飯豊山（飯豊山荘〜ダイグラ尾根経由周回）
myokohiuti
コースタイム
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:40
- 山行
- 10:00
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 10:20
- 山行
- 9:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 9:20
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2018年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
写真
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胎内尾根は廃道同然
ここから下り一辺倒である
感想
「馬鹿尾根」と職場の同僚は言った。「馬鹿」というのは、凄いとか素晴らしいということを強調する地元の言葉だ。「今日は、バカ天気がいいねえ〜」等と言う。凄い（厳しい）尾根、馬鹿者が登る尾根、とでもいう事であろう。それを聞いたのは20年くらい前になろうか。その時からいつかは登りたいと思っていた。それを登ったからといっても、どうってことは無い。バカ尾根の上を歩くのだから「大馬鹿者」だと笑われるくらいのものであろう。しかし、だからこそ登ってみたいと思うのだ。
ヤマレコのレポを見ると、飯豊山荘からダイグラ尾根を登り、梶川尾根を降りる周回コースが大半で、逆コースをとる人は少ない。ダイグラ尾根を往復するレポは見たことが無い。ダイグラ尾根は登ってこそのコース尾根なのだ。日程は、一泊二日が殆どだが、日帰りする強者もいる。私の場合は、いろいろ検討したが日帰りは論外で、一泊でも厳しく二泊三日となる。初日は小屋までたどり着くことが出来ないので、中途ビバークとなる。ビバークといっても、積極的ビバークというものである。一番の問題は、良いビバークサイトに恵まれるかである。最悪の場合は、登山道でツエルトをかぶって眠ることになる。時期は、9月中旬から10月の初旬だ。暑い時期、残雪期、陽が短い時には登りたくない。冬期は論外だ。
今年は、過去最大級の台風襲来や猛暑が続いたところに野暮用も重なって、決行が怪しくなってきた。そんな時に、私がフォローしているMさんの飯豊山行ルポが載った。自らにとって厳しいと考えているコースに、果敢に向かって行ったレポに、いたく刺激された。最後の一日は別にして、二日間晴れの天気予報が出れば、絶対行ってやると強く思う。そしてその日は直ぐに訪れた。
登山口にはすでに一台の車があった。年配の女性だ。同じダイグラ尾根を登るというので、一緒に登ることになる。出発の準備している間にもう一台車がやって来た。こちらは比較的若い男性だ。私は、自分が駐車した位置が気になって車を移動する。どうでもいいことだが、何の憂いもなく出発したいのだ。そんなことで、もたもたしているうちに女性は出発。追いついたら一緒に登るということにしたが、おそらく追いつくことは出来ないであろう。自慢じゃないが、歩く速さにはまるっきり自信がない。計画そのものが、宝殊山辺りでビバークだし。
しばらく山は休んでいて再開したのがH15年。飯豊主稜を縦走するのはホントに久しぶりである。遊歩道から沢沿いの登山道を進み吊り橋を渡る。橋を渡る前に、若い男性が追い越して行った。私とはスピードが段違いだ。あっという間に姿は見えなくなった。橋の袂から急登が続く。荷物が重い。ビバークとは言え最初はリュックにテントを詰めた。積極的とはいえ、ビバークなのだからこれは変だと思いなおし、朝になって急きょツエルトと入れ替えた。重さの原因は食料だ。おそらく半分以上はお持ち帰りだ。今さら置きに戻るわけにも捨てるわけにもいかず、ひたすら登る、登る。道は良く整備されている。
長坂清水の標杭がある。水場が有るというのは分かっていたが、こんなにも登ったところにあるとは思っていなかった、というより時間がかかっている。水場への道は確認できなかった。それと思われる斜面は土がむき出しで水が採れるかどうかは疑問だ。出発からここまで既に3時間経っている。早くもビバークは免れない情勢となった。慌てても仕方がない。一歩一歩、亀のごとくである。切跡の新しい立木もあり、登山道は定期的に整備されているようだ。特に危険なところは無い。立木の間から眺める谷の両岸は、削ぎ落とされて深く刻み込まれている。さすがに飯豊だ。霧が流れては消え、また沸き上がっては消える。深山幽谷の雰囲気。千本峰12時着。
