山行記録: 小常木谷遡行・栗山尾根下降

記録ID: 1488718

全員に公開

沢登り

奥多摩・高尾

小常木谷遡行・栗山尾根下降

2018年06月03日(日) [日帰り]

tamoshima その他2人

体力度

1泊以上が適当

体力度について

GPS: 11:24
距離: 11.7km
登り: 1,549m
下り: 1,534m

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歩くペース

標準

1.0～1.1

ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り

山行: 11:11
休憩: 0:04
合計: 11:15

6:10

670分

余慶橋(岩岳分岐)

17:20

17:24

1分

余慶橋(岩岳分岐)

17:25

ゴール地点

天候	晴れ
過去天気図（気象庁）	2018年06月の天気図
アクセス	利用交通機関：自家用車アクセスを調べる my出発地登録
コース状況／危険箇所等	※遡行図は東京起点120を使用。滝の落差・表記は同資料に従った。・小常木谷や火打石谷への入渓経路は3通りある。1つ目はナメトロの見学台から丹波川本流に降り、丹波川を渡渉してナメトロに入る経路（見学台から丹波川本流に降りるのと、丹波川本流の渡渉がやや危険であり、平水時でも太腿程度まで濡れる）、2つ目は余慶橋左岸から岩岳尾根へ延びる登山道に入り、ルンゼから丹波川右岸に降りてナメトロに入る経路（多少登らされるが、朝から太腿まで濡れずに済む、ナメトロのゴルジュは平水なら膝下までしか濡れない）、3つ目は火打石谷出合まで同登山道を辿る経路（濡れずに入渓できるが、大高巻きであり昇り降りが大変）である。・ナメトロ見学台から丹波川川床への往復は、残置ロープがあるものの、強度に不安があるため使用しないほうが無難。下降なら懸垂下降、登りならフリークライミング（Ⅲ+）を薦める。・平水であれば、丹波川の渡渉にロープやスクラムなどの技術は必要ない。・小常木谷出合から火打石谷出合までは立派なゴルジュ（ナメトロ）だが、滝やナメはなく膝下程度の流れ。・火打石谷出合から100m程度は登山道を歩けるので楽。・兆子の滝までは小滝やナメ、ゴルジュが飽きない程度の頻度で出てくる。大きい釜を持つ5m滝（遡行図の6m滝？）が最も難しく、左壁Ⅲ+程度のシャワークライム。腰まで水に浸かれば右壁（Ⅲ）も登れる。他の小滝はⅢ以下。・兆子の滝は左壁Ⅲ。残置ハーケンは豊富で、残置ロープもあるが、A0の必要はない。右岸上部に終了点として丁度いい立木があるが、この終了点から沢床に戻る下降が悪い。左壁から水流沿いへ入ると、やや難しくなるようである。・次の8m滝には倒木が架かっており、倒木伝いに容易に登れる。今後十数年は流れなさそうな倒木である。・6×9m滝は右壁に取り付いて水流を横断し、左壁を登ったが、滑りやすい（Ⅲ-）。・不動ノ滝は、遡行図では左岸巻きが案内されているが、右岸巻きした記録もある。右岸の方が小さく巻けるが、左岸巻きは枝沢の滝(Ⅲ-)を登った後、スラブ状岩を登る（古い残置ハーケンあり/Ⅲ+）ので面白く、お薦め。そのまま次の5m滝（Ⅲ+）を巻こうとすると足場が悪い高巻きか、大高巻きとなるため、不動ノ滝の上に降り立つ方が良い。・次の5m滝は右壁Ⅲ程度。・大滝は、下段Ⅱ、上段は左壁から水線に移行してⅣA0のシャワークライム。水線に移行せず左壁を登る方が易しい。どちらも残置は十分ある。終了点となる残置ハーケンが固め打ちされており、スリングも残置されている。・ねじれの滝は、下段左壁Ⅳ-、上段左壁Ⅳ+。長めのロープなら1ピッチで登れる。残置ハーケンは豊富。巻き道には残置スリングがぶら下がっているが、危険そうに見える。・岩岳沢出合先右岸に泊適地がある。・12m滝は右壁Ⅲ。残置は見当たらず。・8m滝は上部でホールド乏しくⅢ+。残置は見当たらず。・この先本流にⅢ以上の滝はなく、滝登りが楽しめるのはここまで。この先で右岸から合流する枝沢で詰めても良さそうである。・この先は多少のナメや小滝はあるものの殆ど平凡であり、飽きる。・1370mの二俣までは水量の多い方が本流だが、1370m二俣では右岸支流の方が水量が多く見える(2:1)ので要注意。・1420mで左岸から入るルンゼに入ると、高低差100m程度で涸棚が続いており楽しく詰められる。ただし、登るにしたがって傾斜が急になり、岩も脆くなってくるので、不安を感じたら左岸の樹林帯に逃げた方が良い。・栗山尾根は明瞭な尾根だが、踏み跡は濃くない。1510m附近で左に折れるのを見逃さないように要注意。多少の赤テープはある。・1200mまで下ると、モノレールが現れ、モノレールを手摺り代わりにして楽に下ることができる。・モノレールは700mまで続いており、そこから仕事路を少し下ると火打石谷出合。

写真

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2018年06月03日 14:04撮影 by TG-3 , OLYMPUS IMAGING CORP.

