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Yamareco

記録ID: 2156812
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積雪期ピークハント/縦走
白山

【白山】妙法山(北縦走路)

2019年12月28日(土) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 石川県 岐阜県
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GPS
--:--
距離
10.9km
登り
1,394m
下り
1,384m

コースタイム

日帰り
山行
10:10
休憩
0:20
合計
10:30
5:50
400
尾根取りつき
12:30
12:50
210
16:20
尾根取りつき
・地図の軌跡は手書きです。
天候 曇りのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2019年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
国道156号線の野谷橋の南詰付近に路肩が広いところがあるため,そこに駐車(荒谷沿いの林道は,ゲートは開いていたが,積雪があるため進入を自粛)。
コース状況/
危険箇所等
<積雪状況(2019.12.28現在)>
・尾根取りつき(700m)…5cm(新雪)
・1128m台地…90〜100cm(腐った旧雪の上に重く湿った新雪20cm)
・稜線(1700m)…120〜140cm(固い旧雪の上に重く湿った新雪40cm)
・妙法山山頂(1775m)…60cm(新雪10cm,ところどころクラスト)

※1128m台地,稜線,妙法山山頂はプローブで測定。妙法山山頂の積雪が少ないのは,風で雪が飛ばされるためだと思います。

<概況>
・旧雪の層が腐っているところが多く,しかもその上に積もっている新雪も重く湿っており,ラッセル時の抵抗が大きく体力を消耗します。急斜面ではスノーシューでも膝までのラッセルになるため,ワカンでは股下くらいまでいくかもしれません。
・ルート上,大きな危険個所はないですが,妙法山の山頂直下が急斜面のため,雪が硬いときはアイゼンを使ったほうがいいかもしれません(今回は,スノーシューで問題なく登れました)。また,稜線が広いため,視界不良時は注意。

