【2010年】飯豊連峰縦走
- GPS
- 80:00
- 距離
- 27.4km
- 登り
- 2,539m
- 下り
- 2,699m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:50
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:50
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
■帰り/飯豊山荘(送迎バスなど)⇒小国(JR米坂線など)⇒新潟 ※山都駅から御沢登山口までタクシー運賃6,000円 |
写真
感想
***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***
山の姿も、豊かな残雪も、たおやかな稜線も、花も緑も、一度登ったら忘れられない。それに「飯豊」って名前がなにより良い。(飯が豊かなんて実にシアワセなことだ)「イイデ」という音の響きも忘れられないのである。
今回の山旅はJR磐越西線山都駅からスタート。ここから川入登山口行きのバスは8月一杯までの期間運行のため移動手段はタクシーとなる。財布的には痛いが仕方ない。事前に電話連絡しておいたからか、タクシーが一台駅前に停車していた。運がよければ同じ列車で到着した他の登山者と相乗りできるかな、とも思っていたがそれ風の人は僕一人。そうか、今日は日曜日だもんな。連休初日、なんて場合なら可能性は高いかも、と思いつつタクシーに乗る。(タクシーに乗る場合だけはソロであることを少しだけ恨む)タクシーは30分程で目的の登山口へ到着。運転手さんはいつものコースといった感じの慣れっぷりで、車が入れるぎりぎりの御沢野営場まで着けてくれた。タクシー代は6000円也。予想よりは少し安かったな、と強がってみる。
Day1:御沢野営場〜三国岳〜切合小屋(宿泊)
キャンプ場の管理棟で登山届けにそれらしいことを記入してから出発。おっと、その前にストレッチだ。と体をほぐしていると早くも下山の登山者が現れた。「早いっすね〜」「夕べ上で一泊しましたから、今日は下山だけです」まぁ、そりゃそうなのだろうがまだ午前9時ですよ〜。
天気は快晴、予報も良好でしばらくは天候の大きな崩れなさそうだ。ただ心配なのは気温の上昇。この日の最高気温の予想もやはり30度オーバー。もう、暑いのは勘弁なのだが、標高が上がるにつれ少しはマシになるだろう。豊かなブナの長い登りを黙々と歩く。今回もハイドレーションシステムが活躍しそうだ。
横峰小屋跡を通り過ぎ、三国岳の尾根に取り付く少し手前にある水場(峰秀水)。これが冷たくて旨い!これを口にしてしまったらハイドレーションのヌルくてマズい水なんて飲めねーや!時期的に水場の心配があったので4リットルの飲料水を担ぎ上げてきたのだが、この先も心配なさそうな雰囲気である。
旨い水で喉を湿らし、少しだけ元気をもらって再び登りに取り掛かる。三国岳から延びる尾根上に出ると視界が開けた。三国岳を見上げる。
三国岳山頂までは剣ヶ峰の岩稜という岩場を越えなければならない。ゆっくり足元を確認して登れば問題はないが、時折クサリ場になっているところもあり、強いて言うなら「難所」である。手も足も使って登るということは体力も消耗してしまうということであり、カラミなら苦労することも無いんだけどなぁ。とぶつくさ呟きながら山頂へ。
三国岳山頂(1,664m)からは一気に視界が開ける。西には会津方面磐梯山。そして、北側はこれから目指す飯豊本山へと続く山並みである。緑の絨毯を敷き詰めたようなこんもりとした山のうねりこそ、飯豊山の最大の魅力。この辺りから飯豊連峰の核心部へと突入するのだあー!
