記録ID: 1700297
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
大雪山
厳冬期大雪山十勝連峰縦走(黒岳〜忠別〜トムラ〜オプタテ)
2018年12月26日(水) 〜
2019年01月06日(日)


- GPS
- 296:00
- 距離
- 56.8km
- 登り
- 3,596m
- 下り
- 3,626m
コースタイム
1日目
- 山行
- 5:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:30
7:00
0分
黒岳登山口
7:00
330分
12:30
Co1300=C1
2日目
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
6:00
0分
C1
6:00
C1=C2
3日目
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
6:00
0分
C2
6:00
C2=C3
4日目
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
6:00
0分
C3
6:00
C3=C4
5日目
- 山行
- 1:50
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 2:20
5:20
40分
C4
6:00
6:30
70分
Co1520 リフト終点
7:40
C4=C5
6日目
- 山行
- 12:20
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 13:00
5:10
170分
C5
8:00
8:10
190分
黒岳
11:20
11:50
250分
白雲岳避難小屋
16:00
130分
忠別岳
18:10
忠別岳避難小屋=C6
7日目
- 山行
- 2:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:30
12:00
150分
忠別岳避難小屋=C6
14:30
ヒサゴ沼避難小屋=C7
8日目
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
6:00
0分
ヒサゴ沼避難小屋=C7
6:00
ヒサゴ沼避難小屋=C8
9日目
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
6:00
0分
ヒサゴ沼避難小屋=C8
6:00
ヒサゴ沼避難小屋=C9
10日目
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 11:30
3:40
170分
ヒサゴ沼避難小屋=C9
6:30
6:40
80分
トムラウシ山
8:00
8:10
250分
三川台
12:20
100分
コスマヌプリ
14:00
15:00
10分
・1404オプタテ北東コル
15:10
オプタテ北東コル=C10
11日目
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:30
6:40
250分
オプタテ北東コル=C10
10:50
200分
オプタテシケ山
14:10
ベベツ岳北東コルCo1750=C11
12日目
- 山行
- 9:20
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 9:30
8:00
300分
ベベツ岳北東コルCo1750=C11
13:00
13:10
260分
林道出合
17:30
白金温泉
