初めての冬山合宿 中央アルプス



- GPS
- 176:00
- 距離
- 17.7km
- 登り
- 1,784m
- 下り
- 1,765m
コースタイム
12/31停滞
1/1 停滞
1/2 停滞
1/3 停滞
1/4 木曽駒往復
1/5 下山開始9:00〜北御所21:00
1/6 帰宅
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
低気圧来襲風雪が続く 1/6午前中のみ晴れて、午後から雪 |
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写真
感想
これから書くのはいまから50年前のことである。記憶もさほど正確ではないので、いい加減だとは思う。私が初めて経験した冬山合宿である。
1963年の12月夜行列車で新宿を発ち、辰野で飯田線に乗り換えて駒ヶ根駅まで行き、バスで北御所登山道の入口から出発した。
ともかく、その日のうちにベースキャンプまで入ったと記憶する。
その夜からゆきが降り始め、翌朝も降雪と風雪で行動ができなくなった。大きなかまぼこ型のテントともう一つの中型のテントであったと思うが、一週間雪に閉じ込められた。
醤油の瓶を外に出しておいて、割れたのもこのときだと思う。
トイレの用足しも大変だった。お尻を出してると風と雪でバリバリになる。穴掘りをして風よけをしないと落ち着かない。ともかく、テントの中でゴロゴロして過ごすしかない。
この時代はよく歌を歌った。3日目が過ぎたころだろうか。我々で合宿の歌を作った。この正月は全国的にも天気が悪く、気象情報を聞きながら天気図を書いた。私が書いたわけではない。低気圧が日本の上空に二つ並んで目玉のようになった形であった。それが停滞して抜けなかった。
<中央アルプス冬山惨歌> FAC作詞
1
荷揚げ山行 はやすんで
伊勢滝コースも 順調に
着いたところは 八合目
ブルースカイは 夢のなか
2
張り綱張る手に冬山の
寒気厳しい ブリザード
稜線見る目が 凍りつき
モルゲンロートは いつのこと
3
きびしゅうござんす アルプスは
二つ目玉の 低気圧
時々くれる 差入れに
かすかに見える 青い空
4
吹雪のやんだ そのすきに
テントの中から 這い出せば
ちらりと見える 星屑に
明日のファイトを 湧きたたす
これを新人哀歌の節回しで歌う。今では<新人哀歌>なんて歌える人もいないだろう。
この歌は名曲だ。
冬山の雰囲気出てるし。今歌うと懐かしい。これをテントの中で作り上げた。
3番目の<きびしゅうござんすアルプスは>は実感であった。
たばこが切れて、しけモクに爪楊枝をさして吸ったりもしていた。私は煙にあぶられてたいへんだった。そうしたら先輩がお前も吸えば大丈夫だなぢお無責任なことを言って笑っていた。
下山日の前日の前日、ほんとに夜風が止み、星が見えた。明日は晴れるぞとみんな思った。
翌日、全員で木曽駒ヶ岳と宝剣岳へ行くことになった。この一週間の行動予定は全部中止になって、やってたことは雪かきだった。テントがつぶされてしまうから、毎日していた。
写真は下山する前の日のものだ。初めて目にした風景の素晴らしさに17歳の自分は興奮したものだった。秋に荷揚げに来た時と様子がまったく違って色のない真っ白な景色に魅了された。
この合宿が忘れられないのは、歌が歌っていない最後の下山にあった。
最後の日、天気は安定していたが、一週間降り積もった雪は、想像以上に深く、このころにはスノーシューなんてものはないから、腰までのラッセルになった。
女性が4人かな、男性が10人くらいだろう。それもキスリングを背負っての行軍だ。
テント撤収し終わって、朝九時にベースキャンプの八合目を出た。
しかし、一向に進めない。飯をくうのもままならず、毛糸のぶあつい手袋を雪にさして、雪を喰いながら歩いた。腹も減って、やがて暗くなって、ライトをつけて下山する。私はまだこどもだったから、この時の先輩たちの胸中がどうであったか知る由もなく、ただひたすらくっついていくだけだったが、この先輩やリーダーを信頼していたのだろう。少しも怖くはなかった。
秋、3時間で下った道を12時間かかって北御所の集落に降りてきた。
民宿に宿をとることができて幸いだったが、雪の中で一夜を明かすようなことになったかもしれない。
私もラッセルをやったけど10分ともたなかったような気がする。
でも大勢でいてにぎやかだった。
今思うと、この時の記録を残していなかったことがとても残念に思う。日記代わりが歌になった。
忘れられない冬山体験なのだ。この時中央アルプスに入っていたのは我々だけであったと思う。他のテントも人も見なかった。
今の冬山の賑わいが信じられないじだいであった。
北御所登山口からどのように民宿についたかは覚えていないので、ルートは登山口までとした。
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