両神山【尾ノ内沢〜梵天尾根(ツエルト泊)】
- GPS
- 32:00
- 距離
- 11.7km
- 登り
- 1,575m
- 下り
- 1,376m
コースタイム
-1440龍頭神社奥社1450-1535東岳-1630剣ケ峰-1720野営地(ミヨシ岩手前コル付近)
2日目/0630野営地-0730ミヨシ岩-0825大峠0840-0920梵天ノ頭-1015白井差峠-1135中双里BS
天候 | 1日目/晴れ時々小雪 2日目/晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路)中双里バス停より西武バス(三峰口線)で三峰口駅下車(¥670-) |
コース状況/ 危険箇所等 |
小金平BS〜登山口駐車場 登山口駐車場近くにある自然ふれあい館内にトイレ、自販機があります。 建物内は無人でしたが開放されており、渓谷を訪れた人が記帳するノートが備えてあります。 (登山口駐車場:8時40分頃の気温 5℃) 登山口駐車場〜油滝 沢を4、5回渡渉しながら、沢沿いを進んで行きます。 要所に赤リボンがあり、また渡渉箇所にはケルン積んであったりするので、迷うことはありません。 ただし急傾斜をトラバースするようなルートもあるので慎重に進みます。キギノ沢出合の先、滝を右手に見下ろしながら 通過する箇所に、補助のためクサリ場があります。 油滝〜地獄穴 油滝で道標に従い方向を変え進んだところで、やや広い傾斜地に出ます。このあたりは踏跡不明瞭です。 コンパスで方向を再確認しながら進むべきでしょう。 地獄穴〜〆張場 この辺りから核心部です。この時期は所々に残雪、凍結箇所があるので、6本爪以上のアイゼンは必携です。 また赤リボンなどの目印もまばらになり、踏跡も確認しづらいため、予定以上に時間がかかります。 〆張場に着くと左手に進路を取る事になるのですが、それに気付かず直進すると切れ落ちた断崖に出ます。 〆張場〜龍頭神社奥社 急傾斜地のトラバース、キツい直登が続きます。やはり凍結箇所多く、一歩足を滑らせると 数十メートル下へ落ちてしまうような場所も多く有ります。 補助のクサリや針金も部分的には有りますが、無い所は自己確保が困難です。 (龍頭神社奥社前:14時40分頃の気温 0℃) 龍頭神社奥社〜剣ケ峰 1年前の同時期より残雪、凍結箇所は多かった気がします。 狭い足場が凍り付いている箇所もあり、アイゼンを付けクサリ場を登ります。ひたすらクサリの体力勝負です。 (剣ケ峰山頂:16時30分頃の気温 -2℃) 剣ケ峰〜野営地 通行止めのロープをくぐり進みますが、意外に踏跡は明瞭、赤リボンも豊富です。 不安になるような場所は無かったと思います。 野営した場所は、稜線東側の広々とした緩やかな傾斜地です。 場所を確定出来なかったのですが、ミヨシ岩の手前コルよりもっと手前のようです。 (野営地:17時30分頃の気温 -7℃) 野営地〜ミヨシ岩 ミヨシ岩手前のクサリ場もしっかりツルツルに凍結していました。 北斜面はまばらですが凍結箇所も多く、アイゼンの取り外しのタイミングは難しいです。 ミヨシ岩〜大峠〜梵天ノ頭〜白井差峠 急傾斜地をトラバースするルート上に、落ち葉が大量に溜まっていて滑りやすいので注意。 白井差峠〜中双里BS 稜線上の急斜面をひたすら下り続けます。 |
写真
感想
昨年11月の南アルプス縦走以来、5ヶ月ぶりの山行です。
冬の間に相当体が鈍ったし、この前買ったマウンテンブーツの慣らし履きもしたいし、
ちょっとした残雪ルートも通りたいし、と色々考えながらも今年最初の山行は緩めの計画を考えていたのですが…。
いつもの悪いクセで計画を練るにつれ、今の自分には技術的、体力的、シーズン的に難しいコースを選定していたようです。
両神山【尾ノ内沢〜梵天尾根】
ちょうど一年前に坂本BSから八丁尾根を縦走しましたが、今回はバリエーションルートである尾ノ内沢道を選びました。
尾ノ内沢道は、昔講中登山で栄えたコースのようですが、
今は利用する人も少なく、また油滝までは道標も完備されていますが、
油滝から先、龍頭神社奥社までは手入れのされていない荒れた登山道です。
前回は、日向大谷へ下ったので、今回は梵天尾根を下る計画です。(梵天尾根という名前にも惹かれました。)