12/25クリスマスに層雲峡へ移動しC0。hazukiは修論要旨の〆切に追われながらもなんとか提出してきた。年末大寒波の予報だが、せっかく久しぶりの長期山行であり下界で停滞すると萎える。ということで入山することとした。
12/26 曇り時々雪
(07:00)黒岳登山口(12:30)Co1300=C1
今回はhazukiの提案でカムチャッカ式にソリを各自1台採用した。黒岳登山口から2週間分の荷物を背負って入山。出だしの急登でソリが度々ひっくり返ってうんざりする。Bushに引っかかるのも非常に面倒くさい。Co1300に到着し、風の当たらない森の中でブロックを積み早めのC1とする。遠くに黒岳駅が見える。翌日は停滞とする。
12/27 ガス −15〜−20℃ 冬型 Stay C1=C2
朝起きると20cm程度の積雪。寒い。ラジオの1日。子供相談室を聴いていると、自分と同姓同名の男の子が「膀胱はなんで機械みたいに止まってくれないの」と質問していた。
剱岳でマスダP救助要請中との一報を聞く。強力寒波のため翌日も停滞とする。今の所31日〜1/3日は比較的良い天気予報。雑炊が鍋に溢れて生煮えのひどい味になる。誤って2回分の米を食っていたことにあとで気づく。
12/28 ガス、風強し 強い冬型 Stay C2=C3
昨日よりさらに寒い。風も強まりゴーゴー唸って恐ろしい。せっせとテント内の霜取りに精を出す。hazukiの持ってきた薄い文庫本を読む。
12/29 ガス、風強し 強い冬型 −15℃ Stay C3=C4
強力な冬型。ラジオと本の1日。佐々木丸美の本を読了。ゴンドラ駅も除雪は入ったがゴンドラ動かず。あとで聞いたところでは、強風で帰りのゴンドラ動かせず、スタッフの人たちはスキーで苦労して降りたとのこと。駅の人も大変だ。冬型緩むのを見越して翌日出発することとする。
12/30 ガス、吹雪 -15℃ Stay C4=C5
(05:20)C4(06:00-06:30)Co1520 リフト終点(7:40)C4=C5泊
黒岳をのっこすつもりで出発。6時にリフト終点駅に着く。風は弱まったが、上部はまだ吹雪いている。風もまだゴウゴウ唸る。吹きっさらしのお鉢平の稜線行動は厳しいと判断し引き返す。ゴンドラ駅が開いたので、駅の中に入ってストーブで暖まる。スタッフのおじさんが親切で濡れものを乾かさせてもらう。ありがたい。マレーシアや中国の団体客がゴンドラで沢山やってくる。肉に飢えていた私達はついにレストハウスにアタックし黒岳丼を食う。めちゃ美味であった。川端の雪国を読み終え、することがなくなり写経をする。スタッフのおじさんから借りてコマ回しをやったりする。終業まで居座り、スタッフの方に挨拶してテン場へ。酒も飲み干した。5停滞め。
12/31 快晴のちガス、地吹雪 冬型緩み −5〜−17℃
(05:10)C5(08:00-08:10)黒岳(11:20-11:50)白雲岳避難小屋(16:00)忠別岳(18:10)忠別岳避難小屋=C6
外に出ると満点の星空。微風。ようやく山行再開だ。黒岳手前の斜面ではソリが再三ひっくり返り苦労をする。今回は2つのタイプのソリを用いている。船底が丸浅底の普通のソリと、和船のような角深型形状のソリ。hazukiの角形ソリの方が引っ繰り返りが少ない。快晴の黒岳頂上から、お鉢平の大雪原がぐるりと見渡せる。ここからソリの本領発揮だ。ソリ曳きスキーでお鉢の中に滑り降り、なだらかな起伏を越え最短ラインで白雲小屋へ向かう。気温も高く、久方ぶりの太陽に感謝する。すぐに白雲コルに着くと雲海に沈む高根が原の向こうに目指すトムラが浮かぶ。心躍らせながらソリを引いて小屋へ滑り降りる。忠別までの約10kmでソリを活かすためソリの荷を増やし、寒気の雲海に沈む高根が原へGo。高根が原は西風が強く、気温も−15℃に下がる。まともな冬型ならひどい目に合うだろう。今夏遡行したユウセツ沢からの吹上げが身に堪える。忠別沼付近で、雪うさぎが慌てて穴に飛び込むのを見た。ソリは忠別岳まで快調に滑り、日没近い16時に忠別岳ピーク。視界のない中ラテルネ行動で忠別避難小屋へ向かうが、ルートをミスり何度も地図を確認する。1時間強ロスしてやっと小屋に着く。大乗越し成功を祝って肉で大晦日を祝う。
