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Yamareco

記録ID: 21809
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

常念岳 2857m

2006年07月11日(火) 〜 2006年07月12日(水)
 - 拍手

コースタイム

燕山荘―蛙岩――切通岩―大天荘―東天井岳―横通岳―常念小屋(泊)
2704m 2922m 2814m 2767m 2466m
5:20 7:50 8:20 11:00

7/12(水)常念小屋―常念岳―常念小屋―水場―烏帽子沢―王滝―山ノ神―一の沢―豊科―
2466m 2857m 2466m 1350m
4:40 6:00 7:00 7:20 8:00 9:30 10:00 10:20 10:30 11:13

天候 曇り、雨
過去天気図(気象庁) 2006年07月の天気図
コース状況/
危険箇所等
7/9(日)桑園―札幌――千歳――松本空港――松本駅――穂高―中房温泉・有明荘(泊)
12:35 14:05 14:25 14:50 15:15 15:55 16:30 17:10

7/10(月)中房温泉−第1ベンチ−第2ベンチ−第3ベンチ−富士見ベンチ−合戦小屋―
1450m 1840m
7:00 8:05 8:45 10:35 11:20

合戦沢ノ頭―燕山荘――燕岳――燕山荘(泊)
2489m 2704m 2763m
13:00 14:00 15:00 15:30

7/11(火)燕山荘―蛙岩――切通岩―大天荘―東天井岳―横通岳―常念小屋(泊)
2704m 2922m 2814m 2767m 2466m
5:20 7:50 8:20 11:00

7/12(水)常念小屋―常念岳―常念小屋―水場―烏帽子沢―王滝―山ノ神―一の沢―豊科―
2466m 2857m 2466m 1350m
4:40 6:00 7:00 7:20 8:00 9:30 10:00 10:20 10:30 11:13

――松本――新宿――田端――尾久――田端――羽田――千歳――札幌
11:33 12:13 14:38 19:00 19:15 20:10 21:00 22:30 23:55


有明荘;長野県南安曇郡穂高町有明中房国有林内。 現地 TEL;090-2321-9991
燕山荘;長野県松本市大手2−3−10(連絡先)。 現地TEL;090-1420-0008
常念小屋;長野県松本市沢村1−11−18(連絡先)。現地TEL;090-1430-3328

