地蔵谷峰〜百里ヶ岳☆雪景色を期待して


- GPS
- 04:24
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 1,052m
- 下り
- 1,035m
コースタイム
天候 | 曇り時々雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
百里新道〜百里ヶ岳は明瞭な一般登山道あり p738〜p802は登山道なし 地蔵谷峰〜p738は薄い踏み跡から外れるとユズリハの藪 |
写真
感想
正月休みの最終日、前夜から降り続く雨は一向にあがる兆しがない。しかし、外に出てみると市内から見上げる比叡山は上の方が真っ白に着雪している。山の上の方では降雪しているようだ。最近では比叡山に降雪するのは滅多にない。つい数日前、大晦日の日に比叡山を縦走したからというつまらない理由がなければ躊躇なく比叡山に向かっていたことだろう。
雪景色を期待してR367を北上する。花折峠を越えると一面の銀世界が広がっていることを期待したのだが、意外と周囲の着雪が少ない。むしろ比叡山の方が雪は多いように思える。折角の雪の比叡山を見送る必要はなかったか、などと後悔し始める。
針畑川流域に入り、烏帽子岳の東尾根から正座峰にかけて縦走しようかということも考えたが、この尾根の着雪はますます少ない。山行先をどこにしようかと優柔不断に陥っている間に生杉へとたどり着いてしまう。地蔵谷峰の登山口へと入り、百里ヶ岳への縦走を考える。地蔵谷峰の登山口となる能家には朽木から回り込むと遠いが、生杉から小入谷越を越えるとさほど遠くは感じない。
しかし北川流域に入ると電波圏外となったこともあり、地蔵谷峰への登山口が容易に見つからない。熊の谷を見出し、谷の左岸の尾根を緩やかに登ってゆく尾根に取り付くと薄い踏み跡が見つかった。それにしても熊の谷と名前からしていかにも熊がいそうな山域ではないか。熊鈴をリンリンと鳴らしながら尾根を登る。
尾根の右手の小さな谷には無数の杉の倒木が折り重なっているが、幸いにも尾根上には倒木はほとんど見当たらない。斜度の緩やかな尾根はアップ・テンポで登ってゆくことが出来る。初めは自然林が広がっていた尾根はまもなく植林へと替わり、単調な林相が続く。すぐにも尾根上には薄雪が現れる。
標高点p738の手前では植林の樹間から正面に形の良い百里ヶ岳のピークが目に入る。南東の方角には三国峠のあたりの複雑な起伏も地蔵谷峰への緩やからな吊尾根は東側には植林が広がっており、尾根上は混合林となり、林床にはユズリハの下生が広がっている。雪が薄く積もってはいるがユズリハの間を縫って進んでゆく登山路を見出すことが出来るが、登山路を見失うとユズリハの藪が待っている。
地蔵谷峰にはさしたる急登もないままにいつの間にか山頂にたどり着いてしまった感じだ。樹林の中の狭い山頂広場は古い山名標がかけられているばかりの侘しい場所だ。
p738に戻ると途端に風が強く雪も降り始める。軽装備で来てしまったがゆえに先に進むことが躊躇われるような天気ではあるが、樹間より雪をまとった百里ヶ岳の姿を目にするとここから尾根を辿ってその頂きにたどり着くという渇望が強く湧き起こる。
p738からの下りでは早速にも登山路は不明瞭となるが、下生のない植林の中を下ると、植林の中にそこだけ自然林が広がる小さな鞍部が見えてくる。熊の谷越えと呼ばれる峠越えと思われる。有難いことにすぐにも雪は止み、風もおさまってくれた。
混合林が続く尾根を緩やかに登ってゆく。積雪はしているものの、かろうじて薄い踏み跡を読み取るがことが出来る。尾根からは随所に両側に展望が開け、北西には若狭駒ヶ岳を望むのだが、再び雪が降り始めると途端に視界が悪くなり、周囲のは展望は磨りガラス越しのようになる。
尾根上の分岐点となるca740mに達すると東側には見覚えのある南谷右岸尾根のピークca690mが樹間から視界に入る。というのも昨年の新緑の季節に木地山から百里ヶ岳に登り、南谷の右岸尾根へと周回したのだが、尾根からこのピークca690mへ下るため尾根筋は地図でもわかり難いが、実際にも下降点が分かり難かった憶えがある。
