武尊山・照葉峡 横断周回〜紅葉の回廊と冬の訪れ


- GPS
- 09:03
- 距離
- 40.8km
- 登り
- 1,912m
- 下り
- 1,924m
コースタイム
- 山行
- 8:27
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 9:03
照葉峡では自転車を乗降し、紅葉を観賞、撮影しながらのゆったり走行です。
天候 | 晴れ 午前中はガスが多かった 気温、早朝の水源の森−3℃、山頂0℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
移動して名倉沢武尊山登山口に車をデポ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・名倉沢〜名倉ノオキ、沢を遡上し渡渉を数回。似たような沢が多く迷いやすい注意。クマの足跡多数あり。 ・武尊山全体を通して泥と木の根や竹笹で滑りやすい。台風による倒木多数。日陰は凍結、霜が降りていた。 ・奥利根水源の森〜名倉沢武尊山登山口までの約22kmは自転車走行。照葉峡の紅葉を観賞、撮影しながら走る。途中奈良俣ダムに寄り道。湯の小屋から宝台樹まで山越えと激坂のヒルクライム。 |
写真
感想
久々の晴れ予報。青空と鮮やかな紅葉を観賞に照葉峡へ。昨年は雨の中歩いて観賞したが、今年は自転車で下って観賞する。照葉峡は道路の幅員も狭く駐車場も少ない。自転車は機動性が高く駐車が楽だ。
以前から構想していた自転車を使った武尊山周回のプランを実行へ。今回の山行のメインはあくまでも照葉峡の紅葉、武尊山は自転車を取りに行くついで。かなり遠回りだが・・・。
21日日曜の仕事終了後、自宅へ一度戻り荷物を積み込む。夜の関越道を流して奥利根自然の森へ向かう。水上で降り藤原方面へ右折。温泉宿の明かりが眩い湯の小屋を過ぎると街灯もなく真っ暗になった。前橋で16℃だった気温も6℃に下がる。
静かな夜の水源の森キャンプ場を想像したが、グランドキャンパーやバイクのテン泊者が大勢いた。気温0℃で外は寒い。テントの前では豪快なたき火。燃え上がる火が人のシルエットを揺らしていた。
登山道の近くに車を停めた。久々の車中泊。21時30分となり遅い夕食。前日20日に鳥重と穴子天、カボチャ天をベイシアで20%引きで買った。天ぷらを温かいソバに乗せて食べた。賞味期限が前日21日0時だが、食べる私の賞味期限も、とうに切れているので全く気にしない。身体だけは丈夫。
月が明るすぎるので、天体撮影は早朝にして10時30分に就寝。目覚ましを掛けたのだが鳴らずに5時起床。急いで外に出て空を見上げるが、夜明けが近く薄明るい。オリオン座のみ撮影した。気温マイナス3℃。
朝食は賞味期限切れの田舎巻きを食べた。昨夜自転車と共に袋に入れて表に置いたので少し凍っていた。2日前の寿司だが、私のくじ運と同様で当たりはしない。自転車と昼食をトイレ裏にデポして名倉沢武尊山登山口へ向かう。
早朝の薄明りのもとでも、照葉峡の紅葉は美しかった。雪のない宝台樹スキー場を横目にして登山口前の駐車場へ。林道に伐採の作業道が脇にできており、私の車がゴミの不法投棄と思われないか一抹の不安を覚えた。
気温0℃、白く息を吐き出立。大幽洞窟では何度も訪れている道。雪がない時期に来るのは初めて。西側を見ると谷川岳方面が赤く染まっていた。早朝の美しい景色。
林道が終わると、名倉沢を遡上するように登山道は続く。右手には宝台樹尾根の紅葉が美しい。似たような沢が多く、涸沢もあるので道迷いしやすい。渡渉も数回あった。伐採作業用のピンクリボンと混同しないように注意する。
薄暗い樹林帯では、シカの悲しい鳴き声がこだまする。登山道の泥にはクマ、シカの足跡がたくさんあった。気配も半端なく感じる。クマは前足の爪跡が残るので分かりやすい。しかも滑った跡もあり、思わずほくそ笑んだ。天然アイゼン付けても滑る滑稽なクマ。
