甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根に挑戦した
- GPS
- 12:23
- 距離
- 21.3km
- 登り
- 2,593m
- 下り
- 2,597m
コースタイム
- 山行
- 11:21
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 12:23
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に問題はないが,ハシゴや鎖場,岩場が続くので,それなりに危険 |
その他周辺情報 | 下山後,甲斐駒ケ岳温泉・尾白の湯に寄った。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
飲料
地図(地形図)
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
カメラ
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感想
2019年8月12日(祝月)に,黒戸尾根を登って甲斐駒ヶ岳に挑戦してみた。2016年に劔岳の早月尾根に挑戦した時に「次は甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根ですね」と言われて以来,いつかは黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳に登ってみたいと思っていた。それが今年やっと実現した。しかし,言うほどトレーニングができていなかったので,早月尾根と同じように苦しい山行となった。やはり黒戸尾根は噂に違わぬハードなコースだった。
7月頃からお盆に甲斐駒ヶ岳に行こうと考えていたのだが,気になったのは天気だった。2019年8月は3個の台風,8号,9号,10号が立て続けに日本に近づいた。特にお盆前に台風10号が発生して,当初は 8/12 か 8/13 に日本に上陸しそうな勢いだった。その前に行ければよかったのだが,高校の同窓会があったために,行くなら 8/12 か 8/13 と思っていたので,困っていた。しかし,台風10号は速度が非常に遅く,結局日本に上陸したのは 8/15 を過ぎてからだった。そのため,より天気の良さそうな 8/12 に甲斐駒ヶ岳に挑戦してみた。
黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳に登るには北杜市の尾白川渓谷から登る。そのため,関西から新名神,伊勢湾岸道,東海環状道,中央道と走って,小淵沢インターまで行った。そこから国道20号線に出て,少し行くと尾白川渓谷はすぐだった。朝飯と昼飯を買おうとコンビニを探したが,尾白川渓谷に行くまでにコンビニはインターのそばに一軒と,国道20号線沿いに一軒だけだった。国道20号線沿いのコンビニに寄ったが,おにぎりはツナマヨしかなかった。なんでやろ?
尾白川渓谷の駐車場に着いたのは午後10時頃だった。出発は午前3時かな,と考えていたので,とりあえず仮眠した。目覚ましを午前2時過ぎにセットしたがなかなか起きれず,結局起きたのは午前3時過ぎだった。そこから準備をすると出発は午前4時過ぎになってしまった。さすがに午前4時はまだ真っ暗で,ヘッドライトをつけての出発となった。ちょうと同じぐらいに出発する人が2人いたので,登り始めまではその人達について歩いた。駐車場から駒ヶ岳神社まで行き,その左側を行くと尾白川渓谷を渡る吊橋がある。まずは駒ヶ岳神社にお参りして登山の無事をお願いしておいた。それから吊橋を渡って正面の斜面を登るのが黒戸尾根のコースだった。ちなみに登山口は「竹宇登山口」と言うらしい。