燕山荘から常念岳への縦走路(燕岳から)。これは昨日写したものだが、今日はこの稜線を歩く。右端大天井岳の麓まではいわゆる表銀座コース(中房温泉ー槍ヶ岳)の一部分であり、奥の尾根・常念山脈の左奥が常念岳であるが、山の陰で見えない。大天井岳の麓から右へ行くと表銀座コースの最終部分で、槍ヶ岳へ続いている。
雪と白砂の区別がつかないが、燕山荘付近は明らかに砂である。
燕山荘から常念岳への縦走路(燕岳から)。これは昨日写したものだが、今日はこの稜線を歩く。右端大天井岳の麓まではいわゆる表銀座コース(中房温泉ー槍ヶ岳)の一部分であり、奥の尾根・常念山脈の左奥が常念岳であるが、山の陰で見えない。大天井岳の麓から右へ行くと表銀座コースの最終部分で、槍ヶ岳へ続いている。
雪と白砂の区別がつかないが、燕山荘付近は明らかに砂である。
小林喜作のレリーフ。切通岩にある。彼は、中房から槍ヶ岳に至る喜作新道(通称、表銀座コース)を切り開き、殺生小屋を建てた。
『日本アルプスの山々が、まだ荒々しい大自然の掟に支配され、カモシカや熊を追って、命知らずの鉄砲撃ちが山奥深くに分け入っていた大正の頃、今はアルプス銀座と呼ばれてにぎわう槍ヶ岳への道を独力で切り開いた猟師がいた、
その名は、小林喜作。雷鳥の生き血を飲んで、熊の穴に眠り、アルプスの盟主として君臨したこの山の巨人も、ある日ナダレに巻き込まれて謎の死を遂げた・・・」
小林喜作のレリーフ。切通岩にある。彼は、中房から槍ヶ岳に至る喜作新道(通称、表銀座コース)を切り開き、殺生小屋を建てた。
『日本アルプスの山々が、まだ荒々しい大自然の掟に支配され、カモシカや熊を追って、命知らずの鉄砲撃ちが山奥深くに分け入っていた大正の頃、今はアルプス銀座と呼ばれてにぎわう槍ヶ岳への道を独力で切り開いた猟師がいた、
その名は、小林喜作。雷鳥の生き血を飲んで、熊の穴に眠り、アルプスの盟主として君臨したこの山の巨人も、ある日ナダレに巻き込まれて謎の死を遂げた・・・」
ここ、大天井岳の麓で表銀座コースから別れ、大天荘、東天井岳、横通岳を通って常念岳へ行く。この頃から天気が怪しくなり、先を急いで、大天井岳をパスしたのが、今思えば残念だ。
ここ、大天井岳の麓で表銀座コースから別れ、大天荘、東天井岳、横通岳を通って常念岳へ行く。この頃から天気が怪しくなり、先を急いで、大天井岳をパスしたのが、今思えば残念だ。
常念山脈の稜線。大天荘付近から。
常念山脈の稜線。大天荘付近から。
穂高の山並みに、背後からガスが押し寄せ、涸沢に垂れ込めていた。涸沢は下の方までびっしり雪が残っていた。モレーンの所に涸沢ヒュッテも見える。
穂高の山並みに、背後からガスが押し寄せ、涸沢に垂れ込めていた。涸沢は下の方までびっしり雪が残っていた。モレーンの所に涸沢ヒュッテも見える。
行く手に、常念岳が見えてきた。
行く手に、常念岳が見えてきた。
常念岳へは左から大きく迂回するが、正面の雲を被った山が常念岳(?)
常念岳へは左から大きく迂回するが、正面の雲を被った山が常念岳(?)
常念岳(右端に裾だけが見える)への縦走路。
ここから一旦降って、稜線を右へ行く。
常念岳(右端に裾だけが見える)への縦走路。
ここから一旦降って、稜線を右へ行く。
右側に、今降って来た道が見える。
右側に、今降って来た道が見える。
峠(横通岳の肩)に着くと、目の前に常念岳が聳え、その麓に常念小屋の赤い屋根が印象的だった。
「登り来て 峠に立てば 常念岳
 斜面をなめて ガス吹き昇る」
峠(横通岳の肩)に着くと、目の前に常念岳が聳え、その麓に常念小屋の赤い屋根が印象的だった。
「登り来て 峠に立てば 常念岳
 斜面をなめて ガス吹き昇る」
常念小屋の夕食。
常念小屋の夕食。
常念岳山頂。翌早朝雨の中常念岳に登った。風が強かった。山頂付近は山の陰になったようで、中腹から8合目辺りまでが特に強かった。
濃いガスのため何も見えなかった。
常念岳山頂。翌早朝雨の中常念岳に登った。風が強かった。山頂付近は山の陰になったようで、中腹から8合目辺りまでが特に強かった。
濃いガスのため何も見えなかった。
一ノ沢には、一部だが雪渓が残っていた。点々と落石が見える。
「風強し 稜線厳し 沢道を
 小屋の主人は 奨めくれけり」
一ノ沢には、一部だが雪渓が残っていた。点々と落石が見える。
「風強し 稜線厳し 沢道を
 小屋の主人は 奨めくれけり」
雪渓の末端。
烏帽子沢。常念小屋と一ノ沢登山口との中間地点である。
烏帽子沢。常念小屋と一ノ沢登山口との中間地点である。
山の神。
山の神。
一ノ沢の常念岳登山口。ここから豊科駅へは、バスもないので、タクシーで行った
2006年07月12日 10:31撮影 by  PENTAX Optio 550, PENTAX Corporation
7/12 10:31
一ノ沢の常念岳登山口。ここから豊科駅へは、バスもないので、タクシーで行った
JR大糸線豊科駅。
JR大糸線豊科駅。

