那須 三斗小屋温泉(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 9.2km
- 登り
- 631m
- 下り
- 613m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありませんが、風が強い。 |
写真
感想
2007年11月23日は金曜日、この日は勤労感謝の日で3連休ということで登山の計画を立てた。雪は無さそうな所あるいはあってもたいした事は無さそうな所ということで、少し遠めではあるが那須岳を選んだ。以前茶臼岳に登った時、朝日岳のふもとに温泉があると聞いていたので、そこへ行く事にした。その温泉は三斗小屋温泉と云い、そこに明治時代から続いている2軒の宿があると云う。宿の名は煙草屋と大黒屋、この名前を聞いて温泉宿と思う人はいないだろうと思われるが、間違いなく温泉宿である。昔は街道筋で宿も5軒あり多くの旅人が利用したらしいが、今は2軒だけとなり、この山奥の古びた温泉を目指してきた人達だけに宿を提供している。朝5時に自宅を出発。岐阜羽島ICから高速道路にのり、ナビを三斗小屋温泉に設定し一路東京へ向かう。到着予定時間は12時半となっている。何せ遠方のこと、一体どれだけの所要時間が要るのか判らなかったが、これならゆっくり登っても4時には宿に着けるとひと安心。厚木から横浜までトラックと軽トラックの事故のため渋滞となり、これを抜けるのに1時間ほど余分な時間を費やす。首都高速に入った途端これまた渋滞、一歩も動かず。霞ヶ関でやっと走り出すがまたまた大幅に時間をロスする。そのままナビに従って行くと東北自動車道に入る。東北なので車は少ないものと思っていたが、片道三車線の道がフルに使われ、車間距離も取らずに走行車線でも120kmの速さで連なって走っている。と、「○○km先事故のため渋滞」と電光掲示板に出ている。120kmで走っていると前の車のブレーキランプが点灯する。あわててギアーをサードに落とし、ブレーキを踏む。おっとっとと、もう少しで追突しそうになる。少しの間渋滞となるが、再び120kmで連なって走り出す。追い越し車線で二台の事故車が止まっており、またまたおっとっと。運転手が携帯で話しているところを見ると、まだ生まれたての事故のようで、この運転手もおっとっとと思ったが停まりきれず、そのまま追突してしまったのに違いない。しばらく走ると、今度は三台の車が事故を起こしている。これまた生まれたての事故のようで、車間距離を置かずに高速で走るという、この東北道独特の無茶な走り方が生んだ渋滞中の二次災害である。那須ICで高速道路を下り、ロープウェイの駐車場に向かうも、この道路がまたまた渋滞、もう知らん。少しでも時間をかせごうとロープウェイで登ることにしたが、頼みのロープウェイは「本日運行中止」と書かれている。仕方が無いのでその上の峠の小屋まで行くと、積もった雪が凍った駐車場に車が3台駐まっているのみである。気温は−3℃、登山道には雪が積もり、この状態では三斗小屋温泉まで3時間はかかるだろう。今はもう3時、宿に着くのは6時で、5時前から暗くなる今の季節、暗闇の中、知らない雪道を歩くのは無謀と思われ、三斗小屋は諦めて今日は那須高原で泊まろうかと、しばし思案するがなかなか決断がつかない。取り合えずちょっと登ってみようと、寒さ対策を整えて3時5分に登山口に入る。トレイルがあり雪は締まっていて、歩く分には全く影響は無い。いつもなら登り始めは身体が慣れるまでゆっくりと登るのだが、今日は始めからペースをあげる。これならなんとか行けるのではないかと、携帯電話で本日宿泊予定の大黒屋に、今登山口に入ったところなので少し遅くなる旨を伝える。大黒屋の主人は、「風が強いので気を付けて来て下さい」と云う。林の中の雪道の登りを過ぎると、火山岩の茶色の山肌が現れる。茶臼岳の北側を巻くように登るのだが、強風で雪が吹き飛ばされて、先程までの積雪は嘘のように無くなっている。前方上方、茶臼岳と朝日岳の鞍部の稜線に小さく見える峰の茶屋を目指し、如何にも火山という様相の赤茶けた、まるで遮るものの無い斜面を登る。こんな緩やかな傾斜なのになんで鎖場が、と思うがすぐに納得。峰の茶屋から猛烈な風が吹き降りて、右手の切れ落ちた深い谷に飛ばされないよう、鎖を掴んで登れということらしい。右手の谷の向こうには荒々しい山々が屹立し、一層不気味さを感じさせる。この強風の中であるが、一生懸命歩いているので予定より早く、駐車場から50分程で峰の茶屋に登りつくことが出来た。峰の茶屋は、稜線を吹き抜ける強風が荒れまくり、立っている事もままならなず、早々に三斗小屋に向かって下り始める。下りではあるが下から吹き上がってくる猛烈な風に押し戻される。雪が飛ばされて赤茶けた地肌が露出するガレ場を、強風にあおられながらトラバース気味に下り、やがて林の中の道となると雪が積もり出す。木の間から下のほうに避難小屋が垣間見えるが、深い雪に足を取られての急な下りでなかなか小屋に着かない。ようやく避難小屋に着いても時間が惜しいので休むことなく前に進む。道は緩やかとなるがそのぶん雪は深くなり、時折り膝まで雪に沈んで立ち止まる。山側から木の枝が垂れ下がり行く手を阻み、これを手で掴んで除けながら進む。