また日帰りは時間的に無理なので、ミヨシ岩手前のコルあたりで野営することにしました。
登山口から油滝までは問題ありません。
油滝から地獄穴を目指すところで、少し開けた斜面でリボンを見失いましたが、
進行方向だけ確認してアタリをつけて登って行くと、ルートに戻りました。
そして地獄穴を過ぎ〆張場あたりになると、バリエーションルートの本性が見えてきます。
目印となる赤リボンもまばら、踏跡も不明瞭、少々不安になったところで、
深い谷を巻くような急傾斜面上の細い踏跡をトラバース、所々に積雪、凍結箇所が出てきます。
暫く山から遠ざかっていた己のコンディション、残雪期の行程におけるロスタイムなどを
ほとんど想定していませんでした。
予定していた時刻よりも遅れがちでしたが、元々余裕をみたコースタイムを設定していたので、
それほど焦っているつもりも無かったのですが、体力的にはかなり消耗し、それに伴い判断も鈍くなっていたようです。
そしてルート上のポイントとなる〆張場について、ちょっとホッとしつつ、
その先に目印らしきものを見つけて進んで行くと断崖に出ました。
「なんで!?ここは降りれない!」と思った…、この辺で心理的にはかなり焦っていたのでしょう。
一旦ちょっと戻って、もう一度別の踏跡が無いか、目印となるようなものは無いかと思い探しました。
特に見当たらない。が、この脇の斜面を強引に直登すれば、先にあるはずのルートに合流出来そう、
と思ってしまった。ハッキリとした理由は憶えていないがそう判断してしまった。
野営用の水が詰まった重いリュックを担いで、急斜面を登りだしました。
数メートル上がったところで足を滑らし横転、勢い良く転げ落ちていきました。
グルグルと何度も回転しながら、急斜面を4〜5m落ちたところで、胸と右足すねに強い衝撃があり
体が止まりました。木に激突です。おかげで、さらに奥には落ちなくて済んだ。
朦朧としながら、また〆張場まで行き一息ついた。
右足のすねは痛むが、骨に異常は無いようだし、胸も痛いが息は出来る、頭部は無傷。
いくつもの偶然が重なって最小限の負傷で済んだことを神様に感謝すると同時に、
今まで感じた事が無かった山での死をリアルに感じました。死んでもおかしくなかった、と思いました。
少し落ち着いてから、右手の先を見るとさっきは全然気付かなかった赤リボンと踏跡がみえました。
さっきは全く目に留まらなかったのに…。ルートの続きを確認出来たことで、ここから引き返すより、
山頂を目指す方が安全と判断し先を急ぎました。
以降、稜線合流地点まで、次から次へと谷を巻く斜面を横切る凍結したルート、急峻な岩場の直登を
無我夢中で進み、どうにか龍頭神社奥社に辿り着きました。
剣ケ峰に到着したのが、想定タイムより2時間遅れの16時30分、日没迄はまだ時間があることを確認して
今晩の野営地へ向かうため、梵天尾根を下ります。
野営地は、尾根から外れ左手に少し下った広々と開けた緩やかな傾斜地で、ひとりで幕営するのは贅沢な場所です。
日が暮れるまでに夕食を済まして、シュラフに潜り込みましたが、体のあちこちが痛く、寝返りを打つのも一苦労でした。
この日は、満月の夜空を楽しみにしていたのですが…、到底そんな気分じゃなかった。
夜中、ツェルトの内面は結露が凍り付き、またシュラフとシュラフカバーの間の結露もまた凍り、
なかなか寝付けなかったのですが、両足の裏にホッカイロを貼付けてからは熟睡、翌日は6時半に出発しました。
ここからは、バスの時刻に間に合うように常に時間を確認しつつ進みました。
打撲と筋肉痛が入り交じった痛みをこらえながらひたすら下ります。最後は忍耐力だけでした。
うんざりした、下りの果てに民家が見えた時には心底安堵しました。
戻って来れて良かった…。
中双里BSそばの橋からは、秩父槍ヶ岳がきれいに見えました。
今回の山行は失敗です。
バリエーションルートを甘く見てました。正直、自分の力を過信していた部分もあります。
また、山ではちょっとした気の迷いが、死に直結することを実感しました。
これからも山を楽しみたいのなら、今回の経験を今後の山行に活かしていかなくてはなりません。
まだまだ勉強、修行が足りませんな。
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