妙高山(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,174m
- 下り
- 1,171m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2009年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
2009年9月、敬老の日と秋分の日はわかるがあとは何の日か知らない5連休。春のゴールデンウイークにちなんでシルバーウイークというらしい。これを利用してSさんと荒川三山に登ることにした。ところがSさんは、お兄さんが膵がんのターミナルでちょっと危ないと云う事でキャンセル。佐野さんが行かないのならと、わたしもキャンセル。
というわけで5日間スッポリと空いてしまったので一人で妙高山に登ることにした。以前、火打山に登った時に妙高山にも登ろうと計画していたが、雨のため断念したことがある。その後、燕温泉から登ろうとしたが、大雨で天狗平への登山道は崩れ落ちていてこれまた登山は断念し、温泉につかっただけで帰って来たことがある。今回は笹が峰から黒沢池ヒュッテまで登り、翌日妙高山に登るという予定を立て、リベンジを期した。9月21日、朝6時に出発。各務原ICから美濃JCT、土岐JCTから中央高速、岡谷JCTから長野道、更埴JCTから上信越道。新潟県に入ると真正面に目指す妙高が形の良い姿を見せ、大分近づいたなと思ったところで片道2車線の高速道路は1車線となり、渋滞に巻き込まれる。でもこれも束の間、妙高高原ICで高速道路をおりて料金は1000円、安い! 山道を走って着いた笹ヶ峰の大きな駐車場は満杯で、溢れた車が道路脇にとめられている。わたしも道端に車をとめ、仕度をする。以前、ここから火打山に登ったことがあるが、どんな登山道だったのかあまり記憶に無い。10時50分、「↑火打山・妙高山登山道」と書かれた立派な門構えの登山道入り口をくぐる。天気予報ではこの連休中は晴れマークが連なって、絶好の登山日和。本格的な紅葉にはまだ早いが、少し黄色味を帯びてきたブナとミズナラの森の中、オゾンをたっぷり含んだ新鮮な空気を胸一杯に吸いながら木道を歩く。立派な木の橋もあり森の中の散歩道といった趣きで、篭をぶら下げてキノコ採りをしている人もいる。木道も終わり、そろそろ登山道かなと思うが、再び木道が現れる。少し勾配が増し、滑り止めのついた木道となる。50分程で木道と別れ、黒沢に降りる。何人ものひとが休んでいて、わたしも黒沢橋の手前の岩に腰をおろしてひと休み、ザックからホットドッグと牛乳を取り出す。ここしばらく雨は降っていないが、澄んだ水が勢いよく流れている。男ばかり6人の学生さんが出発したのを期に、わたしもその後に続く。ここからは大岩がゴロゴロする溝状の急登、ゆっくり登るのだが、富士山のようには行かない。段差の高い急登が続き、勢いをつけないと登れないので息が切れる。前を行く学生さん、中の一人が遅れがち。先に行ってくれというので仕方なく彼らの前へ出る。「十二曲り」を過ぎても急登が続き、息を整える暇が無い。黒沢橋から一時間二十分、ゴロゴロ石の登山道の上に青空が広がり、峠らしき感じがする。間もなく富士見平に到着。ここは火打山と妙高山との分岐、錦繡の紅葉真っ盛り、多くの人が休んでいる。わたしもザックを下ろしてひと休み、残りのパンを食らう。黒沢岳を巻いて下り、雑木林から出るとパッと明るい原っぱが現れる。ここは黒沢岳と妙高外輪山の間に広がる黒沢湿原の南の端、壊れそうな橋を渡って木道を北に向かって歩く。木道の脇には草紅葉、黒みがかった濃い紅色のチングルマの葉が初秋の陽差を浴びてつやつやしている。湿原は薄茶色に染まり、その向こう、紅葉の始まった黒沢岳の山肌にダケカンバの白い幹が映える。台風が日本列島に近付いていたがこれも小笠原に逸れ、ずっと晴天が続いている。と、思いきや、北側からガスが流れ出て黒沢池を被い、明日の天気が思いやられる。ブラブラと木道を歩くこと30分、黒沢湿原の北の端、今夜の宿泊地「黒沢池ヒュッテ」に到着。ヒュッテの前の小さな広場では多くの人が団欒し、広場の一角までテントが押し寄せて来ている。ここは以前、火打山からの帰りに泊まったところ。喋ったあとには必ずワッハッハーと笑う植木さんが小屋番をしていたのだが、今日は別の少々認知症気味のおじさん他3名でやり繰りしている。青色のトタン屋根、天体観測所を思わせる丸い小屋、一階が食堂、2階と3階が宿泊場所。わたしは2階の3番を割り当てられる。円形の大部屋、壁側を頭に、真ん中の板の間を取り囲むように布団が並ぶ。頭側は布団一枚のスペースであるが、足元は布団が重なり合う。今晩は満員のようであるが、一応布団は一人一枚。山小屋にしては洒落た夕食を済ませ早々と布団にもぐり込む。
