後山 女人禁制奥の院からバリルート
- GPS
- 03:49
- 距離
- 8.0km
- 登り
- 1,129m
- 下り
- 1,122m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
女人禁制結界門からの後山への登頂は道迷いの危険性あり。またガレ場多く歩きづらい。 落石、滑落危険箇所多数、作業道による道迷いの可能性大。 |
その他周辺情報 | 天然温泉エーガイヤちぐさ 西粟倉村あわくらんどなど |
写真
感想
後山キャンプ場に駐車し、いまでも日本に3つ残る女人禁制の山(山上ヶ岳、石仏山、後山)後山の女人結界門を超え奥の院へ向かう。
登山道はガレ場の歩きにくい箇所多数。渡渉点あり。明るくわかりやすい一般登山道である。
間もなく梢の隙間から立派な建物が見え始める。
山腹の奥の院は立派な石垣の上に建ち、またお堂も巨大な岸壁の袂に背中を合わせるように建立されている歴史ある建造物である。
参拝を終えると、一般道ではないバリルートを通過しての後山ピークを目指す。
建造物右奥に見える黒い水路ホースあたりに微かな踏み跡がうかがえる。
その先に道を指し示すテープのぶら下がった枝があり、それを頼りに踏み跡を辿る。
しかし踏み跡は頼りなく、しかるに谷筋の分岐に出るとそこでいったんテープが終わっている。
谷へ登ればいいのか、あるいは山腹をトラバースするように生える鬱蒼としたチシマザサの隘路を進むべきなのかしばらく悩む。
地図を確認すると、道なきその先のトラバースルートが正解のようだ。しかしそのルートは等高線の密集する急激な斜面となっている。
実際、急峻な斜面にへばりつくように歩かねばならない。わずかに足ひとつぶんの細いトラバースルートだ。滑落すればただでは済まない。斜面に生え揃う笹を掴みながら、その笹によって足元が滑りそうになるのを一歩一歩踏みしめる。途中足元が滑り手につかんだ笹の束もちぎれそうになる。ザックのポケットに収納しているペットボトルが滑落した。本当にこのルートで正解なのだろうか。地図によるとしばらくは山腹を巻くように歩かねばならぬ。
しばらく行くとテープを発見する。
テープは前方を塞ぐように屹立する巨石の中ほどの岩の出っ張りに巻かれている。その付近にトラロープがぶらさがっている。
どうやら岩場の登りのようだ。岩は苔むしてひどく滑るが、なんとか腕の力だけで登り切る。登るとすぐに急激な下りだ。そこにもロープがついている。しかし、そこは尾根だ。上方に向かいテープがついている。
地図を広げて見てもそこにルートの記載はない。
そうした迷いやすい尾根筋をいくつか越え、やたらと山腹トラバースルートへと誘うテープが先に先に見え隠れする。
そのテープを頼りにするばかりに、いつのまにか後山ピークの直下を過ぎ東方面の谷筋に迷い込んでいた。
地図を確認する。
どうやらもっと手前のルートを直登するようだ。が、すでにそこへ戻る気力はない。そればかりか、付近にはそれまで目にしていたはずのテープがどこにも見当たらない。下手に動き回ると遭難しかねない。
とりあえず近場の尾根筋に出て、そこから山頂に続くであろう稜線を目指すのが安全だ。
似たような尾根や谷が多く、また目印となるような特徴的な造形物もないから、こういう場合は上へ上へと目指し、視界に入る後山ピークに辿るのが常套だ。
尾根に出ると、まったくテープはなく、あるのは激しいチシマザサの密生である。
そこに獣道はおろか足を踏み入れる隙間とてないと思えるような激藪だ。たとえるなら背丈を越える笹の群落によって行く手を阻まれた植生植物の壁ともいえる。
かき分け踏み分け、1メートル進むのにもどれだけ時間を要したことか。いくら進んでも稜線に出る気配はまったくない。藪漕ぎはかなりの時間を要し激しく体力を消耗した。
他の尾根でも、稜線にでるのにチシマザサの群生に阻まれたという記録は何度も見たことがあるが、ここは後山より東の山塊の尾根だ。稜線に一般登山道があると信じて登っているが、もしないとすれば稜線上をさらに笹の攻撃に苦しめられながら長い後山ピークまで藪漕ぎを強いられるのだろうか。
こちらに向かって傾斜のついた笹の先端が何度も体や顔に突き刺さる。かき分け踏みしめる足元は行く手にまっすぐ倒れるその笹によって滑り、一進一退を繰り返し、もはや体力は限界にまで達しようとしていた。
最初に見つけた尾根筋のテープを頼りに、まだそこから後山ピークの西方に位置する船木山の稜線にでる方がまだ体力は十分であったろう。
後悔しながらようやく登りから平坦な稜線上にたどり着いた時、そこに東西に蛇行する一本のか弱い踏み跡が目に留まった!
ことばでは表現できないような安堵感が、頭のてっぺんから足のつま先まで一挙に支配した。
ドッと疲れが溢れ、しばらくその稜線上に腰を下ろした。体力的なものに加え精神的疲労にやられた感じだ。
そこから後山ピークまではクタクタだったが、一般登山道がこれほど楽で安全なものかと改めて感じた。
楽しみにしていた山頂でのランチは喉を通らなかった。喉を潤わせるための冷たい飲み物はない。命の次に大事なペットボトルを滑落させてしまったからだ。あるのはザックの中にしまい込んでいるサーモスの熱い紅茶だけだ。それでもないよりはマシなのでそれを飲んで下山に取り掛かった。
帰り途中、二人連れの老人とすれ違った。
どこから登ってきたのか質問されたので、いまきたルートを説明すると、あのバリエーションルートは道迷いが多発しているという。
テープを頼りに進んでいくと、結局どこかの谷筋で迷い進退極まって帰れなくなるひとが多いから一人では絶対行ってはダメだと説教を受けた。
結果的にその手前で尾根を登ってきたのは正解だったというが、本当はそのふたつ手前の後山直下の尾根を登るのが正しい。
自分のいまいる位置を違えることなくしっかり特定できなければ困難なルートである。
後山のバリエーションルートは危険が多い。
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