<登路とした尾根について>
・くるみ谷の右岸から,P1128m,P1491を経て稜線に突き上げる尾根。登山道のない藪尾根ですが,P1128m手前まで薄い切り開きがあります(後述)。今回のように妙法山に直接登りたいとき(そんな人はあまりいないかもしれませんが…)や,北縦走路をショートカットしたいときにも活用できると思います。ただし,積雪期限定。
・荒谷沿いの林道をくるみ谷沿いの支線(路盤に灌木が生えており,廃林道になっているようです)に入り,路盤上の藪がひどくなったあたりで適当に左手の斜面に取りつきました。かなりの急斜面で少し藪っぽいですが,登れないことはなく,下山時も歩いて下れました。
・登り出してから途中で気づいたのですが,林業関係?の境界見出標が設置されており,断続的に木にも赤いスプレーで印がしてあります。それを辿ると薄い切り開きがあり,比較的楽に登れます。下山中に確認したところ,くるみ谷沿いの林道の藪がひどくなる手前の左手にある大きな木に赤いスプレーで印がしてあるので,そこから登りだすといいと思います。しかし,この切り開きはP1128m手前で途切れ,そこからは藪尾根となります。
・今回山行では,まだ積雪が十分でなく,ところどころで灌木の藪こぎになり,難渋しました。ただ,あと1mくらい積雪が増えれば,快適に登れる素晴らしい雪尾根になると思います。太いブナも多くみられ,美しい尾根です。
・危険個所は特にありませんが,稜線手前で,痩せ尾根のど真ん中を大きな杉の木がふさいでいる箇所が2か所ほど出てきます。急斜面のトラバースや軽い木登りを強いられるため,滑落には注意してください。また,稜線からこの尾根への降り口がわかりにくいため,往復する場合は,尾根の降り口に赤布をしたほうが良いと思います。
早朝の薄闇の中,ヘッドライトの光を頼りに,くるみ谷の右岸の急な尾根に取りつく。急斜面に薄く新雪が乗っており,滑りやすいのをこらえて藪をつかみながら登っていく。途中で気づいたのだが,写真の境界見出標が断続的に設置されており,それを追っていけば薄い切り開きがあって登りやすい。
早朝の薄闇の中,ヘッドライトの光を頼りに,くるみ谷の右岸の急な尾根に取りつく。急斜面に薄く新雪が乗っており,滑りやすいのをこらえて藪をつかみながら登っていく。途中で気づいたのだが,写真の境界見出標が断続的に設置されており,それを追っていけば薄い切り開きがあって登りやすい。
このような赤いスプレーの目印もされている。
このような赤いスプレーの目印もされている。
夜が明けた。薄い切り開きを追っていくが,全体的に藪っぽく,倒木も多いため,他のところを歩くより少しマシ,という程度である。この切り開きも,P1128mの手前で途切れた。
夜が明けた。薄い切り開きを追っていくが,全体的に藪っぽく,倒木も多いため,他のところを歩くより少しマシ,という程度である。この切り開きも,P1128mの手前で途切れた。
しかし,太いブナも多く見られ,なかなか美しい尾根である。
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しかし,太いブナも多く見られ,なかなか美しい尾根である。
P1128mの台地。太いブナが立ち並ぶ感じの良い平である。もう少し積雪が多ければ美しいブナの雪原となるだろう。
この辺りから急激に積雪が多くなったため,スノーシューを履いた。
P1128mの台地。太いブナが立ち並ぶ感じの良い平である。もう少し積雪が多ければ美しいブナの雪原となるだろう。
この辺りから急激に積雪が多くなったため,スノーシューを履いた。
まだ積雪が十分でなく,ところどころ灌木の藪に苦しめられる。スノーシューがひっかかるが,ガボりや踏み抜きも激しいため,脱ぐわけにはいかない。個人的に藪漕ぎはよくするし嫌いではないのだが,雪が降ったあとの冬山の藪となると急に厭わしくなるから不思議だ。
まだ積雪が十分でなく,ところどころ灌木の藪に苦しめられる。スノーシューがひっかかるが,ガボりや踏み抜きも激しいため,脱ぐわけにはいかない。個人的に藪漕ぎはよくするし嫌いではないのだが,雪が降ったあとの冬山の藪となると急に厭わしくなるから不思議だ。
藪を漕ぐ手を休めて見上げると,新雪をまとった木々が晴れ間に映えて美しい。
藪を漕ぐ手を休めて見上げると,新雪をまとった木々が晴れ間に映えて美しい。
美しい藪たち。しかしひとたび突入すればそんなことは言っていられなくなる。
美しい藪たち。しかしひとたび突入すればそんなことは言っていられなくなる。
ラッセルは急斜面で膝まで,緩傾斜で脛まで。深いというわけではないのだが,雪質が湿っていて重く,一歩一歩に体力を消耗させられる。
ラッセルは急斜面で膝まで,緩傾斜で脛まで。深いというわけではないのだが,雪質が湿っていて重く,一歩一歩に体力を消耗させられる。
標高を上げると,ガスに包まれてしまった。稜線手前で一部痩せ尾根が出てくる。写真中央にぼんやり浮かび上がっているが,痩せ尾根のど真ん中を巨大な杉がふさいでおり,スノーシューでの急斜面トラバースに少し緊張した。
標高を上げると,ガスに包まれてしまった。稜線手前で一部痩せ尾根が出てくる。写真中央にぼんやり浮かび上がっているが,痩せ尾根のど真ん中を巨大な杉がふさいでおり,スノーシューでの急斜面トラバースに少し緊張した。
稜線に出た…が,やはりガス。ここまでの重雪ラッセルと藪漕ぎで時間がかかってしまったため,この時点で間名古の頭か野谷荘司山を周回する本来の計画をあきらめ,妙法山の往復に切り替えることにした。
稜線に出た…が,やはりガス。ここまでの重雪ラッセルと藪漕ぎで時間がかかってしまったため,この時点で間名古の頭か野谷荘司山を周回する本来の計画をあきらめ,妙法山の往復に切り替えることにした。
稜線は広く,これでもし雪が降っていたらトレースが消されて,帰路に困る可能性があるため,注意が必要だ。
霧の中にぼんやりと浮かび上がるオオシラビソの森を縫ってラッセルしていく。
稜線は広く,これでもし雪が降っていたらトレースが消されて,帰路に困る可能性があるため,注意が必要だ。
霧の中にぼんやりと浮かび上がるオオシラビソの森を縫ってラッセルしていく。
少し進むと,次第に晴れ間が出てきた。
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少し進むと,次第に晴れ間が出てきた。
妙法山をとらえた。長い北縦走路の途中の小さな一ピークでしかない妙法山だが,こうしてみると整った形の山で,独立峰の趣があり,なかなかかっこいい。
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妙法山をとらえた。長い北縦走路の途中の小さな一ピークでしかない妙法山だが,こうしてみると整った形の山で,独立峰の趣があり,なかなかかっこいい。
妙法山にとりつくには,手前のコルまで一度大きく高度を下げないといけない。無用なアップダウンを生まないように,稜線をトラバース気味にコルへ下降していく。
妙法山にとりつくには,手前のコルまで一度大きく高度を下げないといけない。無用なアップダウンを生まないように,稜線をトラバース気味にコルへ下降していく。
コルから妙法山を見上げる。雪煙を巻き上げ,気の引き締まるたたずまい。こんなに小さなピークでも,雪は厳かな険しい山に変えてしまう。取りつきは急登だが,スノーシューを蹴りこみ,一気に登っていく。
コルから妙法山を見上げる。雪煙を巻き上げ,気の引き締まるたたずまい。こんなに小さなピークでも,雪は厳かな険しい山に変えてしまう。取りつきは急登だが,スノーシューを蹴りこみ,一気に登っていく。
登高中に振り返って撮影。
登高中に振り返って撮影。
この急斜面を登り切れば山頂だ。スノーシューの蹴りこみを強め,慎重に登っていく。硬雪の場合は少し注意が必要かもしれない。
この急斜面を登り切れば山頂だ。スノーシューの蹴りこみを強め,慎重に登っていく。硬雪の場合は少し注意が必要かもしれない。
ウサギの足跡を追って山頂へ。
ウサギの足跡を追って山頂へ。
妙法山山頂に到着。
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妙法山山頂に到着。
山頂に着いた頃には,だいぶ晴れ間が広がっていた。ありがたい。
山頂に着いた頃には,だいぶ晴れ間が広がっていた。ありがたい。
登ってきた尾根を振り返る。
登ってきた尾根を振り返る。
北西方面。国見山やフクベ山など,白山北方の山々。
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北西方面。国見山やフクベ山など,白山北方の山々。
間名古の頭方面。いつか積雪期に北縦走路をたどってあそこまで行ってみたいものだ。(点々とついている足跡は,ウサギさんのものです。)
間名古の頭方面。いつか積雪期に北縦走路をたどってあそこまで行ってみたいものだ。(点々とついている足跡は,ウサギさんのものです。)
なだらかで美しい北縦走路の稜線。
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なだらかで美しい北縦走路の稜線。
山頂を振り返って。
山頂を振り返って。
サンゴのようになっている。
サンゴのようになっている。
北西側の辿ってきた稜線を眺める。よく見ると自分のトレースがうねうねと伸びている。
北西側の辿ってきた稜線を眺める。よく見ると自分のトレースがうねうねと伸びている。
白銀の眺めを楽しんだ後,名残惜しいが下山にかかる。青空に続く稜線を再び辿っていく。
白銀の眺めを楽しんだ後,名残惜しいが下山にかかる。青空に続く稜線を再び辿っていく。
樹氷が美しい。
コルから登り返し,ガスが晴れて美しい姿に変わった稜線を歩いていく。
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コルから登り返し,ガスが晴れて美しい姿に変わった稜線を歩いていく。
対岸の帰雲山などの山々も霧の間から姿を現し始めた。
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対岸の帰雲山などの山々も霧の間から姿を現し始めた。
青空の下,美しい雪原。
青空の下,美しい雪原。
妙法山を振り返る。さようなら。今度は北縦走路の縦走の途上で再訪することになるだろう。
妙法山を振り返る。さようなら。今度は北縦走路の縦走の途上で再訪することになるだろう。
美しい帰路。何度も足を止めてしまう。
美しい帰路。何度も足を止めてしまう。
ガスの合間から,野谷荘司山方面も見えた。鶴平新道のある野谷荘司山の尾根は,真っ白な美しい雪稜に姿を変えている。
ガスの合間から,野谷荘司山方面も見えた。鶴平新道のある野谷荘司山の尾根は,真っ白な美しい雪稜に姿を変えている。
庄川を取り囲む山々を眺めながら,往路の尾根を下山した。
庄川を取り囲む山々を眺めながら,往路の尾根を下山した。