感想

7/11(火)4時に目が覚める。ぐっすり眠ることが出来た。頭もすっきりしている。早速、昨夜のうちにもらった弁当を半分食べる。日の出は4:40頃だ。廊下の窓から東の空を見る。水平線が橙色の長い筋になっている。日の出は近い。カメラを持って食堂の外側の喫茶室に行く。ここは東向きで、日の出を見るためにこのように造られているようだ。

 東の空明けそめし富士遥か 安曇野はまだ寝静まりたり

2階にもいい場所があるようで話し声が聞こえる。ここ喫茶室は僕1人だ。
東の空の明るさが段々増してくる。一箇所の明るさが特に増してきて、その部分から火の玉が現れた。それが段々大きくなり、空全体が明るくなる。
安曇野の灯の向こうに黒く八ケ岳が、その右、雲海の向こうに富士山も見える。
ご来光をゆっくり拝んでいるわけには行かない。今日は常念小屋まで行かなければならないのだ。朝の天気予報は、曇りのち雨だ。雨が降りだす前に常念小屋に着きたい。
準備して5:20出発。稜線漫歩と行きたいところだが、そうはいかない。西の空は明るく、雲の切れ間もあるが、行くて、大天井岳の上に一塊の黒雲が不気味に居座っている。
北鎌尾根は見えるが、槍から穂高にかけては、飛騨側から押し寄せてきたガスに覆われてしまった。そしてガスは槍穂高の山並みを乗り越えてこちらへ迫ってくる勢いだ。
風も、冷たくはないが強くなってきた。急がねばならない。
登山者は1人も見当たらない。巨岩・奇岩があったり、コマクサの群生があったりしたがゆっくり観察したり、写真を撮ったり、という気にはならない。
やがて、大下りの頭から急斜面を降りる。大天井岳が目の前に大きく立ちはだかってきた。やがて切通岩。稜線が狭くなっていて、然もキレットになっている。向こう側の斜面に小林喜作のレリーフがある。梯子を降りる。小林喜作のレリーフを撮りたいが、その前は風がもろに当っていて撮れそうにない。反対側からズームで撮る。
石屑の道を登って行くと、やがて槍と常念の分岐点だ。左折して表銀座コースと別れ、大天井岳の東斜面を斜めに登って行く。風が益々強くなってきた。単調な苦しい登りが続く。頂上に近くなると、ガスが流れてきた。遂に霧雨が顔に当る。
左手を見ると今歩いてきた表銀座コースが延々と燕山荘まで続いている。
やっと大天荘に着く。8:50だ。燕山荘から2時間半、意外に早く着いた。
若いマスターがカウンターでパソコンに向かっている。「少し休ませてください」というと、パソコンからちょっと目を離し、「どうぞ、食堂にストーブもあります。ザックはそこに置いてください」と。
ちょっと図々しいと思ったが、弁当を取り出し、ストーブにあたりながら、残りの半分を食べる。
客は1人もいなくて閑散としており、若い女のスタッフが1人手持ち無沙汰のようだ。
トイレを借り、準備して出発。風は依然強く、雨も、強くはないが降っている。東天井岳を目指す。ここも天気がよければ稜線漫歩だろうが、右手穂高の方から雨交じりの風が吹きつける。涸沢は雪がビッシリ残っている。モレーンの所に涸沢ヒュッテが、その上にザイテングラードが幽かに確認できる。上部は飛騨側から押し寄せてくるガスに覆われて不気味な感じさえする。
緩やかに下って行くと、行く手に東天井岳、そしてその緩やかな登りの巻き道が延々と続いている。
向こうから青いザック、青いヤッケの人が1人やってくる。近づくとザックがすごく大きい。中年の男性だ。燕山荘を出てから人に会うのは3人目、登山者では初めてだ。
心をこめて「今日は!」という。ところが彼、振り向きもせず黙々と擦れ違って行った。挨拶ぐらい返してもよさそうなものだが、何か事情があるのか、どんなつもりで山に来るのか。