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6/3 14:04

撮影機器：

OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough オリンパス

感想

tamoshima

小常木谷遡行・栗山尾根下降記録
作成者：丸山智朗
■日程　2018/6/3（日）
■山域　奥多摩
■天候　晴れ
■メンバー・オーダー（計3人、敬称略）
CL丸山(35)、迫野(35)、SL久光(34)
■総評
遡行に思ったより時間がかかり、予定していた沢下降はできなかったが、ナメと小
滝で癒され、沢山の登り応えのある滝を直登し、初登と思われる開放的なルンゼを
登ることができて、大変満足感のある遡行となった。それだけでなくゴーロ歩きや
本流渡渉、威圧的なゴルジュ、バリエーション尾根の下降などもあり、盛り沢山の
充実山行であった。
■ヤマレコ記録
 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1488718.html
■時間(括弧内は計画時の予定)
6:02(6:00) 出発
6:29(6:10) 火打石谷出合
7:42(7:30) 花ノ木沢出合
11:52(10:30) 岩岳沢出合
13:14(11:30) 1310m地点
15:04(12:30) 詰め終わり（栗山尾根）
15:35(13:00) 左岸枝沢下降開始予定地点（エスケープルートを選択）
16:46 火打石谷出合
17:20(16:00) 帰着
■ルート・周辺概況
※遡行図は東京起点120を使用。滝の落差・表記は同資料に従った。
・小常木谷や火打石谷への入渓経路は3通りある。1つ目はナメトロの見学台から丹
波川本流に降り、丹波川を渡渉してナメトロに入る経路（見学台から丹波川本流に
降りるのと、丹波川本流の渡渉がやや危険であり、平水時でも太腿程度まで濡れ
る）、2つ目は余慶橋左岸から岩岳尾根へ延びる登山道に入り、ルンゼから丹波川
右岸に降りてナメトロに入る経路（多少登らされるが、朝から太腿まで濡れずに済
む、ナメトロのゴルジュは平水なら膝下までしか濡れない）、3つ目は火打石谷出
合まで同登山道を辿る経路（濡れずに入渓できるが、大高巻きであり登り降りが大
変）である。
・ナメトロ見学台から丹波川川床への往復は、残置ロープがあるものの、強度に不
安があるため使用しないほうが無難。下降なら懸垂下降、登りならフリークライミ
ング（Ⅲ+）を薦める。
・平水であれば、丹波川の渡渉にロープやスクラムなどの技術は必要ない。
・小常木谷出合から火打石谷出合までは立派なゴルジュ（ナメトロ）だが、滝やナ
メはなく膝下程度の流れ。
・火打石谷出合から100m程度は登山道を歩けるので楽。
・兆子の滝までは小滝やナメ、ゴルジュが飽きない程度の頻度で出てくる。大きい
釜を持つ5m滝（遡行図の6m滝？）が最も難しく、左壁Ⅲ+程度のシャワークライ
ム。腰まで水に浸かれば右壁（Ⅲ）も登れる。他の小滝はⅢ以下。
・兆子の滝は左壁Ⅲ。残置ハーケンは豊富で、残置ロープもあるが、A0の必要はな
い。右岸上部に終了点として丁度いい立木があるが、この終了点から沢床に戻る下
降が悪い（信頼できない残置ロープあり）。左壁から水流沿いへ入ると、やや難し
くなるようである。
・次の8m滝には倒木が架かっており、倒木伝いに容易に登れる。今後十数年は流
れなさそうな倒木である。
・6×9m滝は右壁に取り付いて水流を横断し、左壁を登ったが、滑りやすい（Ⅲ
-）。
・不動ノ滝は、遡行図では左岸巻きが案内されているが、右岸巻きした記録もあ
る。右岸の方が小さく巻けるが、左岸巻きは枝沢の滝(Ⅲ-)を登った後、スラブ状
岩を登る（古い残置ハーケンあり/Ⅲ+）ので面白く、お薦め。そのまま次の5m滝
（Ⅲ+）を巻こうとすると足場が悪い高巻きか、大高巻きとなるため、不動ノ滝の
上に降り立つ方が良い。
・次の5m滝は右壁Ⅲ程度。
・大滝は、下段Ⅱ、上段は左壁から水線に移行してⅣA0のシャワークライム。水線
