伝丈沢右俣〜この空の下で。。。〜
- GPS
- --:--
- 距離
- 12.2km
- 登り
- 1,097m
- 下り
- 1,095m
コースタイム
0940 cont1590 本流大滝12m
1010-1130 1670二股 焚き火休憩
1200-1220 cont1850 右股大滝35m
1400-1530 八幡尾根上で探し物
1720 金石沢下降開始
1900 林道P帰還
天候 | 明け方に雨が降るも、行動中は五月晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
40mロープ×1本用意したが、今回のルート取りなら20mで十分。 幻の大滝を登攀する場合、途中でピッチを切れるということなので30m×1でいいそうだ。 |
写真
感想
ひろた氏の訃報を知ったのは、bicycleさんの日記だったと記憶する。昨年5月のこと。
全くの別件で、bicycleさんから突然のメッセージをもらったのは、その年の夏の初め。
2015年秋。『幻の大滝』があると聞きつけて伝丈沢へ探検に出掛けた。検索をかけてもあまり記録はみられずわくわくしていたのだが、行く直前に同行者が見つけてきたのがひろた氏の記録だった。幸か不幸か写真は一切載っていなかった。その理由については氏の記録を参照されたい。結果、ぼくらのわくわくは維持されたし、伝丈沢へ行く目的もひとつ増えた。生憎、その時は稜線まで上がれなかったけど・・・。
そんな過去があったので、これもひとつのご縁ということでbicycleさんに同道を願ったのが本山行。氏も既に鬼籍に入ってしまったが、いくつかの偶然・必然の産物だ。
昨日はまったく長い一日になってしまった(笑)のだが、四六時中にやにやしているbiさんのおかげでとても楽しく、また充実した時間を過ごせた。残念ながら目的は果たせなかったけど、素敵な贈り物も受け取れたし、ひろた氏の思い出話もいろいろ聞かせてもらえた。
期せずして焚き火をした二股がひろた氏の幕営地であった。と帰宅してから知る。あそこはやはり焚き火すべき場所だったのか。朝っぱらから焚き火がしたいと言い出したbiさんには驚きもしたけど、さすがはひろた氏のラストサンだ!
なにわともあれ、今日も空は快晴。この夏も沢日和が続きますように。
合掌。
---伝丈沢---
この沢へ行くにあたっては、ストーリーがあったので少し書くことにしました。
初めてひろたさんと沢登りに行ったときのお話。
あの人と遡行中、写真を撮ると、時々ぶつぶつと独り言を発する。
それを不思議に思ったぼくが「いつも独り言を言いながら歩くんですか?」と聞くと苦笑い。
「デジカメにボイスメモ機能がついていて、写真と一緒に音声を記録しているんだよ」
とてもお気に入りのカメラだと言っていた。
「この滝は6mくらいで、右側から巻けそうですが、左側2mにハーケン残置あり。」
「しばらく平凡な河原歩きですが、ブナが綺麗で飽きがきませんね〜。」
「1,200m分岐の二俣の水対比は3:1。ここは幕営適です。」
写真のシーンを音声でも詳細に記録する。
沢登りの遡行図(登山地図)は、市販されている本でも、けっこういい加減なものがあり、どう考えても3時間はかかるルートを1時間くらいと記載してあったり、滝の巻く方向が逆だったりすることも、ままあったりする。
一般登山と違い、正確に記録を残すのが難しいという事でもあるが。
「その空の下で。。。」を参考にする人が多かったのは、こういった努力の賜物で、かなり正確だったという点も理由のひとつではなかろうか。
そのお気に入りのカメラは2台持っていたそうだが、過去に沢で1台を紛失してしまったことがあると聞いたことがある。現在はどのメーカーにもその機能がついているものが無く、とてもショックだったという話を聞いたことがあった。
その話をしているときの表情が、その残念さを物語っていた。
http://sonosoranoshitade.web.fc2.com/sonosoranoshitade8/newpage4.html
※その空の下で。。。の記録。
そして去年のG.Wに届いた弘田氏の訃報.....
......