千本峰を過ぎたところで高さ2m位の岩塊があり、ボルダリング的な感じで降りる。後は特に危険と思われるところは無い。ただ、ただ、一歩、一歩、牛歩の歩きである。霧が晴れ前方に天に突き刺すような頂が見えた。あれが宝殊山か。「絶望的な光景」とどなたかのレポで読んだが、たしかにそんな感じだ。長い尾根だ。道は、宝殊山頂には登らず「宝殊の肩」の標杭の有るところからいったん下って行く。ねじ曲がったダケカンバの白い肌と周りの紅葉が映えてきれいだ。
ビバークサイトを念頭にした歩きとなるが、良いサイトは無かった。鞍部になっている所に少し平になっているような地形が見えた。その辺で良さそうなところを見つけビバークすることにする。何とか横になるスペースがあればと祈るような気持ちで進む。1m位の岩があり、その根本のところに人ひとりが横になれるスペースが取れそうだった。エアーマットを広げてみると、何とか仰向けに横たわることが出来た。ガスコンロを使うスペースも辛うじて確保できた。しかし、めんどくさいので食事は行動食で済ませる。
フリースと雨合羽を着込み、寒さ対策をしたつもりだったが、夜中寒くて何度か目が覚める。完全な平地ではないので体が滑って外に出ていた。隙間も多いから寒気も入り込むのだ。三回位ガスコンロを燃やして体を温める。寒気が入り込むといっても、一応、ツエルトで覆われているので、火をつければそれなりに温まることが出来る。終日吹いていた風は無く雨も降る可能性は無いのが何よりだ。そんなことを繰り返すうちに明るくなって出発。火を使っての料理は難しく朝は行動食とする。風は当たらなかったが、サイトに恵まれないとビバークは辛い。
第二日 筋肉痛無し、出足快調だ、と思ったが登りにかかると直ぐに休み休みの登行となる。霧がかかっていて見通しは無い。踏み跡多く慎重に歩を進める。岩混じりのザレの斜面になると踏み跡が定かでないところも多くなる。点や線では無く面的なとらえ方が必要なところだ。ふと前方に黄緑のなだらかな稜線が見えた。いつの間にか飯豊主稜線と同等の高さまで登っていたのだ。岩とザレの斜面を歩いて行くと霞の中に一本の木柱。6時50分飯豊山頂到着。ヤッター！！というより、ようやく来たか、という感じ。飯豊山頂には誰もいない。ガスは直ぐに晴れそうな雰囲気だった。快適な稜線漫歩に期待高まる。
若い男性二人が御西岳側からやってきて山頂で写真を撮り始めた。「撮りましょうか」と声をかけ二人の写真を取る。「見てください」と声をかける。いまは、デジカメだからすぐに確認できるのだ。シャッター押しを頼まれた時は、いつもそういって確認してもらうのだ。そうしたら返事がない。何やらカメラをいじっていたが、写真が写っていないという。メモリーカードが正しくセットされていなかったらしい。今朝から撮ったものも全部写っていなかった、と落胆している。私が声をかけなかったら一日中気付かなかったであろう。ああ、今日は良いことしたなあ。ちょっとうれしい。
秋色濃いなだらかな飯豊の稜線漫歩。太陽が昇り始め雲海の上に山々が頭を出し始めた。月山・朝日連峰・鳥海山・南を見れば、粟ヶ岳や川内山塊の山々だ。しかし、確信はもてなかった。弥彦山、角田山が思いもしないような場所に見えた。人間の方向感覚というものは曖昧なものである。時が経つにつれ、ますます晴れあがり展望は広がるばかりである。この調子では、門内小屋まで頑張るか、とも思ったが計画通りカイラギ小屋までとする。余裕ありすぎで、飯豊を巡るあれこれを思い出しながら歩く。一番多く登ったコースはカイラギ沢だ。源頭部で雷雨に遭遇ずぶ濡れに。スキーで滑り降りたのも懐かしい。15時頃カイラギ小屋着。
小屋使用協力金1500円。水洗トイレだった。これはイイ。山小屋での汚物処理は最大の課題でありながら、あまり進んでいなかったのだ。これからもさらに対策を進めていただきたい。まずは、水を確保して一休みと横になる。う〜ん、俺は何をしているんだ。いつの間にか眠りこんでしまって、今、目を覚ましたということが分かっていないのだ。疲れているんだろうなあ。早速、夕食。疲れているときは定番の汁物、餅入りみそラーメン。味噌味が体に沁みて生き返るようだ。明日の朝も、みそラーメンに変更。これは予備食としていたものを利用する。今日は、我一人。早々に床につく。
第三日 カイラギ小屋5時出発。空は青空。太陽は雲に隠れているが薄日が射す。早晩、青空に覆われるだろう。カメラの充電が切れ、ケータイのカメラに切り替える。フォルダーはmicroSDと思っていたら、本体のフォルダーだった。後者だと取り出すことが出来ないのだ。いちいちメールでパソコンに送ることになる。直ぐに気づいてSDに切り替える。それがなかなか出来なくてかなりの時間ロス。ケータイは、めったに使用しないので使い方が良く分かっていないのだ。今日は急ぐ旅では無い。まあ、そんなことも楽しみといえば楽しみの一つである。