名倉ノオキから稜線へ上がると朝日に眩く照らされた。木の根が張る稜線を行くと武尊神社からの道と合流する。遠くからクマ鈴の音が聞こえた。私はそのような高級な物は持っていない。クマの嗅覚は犬の20倍。私のザックに染みついた汗の匂いで、失神させることが出来る。多分。実際、私も背負うときに失神しそうになる。
手小屋沢避難小屋を眼下に見ると、泥と木の根の登山道が本格的に始まる。上州武尊山と言えば泥と木の根で滑りやすく、夏にはアブブヨの被害が多発する、素晴らしい山だ。先行者3名を抜き、鎖を使わない鎖場を二つ過ぎると山頂西の稜線上へ。
霜が降り滑りやすいビクトリーロードを歩んでいく。山頂には先行者2名。記念撮影し周辺の風景を撮影。東と南側はガスが漂っていた。途中抜いた3名も無事登頂。先を急ぐので中ノ岳方面へ下山。
一昨年倒壊し昨年寄付金により再建された日本武尊像を参拝。一昨年3月に私とshilkoさんで雪の中から掘り出し、鎮座していた岩に立てかけた記憶が懐かしい。無事の下山を祈願した。中ノ岳を過ぎて分岐を避難小屋方面へ。
目前の片品、尾瀬の美しい山稜を一望しながら急坂を下っていく。照葉峡付近の紅葉の素晴らしさが上部からでも伺えた。倒木と泥の凄まじい登山道が武尊避難小屋まで続く。
私は登山道の状態を承知しているので、泥の湿地帯でも構わず中央を突破していく。泥水吸って泥臭く生きてきた私には泥遊びがお似合いだ。ただし泥試合はご遠慮願いたい・・・。
高山平の分岐を過ぎるとブナ林。紅葉も終演で葉をすでに落としてはいるが、幹の重厚さの自然美を楽しむ。真っ直ぐにいつまでも続く落葉の道が美しい。ここから水源の森まで誰とも会わなかった。
田代湿原は周回せずに先へ進む。残るブナの紅葉と楓の紅葉が美しく彩る落葉の道を歩む。落葉は土に還り動植物の栄養源としてまた生まれ変わる。私が歩いた足跡は落葉には付かないが、ここを歩いた記憶は想い出として心に残る。私が土に還るまでは・・・。
ヒメカウイ園駐車場を過ぎ砂利道を歩んで、ささやきの道へ。実はこの道は倒木で通行止めだったのだが、上からの入り口には通行止めの表示がなく下りてきてしまった。渡渉も水量が多かった。泥で汚れた靴をここで洗った。
水源の森に近づくにつれ人が多く見られるようになってきた。軽装の観光客。ゲーターが泥だらけでガチな登山者は私だけ。駐車場はほぼ満車だった。自転車と昼食を回収し食事に。零下の気温で昼食のうどんが凍っていた。
昼食を済ませヘルメットをかぶり、照葉峡を下っていく。上流の方は見ごろを迎えており、出発したにも関わらずすぐに降りて撮影。機動性の高い自転車をフル活用。河原にも下りて幾度か撮影もした。
眩い紅葉の隧道をゆったりと走る。秋色に包まれた道を風になり駆け抜けていく。言葉など要らない、自然に身を任せ、見るもの全ての美しさを無条件で受け入れる。心は解放され無になり考えもせず、ただ眺めているだけ。自然の圧倒的な存在感に人間など為す術もなく佇む。
湯の小屋の手前から奈良俣ダムへ寄り道。軽くヒルクライム。ダム湖を俯瞰しながら北端へ行き記念撮影。至仏山、笠ヶ岳が美しい。踵を返して湯の小屋へ下る。
湯の小屋の宿街を過ぎると須田貝ダムまでヒルクライム。下って藤原スキー場先から山越え。靴がSPDではないので引き足が使えず一苦労。峠を下ると宝台樹スキー場の脇に出た。
スキー場内のゲレンデでは4輪バギーが走行していた。ここからさらに激坂のヒルクライム。休み休み漕いで6km/h程度しか出せず、歩く速度と変わらなかった。道脇ではススキの穂が揺れて私を応援しているようだった。