例の如くウツラウツラと夜を過ごす。朝3時半頃から朝食の準備の音が聞こえ始め、4時に階段の明かりが灯される。4時10分に下に降りるともう朝食が始まっている。クレープ、スープ、コーヒーとこれまたお洒落な朝食。お代わり自由でクレープを6〜7枚平らげ、お腹がもたれる。外に出ると雨がパラリと降っている、今日は雨か。5時、上下カッパを着込んで頭にランプ、地面を照らしながら妙高山への登山道に入る。真っ暗な森の中、足元を照らし、ゆっくりと慎重に登る。妙高山は外輪山に囲まれたもっこりとした山、メキシカンハットのような形をしている。これは、爆発により山頂部分が崩壊し、東側が開いた馬蹄形爆発カルデラを形成したもので、この外輪山の大きさから考えると富士山ぐらいの標高があったと思われる。その後カルデラ内の新たな火山活動により形成された中央火口邱が現在の妙高山である。登山口から25分ほどで西側の外輪山、大倉山乗越に登り着くと展望が開け、明るみはじめた東の空をバックに真っ黒な妙高山が飛び込んでくる。うむ、これが妙高か、どっしりと構えた見事なドームである。雨も止み、カッパの上着を脱ぎ、ランプもはずしてザックに詰める。ここからはロープが付けられた急下降。これを過ぎると外輪山の内側をトラバース気味に下降する。カルデラの底の長助池を見おろしながらどこまでも下り、それにつれ妙高山はどんどん高くなって行く。紅紫の花に白いアザラシの髭、これはフジアザミ、白い舌状花に囲まれた黄色の筒状花、これはヨメナ。シロバナヤマホタルブクロ、ヤマハハコ、ミヤマシシウドにトリカブトと、結構花も多い。乗越から35分ほど下り、長助池分岐に至る。ここからいよいよ妙高山の登りが始まる。大岩が重なる急登。岩や枝や笹を掴んでヨイショヨイショと登り、息が切れる。振り返れば、木々の間から北アルプスの山並みが見えるが、これを楽しむ余裕は無い。全ての人に追い越され、喘ぎながらののぼりが続く。1時間以上急登が続き、洞窟に祀られた祠を過ぎるとパッと景色が開け、三角点のある妙高山北峰に到着。黒沢池ヒュッテからたった2時間20分の行程であったが、それにしてはシンドイ登りであった。三角点の横に、「妙高山山頂2454m」という柱が立っているが、まだ先の南峰のほうがどう見ても高そうである。大きな溶岩が屹立する山頂部、岩を伝って将軍地蔵がある南峰に移る。北峰は2446m、ここは2454m、ここには山頂の標識は見られないが、どうみても妙高山の山頂はここ南峰であろう。360度遮るもののない展望、火打山、高妻山が間近に見え、眼下には野尻湖が光っている。取り敢えずリベンジ出来たことを喜び、下りにかかる。ダブルストックに身体をあずけ、膝の負担を和らげて下る。長助池分岐でひと休み。燕温泉から登ってきた団体さんが休んでいる。元気を取り戻し、外輪山を登って大倉山乗越から振り返って見た妙高は、朝見た時の真っ黒なドームと違い、紅葉に彩られた穏やかな山であった。外輪山を下り、帰り着いた黒沢池ヒュッテは昨日の賑やかさはなく、静けさを取り戻していた。1本400円也のお茶を買い、黒沢湿原を渡る。昨日より一層紅葉が進んだ湿原、リンドウが茶色に染まり、草紅葉のチングルマの花は綿毛をとおり越して白髪をなびかせている。黒沢湿原に別れを告げ、森の中を登り富士見平でひと休み。もう雨が降ることはないだろうと、カッパのズボンも脱いでザックに収める。ここから下ること1時間で黒沢橋に降り立ち、河原で小休止。あとは木道を辿り、12時22分、今朝黒沢池ヒュッテを出てから7時間22分、無事笹ヶ峰の登山口に帰り着いた。
「苗名の湯」で汗を流し、ビールはぐっと我慢して運転席に乗り込んだ。シルバーウイークの4日目、恵那山トンネルに入る前から土岐ICまでの大渋滞に巻き込まれ、へとへとになってしまったが、妙高山にリベンジし山頂を極めたこと、それにちょっと早めの秋にひたった大満足の二日間であった。きままに計画し、きままに行動できる単独行の良さを久し振りに堪能した山旅でもあった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する