1/1 ガス 冬型 地吹雪 −15℃〜-20℃
(12:00)C6発(14:30)ヒサゴ沼避難小屋=C7
あけましておめでとう、と鏡餅を供えて朝食。外はえげつない風ゴーゴー。尻があっという間に氷漬けになる。おしるこを食べ、風が弱まるのを待ち昼に出発する。五色岳からコンパスを240度に切りヒサゴ沼に向かって直進する。常に北よりの地吹雪に曝され、顔面凍傷になりそう。まつげも氷漬けになる。恐ろしい風の中ようやくヒサゴ沼避難小屋に着き、2階から入る。1階はかなり吹き込んでおり少し除雪した。
小屋の中は−15℃。外は風が強まり台風の如く唸りを上げている。
1/2 冬型 Stay ガス、強風 C7=C8
視界なく、風も強くStay。小屋にあった余りガス缶と半端米を発見し、食べる。
一日中外は猛吹雪で改めてトンデモない場所に自分たちがいることを実感する。体ほぐしに懸垂対決や腹筋運動をして時間を潰す。とにかく寒い。
1/3 冬型 Stay 地吹雪 C8=C9
冬型緩む予報で4時に起きるも外はブリザード。大雪山は回復が遅い。西〜南よりの地吹雪に変わる。見た夢の話をする。外はこんなにエグい風だのにラジオでは札幌は穏やかな晴天と言っている。小屋から対岸の丘は見えるので上空は晴れているようだ。懸垂とラジオで時間を潰す。
1/4 晴れのちガス、吹雪
(03:40)C9発(06:30-06:40)トムラウシ山(08:00-08:10)三川台(12:20)コスマヌプリ(14:00-15:00)・1404オプタテ北東コル=C10
深夜1:30に外を見ると満点の星空。風も弱い。飯食って出発する。星空の下、トムラウシへ。明るい流れ星を幾つも数えた。トムラ北沼には掘れる良い雪庇がある。
トムラを西から回り込み、空身ツボで山頂アタック。モルゲンロートの大地が浮かび上がる。辿ってきた大雪山は遥か向こうだ。行く手の十勝連峰がゆっくりとピンク色に染まってゆく。日の出を待たず、ピンク色の大雪原を三川台に向かってソリを引く。日本離れした光景だ。ツリガネ山の肩で一休み。予報どうり昼頃から天候が崩れ始め、コスマヌプリに近づくにつれガスに覆われる。コスマヌプリの少し細い頂稜はシートラで行くが、バリスボ&ソリがBushに引っかかる&風煽られるの三重苦で消耗する。オプタテ北東コルでテン場適地を1時間ほど探し回ったのち、風の避けられる窪地で雪庇を崩してC10とする。夜は暖気が通過し暖かいが湿り気のある雪でテント内の結露がひどい。前線通過に伴い雪が降り続ける。夜中にテント除雪を1回。びしょ濡れになる。
1/5 ガスのち吹雪 昼から冬型
(06:40)C10発(10:50)オプタテシケ山(10:50)ベベツ岳北東コルCo1750=C11
この日は昼から冬型が決まる予報。自分たちの目標は富良野岳。少なくとも7日には着かなければならない。午前中にオプタテを越えるつもりで出発する。二人とも前日の大移動の疲労が残っている。オプタテはCo1700辺りからシートラEP。ズボるところと堅雪が交互に現れ苦しむ。読みより遅れて頂上稜線に到達。既に天候は悪化しており北面から吹き上げる暴風がえげつない。稜線上はホワイトアウトでルートファインディングがシビア。ここは正念場でGakuが前を行く。かろうじて見えるエビの尻尾に目を凝らし、稜線を見定め想像力をフルに働かせ進む。度々完全に真っ白くなり時間をかける。北面のジェットストリームで視界も凍ってくる。ジワジワ前進し渾身のオプタテピーク。ここからの下りも本気。白く雪のたまったところでは本当に何も見えない。地図とコンパスを凝視する。苦労してベベツ手前コルに降りると、ここも猛吹雪で雪も深く足元すら見えない。