白毛門〜巻機山
Tempura
- GPS
- 56:00
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 2,513m
- 下り
- 2,808m
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16日:8:01幕営地‐8:21巻機山分岐‐9:51大烏帽子山‐13:21檜倉山(多分)‐16:20幕営地(柄沢山直下)
17日:6:46幕営地‐7:02柄沢山‐8:21米小頭山‐8:40(1646)鞍部‐10:05巻機山‐10:37ニセ巻機‐12:02桜坂駐車場‐12:27清水集落‐13:37沢口バス停
| 天候 | 15日(金):快晴 16日(土):晴れ後暴風 17日(日):快晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2011年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス 自家用車
・【バス】清水から六日町駅行のバスが出ていますが、一日3本程しかありません。 清水から1時間程歩くと沢口というバス停がありますが、そこの方が便が多いです。 料金:450円(内100円が荷物料金) ・【電車】六日町から水上行きも本数が少ないです。 料金:740円(六日町‐土合) 今回は下記のように接続良く乗り継ぐ事ができました。 沢口発13:55‐六日町駅着14:20で水上行の発車時刻が14:42でした。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
今回驚いた事に白毛門〜巻機山の全てにトレースが付いていました。 有効に活用させて頂いただけでなく、2日目の悪天下では命の危険から何度も助けて頂きました。 【白毛門登山口〜松ノ木沢の頭】 初っ端の沢を渡る橋に微妙な加減で雪が残っており、恐怖を感じました。 標高1000M程までは夏道が露出しています。完全に出ている場所もあれば、残雪が斑に残っている場所もありと様々でした。 全体的に雪が腐っており、踏み抜きが多発します。かなり歩き難さを感じました。 【松ノ木沢の頭〜白毛門】 東面に形成された雪庇は大きな亀裂が走っており、衝撃を与えないように避けて通りました。 山頂エリア手前の急傾斜に2M程の雪穴が出来ており、進行方向は垂直な壁となっていました。先行の方はこれを直登していたのですが、自分の技量では不可と判断し左に廻って藪コギで上がりました。 山頂エリアの雪庇はクラックが相当成長しており、今にもずり落ちそうな状態です。山頂標識は露出していました。 【白毛門〜笠ヶ岳】 稜線上は特に問題ありません。笠ヶ岳山頂付近は地面が露出していました。 笠ヶ岳避難小屋ですが扉が開いており、雪が吹き込んで氷室と化していました。 中の雪が融けるまで使えません。 【笠ヶ岳〜朝日岳】 宝川方面の斜面雪に亀裂が成長していました。 又、気温の関係もありますが雪の状態が非常に悪く踏み抜きが多発しました。 (3歩に一回は踏み抜いていた・・。) 朝日岳直下も夏道が露出している箇所が多いです。 【朝日岳〜大烏帽子山】 昨日に引き続き、雪の状態が悪く苦労しました。巻機山分岐から1757ピークまでの間は南斜面雪が落ちそうです。この辺りは滑落したら数百M落ちてしまいそうなので、ビクビクしながら進みました。 大烏帽子の登りは問題ありません。 【大烏帽子山〜檜倉山】 この辺りから大規模な雪穴(数M)が多数見られました。 檜倉山頂付近は雪原のような感じになっており、視界が利かないと危険と感じました。(その上東面は亀裂や雪穴のトラップが仕掛けてあります。) 【檜倉山〜柄沢山】 檜倉山からの下りは痩せた尾根になります。群馬側の雪は剥離して準雪穴と化しており、尾根上の藪を踏みつつ隙を見て雪面に移動するような形で進みました。 (正確には、トレースがそう付けられていました。) 柄沢山の登りでは、進行方向が北西から北に変わる手前が難所でした。新潟側は巨大な雪穴、群馬側は垂直な雪壁(2.5M程)となり、一瞬進退窮まりました。 ここは結局、ピッケルでもがきながら直登しました。 【柄沢山〜米子頭山】 前日の寒冷前線のお陰で雪面がクラストしており、今山行唯一の快適区間でした。 唯、ここも群馬側の雪に亀裂が入っており慎重にコースを選びました。(選んでくれてました。) 【米子頭山〜巻機山】 群馬側の雪に注意しつつひたすら登りました。 地形図(二万五千分の一)では1928ピークを巻くようにルートが記されていますが、藪もない雪面だった為直登しました。 【巻機山〜清水】 山頂エリアは巨大な雪庇がありますが、トレースが多くある為問題ありません。 避難小屋は雪に埋もれていました。冬季用の扉が発掘されていましたが、入れるかどうかは確認していません。 桜坂駐車場は周りが2M程の雪壁となっており、「何処から降りるの?」状態でしたが、駐車場入り口の橋からステップが作られていました。 (自分は無理やり降りました。) ※巻機山分岐から巻機山までのエリアは藪で有名ですが、今の季節は殆ど雪に埋もれており、藪コギが必要な場所はほんのちょっとでした。 |
