【過去レコ】1999西沢渓谷から国師ヶ岳・金峰山縦走 バリルートに触る
- GPS
- 56:00
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 2,078m
- 下り
- 1,647m
コースタイム
- 山行
- 11:55
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 11:55
天候 | 二日とも晴れ・9日午後はガス |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
瑞牆山荘から西沢渓谷入口まで公共交通機関で戻るためには昼前を目処に下山しなければタクシーを使うことになります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
1999年当時の様子です。 〇西沢森林軌道跡:一般登山道ではありません。 地面に見えても桟道(テラス状の床を設けた道)部分が多く丸太が腐っています。 細心の注意が必要です。 〇軌道橋梁跡:橋があった付根は崖で降りられません。 少し戻った斜面に踏跡があり、渡渉する河原へロープ無しで降りられます。 〇渡渉点:水かさが低ければ石で渡れます。 〇対岸側:軌道の終点だった平地がありますので沢から離れるように数十メートル進むと無人雨量観測所があります。 その脇を通り抜けるとアザミ沢林道末端へ出ます。 〇天狗尾根取付点:アザミ沢林道と鶏冠山西林道のT字路より右手側に登り口があります。 〇天狗尾根:石楠花の藪と倒木で歩きにくく不明瞭(特に下側で)。 赤実線で書かれたコースですが実質破線に近いです。 ※全般的に余り歩かれていません。 |
その他周辺情報 | 1999年当時のものです。 大弛小屋・幕営300円/人 増冨ラジウム温泉・増冨の湯:バス利用者700円(一般1,000円) |
写真
感想
※当時手帳に書いておいたものです。
9日
まだ夜の明けない午前5時前に道の駅みとみを出発する。二股あたりまではヘッドランプを点けて歩いた。西沢渓谷は人気が全く無く貸切りである。薄暗いのが残念だが、日中来れれば総天然色の風景でさぞ壮観だろう。遊歩道は良く整備されており歩きやすい。西沢のハイライトである七ツ釜五段ノ滝に着く頃には明るくなり、滝の美しさに見入ってしまった。と同時に沢を登るとしたらどうやって滝を巻くかなどと、しょうもないことを考えてしまう。天気は良い。
そこから急坂を登り遊歩道の終点、軌道跡の分岐に出る。さらに上流側に20mほど歩くと黒金山へ向かう分岐がある。ここで朝食にする。食事中に後から来た2人組パーティに抜かれる。迷わず軌道跡に入っていったので、きっと私と同じ国師へ向かうのだろう。3連休の初日だというのに、このコースへ入ったのは私以外にこの1パーティのみだった。
食事を終えて軌道跡を歩き始める。レールはそのまま残っており、後々では手がかりや目印に役立った。斜面を切り通した路盤のしっかりした所はハイキング気分で歩き易い。しかし、大半を占めるのは、斜面を切り通すよりも簡単な、丸太を渡してテラス状に軌道面を確保した部分である。軌道面の根太が腐り落ちてしまい、丸太と宙を渡るレールだけになってしまった個所がかなりあった。丸太はたいがいが一本橋で、腐って表面は石鹸なみに滑る。体重くらいは支えられそうなので、足は丸太、手は前かがみになってレールを掴んだり山肌へ当てたりして慎重に横に移動する。軽便軌道なのでレールは細く、レールだけで体重は支えられないだろう。
むしろ、丸太だけになってしまった所は注意できるだけましである。一見、まともに見える所で下が腐っていると(土がかぶっていて切り通しと区別が付きにくい)、体重で足元を踏み抜いてしまう。天然?の落とし穴状態である。自衛策としては、なるべく山側を慎重に歩くしかない。前半に短い隧道が2箇所あり、半分を過ぎたあたりで広い枝沢が軌道を跡形も無く分断していた。沢を横切りレールが出ている所を目印に再び軌道跡に取付く。広場になった所があり、プレハブ小屋が残されていた。そこからほどなく、軌道跡の入口から1時間強で軌道の架橋跡に達した。橋の付根だった所はレールが垂れ下がり、岩の絶壁になっている。少し戻ると軌道面から河原へ続く急斜面に道とは言えないような踏跡があり、慎重に下って西沢の狭い河原に立つ。そこから河原を橋のあった所まで行くと、対岸の石に赤ペンキがついているのが見えた。
うまい具合に石があり、靴を脱がずに沢を渉る。岸にもうけられたコースを入るとすぐに崖があり、その下にそって沢から離れるとレールが飛び出ている所がある。そこを山側に入ると薮と化した軌道跡に出た。道なり?に薮を分けていくと無人雨量観測所があり、さらに進むと林道に出る。西沢の支流、アザミ沢の治山工事用林道の末端である。最近は車の通った様子が無いが、道自体はしっかりしていてカーブミラーもある。ここから長い林道歩きとなる。