ビバーク適地を探す。ベベツ東斜面を目標にコルからトラバースでラッセルして行く。一目散にスキーを歩かせてゆくと、hazukiの前を歩いていたGakuが視界から消えた。雪庇を踏み抜いたのだ。落ちたGakuは10m 程滑落して停止し、そこが目的の掘れる斜面であることを確認。hazukiのコールに応えて、「降りれるぞー!」と叫ぶ。と言っても何も見えない真っ白い虚空に飛び降りるので恐ろしいのだが覚悟を決めてhazukiも上から落ちてきた。そしてGakuにぶつかった。「うげぇぇ。。。」と呻き声をあげる二人。
1h程掘り快適な雪洞を完成。逃げ込んでホッとする。生き延びた。
携帯で今後の天気傾向を確認する。食料は残り3日分あるが、寒気が厳しく天候回復が期待できないことから翌日は美瑛富士まで行って下山に向かうことに決める。オプタテ乗越しに感謝し残りの肉をたいらげ好きなだけココアを飲む。
1/6 吹雪
(08:00)C11(13:00-13:10)林道出合(17:30)白金温泉
ゆっくりと準備する。雪洞を出ると外はまだ吹雪。寒気が強いためか天気図から想像する以上に風が強い。急斜面をEPで上がり雪庇を乗り越えコルに出るとまだ猛吹雪。とても稜線行動続けられる風ではないのでベベツ北尾根経由で下山することとする。向かい風に顔面叩かれつつ高度を下げる。微尾根に迷い込んだりしながら地図とにらめっこして降りてゆく。Co1500付近まで来ると大分風は弱まった。カンバが出始める辺りから新雪がどっさり積もりスキーでも腰以上の胸ラッセルとなる。沢型に近づきすぎたため、微沢をトラバースしつつ北尾根に向かって下って行く。Co1200、傾斜が緩んだところでソリモードに積み直す。深雪ラッセルだと今度は角形ソリがすぐ横転しひっくり返ってしまい難儀する。丸浅底ソリは平地ではうまく雪に乗って調子が良い。ようやく林道についてからも膝上のラッセルが続く。ここからソリ2台を連結しセカンドが曳くことにした。延々ラッセルが続きもう1ビバークも頭をよぎったが、暖かい温泉に入ることで頭がいっぱいになった我々二人は夢中でラッセルして行く。日も沈みラテルネ行動でついに車道に出る。ヨッシャー。白金の湯に駆け込み、極楽気分を味わう。この湯はオーナーが変わったのか、古民家カフェ風に改装されて休憩室がお洒落になっていた。ダラダラ休ませてもらう。閉店間際の林道食堂に空身アタックし夢にまで見たカツ丼&ラーメンを食う。帰りにみかんをいただいてありがたかった。もう1泊避難所でテント泊し、翌日旭川で焼肉定食を食べて帰札した。
12/26 曇り時々雪
(07:00)黒岳登山口(12:30)Co1300=C1
今回はhazukiの提案でカムチャッカ式にソリを各自1台採用した。黒岳登山口から2週間分の荷物を背負って入山。出だしの急登でソリが度々ひっくり返ってうんざりする。Bushに引っかかるのも非常に面倒くさい。Co1300に到着し、風の当たらない森の中でブロックを積み早めのC1とする。遠くに黒岳駅が見える。翌日は停滞とする。
12/27 ガス −15〜−20℃ 冬型 Stay C1=C2
朝起きると20cm程度の積雪。寒い。ラジオの1日。子供相談室を聴いていると、自分と同姓同名の男の子が「膀胱はなんで機械みたいに止まってくれないの」と質問していた。
剱岳でマスダP救助要請中との一報を聞く。強力寒波のため翌日も停滞とする。今の所31日〜1/3日は比較的良い天気予報。雑炊が鍋に溢れて生煮えのひどい味になる。誤って2回分の米を食っていたことにあとで気づく。
12/28 ガス、風強し 強い冬型 Stay C2=C3
昨日よりさらに寒い。風も強まりゴーゴー唸って恐ろしい。せっせとテント内の霜取りに精を出す。hazukiの持ってきた薄い文庫本を読む。
12/29 ガス、風強し 強い冬型 −15℃ Stay C3=C4