写真
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下から見ると大した事ないですが、上からだと高所恐怖症の自分にはトラウマものです。
ご覧の通り、トレースがばっちりあります。
本当に先行の方には感謝、感謝です。
感想
今回行った(白毛門〜巻機山)の縦走ですが、実は以前に敗退しています。
前回は2010年の夏でした。
茹だるような猛暑で白毛門の時点でバテてしまい、朝日岳で雷に襲われ、脱水症状+腹痛+睡眠不足で寝坊してしまい起床が午前8時・・。
結局巻機分岐に一歩も踏み出さず、清水峠から下山してしまったのでした。
そんな経緯もあり、「一度敗退したならば、より過酷な条件下でリベンジしなけらばならない。』という自分ルール(建前)から本山行を決行したのでした。
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久し振りの泊まりにも関わらず、相変わらずの無計画。
・泊まるとこ→朝日と巻機避難小屋?雪あるから何処でも泊まれるハズ。
・食料→夜カレー。後は適当。
・装備→必要な装備を削っての軽量化
そんな感じでいざ出発となりましたが、案の定すぐにバテました。
言い訳ですが雪が腐っていて本当に歩き難かったのです。それにしても白毛門山頂まで5時間は酷すぎました・・。
その後もペースは延びず、朝日に着いたのが日も暮れかけた17時過ぎ。
しかし天候が良かったので、夕日を眺めつつのんびりと整地、設営。
食事を終えて、明日の行動水作成にまったりと取り掛かろうとした時に問題発生。
「ガスがなくなりました。」
家にあったガス缶を適当に2個選んで持って来たのですが、その内の1個がほとんど残量が無かったのでした。
慌てて2個目をおそるそる振ってみると、ほぼ満タンの感触。なので問題無し。
水作成も完了し(朝日岳の水は驚く程綺麗でした。)、山野井泰史の「垂直の記憶」を読みつつセレブな時間を過ごしていました。
そこにラジオの天気予報が入ります。
16日はやや天気が悪い予報だったので、良くならないかなぁと思いつつ聞いていると、アナウンサーが「雷を伴うでしょう」と言っています。
聞き間違いと思いましたが、やっぱり言っています。
しょうがないので、朝の天候を見て判断する事にしました。
駄目そうなら清水峠から下山。と半ばあきらめモードです。
15日夜は、快晴で月が煌々と輝いていました。今後の悪天など考えられない程に。
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16日朝は寝坊しました。
前日の天気予報の件もあり、意識的に寝坊したものと思われます。
外を見ると予想外に快晴でした。
早速準備して出発します。最終的な判断は分岐先のトレースで決定する事にしました。
ジャンクションピークを越えて分岐に差し掛かります。
トレースは・・ありました。
「天気は夕方位まで持つのではないか」というどうしようもない思考回路も加わり足が勝手に巻機方面に向かいました。
相変わらず温かさから雪がやわらかく歩行は困難ですが、好天はそんな辛さを忘れさせてくれます。
事態が変わったのは、大烏帽子山頂に着いた時でした。
明らかに西の空が暗い。と思うな否や、天候が激変しました。
巻機山が雲に呑まれ、柄沢山が呑まれ・・30分と経たない内に自分のいる場所も雲に覆われ雨が降ってきました。
この時点で引き返せば良かったのですが、何故か自分の中で逆境スイッチが入ってしまい、全速前進の選択を取ってしまいました。
結果として、私見ですが中度の低体温症になったようでした。
雨に降られてから、柄沢山直下に至るまでの記憶は曖昧でした。時計も10時30分から16時30分までの間、一度も見ていません。
我に返った時、柄沢山直下にいて(この時は山頂直下の認識はありませんでした。唯、柄沢山頂に近い場所にいるであろうという予感はおぼろげにありました。)
