(過去レコ)松木渓谷⇔国境平⇔皇海山⇔皇海橋
- GPS
- 32:00
- 距離
- 32.0km
- 登り
- 2,410m
- 下り
- 2,400m
天候 | 一日目=晴れ 二日目=快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
一日目は銅親水公園から国境平まで往復して下山後は街なかで車中泊し、二日目は皇海橋から国境平まで往復して、初期の目的だった未踏の松木沢ルートを繋いだ。 従って、ルート図のスタート地点とゴール地点を示す記号は正しくない。 一日目 37580歩 12時間20分 銅親水公園5:30 大ナギ沢出合6:25 三沢出合7:55 ニゴリ沢出合9:30〜40 モミジ尾根取付き点10:55 国境平11:50〜12:00 モミジ尾根取付き点12:55〜13:05 ニゴリ沢出合13:35 三沢出合15:20〜30 大ナギ沢出合17:05 銅親水公園17:50 二日目 21240歩 8時間10分 皇海橋6:30 不動沢のコル7:55〜8:00 皇海山8:40〜9:05 国境平10〜40〜55 皇海山12:25〜45 不動沢のコル13:30 皇海橋14:40 |
コース状況/ 危険箇所等 |
松木沢コースの状況 銅(あかがね)親水公園入口のゲートから奥は一般車進入禁止。大ナギ沢出合のゲートまでは現役の林道だが、そこから三沢出合までは崩壊した松木川左岸の廃林道。 三沢出合からモミジ尾根取付き点までは渡渉の繰り返しだが、危険個所や分かりにくい分岐はない。ニゴリ沢出合は注意していれば見落とすことはない。 モミジ尾根は踏み跡が薄く、目印も少なく、特に下りでは要注意。 国境平〜皇海山間も踏み跡はある。皇海山の北側の下りでは、標高1980m付近でそのまま北へ下らず、北東へ下る。灌木の藪を掻き分けて、確実に踏み跡を追う。 |
写真
感想
【山行記録投稿=2017年7月15日】
皇海山(すかいさん、2143.6m)は栃木・群馬県境にあり、登山ルートは栃木県側は銀山平と松木渓谷、群馬県側は皇海橋から、計3ルートある。
銀山平と皇海橋からは過去に行ったことがあるので、今回は未踏の松木渓谷から日帰りで往復する予定だった。
登山口(銅親水公園入口)からのマップタイムは往路7時間30分、復路6時間20分。下山は暗くなっても林道歩きなので大丈夫だろうと判断し、登山口の駐車場を5時半にスタート。
一般車通行禁止のゲートを、林道管理者の軽トラがノンストップで開けて入る。何とゲートの開閉はいちいち車から降りるのではなく、リモコン操作なのだ。
しばらく歩いた先の林道沿いで、軽トラで入った人が作業をしている。皇海山はこの林道を真っ直ぐ行けばいいのですかと聞くと、「そうです。クマがいるから気を付けた方がいいよ」とアドバイスを頂く。
大ナギ沢出合のゲートまでは一部舗装区間もある幅の広い林道だが、そこから三沢出合の奥から二つ目の砂防ダムまでは崩落の甚だしい廃林道だった。
沢へ下りた所で、下山して来た一組のカップルに会う。渡渉を終えてタオルで濡れた足を拭いていた。しばらく話をする。
一昨日に皇海山へ登山で入山したのだが、ルートを間違えて日向山へ上がり、皇海山へは行かないまま国境平から下って来たと言う。この三日間誰にも会わず、あなたに会うのが初めてですとも。
話の中で、最近 栗原川林道の通行止めが解除され、皇海橋まで入れるようになったと聞く。私は栗原川林道の通行の可否については知らなかった。渡渉の回数、沢の状況などを聞く。この人からもクマに注意と言われる。
三沢出合の砂防ダム堰堤は目印に従って右岸の崖っぷちを越えたが、復路で堰堤をよく見たらコンクリに登降用のクサビが埋め込まれ、左岸が正規ルートだった。
ニゴリ沢出合までは渡渉の連続、水量が多く、登山靴で対岸へ渡れる所は全くないので、カップルと出会った所で渓流釣り用のウェーダーに履き替えていた。
時折、産卵を終え黒くさびた大イワナの魚影が走る。渓流釣りをやっていた頃は、禁漁期間に入渓することはなく、春先以外でさびた渓魚を見ることはなかった。
山地図には右岸にニゴリ沢小屋跡とあるが、そのような場所は見当たらない。左岸から流れ込むニゴリ沢を渡った所に『ニゴリ沢』と書かれた鉄板が木に打ち付けられており、振り向くと大岩に『120分国境平←』と書かれている。
幌尻岳や、小渋川から悪沢岳〜赤石岳へ行った時も沢靴ではなく、ウェーダーを着用した。足を濡らすことがなく、登山靴との履き替えが容易である。
ニゴリ沢は水量が少なく、ウェーダーから登山靴に履き換え、靴を濡らすことなく遡行できた。源流に温泉が湧いているのかどうか、微かに白濁していて魚影もない。
山地図に、『尾根取付点道標あり』と書かれているので、左岸の道標を見落とさないよう注意して遡行する。小さなケルンに赤テープを巻いてあるのが目に付いたが道標はない。もっと奥かも知れないと思いながら進むと、それまでは少ないながらもあった岩に付けられたペンキマークがなくなった。しかし、沢沿いに人が歩いた跡はある。あとで分かったが、それは釣り人の踏み跡と思われた。
どこまで行っても道標はなく、ペンキマークもなくなったので引き返す。小さなケルンの所から林に入ってみると、木に目印の鉄板が釘で打ち付けられている。
この時初めて、ここがモミジ尾根取付点だと分かる。1時間余りのロスとなった。
時刻は既に11時、これでは国境平へ上がり、更に皇海山へ往復するのは厳しいと感じ始める。来年の夏場でも日の長い時期にもう一度来よう、その時のために国境平まで下見で行ってみることにする。
山地図では赤の破線だが、幅の広い急斜面の尾根でルートはとても分かりにくい。所々にある目印を追いながら歩くが、登山道よりも明瞭な獣道があちこちへ伸びる。
国境平へ向かう登りで色々考え、日の長い時期とはいえ、この不明瞭なルートを日帰りで往復するのは容易ではないので、明日皇海橋から登頂し、国境平までピストンして松木渓谷から皇海山までをつなぐことにする。
急斜面のモミジ尾根を上がり切ると快適な笹原が一面に広がり、膝下まで埋まる程度の笹なのでどこでも自由に歩ける。笹に隠された倒木と、どこから出て来ても不思議ではなさそうなクマに注意しながら国境平へ。
国境平へ上がった時、20〜30m先にまさかと思う単独行がいた。私はよく響くクマ鈴を鳴らしていたのでその人が私に気付かないはずはないのだが、その人はこちらに視線を注ぐことなく日向山方面へ去った。
あとから思い返せば、私の幻覚だったのだろうか……そんな一瞬だった。
今朝 三沢出合で会ったカップルは三日間私以外には会ってないと言った。翌日 皇海山から国境平へ下った時、最近人が歩いた形跡は全くなかった。あの単独行の男性を見たのが幻覚でないとすれば、どこから国境平へ上がったのだろうか?