汗だくで道を登りきると駐車場。ポツンとパジェロ。伐採作業の邪魔にされ重機で吊られて移動していなかった。また工事関係者に「捨ててあるから工事に使うか」と思われ、前側に土をかくブレードを付けブルドーザーに改造されていないか確認しておいた。付いていなかった。
自転車をきれいに拭き車内へ積み込む。私はもとから汚いので適当に拭いて着替えて帰路へ。苦労して登った坂をあっという間に下った。
みなかみ町のいつもの田園地帯から谷川岳を眺める。夕日に照らされ美しい。刈り取られた稲田と赤く染まった谷川岳。秋は人をセンチメンタルにさせる。黄昏の風景に、走り回って遊ぶ幼少の自分を懐古していた。
コメント
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growmonoさん こんばんは
紅葉前線も一気に山を下っているようですね。すでに、
標高1,200m位まで来ている感じでしょうか?遠回りを
されたようですが、自転車で綺麗な紅葉ロードを楽しむ
ことができて何よりです。
埼玉のchii
こんばんは、chiiさん。
上越県境の紅葉は終演に近づき、氷と雪の訪れがありました。
chiiさんも玉原へ行かれて、やはり関東一のブナ林は良いです。尼ヶ禿山と鹿俣山で玉原黄金ルートを、ご都合により行けませんでしたね。奥様のご意向は重要です。
今日23日は二十四節気の霜降です。晩秋を体感し冬の足音が聞こえてきました。
growmonoさん
こんばんは
いいですね、自転車を使っての照葉狭周り。
考えることが違います。
恐れ入りました。
こんばんは、iiyuさん。
照葉峡は観光地ですが、車を停めるスペースが限られています。
昨年は徒歩で往復しましたが、時間がかかり過ぎてしまいます。
以前から武尊山を周回したいと思っておりましたので、紅葉時期に合わせてプランを練っていました。自分が本来やりたかったのは川場野営場から登り、高手新道下りです。このコースは時間がかかるので、日が短い今では無理と判断しました。
照葉峡は上流部が今見頃です。下流付近も今週末には見頃を迎えます。現地で一晩過ごして分かったのですが、早朝−3℃、日中16℃と寒暖の差が20℃近くあります。水の流れもありますので色付きが良い訳です。
素晴らしい紅葉のアーチを自転車で駆け抜けると、街の喧騒など忘れてしまいます。
growmonoさん こんばんは。
初めて見た周回コースです、
さすがgrowmonoさん。
山は、冬が駆け足で来ているようですね、
霜とか氷とか冬の風物詩ですね、
でもまだ季節は秋、紅葉の車道を下り紅葉狩りしながらマイカーへ、
第二の登山もありましてお疲れ様でした、
growmonoさんらしい武尊山周回でした。
こんばんは、yasioさん。
この時期限定の遠回り紅葉狩りです。照葉峡を自転車で下るためだけに考えました。
誰も真似はしませんね。最初は川場野営場から登り高手新道で下って自転車で帰るプランでした。歩行と自転車の時間が双方かかるため止めました。夏向きです。
大幽洞窟は何度も訪れていたのですが、その先は行ったことが無く気になっていました。クマが確実にいますね。ビンビンに気配を感じました。類は友を呼ぶはずなのですが、寄ってきませんでしたね。武尊山はこれですべての登山道を歩きました。
鎖場や岩場は北面なので凍結し霜が降りていました。山頂は風が無かったせいか寒く感じませんでした。ただ温度計が0を差していたのでびっくりです。
来週28日日曜は休みですので、榛名か子持など近所をshilokoさんと紅葉観賞のゆるゆる登山でぶらつく予定です。
growmonoさん、おはようございます。
奥利根水源の森にチャリデポし、車で名倉沢武尊山登山口に移動し、登山開始。なかなか素晴らしいアイデアですね!
また、麓の紅葉も最盛期で素晴らしかったです。仕事中のshilokoさんも指をくわえて見ているより仕方なく、自分も羨ましい限りでした!
