常念岳-蝶ヶ岳周回 田淵行男を想いながら
- GPS
- 28:19
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 2,141m
- 下り
- 2,125m
コースタイム
24日 5:55蝶ヶ岳ヒュッテ-8:55登山口-9:10駐車場
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三股-常念 雪は頂上直下の少しだけ。只管登る。 常念-蝶ヶ岳 けっこう登り下りあり疲れる。樹林帯の雪もけっこうある。 蝶ヶ岳-三股 頂上直下の雪は、早朝とかで硬いと、軽アイゼンでも使う手間を惜しまないほうがいい。全体的に優しい道。 「ほりでーゆ四季の郷」は安いし気持ちいい。蝶ヶ岳ヒュッテで割引券もらえる。 「田淵行男記念館」はいいところです。若い人にもっと知ってもらいたい。 |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
2007年のクリスマスに、パーティー山行で三股から常念を目指したことがある。しかし大雪のため、登山口からのラッセルで8時間以上かけて森林限界を超えるのが精一杯で撤退。北アのあちこちから常念は見ているが、これまで、頂上とは縁がなかった。しかし、常念は、私が最も敬愛する山岳写真家(にはとどまらないが)田渕行男が生涯に206回登頂した山。田渕行男の一端に触れたい思いで、常念-蝶が岳縦走を考えた。
6月23日 未明1時に、「ほりでーゆ」の駐車場に着いて仮眠。4時に起きて三股の駐車場へ移動。10台くらい停まっていた。蝶槍を見上げながら、5時10分にスタート。ゲートを越え林道を歩いて登山口へ。前回は雪の中、ここにテントを張ったなあ。さあ、ここからが本当のスタート。明日下ってくる蝶への登山道を左に見て常念登山道へ。ここからは一本調子の只管(ヒタスラ)の登り。こんなところ、よくラッセルしたよ。淡々とこなす。2200m辺りで傾斜が緩んでほっと一息。前回は7時間かかったところを、今日は2時間半弱。雪がなけりゃ、楽勝だ。森林限界を抜け、標高差400mくらいの岩場をこなす。途中、稜線越しに穂高の峰々も見えてきた。丁度4時間で前常念に到着。ここまで来ればあと少し。傾斜も緩んだ岩稜地帯の標高差200mをやっつけて、10時半に常念山頂。(田渕先生、初めてやってまいりました。)天気は高曇り、無風で最高のコンディション。目の前に残雪の槍-穂高の連なりがでかい。立山-剱、野口五郎、赤牛-水晶からワリモ、鷲羽、三俣蓮華、双六の懐かしい山々もクッキリ。双六方面はまだまだスキーできそう。横通から大天井の縦走路もいい感じ。乗鞍、御嶽も貫禄。振り返れば、頸城、八ケ岳も明瞭。とにかく最高の眺望。涸沢も常念からは正対して見える。いつまでもいたい頂上だが、そうもいかず。11時に蝶ヶ岳に向けて出発。ここからの縦走路がけっこう大変だった。まず標高差400mの岩場を思いっきり下る。そこから小ピークを一つ越す。次に標高差100mくらいの樹林のなかのピークを越すのだが、ルート上に雪がけっこう残っており、ルートを確認したり、踏み抜いたりで、気を遣うと同時に体力を消耗する。やっと抜けたと思ったら、またいったん結構下った後に、標高差200mの蝶槍までの登り返しが待っていた。とはいえ、疲れるが、右手には槍穂の眺め満喫できる素晴らしいルートである。常念頂上から丁度3時間で蝶槍到着。常念頂上より達成感を感じた。さああと少しだ。若干のアップダウンをこなして、15時に蝶ヶ岳ヒュッテ着。ここは2007年の6月以来2回目。あの時はまだ40代だった、上高地に入り、横尾から上がり、徳沢に下ったのだった。受付(500円)を済ましてからテントを張る。けっこうな数のキャンパーで賑わっていた。5年前は3張だったが。ヒュッテでロング缶(700円)2本、レギュラー缶(500円)1本を仕込み、ヒュッテ前のベンチでまったりする。寒くなってきたので、テントに戻り、夕食を簡単に済ましてからは、まだ明るいがシュラフにもぐる。長い夜を過ごすために、デジタルオーディオに桂米朝と三遊亭円歌をたっぷり仕込んできたのだ。長い話もたっぷりと楽しめる。いつの間にか眠っていた。24時前に目が覚め、外を見ると、雲の切れ間からはきれいな星空が見えていた。新月過ぎなので雲がなければ、全天の素晴らしい星空だったろう。少し残念。
6月24日 3時頃からガヤガヤしているテントもある。4時過ぎ、日の出が近そうなのでテントを出る。それほど寒くはない。赤く染まる東の空を見る。日の出は4時半だった。志賀高原の辺りから昇ってきた。槍穂の稜線もピンク色に輝く。多くの登山者が眺めるショーが終わると、常念や徳沢方面に向かう登山者がボツボツと。俺は三股に下りるだけだから気が楽。テントを片づけて5時55分に出発。ハイマツ越しに富士山と南アルプスが見えた。下山道に入ってすぐ、雪田のトラバース。早朝で雪が固い。トレースに足を置きながら慎重に下りる。そこが終わったと思ったら、けっこう急な雪渓の下降。こんなのが続くんならアイゼンを出そうかと思ったが、やり過ごす。その後もしばらく沢筋は雪がいっぱいだった。雪がなくなると下降は楽。常念の稜線がどんどん高くなっていくのを励みにしながら下りる。けっこうな数の登山者とすれ違う。標高1500mの標識が出ると、沢音が高くなり、ほどなく力水。ここで顔を洗い、喉を潤す。気持ちいい。程なく吊り橋を渡り、しばらくすると、登山口に戻ってきた。8時55分。丁度3時間だった。常念への登山道よりだいぶ楽な道だ。常念-蝶を周回するなら、三股から常念に上がるのが正解だろう。林道を駐車場に戻る。昨日の朝は空いていた駐車場は満杯だった。靴を洗ったりして、ゆっくり後片付け。クルマで「ほりでーゆ」へ。日帰り湯の開始時刻の10時少し前に到着。計算通り。蝶ヶ岳ヒュッテで割引券をもらいそこねたが、500円は安すぎる気持ちのいいお風呂だった。露天風呂から見える常念がいい。今回の山行をしめくくりに「田渕行男記念館」へ。安曇野に来たときは必ず立ち寄るスポットだが、今日は、初めての常念山行を報告するような気持ち。入場料300円は安すぎる。氏の作品と向かいながら、静かな時間を過ごすことができる。今日も俺のいた時は中年の夫婦一組だけしかいなかった。若い登山者が増えているが、田渕行男のことをもっと知ってほしいと思う。記念館の前から見た常念は清々しかった。豊科ICからは渋滞なしの順調なドライブでさいたま市の自宅まで戻ることができた。
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