしかすると、その瞬間から、人生が少し軽く感じられるかもしれません。
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