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2005年5月メラピーク山頂からの下山中にクレバスを踏み抜いた。
ただの平坦な雪面だったのだが、自分の脚周りだけが崩れて、穴に堕ちて行った。
身体に3回の衝撃が来た。
狭い煙突のような形状の穴で雪の層を3回抜いたらしい。
少しスピードが緩んだ瞬間に、腕と足先を全力で突っ張り止まった。
下を覗いたら、真っ暗な空間に繋がっていた。
ここで止まらなかったらと思ったら、急に恐怖心が湧いてゾッとした。
これ以上堕ちることは絶対できない。
クラッククライミングのバック&フット状態を作って身体を安定させた。
何故か、サングラスは顔に付いていた。
顔の形状にピッタリ合っていたのだろう。
4本の手足のうち、片手だけは離せたので、大切なサングラスをジャケットの中に入れた。
自分が堕ちたことをシェルパやお客様は気づいてくれただろうか?
アックスは一本しかなくて、果たしてこのバーチカルアイスが登れるだろうか?
氷の足場が崩れたら終わりだし、途中からハング形状になっていて、困難なクライミングになりそうだ。
でも、登る以外に道はないと考えていたら、遠い空に続く小さな窓からサーダーが顔を出した。
ロープを固定して、ロープ末端を降ろしてくれと伝えた。
しばらくしたら、ロープ末端が届いたので、片手で自分の身体に結んだ。
上でどのような支点で固定しているかわからないが、たぶん命は助かったようだ。
ガイドとして自分がクレバスに堕ちるなんて最悪の失敗であり、以降の活動にさまざまな影響を受けた事件だ。
この後も、ヒマラヤ、アンデス、ヨーロッパ、アラスカなどクレバスがある山々を訪れたし、国内でも剱岳の雪渓はクレバスが発生するので、このような場での行動は慎重になり過ぎるくらい慎重になってしまう。
あの時の失敗を忘れないため、このサングラスは失くしたくない。
山では使わずに、クルマだけで使っている。
運転中に、このサングラスを掛けるたび、ヒドンクレバスの怖さを思い出す。
あれ?
もしかして遥か昔、残雪期の槍ヶ岳に三郷市からご一緒してガイドしていただいた本郷さんですか?
その節はお世話になりました。
今でもどうにかこうにか登山は続けています。
その時は沢渡でベンツ乗りのOLさん2人と合流して、横尾山荘に一泊し、翌日槍ヶ岳山荘に一泊しました。
その他にも、数年後、私が合戦尾根を登ってた時、合戦小屋で北鎌尾根から下りてきた本郷さんとばったり会いました。
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