東天井岳から続く二ノ俣尾根の鞍部を越えると目の前に横通岳が、そしてまたそれの巻き道が延々と続いている。その右手奥に常念岳がドッシリと、ガスで見え隠れしている。
ここから崖になっており上部に雪が残っている。道は東天井岳の南側の斜面を左から大きく回って横通岳の西側の斜面へつながって行く。
ここからがけを真直ぐ下って、横通岳の巻き道の始点で合流する道もある。これに決める。急で足場の悪い、ガレた、涸れた沢を降りて行く。巻き道の方が良かったかな、と思う。
やっと下りきると道は這い松帯に入る。這い松が踏み跡に覆い被さっていて、それを掻き分けるのに一苦労だ。完全に選択を誤ったようだ。やっと合流点に着く。よく見ると看板があり、こちらは「廃道」とある。道理で、だ。それならば上の方にもそのような看板を立てておいて欲しいものだ。
緩やかな登りの巻き道をゆっくり登って行く。ここも東天井岳の巻き道と非常に良く似た感じだ。登りきるとすぐ目の前、鞍部の向こうに常念岳が聳え、鞍部の底に常念小屋が見える。後は下るだけだ。もう多少天気が崩れても大丈夫だ。10:30、大天井岳から2時間10分だ。ここまで来てみると、大天井岳に登らなかったことが残念だ。大天荘から往復15分だったのに、あの時は天気が悪く、先行きも暗く、1刻も早く常念小屋へ、と思っていたのだ。結果論を言えばきりがない。割り切ることにしよう。
斜面は急だ。ゆっくり降りよう。明日は常念岳に登り、三股まで歩かなければならない。そのための体力と脚力を温存しておかなければならないのだ。
常念小屋の前の広場に30人ばかりの人が集まっている。やがてノロノロと動き出し1列になって常念岳に向かう。分岐点では巻き道に入らず、ジグザグの道を登って行く。
学生の集団登山かなと思っていたが、常念小屋に着いてから小屋の人に訊いたら、自衛隊が訓練で来たとのことだった。
道は、背丈は低いが林の中に入る。下っても下っても小屋はまだ下、という感じだ。
去年甲斐駒で駒津峰から仙水峠ヘの下り、北岳で草すべりから大樺沢二俣への下りを思い出す。急で長い下りだ。
やっと小屋に着く。丁度11時だ。大天荘から2時間40分、写真は出来るだけ控えたけど、ガイドブックでは歩行2時間20分だから、まあまあのペースだろう。
早速チェックイン。まだ閑散としている。
部屋は2階、6畳ぐらいで、定員12名、布団が6組置いてある。今日は空いているからここに1人でゆったり寝るのだ。
窓の外はトイレの屋根になっているがそこに2階の屋根から雨垂れが落ちている。雨が本降りになった。明日の天気が心配だ。
トイレはここも洋式が1箇所あり助かる。洗面所に水道があり、ここの水が飲用にもなる。
ここは地形を考えれば、水が豊富とまでは言えなくても、得やすいのだろう。
今日は汗は殆んどかかなかったが、タオルを濡らして身体を拭く。
ここの標高は2466m、立山の室堂と同じぐらいだが、昨日泊まった燕山荘の2704mより低く、空気の薄さは感じない。
夕食まで一眠りしよう。燕山荘もそうだったが、敷き布団は普通と変わらないが、掛け布団の代わりに寝袋だ。厚くて大きいから携帯用ではないだろう。チャックを外して拡げると普通の掛け布団としても使える。昨日の今ごろはやっと燕山荘に着いた頃だ。
客が少しづつ入って来たようだ。廊下で慌しい足音がする。
夕食は、昨夜燕山荘で同じテーブルだった同年輩の男性とまた同じテーブルになった。
大天荘のマスターから僕のことを聞いた、と。今朝は燕山荘を6時に出た、と。
7時前の天気予報を観る。曇り、朝のうち雨が残る、だ。
雨が早く上がること、風が収まることを祈って布団に入る。夜中11時と2時に目が覚め、水を飲んで、トイレに行き、また眠る。