まだ5時前なのに周りはだんだん暗くなり、上空を見上げれば満月が浮いている。足元が見難くなり、月の明かりだけでは覚束なく、ヘッドライトを取り出して足元を照らしながら進む。5時10分、まづ煙草屋第2別館が現われ、左手の雪の階段を下りて大黒屋に到着した。途中休むことなく急いで来たので思ったより早く着き、5時半からの夕食にも間に合うことが出来た。あてがわれた四畳半ほどの畳部屋は誠にレトロな雰囲気を醸しており、柱が傾き、ふすまと柱との間の隙間を板で塞いである。石油ストーブが炊かれているが部屋の中は寒く、畳は冷たい。すぐに四つ足の台に載せられた夕食が運ばれ、さっさと食べ終わって温泉へ。灯かりは電球一個、薄暗い中、湯船につかるだけで石鹸もなく身体を洗うことも出来ない。それでも身体は暖まり、部屋に戻って布団をかむる。隣りの部屋との境は薄い板一枚、隙間から覗くことも出来る。寒い部屋ではあったが、毛布と布団を被ると温かく良く眠ることが出来た。
翌朝は7時から部屋で朝食を摂り、ご飯のお代わりもして今日の朝日岳の登りに備える。食べ終わって宿代を払いに行き、宿の主人に、「朝日岳は登れるでしょうか」と尋ねると、「誰も入っていないので止めたほうがいい。ラッセルして3時間以上はかかるだろう」と云うので即座に朝日岳は諦め、昨日来た道を戻ることに決めた。外は雲ひとつ無い快晴。折角持参したのだからとアイゼンを付け、8時10分に大黒屋を発つ。アイゼンが締まった雪を気持ちよく踏みしめ、快適に登る事が出来る。昨日とは違って今日はゆっくりと、景色を眺めながらの登りである。昨日は気がつかなかった「延命水」の場所もわかったが、無闇に長生きはしたくないので飲むのは止す。寒いといけないのでカッパを着ているが、じきに汗が垂れて来る。ダケカンバの林の中、深い雪ではあるがトレイルを歩いている分には全く問題は無い。時折り木の枝が垂れ下がって行く手を阻むので、これを避けようとトレイルから外れると、ズボズボと膝まで埋もれる。スパッツを着けているので靴の中まで雪が入るような事はなく、ズボンについた雪もさらさらなので払えばすぐに落ちる。ぬかるんだ道を歩くより余程快適である。「無限谷」の橋を渡ると向こうから男が一人でやってくる。「早いですね、どこからみえたのですか?」と尋ねると、「仕事ですから、煙草屋です」と云う。「峰の茶屋の風はどうでしたか?」、「そよ風程度です」、「昨日は前に進む事が出来ないほどの猛烈な風でしたよ」、「わたしは峰の茶屋まで這って登った事があります」。お話しが好きなおじさんに別れを告げ先に進むと、樹間から茶臼岳が現われ、山肌から白い噴煙が上がっているのが見える。避難小屋に到着し、背中のザックをはずして腰を下ろす。カッパを脱ぎ、今朝宿で入れた熱いお茶を飲みながらゆっくりと休む。振り向けば朝日岳が聳え、その上に青空が広がっている。その空の青さは、紫外線がじりじりと照りつけるような夏山のものと違って、白味を帯びた柔らかい青空である。避難小屋を発ち、冬枯れの林の中の急坂を登ると立ち木が無くなり急に景色が広がる。左山の狭い道をトラバースするようになり、雪はまばらとなる。アイゼンをはずしてザックの背中にぶら下げ、昨日とは打って変わって無風状態のガレた道を登る。峰の茶屋の稜線に登りついても、成る程、煙草屋のおじさんが云ったとおりそよ風程度である。茶臼岳へ向かう人もいて、山際には人の姿が小さく見える。振り返れば朝日岳へ向かう雪道には足跡があり、ここからなら登れそうである。いずれも頂上まで50分程の登りであるが、ちょっと時間が足りないので登るのは止める。峠を発ち、茶臼岳の巻き道を下る途中、何人もの人に会う。普通の登山姿の人が多いが、中にはスニーカー姿の人もいる。「日帰りで三斗小屋温泉に入ってくる」という夫婦連れは、普通の服を着て普通の靴を履いている。ここまで来られたことに感心するが、温泉まではたどり着けないだろうと思う。やがて林の中の雪道を下ることになり、再びアイゼンを付ける。登ってくる時は快調であった十本歯のアイゼンはすぐにはずれてしまい、付け直すのも面倒なのでアイゼンなしで下る。春山のような気分で気持ち良く下って駐車場に帰り着いた。昨日は3台しか駐まっていなかったのに今日は何十台もの車で賑わっている。拡声器からロープウェイの案内が響き、ロープウェイの駐車場も満杯となっていた。
懐かしく拝見させていただきました。30年以上前になります。私の先輩に連れられて、煙草屋と大黒屋に着きました。確か大黒屋でしょうか、完全予約制で私たちは煙草屋に宿泊手続きしました。しかし次から次へと登山者が小屋に入り、先輩から大黒屋にしようと話があって、予約制の大黒屋に宿泊の交渉を行い従業員用の布団部屋で良ければと受けてくださりました。布団部屋とは言え綺麗な個室に感激したものです。懐かしいです。
gijinさん、こんばんは。
幽閉中の身でする事がありませんので、過去レコアップに専念しています。昔登った山、思い出して懐かしく思い出していますが、ほとんど覚えのない山もあります。大黒屋さんは印象的な温泉で、今でもはっきり思い出すことが出来ます。もう一度行きたいな〜。
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