話は変わるが、昨年、妙義山のルート開拓をしていたときに、バイルを落として無くしてしまった。
また買えばいい話ではあるが、安いものではない(むしろ高いもの)なので、なかなか購入できずにいた。しかし、こういった装備が無いと困るようなことをやっているので、なんとか安く買えないものかと思案していたところ、偶然あるレコユーザーのプロフに目がとまった。
『使わなくなったバイルを譲ります』というものだった。
※この人が属している会の方たちに向けられていたコメントだったと、後で知る。
すかさずメッセージを書いた。譲って欲しいと旨を送ると、後日返信が来ており、快諾してくれたのだ。
bicycleのユーザー名を見て、弘田さんと行った記録を読んでくれたことがあるそうだ。
そして、僕の記録であの人の訃報を知ったそうだ。
それが、今回同行したe-hara1990さんとの出会いだった。
「バイルをお渡しするときに、あたためている計画がありますので、そこでご一緒しませんか?」
その計画書を開くと、それは紛失したカメラを探しあて、未完の記録を完結しようというものだったのだ。
カメラを無くしてショック!と話していた弘田さんを思い出す。
それほどにあの人は「その空の下で。。。」の記録を大切にしていたのだ。
カメラに向かってぶつぶつと独り言を発する姿。
勇猛果敢に大滝を登攀する姿。
焚き火をすると少年のような笑顔になる姿。
楽しかった思い出がまざまざと甦る。
そのカメラを探しに行ってみたい。そして、その完結を手伝いたいと思った。
逸る気持ちを抑え、その計画の日を楽しみに待っていた。
しかし、去年は悪天候や自身の怪我などでいい日に巡り会えず、きょうびまで持ち越されていたのだった…
そして今回、満を持してその計画は実行された。
未完の記録になってしまっていた伝丈沢。
果たして僕らはカメラを見つけ、記録を繋げる事はできるのか。
沢登りというよりも、なにか宝探しのような。
そんな思いを持って歩く、ロマンの遡行となりました。
e-haraさん、素晴らしい計画をありがとうございました。
残念ながら目的は果たせなかった。
けれど、とても素敵な拾い物ができました。
これは、弘田さんからの贈り物という解釈で、思い出にしようと思います。
焚き火したり怪しいキノコを食べたり、ハンモックで休憩したりと、山に最も親しめるジャンルのひとつである沢登り。
その魅力が詰まった、すばらしい日になりました。
あの人と焚き火のポイントが同じだったのも、何か不思議な縁を感じました。
あの空の上で、あの少年のような笑顔で、僕らを見ていたのかもしれません。
合掌。
bicycle
コメント
この記録に関連する登山ルート
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今日はありがとうございました
また遊びましょう。よろしくです
こちらこそ、ありがとうございました!
また、お疲れ様でした〜^^
お怪我もたいしたことが無かったようで、安堵しました。
またよろしくお願いします!
e-hara1990さんbiさんおはようございます。
他の人のレコを見ると素晴らしいと思うレコは多く、
感銘を受けたものには拍手をしてくるのですが、
このレコは本当の意味で『拍手』を贈りたいと思いました。
biさんは北北西稜の疲れもあったでしょうに、タフだなぁ(´_`;)
お疲れさまでした!
SM100Cさん、おはようございます。
今回の沢登りには特別な思いがありましたので、そう言っていただくと嬉しいであります(^u^)
今回、いろいろな偶然が重なって実現できた運びでしたが、とてもロマンがあるものであったと思います。
そんな素敵な計画を考案してくださった同道者のいはらさんに感謝。
山で繋がる仲間とは、かくも素晴らしい宝物か、と思いました。
P.S 山行の疲労はあまり感じないタイプなのですが、帰りの運転が長すぎてウトウトしてしまい、鹿や壁などと衝突しかけて怖かったっす
仮眠して自宅に帰ったのが深夜で、翌早朝6時から育成会のドッジボール大会の準備と審判(笑)
今日はだらだらと仕事するでアリマス(*_*;
SM100Cさん こんばんは
なんだかいろいろな楽しみがごちゃまぜな山行になりました
元々の目的は果たせなかったけど、
今後の楽しみ?が大いに増えた感じです。
これもH氏の贈り物なのかしら。
実のところ、biさんのニヤニヤの真相は、
ミゾーのバイル手に入れたせいで、
なにやらけしからんことも考え始めたみたい・・・(笑)
まったく誰に似たのか困った少年です
機会ありましたらよろしくお願いします
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