7/12(水)3時に目が覚める。雨は小降りになったが風は依然として強い。昨夜のうちにもらった弁当を食べる。ここの弁当は洋式、胡桃パン、バター、ジャム、果物の砂糖漬け、スポーツドリンクだ。
2回目トイレに行くため階段を降りて行くとマスターにバッタリ。昨夜から心配していたと言う。前常念の所は痩せ尾根で、今日は風が強いので危ない、と。
僕としては常念岳をパスするわけにはいかない。昨日大天井をパスしただけに尚更だ。

 風強し稜線厳し沢道を 小屋の主人は奨めくれけり

常念岳はピストンして、一の沢へ降りてはどうか、タクシー会社へはそのように連絡する、と。これなら常念岳には空身で、ということになる。雨は小降りになったとは言えまだ降っている。岩は濡れて滑りやすいだろう。このアドバイスに従うことにする。7時半までに降りて来れば、一の沢へ10時半には着く、と。
すぐ準備して4:40出発。丁度日の出の時刻だが、今朝は雨で日の出どころではない。
ゆっくり登って行く。3日目にしては脚の筋肉痛もなく、体調はいい。昨日、一昨日セーブして体力を温存したのが良かったのだろう。
巻き道との分岐点を過ぎ、急斜面をジグザグに登って行く。
1時間20分かけて6時に頂上、降りに1時間、7時には小屋に着くだろう。
標高差400mだから大丈夫だろう。
大小の石がゴロゴロしていて歩き辛い。
小屋から2人出てきて、こちらへ登って来るようだ。1人は黄色、もう1人は青の雨具だ。
8合目の出っ張りが近くなると風が益々強くなってきた。真下から吹いてくれれば有難いのだが、右側から雨交じりの横殴りだ。雨粒が雨具に当ってバリバリ音がしている。雨粒を弾いているのだ。洗濯してアイロンを掛けたから、防水性能が良くなったのだろう。
構えていない時に急に突風が来て、何度か吹き倒されそうになる。
去年の那須岳を思い出す。あの時ほどではないが・・・
ストックで支えながら、岩に掴まりながらゆっくり登って行く。
ジグザグの道を右に向かった時、突風が来て帽子を飛ばされる。帽子の上に雨具のフードを被っていたのだが、フードを吹き剥されたのだ。幸い帽子は5,6m飛んで、何かに引っ掛かって留まっている。急いで取りに行く。今度はフードの紐をしっかり締める。
8合目を過ぎると傾斜が緩くなった。そして意外なことに風が弱くなった。治まった、といってもいいだろう。上はもっともっと強いだろうと覚悟していたので、想定外だった。頂上へは、8合目で右に曲がるのだが、道が丁度頂上の出っ張りの風下になったのだ。
道は大きな石がゴツゴツしていて、然も濡れていて、歩き辛いが、風がないのは本当に助かる。
頂上は大きな石が積み重なっていて、祠と標識盤がある。6時だ。
ゆっくもできない。ゆっくり眺めを楽しむような天気でもない。写真だけ撮って下山だ。
登りに1時間20分かかっているから、降りに1時間として、小屋へ7時には余裕だろう。9合目(標識はないが)辺りで2人と出会う。2人とも30ぐらいの若者だ。
廊下を挟んで向かいの部屋に泊まっていた。燕山荘でも見かけたことがある。
8合目を過ぎたが、風は登った時よりは弱まっている。順調に降って行く。
2人、1人、3人と登ってくる人と擦れ違う。
小屋へ着く。6:50だ。カウンターにマスターがいて、意外に早かったな、という顔つきだ。
また来てくれ、と「常念坊」と焼印を捺した樫の木札をくれた。
部屋に帰って背筋を伸ばす。布団を片付け、荷物を纏めて玄関へ。雨は止んだ。
7:20出発。小屋の前の広場を横切って林の中に入る。急な斜面をジグザグに降って行く。見晴しは利かないが風はないし、あとは一の沢まで5,7km歩くだけ、気持ちは楽だ。