に移行せず左壁を登る方が易しい。どちらも残置は十分ある。終了点となる残置
ハーケンが固め打ちされており、スリングも残置されている。
・ねじれの滝は、下段左壁Ⅳ-、上段左壁Ⅳ+。長めのロープなら1ピッチで登れ
る。残置ハーケンは豊富。巻き道には残置スリングがぶら下がっているが、危険そ
うに見える。
・岩岳沢出合先右岸に泊適地がある。
・12m滝は右壁Ⅲ。残置は見当たらず。
・8m滝は上部でホールド乏しくⅢ+。残置は見当たらず。
・この先本流にⅢ以上の滝はなく、滝登りが楽しめるのはここまで。この先で右岸
から合流する枝沢で詰めても良さそうである。
・この先は多少のナメや小滝はあるものの殆ど平凡であり、飽きる。
・1370mの二俣までは水量の多い方が本流だが、1370m二俣では右岸支流の方が水
量が多く見える(2:1)ので要注意。
・1420mで左岸から入るルンゼに入ると、高低差100m程度で涸棚が続いており楽
しく詰められる。ただし、登るにしたがって傾斜が急になり、岩も脆くなってくる
ので、不安を感じたら左岸の樹林帯に逃げた方が良い。
・栗山尾根は明瞭な尾根だが、踏み跡は濃くない。1510m附近で左に折れるのを見
逃さないように要注意。多少の赤テープはある。
・1200mまで下ると、モノレールが現れ、モノレールを手摺り代わりにして楽に下
ることができる。
・モノレールは700mまで続いており、そこから仕事路を少し下ると火打石谷出
合。
■行動記録(敬称略)
・前泊まで
東中神駅で合流後、食べログの100名店にも選ばれているめだかタンタンで美味し
い担々麺を賞味してから、多摩地区を中心に9店舗展開するスーパーであるマルフ
ジの東中神店で買い出し。狙い通り半額品を買い、翌日の食事とする。そこからは
約1時間半運転し、道の駅たばやまでトイレ・歯磨きを済ませてから、余慶橋へ。
静かな泊適地は見つからなかったため、車が通るたびにちょっとうるさいが、余慶
橋旧橋上に泊まる。
・入渓まで
7時間近い十分な睡眠をとって、5時ごろ起床。朝食・テント撤収・遡行準備を済ま
せ、出発。朝は寒いので丹波川本流とナメトロを避け、登山道から入渓することに
したが、間違えてナメトロ見学台へ行ってしまい、引き返す。気を取り直して余慶
橋左岸から登山道に入り、高巻きのため登っていく。いつの間にか登山道を外して
下り始め、丹波川本流に降りそうになったところで、ミスに気付いて登り返し、登
山道に復帰してナメトロを大高巻き。随分登らされ、疲れる。とはいえよく整備さ
れた道であり、そのまま辿っていくと、火打石谷出合に出る。ここからは歩きやす
い登山道を100mほど歩いてから、3m小滝の手前で入渓。
・兆子の滝まで
兆子の滝までは割と単調と聞いていたため、期待していなかったが、小滝やナメ、
ゴルジュがそこそこあり、それなりに美しく、期待よりは良かったため好印象。途
中の大釜をもつ5m滝は丸山・迫野が左壁を、久光が右壁を登った。丸山は腰まで
濡れるのを嫌って左壁にとりついたが、結局シャワークライムとなって濡れた。
・大滝まで
兆子の滝は、久光がリード。左壁に残置ロープがあって導いているが、沢屋の性で
左壁から水線に誘われ、ハマる。かなり時間をかけて水線直登を試みたが、結局諦
めて引き返し、残置ロープのある左壁を登った。丸山、迫野の順で問題なくフォ
ロー。その先の小滝は問題なく越えて、不動ノ滝は右岸と左岸で悩み、一般的そう
な右岸を選択。水流のある下部は簡単だが、水流を離れるとのっぺりした岩となっ
てやや難しい。念のためお助け紐を出す。岩を登り切って巻いていくと、滝上に出
る。大高巻きを避けて下方へ向かい、足場が悪くなったところでお助け紐を利用し
て5m下降、沢床に降り立つ。すぐの5m滝は右壁、つぎの5m滝も右壁を直登。
・大滝
大滝は丸山リード。下段は簡単で、上段は左壁から取り付いたが、水線に惹かれて
途中から水線に入る。意外と難しく（Ⅳ）、都合よくあった残置スリングを掴んで
A0し、落ち口へ抜けた。固め打ちされた残置ハーケンとそれらに付けられた残置ス