思い入れのある山、烏帽子山。胎内尾根の一の峰。浦島のゴルジュは池の平から降りて、下った。良く一人で行ったなあ、と今にして思う。オーインの尾根も歩いてみたいが、白いビニール紐で通せんぼされていた。廃道になってはいないと思うが通行止めになったようだ。しかし、それでも湯の平温泉から中峰辺りまでは行って見たいものである。鳥海山・月山・朝日連峰・蔵王・・・・。まだまだ歩いていないルートは有る。一つの山でさえ興味は尽きないものである。
門内小屋の管理人さんと言葉を交わし、梶川尾根を下る。ダイクラ尾根が飯豊山頂に向かってアップダウンの一直線。ほんと長い尾根だなあ。梶川尾根に入ると登って来る登山者と出会うようになる。ちょうどそんな時間なのだ。数は少ない。ウイークデーだし、そんなものか。五郎清水で大休止。湯沢峰で最後の休み。最後の急坂を降りる。キノコ採りの地元の人たちが居て、言葉を交わすとすぐに登山口であった。
長い間いつかは登ってみたい、と思っていたダイグラ尾根。積極的ビバークを取り入れて何とか登ることが出来た。一緒に登りましょうと約束した御婦人には追いつくことは出来ず、終始一人旅である。寂しいといえば寂しいが、自分の能力に見合った登り方であったと思う。計画を全う出来たことが何よりである。
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こんにちは
お天気に恵まれて良かったです。
もう北の方では紅葉がおしまいなんですか。
ということは夜は冷えたでしょう。
急いだり無理すると思わぬ落とし穴がありますから
計画通りに完結されてなによりです
こんばんは〜 hobbitさん
天候に恵まれてというより「いい日旅立ち」みたいなもんでうまくはまってくれて良かったです。稜線付近は、もう紅葉は終わりでしょう。高山はこれからは冬山ですから安易には出かけられません。今回は、今年度最後のチャンスだったと思います。
何事もなく終了出来て安堵しております。
では、ごめんください。
myokohiuti さん、こんにちは
2泊3日のビッグな山旅を楽しまれましたね。久しぶりでしょうか？
10月頭で既に紅葉終盤、流石に高山は違いますね。ビバークも手慣れて居られますから、豊かなバリエーションでビッグな山旅もあっさりこなす辺りは流石です。体力に見合った歩き方も熟練の味真骨頂と言うところでしょうか。お疲れ様でした。
tonkaraさん こんばんは〜
山で二泊したのはホント久しぶりです。レコのまとめに時間がかかってしまいました。どうも疲れから脳味噌の働きが鈍ったようです。
ビッグな山旅といえば、熊野古道奥駆道を歩いたとき、夜行バスも含めて８日間出かけたのが最長です。山小屋自炊４泊。テント泊１泊。６泊目は民宿旅館というものに泊まったのですが、喉が渇いて渇いて、魔法瓶一つ飲み干してしまいました。
今はそこまでやる気力も体力もありません。今回は良く歩いたなあ、と思います。これからも身の丈にあった山行で頑張ります。ではまた。
妙高さん お疲れ様でした〜 (≧▽≦)
どちらのコースを歩かれたのかなとワクワクして待っておりましたが、さすが、ダイグラ登りですか！？ 遠目に見ても、険しさが際立った尾根、見ているだけでお腹いっぱいになります（笑）それも、尾根でビバークなんて・・・寝相の悪い私などは、気がついたら転げ落ちていたなんてことになりそうで、とても眠れません。
積極的ビバークも含め、妙高さんならではの山行と記録、ワクドキで堪能させて頂きました〜 ヽ(^。^)ノ
minkさん こんばんは〜
minkさんの飯豊のレポを読んでメラメラと対抗心が沸き起こり、飯豊に行ってしまいました。って、ウソウソ。たまたま天気が良かっただけです。しかし、minkさんのレポに刺激を受けたのはほんとです。
私は、積極的ビバークと覚えたのですが、フォーキャストビバーク（予測したビバーク）と言っているようです。私の積極的というのは、正確にいうと苦肉の策とでもいうのでしょうか。どうしても、小屋まで届きませんでしたので。
テントも軽量で使いやすいものが開発されているかもしれませんので、ツエルトにこだわらなくてもいいのかもしれません。いずれにしろビバークする場合は、良いサイトと水の確保が課題ですね。では、ごめんください。
ロングコースでしかも食料持参、私には考えられない山行です( ゜o゜)
紅葉のきれいな色づきに感動しました‼️
いつも思うのですが、妙高さんの感想文は読み物としても超一級品ですね♪
今回もじっくり読ませていただきました＼(^^)／
htさん こんばんは。
全山紅葉に染まる、というわけにはいきませんでしたが、はっとするような紅葉もありました。霧が流れて紅葉が現れたり消えたり。それも良かったです。
反省点は荷物が重すぎたこと。特に食料。家に帰って残った食料を計ってみたら３�圓發△蠅泙靴拭Ｂ領呂�あれば何でもないのでしょうが、ちょっと考えないといけません。１ｇでも軽くをモットーにしているのに・・・・・・・。
困ったものです。ではまた。
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