登山口から渓谷沿いの斜面をぐいぐい登る。その時点で一緒にスタートしたお二人に置いていかれてしまった。朝イチだったし,水分を多く持ちすぎていたのかもしれない…。以前,剱岳の早月尾根に登ったときは 6L で足りなかったので,今回は 7.5L 持っていた。途中の七丈小屋で水を 100 円で買えばよかったのだが,せっかくだからと持って上がってみた。それがしんどかった原因の一つだったかもしれない…。少し急な登りを登ると,登山道はしばらく水平移動した。暗かったのもあり,ほんとにこの道か?と思ってしまった。しかし,途中に何箇所も甲斐駒登山道みたいな標識があり,安心して歩けた。そのうち登り始めたが,延々と登っていく感じがした。登り始めてから標高差 700m ほど登ると尾根っぽい感じになり,しばらくすると一瞬下りがあり,左下から来た道と合流した。そちらは横手登山口からの道だった。その先は少し傾斜が緩くなり,しばらく横移動っぽい感じだった。やがて石碑がある辺りから再び登り始めた。その辺りは足元は笹原がずっと続いていた。やがて傾斜は徐々にきつくなっていった。そのうちまた傾斜が緩くなり,しばらく快適な登山だった。
やがて岩が増えてきて,少しずつ尾根っぽいなぁ,と思い出したら,ナイフリッジ状の岩場の刃渡りが現れた。手すり状の鎖があるので怖くはないが,下を見るとそれなりの高度感があった。その先は尾根上の岩を乗り越えたりした後で再び森の中を横移動する感じになった。そこで後ろから来た4人組のトレラングループに抜かされた。しばらく行くとハシゴが出てきた。連チャンのハシゴがあり,その先にも少し急なハシゴがあった。その先にも3連チャンのハシゴがあり,いよいよ黒戸尾根に来た実感が湧いてきた。その先もロープや鎖,ハシゴがあったのち,刀利天狗に到着した。刀利天狗には多くの石碑があった。その先はしばらく横移動の区間が続いた。そこは木も石も苔むしていて少しガスがかかり幻想的な雰囲気の中を登っていった。なんとなくジブリを感じる区間だった。
そんな快適な区間が続くと思っていたら,徐々に下りだした。それもかなり急に下り始めた。まだまだ登らないといけないのに,なんでこんなに下るの?というぐらい下った。登りが増える,というよりは,帰りにここを登らないとあかんのか?という気持ちが強かった。その下りが終わった辺りは少し開けていた。そこは五合目小屋跡地だった。その向こうには壁状の岩しか見えなかった。ルートはどこ?という感じだった。その先ルートは岩を右から巻くようにして長い階段が2個ほどあり,さらにロープ,鎖,階段,急登,またロープ,鎖,という登りが続いた。一箇所橋がかけてあるところもあった。本格的に修行の山,という感じになってきた。その辺りにくると,七丈小屋やテント場から下ってきた人たちとすれ違った。その人達に聞くと,七丈小屋から山頂まで3時間です,と言われて,まだそんなに?とちょっと凹んでしまった。急登が続くなぁ,とダラダラ登っていると,急に七丈小屋が現れた。もうちょっと平坦な場所にあるかと思ったら,結構急な場所に建っていた。七丈小屋は少し離れて第二小屋があり,その辺りの崖側にトイレがあった。テント場はひと登りした上にあった。第二テント場はさらに上だった。結構大変そう。
七丈小屋で 200 円払ってトイレを借りた。そこで聞くと,七丈小屋までがある意味メインなので,その先はましですよと励まされた。まぁ,確かに七丈小屋の下よりもしんどくなくもなかったけど,八合目より上の2本刀剣が刺さった大岩付近の登りはかなりハードだったなぁ。七丈小屋辺りからは急に見晴らしがよくなった。雲海の向こうに八ヶ岳が見えて気持ちよかった。七丈小屋から上はそれなりにきついけど,普通の登山道という感じが続いた。それでも,七丈小屋までに疲れた足には厳しい登りだった。八合目辺りに見晴らしのいい場所が数箇所あった。そのうちの1個には大日大聖不動みたいな石碑があった。その辺りからは雲海がきれだった。山頂はもっと眺めがいいかな?と思ったが,登った時にはガスが上がってきていて,少し眺めは悪くなりかけていた。石碑の辺りからやっと山頂付近が見えた。でも,まだそれなりの高度差があり,先は長そうだった。
八合目付近をすぎるとぐいぐい登り始めた。岩に足場が掘られた鎖場や,斜めに体を持ち上げないといけない鎖場などがあった。その先もどんどん急になり,刀剣のある岩の辺りまではかなり急な登りが続いた。特に垂直に近い壁の中間あたりに鎖がある区間はきつかった。ずっと急登が続く感じだった。その辺りが甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根のハイライトだった。やがて2本の刀剣が挿してある岩場が横に見えると,傾斜は少し楽になった。その先,少し広く大きな斜めの岩がある辺りから先は,それなりにきつい傾斜だったが幅もあり言うほど怖くなかった。幅が広く高度感が少なかったのかもしれない。そこまで来ると山頂まではもう少し,という感じだった。でも,ほぼ使い切った足にはきつかった。山頂の祠が見えるのに,なかなかたどり着かないもどかしさを感じた。でもその辺りに来ると,森林限界を超えハイマツばかりになってきて,3000 m 級の山に来た実感がわいた。
