オークラノ尾☆青龍の滝から民ヶ谷の滝へ
- GPS
- 05:50
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 942m
- 下り
- 956m
コースタイム
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 0:01
- 合計
- 5:51
過去天気図(気象庁) | 2020年07月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
なかなか梅雨が明けそうもないが、この時期でも低山に登る機会に恵まれるというものだ。美山のオークラノ尾には山の北側には青龍の滝とブドウの滝という二つの滝が記されている。後者は民ヶ谷という谷の奥にある。ネット上でもほとんど記録が見られないが、この二つの滝を繋ぐことを考える。
バスの終点、旧知井小学校前で降りると、まずは長い車道歩きから始まる。道路の温度計は24℃を示している。
田歌の集落の手前で地図の実線を辿って、川沿いの道に入る。しかし、微かな踏み跡はあるが完全に藪化している。集落の手前では林床を緑のヒカゲノカズラが覆う檜の植林となる。林床は戦前とした段が形成されており、かつては棚田だったのだろう。
ようやく集落の中心を通る道に出ると、最上部にある洞雲寺を目指す。集落の上には滝が見える。いくつかの滝が連なっており、最上部に落差のある滝があるようだ。これが青龍の滝だろう。
洞雲寺の右手脇の道を辿ると、道はすぐにも終わる。草叢の中へと続いてゆく微かな踏み跡が目に入る。踏み跡はまもなく不明瞭になるが、低木の藪のを進んでみる。樹々の間から正面にコンクリートの構造物が見えるのは、どうやら堰堤のようだ。右手の斜面を登って堰堤を越えると植林の中に入った。
堰堤の上流から再び沢に下降すると、その上流は沢にはいくつもの小滝が連なる、いわゆる連瀑帯となっている。慎重に足場を選びながら滝を一つ一つ越えてゆく。やがて谷の上部に再び青龍の滝が見える。左岸に薄い踏み跡があったので辿ると一気に滝の下にたどり着く。
滝の上から落下する流心は細いが、岸壁の途中から流れ落ちる分岐瀑と交差し、独特の構図を示す滝だ。すっかり滝に気をとられていたのだが、気がつくと両足の靴下にヒルが吸い付いている。右足はすでに吸血されていたようだ。
ここからがが問題だ。滝の右手の小さな谷を登り、左手に斜面をトラバースすると容易に滝の落ち口にたどり着くことが出来る。この間、わずかな距離を進む間にもかなりの数のヒルの襲来を受ける、数匹のヒルを跳ね飛ばすことになる。しかもそれぞれのヒルはかなり大きい。このあたりの山にヒルが多いというのは聞いたことがないが、ここでも昨季は雪が少なかってせいでヒルが多いのだろうか。
谷の奥は二俣に分かれ、左俣には再び小瀧の連瀑が見える。沢の遡行にこだわるつもりはないので谷から離脱し、左岸の植林の尾根を登ることにする。地図には現れない尾根は急斜面ではあるが尾根筋は明瞭で登りやすい。谷から離れるとすぐにもヒルの姿は見かけなくなった。
田歌から登ってくる谷の左岸尾根に乗ると微かな踏み跡があるように思われる。しかし、尾根上は頻繁に濃厚なユズリハやアセビ、そして杉の幼木の藪が現れる。濡れた葉のせいで瞬く間に体がびしょ濡れになる。
p790のピークの手前で江和からp654を経て登ってくる尾根と合流すると、広い尾根上には忽然と大きな芦生杉の巨木が現れる。p790からは西に赤テープが複数あり、道が続いているようだ。民ヶ谷(ミンガタニ)に下るルートのようだ。ここからオークラノ尾の山頂を目指すには南東の方向に大きく尾根を曲がる。
尾根を進むとやがて尾根には霧が立ち込めるようになる。尾根から霧が晴れたかと思うと、最初のピークca810mにも芦生杉の大樹が現れる。
下山はca810mで杉の大樹に再び挨拶するとピークの南側の源頭に降りてみる。イワヒメワラビの繁茂するなだらかな源頭が広がっている。ca810mから南西に伸びる尾根の最初の小さな鞍部には国土地理院の地図によるとこの山名の由来となる小野倉谷から登ってくる破線の道ががここを越えて、民ヶ谷を下ることになっている。しかし道の形跡は一切ない。
斜面をトラバースしながら民ヶ谷の源頭に降りる。ここからはいよいよ禁断の沢下りだ。沢沿いには微かではあるが、薄い踏み跡があるようだ。谷は下るにつれて急速に傾斜を増してゆく。小瀧が連続して現れる。小滝の右岸の斜面を巻いて降りるが、その先は滝となっているようだ。
踏み跡は右岸の植林地の中に入っていくようだ。踏み跡を頼りに大きく巻き下る。
右岸から再び滝の下に下降してみると落差はおよそ20mほどだろうか、三段の滝であった。滝を過ぎると谷は大きく広がり、苔むした大きな岩が目立つようになる。沢沿いには主のような大きなカツラの樹が現れる。快適に沢を下るが、再び滝の気配を感じ、右岸の斜面を大きく巻き下る。下降した先には二段の20mほどの滝が現れる。滝の下段は岩陰に隠れているが、滝の手間の左岸に登ると滝の全景が目にはいる。滝からの水飛沫で涼気が漂う。
谷を下降すると再び滝があるようなので、今度は踏み跡を辿って左岸を巻き下ろうとするが、踏み跡はすぐにも斜面に消えてしまう。下に谷が見えるが、かなり急峻な斜面だ。木を掴みながら慎重に谷に下ると右手に15mほどの分岐瀑が現れる。遡行であればこの滝の登ることが出来たのであろうか。下降においてはこの滝の巻き下りが核心部であった。折しも滝に木洩れ陽が差し込み、流心を明るく輝かせる。