リングで終了点とする。久光と迫野はドシャワーとなる水線直登を嫌って、左壁を
登った（A0）。
・ねじれの滝
ねじれの滝も丸山リード。45mロープでまとめて登ることにする。下段は問題な
かったが、上段のテイクオフが難しい。さんざん悩んでから登ると、今度はスラブ
状となって、緩傾斜の割に難しい。左側のクラックやガバをうまく利用しながら、
何とか登って、立木を終了点とする。久光や迫野も苦労しつつ、A0なしで登った。
・詰め始めまで
ねじれの滝でこの沢の核心は終わりだが、まだ滝は続く。12m滝や8m滝も楽しく
直登できるので、岩岳沢からの詰めはちょっともったいない気もする。しかし8m
滝上で急に単調な沢になり、それが長い。辛抱して登っていき、栗山尾根との標高
差がだいぶ縮まった、1420m附近のルンゼから詰めることにする。
・詰め
このルンゼに水は殆どないが、所々に涸棚があり悪くない。そう思いながら登って
いくと、急に眼前が開けてきて、大きな涸棚が出現。傾斜は緩いが、クライミング
的な楽しさのある詰めとなり、楽しい。浮石や脆い岩が多く、落石が頻発するが、
素晴らしい詰めを発見できた充実感もあり、気分は最高。写真を沢山撮りながら、
十分注意して登り、ルンゼを登り切る。途中、迫野が乗った岩が崩壊して多量の落
石を起こし、久光に当たりそうになったのは危なかった。ルンゼを登り切ってから
小尾根を数分登ると、栗山尾根に出た。
・栗山尾根下降
ありがちなV尾根であって、ザレてはいないが踏み跡は薄く、緩傾斜の部分は歩き
やすいが、急傾斜の部分はフェルトソールでは歩きにくい。鹿による樹木への被害
が多く観察され、鹿の密度は高いようである。下っていくと次第に両側に植林地が
現れだし、1200m附近でモノレール発見。あとはひたすらモノレールに沿って700
m附近まで下る。終点にはモノレールの車輛格納庫があり、鍵がかかっているが、
小屋を覗いてみると、5人も乗車できる結構立派なものであった。小屋からは仕事
路を経て火打石谷出合へ。
・帰着まで
復路は体も気温も暖まっているので、最も歩く距離の短い、ナメトロの通過と丹波
川の渡渉を選択。ナメトロは、深いゴルジュで一見の価値があるものの水は浅く、
拍子抜け。朝に大高巻きをしたのが馬鹿らしくなってくる。続いて丹波川の渡渉だ
が、結構強い流れで緊張する。とはいえ怖いほどではなく、単独で普通に歩ける。
さらに丹波川右岸壁の登攀が続く。残置ロープはあるが、信頼できないのでフリー
で登る。滝でもないのにそこそこ登り応えがあって面白く、念のため久光には迫野
からお助け紐を出した。そこから数mのへつりを経て漸くナメトロの見学台に至っ
たが、最後まで気の抜けない面白い山行となった。
■備考・感想
・登り応えのある滝を重ねる秀渓。巻いたらもったいない。
・8m滝以降は本流には殆ど何もないので、椎茸沢あたりを詰めて岩岳尾根へ出る
のが良いかもしれない。
・最後のルンゼ登攀が面白く、締まりのある遡行となった。何の気なしに入ったル
ンゼであったが、開放的で素晴らしかった。わがパーティが初登ではないかと思う
ので、サークル名をとって「雷鳥ルンゼ」と名付けたい。
・栗山尾根の下降は長い。
・水は思ったより少なく、激しいシャワークライムが必須の滝もないので、春や秋
にも行ける。
・ヤマビルなし。
・山中での人との遭遇なし。
・あんな山奥にモノレールを引き、車輛を持ち込んだのはどうやったのだろうか、
気になる。
・地形図上では小常木谷にいくつかの滝記号があるが、実際の滝の位置とはかけ離
れており、不正確極まりない。
■コメント
・写真の撮りすぎで遅くなるのはやめて欲しい。
・迫野はお助け紐とビレイデバイスを購入すること。
■反省
・兆子の滝登攀時、アッセンダーをトップの久光が持ったまま登ったため、セカン
ドの丸山はクレムハイストで登る羽目になった。滝に登る前のギア交換はちゃんと
行うべき。また、アッセンダーを個人装備とすることも検討したほうがいいかもし
れない。
・丸山は詰め始めの時点でハーネスを外したが、その後にルンゼ登攀や丹波川渡渉
などもあったため、下山時までつけていた方が安全だった。