劔岳 剱沢テント泊 2泊3日


- GPS
- 56:00
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 1,547m
- 下り
- 1,546m
コースタイム
2日目 剱沢テント場5:30→剣山荘6:10→一服剱7:00→前剱8:00→平蔵のコル9:00→剱岳山頂11:00~12:00→平蔵のコル13:30→前剱14:00→一服剱14:00→剣山荘15:20→剱沢テント場16:00
3日目 剱沢テント場7:40→剱御前小屋8:30→雷鳥平10:10→室堂11:10→扇沢12;50
天候 | 1日目雨/2日目晴れ/3日目晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
山頂映像 http://www.youtube.com/watch?v=Ou2wZ4q7aSI 3日目朝の剣沢テン場 http://www.youtube.com/watch?v=g3l4ZfWDRag |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
多忙な日々のため半年ぶりの山行となった今回は、今までで最も遠い山剣岳。日々の我慢の反動か、それとも新田次郎の「剣岳・点の記」を読んだせいなのか、答えはその両方ですが、どうしても行きたくなってしまい無理矢理3連休をとった私は友人のN氏を誘い2泊3日の山行を決行いたしました。N氏は予定通り朝4時半に川崎の我が家に迎えにきてくれた。
N氏は中央道を飛ばし、双葉サービスエリアで朝食を摂って豊科で下りると梨と茗荷を買い(山で食う用)、扇沢に10時着。天気は上々。10時半のトロリーバスに乗り込み、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで室堂に12時半着。観光的に楽しいが、混み合ってて疲れる。室堂で蕎麦を食い外に出てみると、辺りはガスに覆われ、今にも降り出しそうな空だった。何も見えねー(北島風に)。
登山者や観光客でごった返す室堂で水を汲んで出発しようとすると雨が降り出した。断続的に降ってくるためレインウェアを着たり脱いだり手間取る。地獄谷から漂うガスを勢いよく吸い込むと咳き込んでしまうほどなのでタオルを顔に巻いて進む。雷鳥平を通過して本日の登りである雷鳥坂が始まる。砂利の急登が延々続くキツい道な上、雨が強くなりレインウェアで汗ばみ視界狭まり、登山道が川のように雨水が流れる足元は歩きにくく体力の消耗激しく、午後からの登山も初めてでペースが掴めない。たまに雲が切れて山肌がチラッと見えるが一帯が灰色と緑色と黄色の色合いが渋くてしびれます。雨のなかようやく剣御前小屋に到着。当然剣岳は見えないが、剣沢テント場が見えた。すぐ近くに感じられてテンションやや上がり、サクサク下り4時半にテント場着。
受付を済ませて早速テントの設営。空きを見つけるのが困難な混雑ぶり。雨の弱い間に適当な場所を見つけてテントを張るとテント内に退避。しかし食事の準備をしていると少しずつ雲が晴れてくる。剣沢のカール地形の真ん前に聳え立つ剣岳にご対面。今日は室堂からずっと雲に覆われていたのでいきなりそのハードコアな山容を目の当たりにして正直登るのは無理じゃないかと弱気になった。行程のイメージが全く掴めず威圧感にすっかりやられてしまったということです。アルファ米とスープの夕食を摂ってやや落ち着いたがいつの間にか夕焼けも終わり星が見え始めていた。薄曇越しでも星が凄いのが分かったが、明日は天候の心配と混雑を避けるため早朝出たいので(梨を食ってから)8時に入床。速攻寝ました。
明け方寒くて目が覚めた。フリースとダウンを重ね着しても寒いとは予想外で、丸まって寒さをしのいでまた眠る。起床時間の四時を過ぎて四時半に起き出し外に出ると、快晴の新月の星空凄まじく、写真を撮りまくる。驚くべきことにほぼ真っ暗な中すでに剣岳登山道にヘッドランプの列ができ、周りのパーティーも続々と出発してゆく。N氏を起こしてカップラーメンの朝食をかきこみ6時半テント場を出発。N氏はサブザック、私はぺったんこのアトモス65(つまりサブザックなし)。天気は快晴でのぼり始めた太陽光がすでにじりじり焼くように強い。
剣沢小屋をすぎ剣山荘で便所に行きいよいよ本番の登りが始まる。一服剣までは鎖場がないが結構な急登。しかし快晴のコンディションは最高で登頂への期待も高まり足取りは軽やかであった。一服剣から前剣に登り始めると鎖場が出現するがよく整備されており、あまり不安は感じず登って行ける。身軽だし、高度感のあるトラバースなども楽しい。前剣を登り切ると本丸とご対面。平蔵ノ頭あたりから渋滞が始まる。カニのタテバイ渋滞なのだろうが先が見えずどこまで繋がっているのか分からない。そこからカニのタテバイまでおよそ一時間半の大渋滞でした。
暇を持て余し、まったり雑談ムードと待ちくたびれたのもあり、すっかりリラックスして恐怖心もなくなりあっさりタテバイをクリア。鎖も足場もしっかりしており、落ちついていけば大丈夫。タテバイを越えると頂上はもうすぐ。植物のほとんど無いガレ場を登りきり11時に登頂。快晴の360度パノラマは超爽快で山頂の混雑も許せてしまう。渋滞で時間が押していたので立山方面が丸見えの場所でアルファ米の昼食を摂る。風は冷たいが日差しが強く、適度な体感温度で超気持ちいい(北島風にね)。素晴らしい天気に恵まれたことに、そしてここに来ることができたことに感謝、感激いたしました。