ここで尾根は大きく西向きの方向を転じ、随所に杉の樹が混じるものの山毛欅をはじめとする広葉樹が広がるようになる。いつしか雪は止んだようだ。尾根上のピークca770mは南西の方向に大きく展望が開けており、三国岳から三国峠にかけての江丹国境尾根を望むことが出来るが、南東の方角にも広葉樹の樹間からわずかに展望が開け、地蔵谷峰から辿ってきた稜線を展望することが出来る。地蔵谷峰の飛畑谷側は植林が広がり、黒々として斜面を見せている。
北側には百里ヶ岳を間近に望むようになるが、残念ながら樹間からすっきりとその姿を展望できるような場所は容易には見当たらない。尾根には一箇所、積み重なった倒木が尾根をほぼ完全に塞いでいる箇所があり、北側の斜面のトラバースを強いられれる。
標高が800mに近くなるとそれまでは尾根上にうっすらと積もっただけの薄雪がようやくしっかりした積雪となり、靴の裏に感じる新雪特有の柔らかい感触がなんとも嬉しい。p802の東尾根になるとブナ林の中を歩いて百里新道と合流する。p802で行動食では休憩すると、ここにリュックをデポして、百里ヶ岳まで往復することにする。
シチグレ峠に向かって尾根を下ると、鞍部は痩せ尾根の展望地となり、ようやく百里ヶ岳の山頂を大きく望む。東の方角に望む伊吹山とその手前の長浜の市街には陽が当たっているのだろう、琥珀色に明るく輝いている、伊吹山は年末に登った時にはほとんど雪がなかったが、この正月休みの間にかなり白くなったようだ。
根来坂峠からの江若国境稜線と合流すると、あとはもうひと登り。このあたりからは東に大きく展望が開ける箇所が連続する。若狭駒ヶ岳の彼方に見える白銀の山は横山岳だろうか。
百里ヶ岳の山頂直下になると山毛欅の大樹の壮麗な森となる。前日に湖北の山で山毛欅の回廊を歩いてきたところだが、百里ヶ岳の山毛欅の樹林もやはり素晴らしいと再認識する。柔らかい新雪を踏みしめて山頂に立つ。西の方角は鉛色の雲が低く垂れ込め、また雪が近づいているのだろう。北西のなだらかな三重嶽も年末に訪れた時にはほとんど雪がなかったが、すっかり白くなっている。山頂の南側から地蔵谷峰から辿ってきた尾根を確認する。その山頂越しには冠雪した武奈ヶ岳が目に入る。
下山は百里新道を下り、p802の一つ南のピークから熊の谷の右岸尾根を下って車を停めた谷の入り口に戻ろうかと考えていたが、尾根上には杉の樹が連続しているのに対し百里新道には自然林が連続しているのを見ると、この尾根を辿る気はたちまち消え失せる。少し下ったところでナカシ谷の右岸尾根には山毛欅が連続しているので、この尾根ならと思って下りかけるが、大きな岩を巻いたところで尾根上には濃厚な藪が繁茂しているのを見て尾根を引き返すことにした。かなり遅い時間なので、この時間から冒険することはやめておこう。
百里新道は尾根の下部でこそ植林地の中に入るが、自然林が続く快適な尾根だ。ここは当時小4で、登山に興味を示し始めた次男を伴って百里ヶ岳へ登るのに通ったのだった。秋晴れの晴天に恵まれ、落葉した自然林の快適な尾根と好展望が印象的であった。初めての山にしてはいささか距離が長かったかもしれないが、泣き言を言わずよく歩いてくれたものだ。
小入谷越の登山口にたどり着くと舗装道を下る。峠の直下の広地からは鼠色の雲の下に地蔵谷峰のシルエットを仰ぎ見るのだった。車路を歩き始めると、すぐにも雪が降り始めた。
コメント
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やはりこの山域にも雪はありませんか。
先日釣瓶岳北側の尾根からご一緒に眺めた通りですね。
ところで、たくさんの山の尾根という尾根で数多くの山毛欅の回廊をご覧になってこられたyamanekoさんが、百里ヶ岳山頂直下の山毛欅は壮麗だと仰るということは、かなりハイレベルに美しい山毛欅林なのですね、ここは。
経験少ない私も、昨年初めて百里ヶ岳を踏んだ際に、登頂直前に山毛欅の素晴らしさに圧倒され見惚れたことを思い出しました。
また訪れたくなりました。
この日の気象条件は変わっていたのか、比叡山や音羽山の方が着雪があったようです。
私は単純で山毛欅の大樹の林に出くわすとすぐに好評価を下してしまうのですが、百里ヶ岳山頂の南斜面にみるような山毛欅の樹林は残念ながら比良にはなく、近くでは三国峠、野坂山地に求めるしかないように思われます。
ところでバリ・ルートにはなりますが、木地山から登る百里ヶ岳の東尾根にも素晴らしい山毛欅の樹林と絶好の展望地があります。もしも行く機会があれば是非。
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