強力な冬型。ラジオと本の1日。佐々木丸美の本を読了。ゴンドラ駅も除雪は入ったがゴンドラ動かず。あとで聞いたところでは、強風で帰りのゴンドラ動かせず、スタッフの人たちはスキーで苦労して降りたとのこと。駅の人も大変だ。冬型緩むのを見越して翌日出発することとする。
12/30 ガス、吹雪 -15℃ Stay C4=C5
(05:20)C4(06:00-06:30)Co1520 リフト終点(7:40)C4=C5泊
黒岳をのっこすつもりで出発。6時にリフト終点駅に着く。風は弱まったが、上部はまだ吹雪いている。風もまだゴウゴウ唸る。吹きっさらしのお鉢平の稜線行動は厳しいと判断し引き返す。ゴンドラ駅が開いたので、駅の中に入ってストーブで暖まる。スタッフのおじさんが親切で濡れものを乾かさせてもらう。ありがたい。マレーシアや中国の団体客がゴンドラで沢山やってくる。肉に飢えていた私達はついにレストハウスにアタックし黒岳丼を食う。めちゃ美味であった。川端の雪国を読み終え、することがなくなり写経をする。スタッフのおじさんから借りてコマ回しをやったりする。終業まで居座り、スタッフの方に挨拶してテン場へ。酒も飲み干した。5停滞め。
12/31 快晴のちガス、地吹雪 冬型緩み −5〜−17℃
(05:10)C5(08:00-08:10)黒岳(11:20-11:50)白雲岳避難小屋(16:00)忠別岳(18:10)忠別岳避難小屋=C6
外に出ると満点の星空。微風。ようやく山行再開だ。黒岳手前の斜面ではソリが再三ひっくり返り苦労をする。今回は2つのタイプのソリを用いている。船底が丸浅底の普通のソリと、和船のような角深型形状のソリ。hazukiの角形ソリの方が引っ繰り返りが少ない。快晴の黒岳頂上から、お鉢平の大雪原がぐるりと見渡せる。ここからソリの本領発揮だ。ソリ曳きスキーでお鉢の中に滑り降り、なだらかな起伏を越え最短ラインで白雲小屋へ向かう。気温も高く、久方ぶりの太陽に感謝する。すぐに白雲コルに着くと雲海に沈む高根が原の向こうに目指すトムラが浮かぶ。心躍らせながらソリを引いて小屋へ滑り降りる。忠別までの約10kmでソリを活かすためソリの荷を増やし、寒気の雲海に沈む高根が原へGo。高根が原は西風が強く、気温も−15℃に下がる。まともな冬型ならひどい目に合うだろう。今夏遡行したユウセツ沢からの吹上げが身に堪える。忠別沼付近で、雪うさぎが慌てて穴に飛び込むのを見た。ソリは忠別岳まで快調に滑り、日没近い16時に忠別岳ピーク。視界のない中ラテルネ行動で忠別避難小屋へ向かうが、ルートをミスり何度も地図を確認する。1時間強ロスしてやっと小屋に着く。大乗越し成功を祝って肉で大晦日を祝う。
1/1 ガス 冬型 地吹雪 −15℃〜-20℃
(12:00)C6発(14:30)ヒサゴ沼避難小屋=C7
あけましておめでとう、と鏡餅を供えて朝食。外はえげつない風ゴーゴー。尻があっという間に氷漬けになる。おしるこを食べ、風が弱まるのを待ち昼に出発する。五色岳からコンパスを240度に切りヒサゴ沼に向かって直進する。常に北よりの地吹雪に曝され、顔面凍傷になりそう。まつげも氷漬けになる。恐ろしい風の中ようやくヒサゴ沼避難小屋に着き、2階から入る。1階はかなり吹き込んでおり少し除雪した。
小屋の中は−15℃。外は風が強まり台風の如く唸りを上げている。
1/2 冬型 Stay ガス、強風 C7=C8
視界なく、風も強くStay。小屋にあった余りガス缶と半端米を発見し、食べる。
一日中外は猛吹雪で改めてトンデモない場所に自分たちがいることを実感する。体ほぐしに懸垂対決や腹筋運動をして時間を潰す。とにかく寒い。
1/3 冬型 Stay 地吹雪 C8=C9
冬型緩む予報で4時に起きるも外はブリザード。大雪山は回復が遅い。西〜南よりの地吹雪に変わる。見た夢の話をする。外はこんなにエグい風だのにラジオでは札幌は穏やかな晴天と言っている。小屋から対岸の丘は見えるので上空は晴れているようだ。懸垂とラジオで時間を潰す。