20分も歩くと路面の草が無くなり、常時車が通行しているらしい。アザミ沢には比較的新しい砂防堰堤がいくつもあり、堰堤上面の道路でアザミ沢を2回渡る。それにしても下が無くて上流から延びてくる林道は珍しいと思う。林道に出てから1時間ほどで生コンのプラントが見えてきた。その手前にあざみの群落があり赤紫の花を付けている。もう花の時期も終わりで蜜蜂が忙しそうに飛び回っていた。
アザミ沢を堰堤で渡り右岸の生コンプラントに出る。林道が分岐している。ここで先の1パーティが上流側から下ってきた。聞くとこの分岐は地図に無く、天狗尾根の取付きはまだ先だとの事。この先で工事のおじさんに聞いたらしい。このあたりは林道がどんどん延びて地図の方が追いつかないようだ。ここから天狗尾根の取付きがある林道分岐までが長かった。途中には枝沢がいくつもあり水には困らない。林道を詰めていくと道端の胸の高さ程に積んだブロックの上から水が落ちている場所があった。直接口で水が飲めて便利だ。ここがこのコース最後の水場となった。午前11時半にやっと林道分岐に到達する。大休止して昼食を取る。
天狗尾根は取付き点こそすぐ見つかったものの、それに続く道が実に分かり難い。始めは少し西寄りに歩くのが良さそうだ。前半は樹林帯の中で苔むした倒木とシャクナゲが多い。赤印を追わないと簡単に道から外れてしまう。迷ったと感じたら戻るか尾根の中心へ向かうのが良い。跨ぐか潜るか困るような倒木は体力を消耗する。尾根も半分を過ぎると岩陵帯となる。道がはっきりしたのは良いが巨岩の隙間を抜ける所が多くなり、時にザックを降ろさなければならない。難儀な道である。先行した2人が2~300m先で手を振っているのでこちらも答えた。
次の目的地である天狗岩であるが、それらしき岩がいくつかありどこがそうなのか解らない。しかし本物を見るとこれが天狗岩に違いないと確信させるだけの威容を誇っている。遠目で避雷針に見えたのは奉納された剣で、昭和39年とある。私と同い年で何か運命的なものを感じた。
天狗岩から主稜線まではそれほどかからなかったが、国師岳にはなかなか着かない。ようやく午後3時半に到着した。天狗尾根に取付く頃からガスが出始めていて山頂からの眺望は利かない。それでも隣の北奥千丈岳は見えた。どちらの山も頂上だけ切り開かれていて、あとは樹林で覆われている。時間も残り少ないので早々に山頂を後にした。途中で北奥千丈岳にピストンする。奥秩父一の高さを誇るにしては地味な山だ。ここから大弛峠までは急な下りだ。
足がつりそうになった頃ようやく大弛峠に着いた。幕営の手続きをしてテントを張る。小屋もテント場も満杯だ。テント場のすぐ下は川上牧丘林道の駐車スペースとなっており、ここも四輪駆動車で混雑している。10時間以上もかけて登った所に車道があるのは不満だが仕方ない。
ハードな登りだったため体が疲れてしまい、食事も取らずに午後8時には寝てしまった。その後気分が悪くなって午前零時前に目が覚める。気分直しにココアを飲んだらやや気持ちが優れ、朝の4時半まで寝付くことができた。
10日
4時半のアラームで目が覚める。気温1℃、不思議とそれほど寒くない。昨夜はテントの入口を閉めずに寝てしまった(フライのファスナーは閉めた)。思えば最後に幕営したのは96年夏の剱以来だからもう3年も前だ。その時はベースキャンプ的に使用したので実質行動したのは1日だけだった。縦走テント泊となると94年の剱沢までさかのぼる。
今回の縦走では歩荷訓練的な意味を持たせようと、やや重目に荷物を背負ったが鈍った体には負担が大きい。足には相当疲労がたまっているが、ここまで来た以上歩かないことには帰れない。
食欲も出てきたのでたぬきそばを作って食べる。辺りが白々と明けてきて、素晴らしい秋晴れの天気となった。快晴、無風。これだけの天気に恵まれたことに感謝しなければなるまい。
テントを撤収して身支度を整え、午前6時半、予定通り金峰山目指して出発する。体はしんどいが、朝日、鉄山と通過して午前9時半に金峰山に到着した。それにしても何と人の多いことか。夫婦、親子、中高年、学生と老若男女問わず山を楽しんでいる。大弛峠の東側とは大違いである。昨日国師から大弛に下る時に出会ったパーティは数えるほどで、それも峠からのピストンらしき軽装の人ばかりだった。こちら側も軽装の人に変わりはないが数が違う。展望の利く稜線歩きができるからなのか、金峰山のネームバリューか、アプローチの便利さなのか、とにかく休む場所に困る位の人出である。人気の山が自分にとって良い山とは限らないが。
金峰山からの展望は素晴らしいの一言に尽きる。360°のパノラマだ。富士山を始めとして南北中央アルプスに八ヶ岳、瑞牆山に小川山と一望することができた。金峰山のシンボル、五丈石に登ってみようと試みたが、途中で手掛かりが無くなり断念した(北面からは登れるらしい)。
ここから大日岩まではほとんど下りである。相変わらず人は多いが金峰山の山頂辺りほどではない。千代の吹上げという絶壁の縁を過ぎると縦走路は樹林帯に入る。日差しが遮られ、かえって心地よくなった。午前11時40分に大日岩到着。木製のベンチがあり休息した。大日岩は巨大な一枚岩で、埋まっている部分を掘出せば五丈石よりも大きいのではないか?