猛烈な風に吹き当てられていました。衣類はバリバリに凍り付き、寒さによる震えが止まりません。
周りを見渡すとガスの中仄かに見える潅木にはびっしりとエビの尻尾が付着しています。完全に冬山の様相でした。
取り敢えずこのままだと身体にかなり悪い影響を与えそうなので、潅木の横に浅い穴を掘り天幕を取り出して頭からすっぽりと被りました。少しでも体に熱を与える為に昼食に用意したパンを食べ、手を股で挟み体育座りの体勢で寒さを凌ぎました。
30分程して、やや風が弱まったのを機に天幕をなんとか設営し潜り込みました。
しかし依然として衣類は凍ったままで、気温の低下から様々な装備類も凍り始めていました。なけなしのガスで食事を取り、湿って半ば凍った寝袋に入って震えながら眠りに就きました。
天気予報:明日17日の天気は「晴れ」を唯一の希望に・・。
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17日朝4時。寒さと整地の悪さから殆ど眠れず。天幕から顔を出し、天候確認をしました。
視界:悪し、以前として風が強い。
朝5時。ラジオでは相変わらず「晴れ」の予報なので、いくらなんでも大丈夫と思い、朝食をとり、凍った装備を溶かす。ラジオで新潟県中越地方に震度5弱の地震があったと言ってましたが、天幕自体が絶えず揺れていたので全く気付きませんでした。
視界、風:変わらず
朝6時:風は相変わらず強く吹いていますが、ガスがやや晴れてきました。
外に出る意思を固める為にガスを全て使って体を温めました。
朝6時半:ついに青空が出てきました。
天幕内を整理し、撤収。風も治まってきました。
天気は快晴。雲海から出る谷川や朝日の美しさは溜息ものでした。
春とは思えない大気の澄みようで、富士山も明瞭に見えました。
雪面はクラストし、昨日までとは打って変わってサクサク進めます。
今までの倍程度のペースで進み、午前10時に巻機山着。
山頂からの眺望は感無量の一言につきました。清水から次々と登山者やスキーヤーが登ってきます。
何人かと会話しつつ一気に下山しました。
登山口付近から見た稜線は遥か遠い存在となっていました。
6時間前は寒さで震えていたのが嘘のようです。
下山後は沢口のバス停まで春の陽気の中を歩きました。
時折吹く風は冷たく、平均から比べれば寒い一日だったようですが雪山から降りて
きた自分にとっては間違いなく「春」でした。
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今回も反省点の多い山行となってしまいましたが、得た物も沢山あったと思います。
こんな目にあって「もう二度と山には行かない」と震える夜に固く誓ったのですが、下山してすっかり忘れているようです。
いつか自分自身納得できるような、人に誇れるような山行ができるように精進したいと思います。
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tempuraさん、はじめまして。
このルートは私もいつか歩いてみたいと思っていましたので
とても参考になりました
一人での雪山縦走は私は勇気がなくてできませんが、きっと
大変な体験をする分、得るところも大きいのだと思います。
一つハードルをクリアすると、次にはもっとステキなルートが見えて来る。
その繰り返しで、雪山って、はまりますよね♪
akoさん、コメントありがとうございます。
山行記録、拝見させて頂きました。
仙ノ倉北尾根や俎�瑤帽圓�れているなんてすごい！
感動しました。
＞『一つハードルをクリアすると、次にはもっとステキなルートが見えて来る』
巻機山頂に着いた時に、正にこの言葉の通りでした。
大水上山を超えて平ヶ岳、尾瀬へ・・。はたまた北上を続けて越後三山へ・・。
これからも情熱を持ちつつ、一歩一歩進んで行けるように頑張ります（＾ω＾）
tempuraさん、はじめまして。
いやはや、大変な山行をされていますね。お疲れさま
でした。
入山者のいない山域で2泊3日、お見事です。
同じワンゲル出身者として見習いたいものです。
巻機山を下山される時にすれ違っていたかも知れませんね。
nekobaさん、はじめまして！
まだまだ未熟者ですが、なんとか行ってこれました。
朝日から巻機までの間は確かに人気のない山でした。
なので巻機山頂でスキーヤーの方に出会った時はうれしくて駆け寄ってしまいました。
下山時にすれ違っていたかもとは・・また何処かですれ違えるかもしれませんね〜。
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