民ヶ谷には少なくとも大きな滝が3つあることになるが、果たしてどれがブドウの滝なのだろうか。地図の位置からすると最後の滝がそのように思われるが、帰って調べてもよくわからなかった。
ここから先は大きな滝もなく、順調に谷を下降する。谷を塞ぐ倒木に集中地帯が現れるが、倒木をくぐり抜けると右岸に大きな炭焼き窯の跡が現れた。その向こうに右手の尾根を下ってくる踏み跡といくつくものピンクテープを目にするとようやく一安心する。どうやら先程のp790から下るルートなのだろう。渡渉すると、すぐにも対岸にイワヒメワラビに覆われた林道の終点が現れた。
再び府道に出ると晴空が広がっているが、電光温度計は26℃を示している。今日は温度はあまり上がらなかったようではあるが、かなり蒸し暑く感じられる。次のバスまで時間があるのでかやぶきの里まで歩くことにする。かやぶきの里には多くの観光客が訪れているようであったが、バスの乗客は私一人だけであった。
ところで民ヶ谷ではヒルの気配を感じないと思っていたが、どうやら私が気がつかなかっただけであった。家に帰ると青龍の滝で咬まれたのとは反対側にヒルに吸血された痕があり、未だに止血が得られていないのだった。
コメント
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yamanekoさん、こんにちは
とても興味引かれるコースを行ってこられたんですね。
青龍の滝は車道から対岸の山腹を見るだけでしたが、渇水期だったせいもあって、お湿り程度で水流があるようには見えませんでした。上流の水域面積も狭いので、それ以降あまり気にしていなかったのですが、梅雨時期とは言え、今回行ってこられた写真を見ると、とても美しい滝だったのですね。
この滝は府道から見えるようにと周囲が伐採されたと聞いていて、滝周囲には緑も見えず殺伐としたイメージに見えましたが、雰囲気も良さそうで、これはいずれ行かなくてはと思いました。
ブドウ滝は1999年に探しに行ったことがありました。この時は滝仲間数人と行ったのですが、その中の一人で京都の滝に精通している友人が、民ヶ谷本流には20mクラスの滝がいくつかあることはあるが、ブドウ滝がどれだかわからず、といった今回のyamanekoさん同様のことを言っていて、支流にも入ってみたいと言うことで同行したものでした。
そして民ヶ谷標高420m付近から分かれる左岸支流に入り、少し遡上すると20mほどの美しい岩目の滝があるのを見つけ、美しさや雰囲気から言って、これがブドウ滝ではないかということで戻ってきました。
果たしてその滝がブドウ滝で地図の位置が間違っているのか、今回yamanekoさんが見られた滝のうちのどれかを指すのかは、いまだわかっていません。
また、南丹市美山エコツーリズム推進協議会がまとめたレポートでは、美山町江和には2段15mの不動滝があるとされています。これがもしかしてブドウ滝のことではないかとも思えなくもないです。
いずれにせよわたしも一度行ってみたいと思います。
過去レコとして、この時の支流の滝と知見の雄滝に行った時のものをあげました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2445601.html
コメントを頂けるのを期待しておりました。
このオークラノ尾にある滝はなぜか記録が見当たりませんね。
青龍の滝は確かに集落からも見上げることが出来て(府道から入っていないので分かりませんが、府道からも見上げることが出来るのでしょう)、堰堤の下は不自然な低木帯となっており、伐採斜面に木が繁茂したところなのでしょう。谷のまわりの林相を見ると、どうやら自然林を伐採したように見えます。
しかしだからといってこの滝の魅力が損なわれる訳ではなく、玉座のように連瀑の最上段から流れる様は風格のようなものを感じます。水量が多いのは梅雨の季節ゆえなのでしょうね。勿論、それを期待していたのですが。
この滝を訪れると下りが問題かと思いますが、ザイルなしに連瀑帯を下降するのは少し危険を伴うようにも思います。今回私が登った左岸の尾根上にはかすかな踏み跡があるので、そのまま尾根を下ることも出来るかと思います。
民ヶ谷は確かに林道に出る手前で左岸の支谷の奥に黒々とした落差のある滝を見かけました。後で調べるとすぐにオトマッキーの記録がヒットしたので、この滝も訪れればよかったと思いましたが、岩壁を流れ落ちる流心が遠目にははっきりと見えず、水量が少ないように思いました。
滝の迫力という点では2番目の滝が一番とおもいます。程よく沢の水量が増えたところで直瀑なって一気に流れ落ちる様は圧巻でした。エコツーリズムのレポートにある2段15mに相当すると思いますし、山と高原地図で記されている位置とも合っているように思います。
レコに書きましたが、最初の滝の高巻きが問題かもしれません。下からだと滝をそのまま登ることも出来るのかもしれません。
全般的に谷は広々としており、魅力的な渓相に思われました。下山はca790からの赤テープに従えば、地理院の地図の破線に出るのだと思われます。
それから意外にもヒルが多いのには驚きました。釈迦に説法ではありますが、いらっしゃる際はどうぞお気をつけて。
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