1/4 晴れのちガス、吹雪
(03:40)C9発(06:30-06:40)トムラウシ山(08:00-08:10)三川台(12:20)コスマヌプリ(14:00-15:00)・1404オプタテ北東コル=C10
深夜1:30に外を見ると満点の星空。風も弱い。飯食って出発する。星空の下、トムラウシへ。明るい流れ星を幾つも数えた。トムラ北沼には掘れる良い雪庇がある。
トムラを西から回り込み、空身ツボで山頂アタック。モルゲンロートの大地が浮かび上がる。辿ってきた大雪山は遥か向こうだ。行く手の十勝連峰がゆっくりとピンク色に染まってゆく。日の出を待たず、ピンク色の大雪原を三川台に向かってソリを引く。日本離れした光景だ。ツリガネ山の肩で一休み。予報どうり昼頃から天候が崩れ始め、コスマヌプリに近づくにつれガスに覆われる。コスマヌプリの少し細い頂稜はシートラで行くが、バリスボ&ソリがBushに引っかかる&風煽られるの三重苦で消耗する。オプタテ北東コルでテン場適地を1時間ほど探し回ったのち、風の避けられる窪地で雪庇を崩してC10とする。夜は暖気が通過し暖かいが湿り気のある雪でテント内の結露がひどい。前線通過に伴い雪が降り続ける。夜中にテント除雪を1回。びしょ濡れになる。
1/5 ガスのち吹雪 昼から冬型
(06:40)C10発(10:50)オプタテシケ山(10:50)ベベツ岳北東コルCo1750=C11
この日は昼から冬型が決まる予報。自分たちの目標は富良野岳。少なくとも7日には着かなければならない。午前中にオプタテを越えるつもりで出発する。二人とも前日の大移動の疲労が残っている。オプタテはCo1700辺りからシートラEP。ズボるところと堅雪が交互に現れ苦しむ。読みより遅れて頂上稜線に到達。既に天候は悪化しており北面から吹き上げる暴風がえげつない。稜線上はホワイトアウトでルートファインディングがシビア。ここは正念場でGakuが前を行く。かろうじて見えるエビの尻尾に目を凝らし、稜線を見定め想像力をフルに働かせ進む。度々完全に真っ白くなり時間をかける。北面のジェットストリームで視界も凍ってくる。ジワジワ前進し渾身のオプタテピーク。ここからの下りも本気。白く雪のたまったところでは本当に何も見えない。地図とコンパスを凝視する。苦労してベベツ手前コルに降りると、ここも猛吹雪で雪も深く足元すら見えない。ビバーク適地を探す。ベベツ東斜面を目標にコルからトラバースでラッセルして行く。一目散にスキーを歩かせてゆくと、hazukiの前を歩いていたGakuが視界から消えた。雪庇を踏み抜いたのだ。落ちたGakuは10m 程滑落して停止し、そこが目的の掘れる斜面であることを確認。hazukiのコールに応えて、「降りれるぞー!」と叫ぶ。と言っても何も見えない真っ白い虚空に飛び降りるので恐ろしいのだが覚悟を決めてhazukiも上から落ちてきた。そしてGakuにぶつかった。「うげぇぇ。。。」と呻き声をあげる二人。
1h程掘り快適な雪洞を完成。逃げ込んでホッとする。生き延びた。
携帯で今後の天気傾向を確認する。食料は残り3日分あるが、寒気が厳しく天候回復が期待できないことから翌日は美瑛富士まで行って下山に向かうことに決める。オプタテ乗越しに感謝し残りの肉をたいらげ好きなだけココアを飲む。
1/6 吹雪
(08:00)C11(13:00-13:10)林道出合(17:30)白金温泉