そしてやっとのことで山頂っぽい刀剣だの石碑だのがたくさんある石の祠についた。しかし,そこは山頂ではなくて駒ヶ岳神社本社だった。でも,ほぼ頂上と同じ高さで,やっと登ってきた,と感じた。そこから山頂までは,砂地と岩ばかりのところを越えてすぐだった。山頂にはわらじがいっぱいつけてある祠があった。その左奥に甲斐駒ヶ岳山頂の碑があった。山頂からはすぐ向こうに仙丈ヶ岳や鋸岳,遠くには白山,反対側には八ヶ岳連峰の峰々が見えた。すごく気持ちよかった。山頂には北沢峠から来た人も多く,20〜30人の人がいた。バーナーでお湯を沸かしてカップヌードルを食べる人や,コーヒーを飲む人などがいた。みな思い思いに山頂を楽しんでいた。せっかく登ったので,しばらく山頂にいようとも思ったが,結構ガスが上がってきはじめたので,30分ほどで下山することにした。
下山は登りよりもずっとラクなはず,と思っていたが,やはり思ったよりしんどかった。登ってきた分,下りないといけなかったから…。黒戸尾根だしね。しかし,七丈小屋や五合目小屋跡辺りまでは,結構急な下りで気が抜けず,気づいたらかなり下っている感じだった。五合目小屋跡の先にある登り返しはしんどかった。下る途中にあの登りは厳しいなぁ…。その先も刃渡りを過ぎるまではそれなりに滑落の危険もあり,気を遣いながら下った。
刃渡りを過ぎると難所が終わったとほっとしたが,そこからがとてもとても長かった。刃渡りはまだ標高 1950m 付近にあり,750m の登山口まで 1200m ほど下らないといけなかった。滑落の心配はなくなってもう終わった気になってしまったが,まだまだ長い下りが残っていた。そこで,早く帰ろうと思って,傾斜が緩やかなところはまだ足が残っていたので小走りしてみたた。最初こそよかったが,気づいたらまあまあ急な斜面でも同じようにペースを上げて下っていた。そのうち,2〜3度滑って尻もちをついたので,それ以上は危険だと思い,ペースを下げてゆっくり目に下ることにした。
そして,1470m 付近にある横手登山口への分岐点まで来た。下っている時は分岐点の標高を気にしていなかったが,もう終わったも同然みたいに感じていた。しかし,まだそこから高度差にして 700m ほどの下りが残っていた…。それはそれは辛い下りだった。似たような風景,似たようなカーブが続き,もう終わるか,もう終わるか,と思いながら下った。
結局,横手登山口への分岐点から1時間以上かかって下った。終盤に登りで抜かされた4人組のトレランの人たちに追いついた。皆さん,道を譲ってくれそうになったが,こちらも足が残っていなかったので,遠慮して同じペースでゆっくりと下った。やがて吊橋が見えた時にはすごくホッとした。しかし,そこに思わぬ落とし穴が待っていた。なんと,吊橋が渋滞していた…。実は,吊橋の定員は5名らしい。そのため,交互に行き来するのに時間がかかり渋滞していた。ちょうどお盆休みで,尾白川渓谷は親子連れで賑わっていた。そのため,20分以上待たないといけない感じだった。しかし,そこまで待てないと思ったので,靴と靴下を脱いで渡渉し,川向うの道なき斜面を登った。トレラングループの4人の人たちは並んで吊橋を渡ったらしく,20分ほど遅れて駐車場に帰ってきた。
川を越えてから駒ヶ岳神社にお礼をし,駐車場に戻って靴を履き替えて近くの温泉に向かった。温泉は「甲斐駒ケ岳温泉・尾白の湯」といい,白州・尾白の森名水公園「ベルガ」の中にあった。そこで汗を流して,そうそうに帰路についた。尾白川渓谷から国道20号線を走り,小淵沢インターから中央道に乗った。途中,諏訪湖SA でロースカツ膳を食べ,ガソリンを補給しておいた。そこから関西に向かったが,すごく眠く,また恵那山トンネル前後で渋滞しているとのことだったので,いきなり辰野PAで休憩してしまった。気づくと4時間ほど経っていた。おかげで渋滞もなくなり,頭もすっきりしたので無事に帰宅することができた。
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