人は生死の限界に達すると幻覚症状が現れるというが、私はまだ安全に下山できるだけの気力と体力を残していた。
幅の広いモミジ尾根の急斜面の下りでは一時ルートが分からなくなったが、早い段階で引き返して事無きを得る。皇海橋から上がって松木渓谷へ下るなど、この尾根を初めて下る場合は道に迷う可能性が高いと思う。
皇海山は日本百名山の中では遭難が多い。メインルートの登山口(=皇海橋)へのアクセスが不便であり、銀山平からの日帰りは長時間となる。
林道を歩いている間にすっかり暗くなったが、道幅の広い真っ平らな車道なのでライトで照らすことなく下山する。
銅親水公園の駐車場から携帯が通じ、皇海橋まで車で入れることを確認する。日曜の夕方なので、役場は留守番しかいないだろうからタクシー会社へTELする。
最近入れるようになり、林道走行だけで1〜1時間半、土日は当分の間予約で埋まっているとのこと。
タクシー会社には申し訳なかったが、利用するつもりのない者が色々質問しても親切丁寧に対応して下さった。
翌15日、皇海橋から皇海山へ。
前回歩いた時、登りの途中で3mほど急に下る所では、下らないで真っ直ぐ笹原の中に踏み跡があり間違いやすかったが、今は迷いやすい所はなさそうだ。上部の土の急斜面は整備されないのか、滑りやすくて歩きにくい。
不動沢のコルには『山岳遭難多発!単独行動は絶対にしない させない』と書かれた警告板が立てられていた。
昨年の統計では単独登山で遭難した場合、5人に1人は亡くなっており、死亡率は複数登山の2倍以上だという。 頻繁に単独登山をする者として肝に銘じて置きたい。
不動沢のコルから皇海山間では笹原の斜面から袈裟丸山や赤城山がよく見える所があるが、頂上は樹林に囲まれ、眺望はほとんど得られない。僅かに樹間から日光白根山方面が見えるだけだ。
山頂から国境平へは何本か張られているロープのうち、一番奥のロープを潜って下る。微かなルート跡はあるものの、最近人が歩いた形跡は皆無。山頂直下は栂の幼木と枯れた草がルート跡を隠し、非常に分かりにくい。
僅かにある目印(木に打ちこまれた小さな鉄板)を追って下っていたがどうにも分からなくなり、一時は諦めようかと思う。
目印のある所まで戻り、再度下方の目印を探しながら下る。幸い、樹林帯の中は草も生えてなく、ルートは分かりやすかった。
山地図に“ゆるやかな尾根”と書かれている付近はモミジ尾根上部と同様、広々とした快適な笹原でモミジの紅葉が綺麗な所もある。
山地図に“白砂台地”と書かれている所は約2m四方と狭く、良いテン場だったが水場はどこか分からない。
月曜日であり、行き会った登山者は少ない。下山中、ひと組のカップルに追い抜かれたが、それ以外は単独行ばかり数人。
栗原川林道は18.7km、殆どの区間が荒れた未舗装で、乗用タイプの車では腹を擦らないよう、また尖った石でタイヤをパンクさせないよう最徐行を強いられ、1時間10分も掛かってウンザリする。休日は多くの車が入るだろうから、狭い道での摺れ違いも大変だ。
そんな悪路でありながら、途中の広くなった所から振り返ると皇海山がよく見え、泰然と構えるその大らかな姿には胸の熱くなる思いであった。
皇海山は百名山の中では不評と聞く。登山口までのアクセスが悪いからか、登山道や山頂からの眺望が良くないからか…
山に登るからには自然に対してとやかく言っても始まらず、全てを受け入れるべき。
初めて皇海山へ行った頃は栗原川林道が一般に開放されてなく、銀山平から日帰りした。全国的に一般車両通行禁止の林道が増える中、皇海橋までマイカーで入れるだけでも有難い。
帰宅して数日後、山地図の出版社である昭文社へ、松木渓谷から皇海山までは殆ど廃道化し、道迷いの可能性が高いことをメールで連絡する。
翌年の山地図『赤城・皇海・筑波』では削除されたが、『日光白根山・男体山』ではそのまま掲載されていた。
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