大日岩から大日小屋を経て鷹見岩への分岐に来る。鷹見岩は展望絶景とのことだが、残念ながら体力的余裕がない。そのまま見送って富士見平へ向かった。高度がどんどん下がり、話声が聞こえて来て富士見平に到着した。ここも大混雑である。時刻は午後1時を回ったが、この時間にこの場所でこの混雑ぶりは瑞牆山の人気がかなり高いことを示しているのだろうか?金峰山から見た瑞牆山は、ひときわ異彩を放つ岩塔群が印象に残った。機会があったら登ってみたい山である。
足の痛みはピークに達したが、もうひとがんばりで歩かなくて済むという思いだけで坂を下る。瑞牆山荘に午後2時15分到着。バスの時刻まで1時間半もある。バス停にザックを並べ、飲み物でも買おうと山荘に入ると、何とソフトクリームがある。迷わず買い求めた。バス停の横に腰を降ろして食べていると、やっと苦痛な歩きから開放されたという実感が湧いてくる。
バス待ちの時間を潰していると朗報が来た。臨時便が出るらしい。瑞牆山荘から増富温泉まで須玉三共タクシーがマイクロバスを運行している。1日4往復で通年ではなく、JR時刻表にも載っていない。ディーゼルの唸りと共に小山のように背の高いバスがやってきた。三菱の四輪駆動ロ―ザでその名も「増富温泉みずがき号」である。四輪駆動のマイクロバスは見たことはあっても乗るのは始めて、しかも助手席に乗れた。高い視界は10t車並みではないだろうか。
約20分程で須玉町営の温泉「増富の湯」に到着する。すでに午後4時近い。塩山からのバス時刻を考えると先に行きたいが、韮崎行きの路線バス時刻まで1時間近くある。タクシーだと料金が7000円ということで単独では割り勘もきかず痛い。2日も風呂に入っていないので、ここできれいになっていくことにした。料金は一般が1000円だが、みずがき号利用者は割引券を貰え、700円で入ることが出来る。風呂は清潔で石鹸、シャンプーは揃っており、畳の大広間もある。
風呂から上がると館内放送が入り、韮崎行きの臨時バスが出るとの事。いくらかでも時間が助かるのは有難い。バスはみずがき号と同じ会社の営業で、トヨタのコースターである。四輪駆動ではないが最後列の座席が無く、後部観音ドアが付いている(登山者仕様か)。そのスペースにザックを置き、小一時間バスに揺られる。こちらも満員だった。
韮崎駅で時刻表を見ると普通列車まで1時間以上もあり、しかも塩山まで行かず甲府止まりである。だが横浜行きの臨時特急はまかいじ4号が7分後にあり、塩山にも停車する。切符を買って普通席に座り、午後6時前に塩山駅に着いた。もうだいぶ暗くなっており、西沢渓谷行きのバスは無い。仕方なくタクシーで行くことにする。道の駅みとみまで6000円で行ってくれると運ちゃんが言うので乗込んだ。タクシーの中で山の話をした。このあたりでは登山者がタクシーを利用するのが多いそうで、塩山駅から大弛峠まで客を運ぶこともあるそうだ(ちなみに料金は12000円位で林道工事が休みの土日限定)。30分程で道の駅に着く。運ちゃんは私の車の前まで乗せてくれた。感謝。
今回の山行はこれで終わった。想像以上に苦しい山行だった。全ての原因は自分の体力不足だと思う。コースは素晴らしかったし、これ以上ない天気にも恵まれた。また体力をつけて山に行きたいと思う。
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