昼食を終え時に下山を開始。時間が押しているが急いでもしょうが無い。すぐ渋滞にぶつかってしまうだろう。午後に入りやや雲が多くなってきた。昨日のような夕立ちが来たら危険なのだか程なくして渋滞のケツにつきまたしてもまったり雑談ムード。ヒマを持て余し見知らぬ人とも話したりして妙な和気藹々な空気に調子が狂う。さすがにうんざりしてハイシーズンのビックメジャーは今回限りにしたいものだと思いました。待ちくたびれたころ今度は下りの難所「カニのヨコバイ」。足場の難しいトラバースがあるもそんなにたいしたことなく通過する。おそらくタテバイと同様に待ちくたびれて恐怖感が薄れてしまったのだろう。アップダウンの激しい帰り道には流石に疲れてペースは遅く、剣山荘につくころにはかなり膝にきていた。そこでビールを飲んでいる人を見てしまい、そこでは我慢したものの剣沢小屋で購入しテン場に戻るとN氏と無事の登頂を祝って乾杯しました。
登頂の充実感に満たされて夕食の準備をするは至福の時。山で二泊は初めてで贅沢気分が半端無い。ソーセージを茹でてパンや麓で買ってきた茗荷をN氏の焼き網で焼き、もってきたパックの日本酒を飲みながら剣沢は黄昏れていきました。昨日の夜半は雲があったが、今夜は暮れてゆく空は快晴でいきなり星が凄い。新月の快晴は星を見るのに最高のコンディションで、さらにこの場所は周囲に灯りもなく空気も澄んでいる。天の川、というか銀河系の断面が空に横たわり、新月の快晴の剣沢の空は宇宙丸見え状態だった。外でN氏と話をしていると幼少の頃宇宙の図鑑を見て強烈な原体験を経験したことを思い出した。私は小学生のころ宇宙の図鑑を見ていた時にあまりの宇宙の大きさに驚き、宇宙の大きさに比べれば自分の存在は無に等しいことを悟り、自分の死をありありと感じた時の衝撃によってこれまでの人生を生きてきたような気がしていたのです。北極星は剣岳の真上を動くことなく、剣沢は地球の地軸の傾きと剣岳の方角が一直線に並んだ天文系的に(?)最高にアガる場所であり、私は異常に興奮しなぜか感動していました。眠るのが惜しいような夜だったが明日のために8時すぎにはテントに入り速攻就寝いたしました。
午前2時頃に周囲の音がうるさく目が覚めた。夜中突如突風が吹きはじめフライシートをばたばたと揺らし、その大きな音で目が覚めてしまったのです。外からの音で他のパーティーも起き出していることが伺えたので、私もテントをチェックすべく外に出るとすごい風。我々のテントは大丈夫だったが何と隣のテントがなくなっている。今日は別の場所に泊まっていて留守だったようでテントが吹っ飛ばされてテント内の物が散乱している。その隣のパーティーがテントをたたみ、内容物の上に石をおいて飛ばないように処置していました。少々それを手伝ってまたテントに戻りましたがフライシートの音がうるさく、テントが大きく歪み覆いかぶさってくるためなかなか眠れなかったが、いつの間にかうとうとしているうちに起床時間の5時をすぎ5時半に起床いたしました(またも寝坊)。
フライシート内前室で食事の準備。焼き網で食パンを焼きソーセージを茹でて食せば活力がまた蘇る。すぐ止むだろうと思ってた強風は収まる気配がなく、まったりする余裕もあまりなく撤収作業に入りました。吹っ飛ばされたテントやぐらぐらのテントが散在していましたが山の気候が読めないことを再認識。7時40分に名残惜しくもテン場をあとにすると来た道を引き返すべく剱御前小屋に向けて広々と清々しいカール地形を登っていったのでした。
8時半に剱御前小屋に到着。ここで剣岳は見納めです。雲間にのぞく山頂に思わず頭を下げ、強風の中を新室堂乗越経由で雷鳥平に下って行きました。強い風に時折立ち止まって耐えながら下山して行く道の大日岳が美しく、やがて日本海も見納めになり高度を下げていくに従って小さな花が咲き乱れるお花畑地帯に突入。立山も晴れていて雷鳥平から室堂周辺も丸見えですが、火山と高地湿地帯が小さな箱庭のような不思議な景観を作り出していてここが古来巡礼の場所となっていたこともなんだか納得がいくようでした。10時10分雷鳥平着。川の水で顔を洗い振り返ると別山乗越(剱御前小屋のあるところ)が高々とそびえ立ち、行きにガスで行く先が見えなかったのは逆に良かったように思われるほどの道(というか崖)。登る気も失せてしまうほどのひたすらの急登がよく見えました。そして11時10分に室堂着。帰り道が遠いので室堂との別れを惜しむ間もなくさっさとトロリーバスに乗り込めば、乗り継ぎもスムーズに12時
50分に扇沢着。
そのまま帰り道途中の温泉に直行し、風呂上がりの遅い昼食を撮ると一路神奈川県の家路に向かって延々車は走る(N氏が運転し、私は助手席に座ってるだけだけど)。やがて中央道勝沼あたりがら結構な渋滞に捕まり主にアイドルの曲などを聴きつつのろのろと日常に近づいていくにつれて、仕事のことを思い出したりしてやや憂鬱になって行くがなんだか山のパワーで明日から新たに日常での戦いに挑めるような気もしてくる。高速をおりてカレー屋で夕食を摂り10時頃には無事我が家に帰ることができました。以上剣岳遠征登山記録これにておしまい。
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