奥利根水源の森は早朝で−3℃ですか!? かなり冷え込んでいますね。そろそろいつ降雪してもおかしくない季節となり、今からワクワクしています。上州武尊山BCもたまにはトライしてみたいのですが、川場スキー場から入山ができないので、これまでは武尊牧場スキー場かオグナ武尊スキー場から入山するしか方法がなく、ついつい躊躇してきました。growmonoさんのレコを見て、今シーズンに一度は訪れてみたくなりました。
hareharawaiより
おはようございます、hareharawaiさん。
紅葉を眺めながらのサイクリングは爽快でした。ただそれがしたいが為の山行となりましたが、相変わらず武尊山の登山道は泥遊びですね。今回の山行で一番堪えたのが宝台樹のヒルクライムですね。練習を全くしていないので回せなかったです。
ややガスっていましたが、山頂からの景色は良かったですね。晩秋の空気で湿度が低くクリアでした。気温も早朝は−3℃で山頂は0℃でした。氷雪の季節が訪れました。
確か川場スキー場からでも入山できるはずですよ。今年の初めにも確認しました。
ただ今シーズンは雪不足が懸念されていますので、どうなるかはわかりません。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1355948.html
growmon さん、こんにちは。
自転車を使ったプランとは
このことだったんですね。
体力・知力・気力のあるgrowさん
ならではのプランで、流石です^^
照葉狭もいい具合に輝いて
ステキです♪
また行きたくなっちゃいましたw
こんにちは、choco-tさん。
当初は川場谷野営場から登り高手新道から下って自転車で戻る予定でした。ただ歩行が10時間、自転車も2時間以上が予想されましたので、夏向きと判断しました。来年実行しようと思います。
現地のリアル情報が乏しかったですが、お二人のレコを拝見して、照葉峡の上流は今週最盛期だろうと予想していました。参考になりありがたかったです。素晴らしい紅葉の下を駆け抜けました。今月いっぱいは見ごろだと思います。再訪してくださいね。
予想外は三つありまして、一つは中ノ岳の分岐からの下りで、片品尾瀬の紅葉する山稜を一望しながら下りたことです。素晴らしい景観でした。
二つめは避難小屋から田代湿原までのブナ林と落葉の道が素晴らしかったことです。緩い坂が永遠と続くようでした。
三つめは藤原高原スキー場先の山越えと、宝台樹スキー場脇の急坂です。最後の最後でこの激坂。(自分で計画して承知していたのですが・・・)靴が登山靴でSPDではなく引き足が使えません。また自転車の練習を全くしていないので、回せませんでしたね。すんなり行けると思いましたが、渋峠並みに酷でしたね。
泥んこになって遊んだり、日焼けしたり、汗だくになったりしましたが、紅葉を愛でながら楽しく散策とサイクリングが出来たので良かったです。
growmonoさん こんにちは!
今回のルート 自転車を使うとは言え良く繋がりましたね
こうゆう発想はgrowmonoさん 本当に素晴らしいと思います
一日満喫された武尊山 剣ヶ峰までの稜線があんなにクリアに
みえるのですね 自分が行くときはいつも霞んでしまうので
何時かクリアな山頂から遠望を眺めてみたいです
それに随分望遠で寄りましたね〜 しっかり綺麗に色々な山が
見れて撮れて流石です!
歌人growmono渋すぎます
こんばんは、kijimunaさん。
昨年は傘を差して徒歩で往復し、11の滝を全て見ました。4時間以上かかりました。
今回は照葉峡を自転車で走り、紅葉を観賞撮影するがための武尊山登山です。自転車を取りに12kmの山中歩きです。時間的に余裕があったので、奈良俣ダムも行きました。軽くヒルクライム。
私の登山での不撓不屈の精神は、ヒルクライムとロングライドで鍛えられたと言っても過言ではありません。自転車も自分の足で帰って来なければなりませんから。スポーツジムでエアロバイを漕いでいる人では、このようなコースは絶対行けません。自然の風に圧倒されます。ただ徹夜し完全燃焼するような無茶なことは、もうできません。
レンズはタムロンの28-300mmDiを使っています。安くてプラスチック製で軽いです。3代目です。たまにVR24-120mmも使いますが、重いです。D700に付けると3kg以上になります。
Rawで撮影しているのですが、画像を見ながら何十枚も処理していると目が慣れてしまい、WBがおかしくなっていることに気付かず、写真が黄色っぽくなってしまいました。分かる方には判ると思います。望遠で撮った写真はコントラストを上げて見やすくしています。Raw撮影の強みです。
国語や古文は苦手ですが、百人一首や万葉集は好んでますね。いにしえびとの心が伝わります。
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