左手に一の沢まで4,7kmの標識があり、水場がある。ここからは傾斜が緩くなり、沢の左岸に道が付いている。千曲川の遊歩道を思い出す。ここはあそこほど整備されてはいないが雰囲気は似ている。
山に来て1番いいのは、登頂して降りて来る時だ。
登る時もいいが、この時は、希望もあるが、半分は不安だ。何よりも苦しいのだ。
降りる時は、時間までに登山口へ行かなければ、などということはあるにしても、「やった!」という充実感に浸りながら、登った時のクールダウンをするのが何ともいえない。
最初の計画では三俣へ降りる予定だったので、ここの道に就いては調べていなかった。土地感が掴めない。もっと標識があれば助かるのだが、今どの辺で、あとどれぐらいか、不安だ。弁当を食たり、写真を撮るのに結構時間がかかっている。
待望の標識がある。烏帽子沢だ。一の沢まで2,8kmだ。時計は9:30。1時間で2,8km、
下流になるほど道は良くなってきてはいるが、ちょっときびしくなった。
明日のことは考えなくていいし、山道とは言えほぼ平坦だ。少し急げば十分間に合う。
気温が上り湿度も高いので少し急いだだけで汗が出る。
「王滝」の標識がある。一の沢まで2,1kmだ。9:40だから10分で700mだ。このペースで行けば、一の沢に10:10。急ぐ必要はない。
常念岳9合目で会った2人が降りて来た。マイカーで来たようだ。あとどれぐらいですか、と聞く。王滝がまだだからもう少しかかる、と。王滝の標識を見過ごしたらしい。王滝はもう過ぎましたよ、というと、それでは次が「山ノ神」、「山ノ神」からはすぐですよ、と。
やがて「山ノ神」に着く。一の沢まで500mとある。ここには粗末だが、鳥居と祠がある。無事登って来れたことを感謝する。写真を撮ったりしているうちに25分になってしまった。急げ急げ。
一の沢登山口の建物が見えてきた。タクシーが停まっている。丁度10:30だ。
運転手は愛想のいい人だ。写真を撮っていると、写してやると言う。看板をバックに1枚撮ってもらう。ただし、後でわかったことだがこの時カメラのケースを落としてしまった。松本12時50分頃の急行で東京へ行きたい、と告げる。時刻表を調べて、「それなら12:13のスーパーあずさ16号に間に合う」と。
走りながらいろいろな話をする。常念へは毎年登るけど、疲労困憊する。安曇野は冬少し寒いけど、夏は涼しいしいい所だ。台風も周りの山に遮られて、入って来ない。などなど。
豊科へは11時過ぎに着く。料金は6640円。
ここでお土産を、と思ったが、駅の中にも駅前にも店はない。
ここで急行券もあわせて買ってしまう。6500円ぐらいだった。
豊科発11:13、松本着11:33。トイレに行きお土産を買ってホームへ。電車は既に入っている。自由席もがら空きだ。
列車の中は、去年までは僕にとっては冷房の効き過ぎで、1枚多く羽織ったりしていたが今年はクールビズが徹底し、僕にも丁度いいぐらいだ。
少しうつらうつらとし、目が覚めたら八王子だった。甲府を通ったのを知らないから30分は眠っただろう。
やがて新宿に着く。定刻14:38だ。いつものことながら東京の人の多さにはあらためて驚く。それと新宿駅の改修工事が終わったようだ。
山手線外回り・渋谷上野方面行きに乗る。結梨ぐらいの、ランドセルを背負った可愛い女の子が乗ってきて向かいの席に座った。そして田端の2つぐらい前で降りて行った。
田端でトイレを探す。北側の階段の下にある。