ゆっくりと準備する。雪洞を出ると外はまだ吹雪。寒気が強いためか天気図から想像する以上に風が強い。急斜面をEPで上がり雪庇を乗り越えコルに出るとまだ猛吹雪。とても稜線行動続けられる風ではないのでベベツ北尾根経由で下山することとする。向かい風に顔面叩かれつつ高度を下げる。微尾根に迷い込んだりしながら地図とにらめっこして降りてゆく。Co1500付近まで来ると大分風は弱まった。カンバが出始める辺りから新雪がどっさり積もりスキーでも腰以上の胸ラッセルとなる。沢型に近づきすぎたため、微沢をトラバースしつつ北尾根に向かって下って行く。Co1200、傾斜が緩んだところでソリモードに積み直す。深雪ラッセルだと今度は角形ソリがすぐ横転しひっくり返ってしまい難儀する。丸浅底ソリは平地ではうまく雪に乗って調子が良い。ようやく林道についてからも膝上のラッセルが続く。ここからソリ2台を連結しセカンドが曳くことにした。延々ラッセルが続きもう1ビバークも頭をよぎったが、暖かい温泉に入ることで頭がいっぱいになった我々二人は夢中でラッセルして行く。日も沈みラテルネ行動でついに車道に出る。ヨッシャー。白金の湯に駆け込み、極楽気分を味わう。この湯はオーナーが変わったのか、古民家カフェ風に改装されて休憩室がお洒落になっていた。ダラダラ休ませてもらう。閉店間際の林道食堂に空身アタックし夢にまで見たカツ丼&ラーメンを食う。帰りにみかんをいただいてありがたかった。もう1泊避難所でテント泊し、翌日旭川で焼肉定食を食べて帰札した。
天候 | 概ね吹雪 晴れ2日 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年12月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
ヒサゴ沼、忠別小屋はdocomo電波なし。オプタテ北東コル、ベベツコルは電波あり。 |
その他周辺情報 | 白金の湯、林道食堂 |
写真
装備
個人装備 |
スキー
アイゼン
ピッケル
ビーコン
スコップ
ゾンデ
|
---|---|
共同装備 |
そり2台
Dragonfly
灯油2.5L
食料14日分(米120g/日
スパ120g/日
ココア砂糖他)
|
感想
厳冬期の黒岳〜富良野縦走は過去何度か試みたことがあるが、天候が常に悪いこと、社会人の限られた休みでは好天に合わせての入山がなかなかできなかったこと等から全く勝負にならず、敗退していた。
今回、大寒波によりいきなり5停滞になってしまったが、僅かなチャンスを逃さず核心部を通過しかろうじてオプタテを乗っこすことができた。富良野まで行けなかったのは残念だったが、停滞の日々も楽しく過ごすことができたのは力強く成長した後輩のおかげ。何より、毎日ウン○話で盛り上がれる話し相手がいるのは頼もしい。足腰を鍛え直さねば。
厳冬期の大雪山の猛吹雪は想像以上の脅威で、到底人間は太刀打ち出来ないと感じた。
強風よりも吹雪よりも極寒よりも、1番怖いのはホワイトアウトだった。
そんな中、大雪原をソリを曳いて駆け抜けるという、思い描いていたスタイルを実践できて嬉しい。
本当にシビアな場面ではセンパイに頼りっぱなしであった。
もっと強くならなくてはと思った。
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コメント
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ヒィヒィで縦走したあの道のりを、今時期こうして歩かれる方がいるなんて!と驚き、そして感動しました。
停滞しながら、地吹雪にあいながら、出会えた青空、モルゲンロートにはさぞかし喜ばれたことでしょう。
私には見られない壮大なる景色を見せていただきありがとうございます。
大変お疲れ様でした。
ありがとうございます。夏冬ともに北海道のゴールデンルートと思います
まだあったんですか!
懐かしいね!
このルート、厳冬期は大変だと思うよ。
おじさんもおばさんも優しいです!
年末年始は毎年厳しくて特に大変と思いました。
すごいですね!
すごい、素晴らしい、グレートです。
大変お疲れ様でした。
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