っと、先を急ぐ前に三国岳に立つ三国避難小屋の広場でちょっと一休み。再び歩き始めると、近づいてくるのは飯豊本山と大日岳を結ぶ稜線と種蒔山(1,791m)の向こうに見える飯豊本山。飯豊山の山頂もかなり近づいてきたが、ここから(七森付近)だと今日中の到着は困難だ。時刻はもう午後2時を回っているので、この先、切合小屋か本山小屋で一泊だ。今日のように天気に恵まれた日はなるべく距離を稼いでおきたいが、山頂直下にある本山小屋まで足を延ばすには時間的にちょっとキツイ。ならば手前にある切合(きりあわせ)小屋に宿泊だ。
僕が山小屋に到着した時には既に2名の宿泊者が先行していた。水場は小屋のすぐ手前にあるが営業(管理人在住期間)としては昨日の土曜日がシーズン最後だったようで、沢から引かれたホースの水は止められていた。でも貯水槽にはたくさんの水が溜められており、調理に使う水としては問題ない。(沢の水ならかけ流しにしてくれてもいいと思うのだが)
小屋周辺にはキャンプサイトもある。飯豊連峰は原則キャンプ禁止とされているが、小屋には「テント一張400円」の張り紙があり、公認されているところが面白かった。まぁ、最終的には自己判断ですな、こういう問題は。
山小屋で自分の就寝スペースを確保し、寝支度を整えたらあとはゆっくり時間を過ごす。一緒に泊まる2人とおしゃべりをしたりモルト系の酒を飲みながら景色を眺めたり・・・。そして、一日のおしまいは山の夕焼け空ですなぁ。
Day2:切合小屋〜御西岳〜梅花皮小屋(宿泊)
飯豊2日目は朝6時から行動開始。
山の上だと朝日がほぼ真横から差し込む格好になるので自分のシルエットもながーく延びる。斜陽ってのは夕陽をあらわす言葉だけど、朝日の場合はなんていうんだろ?
なぁんて取りとめのないことを考えながら今日も元気にスタートなのである。「御秘所」という岩場を越え「御前坂」という急坂を登りきると山頂まではあと一息。本山小屋の屋根も見えてきた。本山小屋から程なくして山頂へ到着。
山頂から続く御西岳への稜線。歩き応えのある登山道がまだまだ続くのが嬉しい。
途中、05年改築の御西小屋で一休み。この先、御西岳〜烏帽子岳〜北股岳〜門内岳と続くアップダウンの少ない稜線はトレッキングコースとしても秀逸で飯豊歩きのエッセンスが凝縮されていると思う。(もちろん石転び沢の大雪渓を詰めるコースも魅力的だと思うけど)
残念なのは秒単位で視界がガスで遮られシャッターチャンスがあまりなかったこと。
下手な写真を撮るためにアタフタするより、腰を据えて景色を眺めたほうが良いと割り切って、瞼の奥にその雄大な景色を焼き付けることにした。
そのうち、何となく怪しげな空模様になってきた。まだ時間は早いが、梅花皮岳(かいらぎだけ)と北俣岳の鞍部に建つ梅花皮小屋で荷を解くことにした。
Day3:梅花皮小屋に停滞
飯豊山3日目は停滞。
昨晩の就寝後、深夜1時。暴風が小屋を殴る音で目を覚ました。その轟音に寝付かれず悶々としながら朝を迎えたが、一向に天気は好転しない。ラジオでは新潟下越地方のあちこちに大雨洪水警報が発令されたと告げている。どうやら接近する台風が東北南部に延びる前線を刺激し天気を大荒れにしているようだ。入山前の予報からは正直想像できない展開だ。
こんな時はもっぱら停滞に限る。
今回の僕には時間がたっぷりあるし、食料も過剰なほど準備している。山小屋のすぐそばには潤沢な沢水を補給できる水場もある。では、快適な山小屋暮らしを堪能しよう。ここ梅花皮小屋は2階建ての立派な山小屋で、2階上部のロフトを含めれば余裕で50名は就寝できそうだ。
広い山小屋を独占。キャンプ道具を目一杯拡げ、張り綱に濡れた衣類をありったけ吊るしても余裕のスペースだ。
それにしても思いっきり暇だ。多めに用意したインスタントコーヒーと一冊の文庫本を持ってきたのが救い。燃料が惜しいので水で溶かしたコーヒーを何杯も飲み、沢木耕太郎の「凍」を読みふけった。
明日は台風9号が本土上陸するのか?
ひょっとしたらテータイが何日も続くのかも?