装備

備考 スノーシューを使用。今回の雪の状態では,ワカンではかなり苦労しそう。アイゼンは携行しましたが使いませんでした。スキーはまだ藪が埋まっていないため,もう少し積雪が欲しいところ。

感想

 先週は加賀禅定道を歩いたので,今回は,この時期の白山でも比較的楽にアクセスできるもう一つの稜線として,北縦走路に行ってみることにした。しかし,一般登山道のついている野谷荘司山は,過去2回登ったことがあり,少し食傷気味。面白そうで無理がないルートを探して地図を眺めた結果,くるみ谷の右岸の尾根から,北縦走路の真ん中にある妙法山に直接登ってみることにした。積雪が十分でないこの時期なので多少の藪漕ぎはあるかもしれないが,登れないことはないだろう。雪の状態が良く行程がはかどれば,間名古の頭まで行きP1786.3mから尾根沿いに荒谷林道に下るか,野谷荘司山へ周回するか,どちらかにしようと考えていた。
 結局,重いラッセルと藪漕ぎに大幅に時間を取られ,妙法山の往復のみとなってしまったが,妙法山は北縦走路上の小さなピークとはいえ均整の取れた山形をしており,雪をまとった姿はなかなか美しく厳かで,登りがいがあった。北縦走路の展望台と呼ぶにふさわしく,山頂からは360度の雪景色を楽しむことができた。
 登路とした尾根もブナの大木が立ち並ぶ素晴らしい尾根だった。もっと積雪が増えれば,藪も埋まって美しく快適なブナの雪尾根に姿を変えるだろう。
 今年最後の山行も,ケガもなく無事に終えることができた。感謝。
 

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