北口から出る。なんだか様子が違う。道路の向かいにバス停がある。あれかな、と思ったが違うような気がして、陸橋を渡って南口を目指す。
結局のところ、ドウドウ巡りしてまた北口へ、そして先ほどのバス停に行ってみる。2箇所あって1つが荒川土手行きだ。バスはなかなか来ない。20分ぐらい待ってやっと来る。
このバスは何処まで乗っても、乗る時に200円払う。
西尾久1丁目で降りる。あてずっぽうに少し歩いてみる。交番があったので立ち寄って聞く。引き返し、信号で右折してかなり行く。尾久診療所の所で右折して少し行けばいい。
今回も迷ってしまった。でも次からは大丈夫だろう。
田端北口―バス停―荒川土手行きバス―西尾久1丁目下車―進行方向に少し行って左折―かなり行くとさくら通りにぶつかる。これでいいのだ。
MSに着いてインターホンを押す。「じーじ?」と陽太郎の声。エレベーターで上る。203号。玄関で靴の紐を解いていると、由美子さんと結梨が帰って来る。
ココがしつこくじゃれついてくる。人が来ると嬉しくて仕様がないらしい。
「お風呂どうぞ」と。2日入っていないし、今日一の沢の最後の所でかなり汗をかいたので、遠慮なく入らせてもらう。結梨と一緒だ。初めバスタオルを巻いてはにかみ気味、少し大人になってきたのかな。一緒に風呂に入るのは小3ぐらいまでらしいが・・・
NHKの児童劇団は楽しい、遊びながらやりなさい、といわれている、と。小学校も楽しいようだ。漢数字の一から十まで習ったそうだ。
うっかりしていたが今日は陽太郎の誕生日だ。お土産の分を、ケーキでも買って来ればよかったのだ。もっとも、誕生日とクリスマス合わせてということで,先日DSを送ったばかりではあるが。
陽太郎は最近、結梨に比べて元気がない。覇気に乏しい。パパが勉強なんかで、びしびしやり過ぎるからか。元々、慎重なほうではあったが、幼稚園の頃はもっと積極的だった。ビールを飲みながら,結梨の卒園、入学、運動会のビデオを見せてもらう。
結梨はいつも嬉しそうにニコニコしている。そして元気一杯だ。
ココが急にはしゃぎだす。どうしたのかな、と思っていたら、玄関で人の気配。パパが帰ってきたのを察したのだ
子供達の飲み物がないらしい。パパが買いに行く。帰ってきてみんなで乾杯。
テーブルには、胡麻豆腐、から揚げ、胡瓜とワカメの酢の物、茹でキビ、卵焼きなど。
から揚げは陽太郎が好きで、3種類作って、違いがわかる?と。
陽太郎に「大きくなったら何になりたい?」と訊いたら「大工さん」と。パパが「プラモデルなんか組み立てることが得意だからな」と。ママも「それじゃー、建築学科を出て・・・」などと調子をあわせる。
そのうちに陽太郎が「パパ、僕なんか死んでもいい、と言った」という。パパは「そんなこと言わないよ」と。ママも「そんなこと言うはずないよ」と。
真相はわからないが、誤解であるにしても、または冗談半分だったかもしれないが、陽太郎がそのように受け取ったのは事実だ。子供がどう受け取るかも考えて、不用意な言い方はしてならないのだ。
ビデオの運動会が終わらないうちに7時が迫ってきた。いつものように田端まで送ってもらう。
パパは同乗しなかったが、玄関で話す。仕事はこれまでと同じ「商品開発」まあまあだと言う。
車の中で結梨が「もう7時10分だよ」などと気を回してくれる。
以後、山手線、モノレール、ANAと共同運行のエアドウ、エアポートと乗り継ぎ、最後は学園都市線札幌発23:35で無事桑園に着いた。

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