まぁ、いい。今回は時間も食べ物も潤沢にあるのだから。
Day4:梅花皮小屋〜北股岳〜地神北峰分岐〜丸森尾根〜飯豊山荘(宿泊)
避難小屋で停滞を余儀なくされた翌日の明け方、雨は小降りになり風も幾分おさまった(ような気がする)。新潟県村上地方の大雨洪水警報は昨日の夕方に解除されているし、このあと台風が上陸するまでの数時間はなんとか天候はもってくれるかも知れないな・・・と、夜明け前の暗い小屋の中で寝袋にくるまりながら今日の行動をシミュレーションした。結論としては夜明けと共に行動を開始しできるだけ前へ進むということ。もしだめなら北股岳を越えて少しの距離にある門内の避難小屋に逃げ込めば良いし、それも無理なほど風が強ければ直ちに諦めてここ梅花皮小屋に戻ってくればよい。万一、引返せない状況で台風に追いつかれたとしても主稜線から派生尾根にエスケープすれば樹木が風雨を妨げてくれるだろう。よし、デッパツ!そうと決まれば撤収作業は素早いのだ。
ボンッ!という音で小屋の重い鉄の扉が開く。
ヒュウ!と短く力強い風切音が耳を貫く。
おそるおそる玄関のタタキから一歩外へ踏み出す。
バサッ!とレインウェアを叩く風の先制パンチ一瞬よろめくが、足を踏ん張りその場でじっとしていると風のパワーやリズムがある程度読めてきた。これならなんとかなりそうだ。
強風に耐えながら歩を進め北股岳山頂へ。しかし不思議な事に北股岳を越えた辺りから風は止み雨もおさまった。前方には門内岳がくっきりと。空は高く、どちらかというと穏やかな山の天気である。嵐の前の静けさなのだろうか?
地神山まで来た時にこの先杁差岳に続く伸びやかな稜線の誘惑を断ち切って下山を決意。何処までもまっすぐ歩いてゆきたい衝動に駆られるが、台風が近づいている今は下山が最優先である。地神上峰の分岐から丸森尾根を下る。終点の天狗平には飯豊温泉もある。
標高1400mからは見事な雲海が眼下に広がっていが、雲海の下まで降りてくると小雨が落ちてきた。見事なブナの森を黙々と高度を下げる。最後のガレ場の急坂を下るのが少しだけ辛かった。
下山後:飯豊山荘に投宿
飯豊連峰下山後。良いいで湯があるというのでふらっと立ち寄る。源泉かけ流し100%天然温泉の飯豊山荘である。日帰りでお湯を頂くことも可能だが、宿泊でも7000円だという。手頃な値段だし、翌朝バス停までの送迎付きを条件に泊まってしまうことにした。どうせ今夜からは台風で大荒れの天気。それなら温泉宿でゆっくり過ごした方が得策というもんだ。
フロントでチェックインをしながら、「そういえば台風って今、どのあたりなんでしょうね?」と尋ねると、担当者は一旦フロントから外れ、奥のテレビで確認しているのか、しばらくして戻ってくると「今は福井県辺りみたいですね」
え?福井県だって?
携帯で入手した予想天気図では能登半島から上陸し、新潟県から福島県を横断する進路を示していたのだが・・・福井県とは。
部屋に案内され、早速テレビで確認すると、ちょうどBS放送(山奥なので地上波テレビは入らない、ちなみに携帯も圏外)では台風のニュースが。台風の中心は福井県にあって、このまま南下し東海地方近辺で熱帯低気圧に変わりその後に太平洋に抜ける、というのだ。
肩透かしを食らってしまった訳だが、まぁこんな景色を堪能できる旅館でゆっくりできるのだから、それはそれで満足だ。旅館では温泉→ビール→温泉→ビールの繰り返しで体の心からふやけてしまった。たとえ明日の天気が回復したとしても、ホネ抜きとなった自分の体は回復しそうも無い。だめだよねぇ・・・と、思いつつも大満足の飯豊連峰漫遊であった。
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