ヌビナイ川右俣


- GPS
- 32:23
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 1,080m
- 下り
- 1,078m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 道の駅中札内 やよいの湯 回転寿司まつりや |
写真
感想
会の先輩後輩と北海道の泊まり沢へ。
お盆休み、いつもの沢メンバーで北海道遠征へ。コロナ禍の影響もあり、状況が不安定で遠征先には悩んだが、直前でダメになったらそれはそれで仕方ない!ということでリスク承知で航空券をとる事にする。
全員が北海道の沢は初めてだったので、行先はメジャー所からということで
・クワウンナイ川
・ヌビナイ川
・飛生川
・電気の沢
あたりに行き先を絞り、お盆休みに突入する。結局、無事に行けることになり、北海道へ移動することに成功するが、天候的にはピリッとしない。大雪山方面は天気があまり良くなさそうだったので、比較的天気が良さそうな日高方面のヌビナイ川に入ることにするが、確実に持ちそうなのが1泊2日で、3日目には崩れてきそうだったので、1泊2日の間に下山までできなくても、安全圏までは移動できるようにする。この時点でピリカヌプリ、ソエマツのピークハントは厳しそうだったが、やれるところまでやってみましょうということで。
・ルートについて
肝心のヌビナイ川だが、日高一の美渓と言われる名渓のひとつで、北海道には珍しい花崗岩の沢である。トマ本では遡行グレード2級で、ロープ不要で遡行しているパーティが多いクワウンナイ川よりも低いグレードとなっている。しかし、遡行図が書かれた時点よりもアプローチが長くなってしまっていること、ゴルジュ内のトラバースが土流出により難しくなっていること、メジャー沢のはずなのに最近の記録が少ないこと、などから明らかに難しくなっていることは必至となっている。ここのところ行っている大体の沢は下調べすれば大体なんとかなるかなと思えることが多かったが、ヌビナイ川に関してはそうはとても思えなく、今回行くことになり、楽しみ半分不安半分と言う感じで当日を迎える。
・上陸〜
前日夕方の飛行機で北海道に上陸し、空港でガス缶を調達。レンタカーの手続きを済ませて、他メンバーの到着を待つ。夜、メンバーと合流し、帯広方面へ車移動する。3時間くらい移動し、中札内あたりで前泊。
・1日目
適当にコンビニで朝飯を済ませて、登山口へ。既に車が1台停まっていた。札幌ナンバーのレンタカーだったので、遠征組か?とか思っていたが、これが後に知り合いの車だと知る(笑)
この日は上二俣790mのBPを目指すこととする。
まずはクマの沢出合いまでひたすら林道歩き。昔は車で入れたこともあり、全体的に歩きやすい。2時間くらいか。
クマの沢出合からは入渓準備を整えて、河原歩きになるが、右岸もしくは左岸に明瞭な踏み跡がついていることが多く、それを辿った方が早かったようだ。
暑さと単調な歩きにうんざりしながら歩き続けると、ついに507mの二俣に到着。左俣の威圧感が凄い。そして、ついに右俣へ突入する。距離的には大したことないのにここから上二俣まで順調にいって5時間近くかかるらしくすでに11時近くだったので、頑張らなきゃなと思いつつ。
入ってすぐゴルジュの雰囲気が凄い。水量・水勢ともにいきなりupする。綺麗な景色にワクワクが止まらない。
入ってしばらくするとすぐに長めに右岸巻き。高度感あるが踏み跡明瞭で楽に歩ける。その後は左岸中心に巻きつつ、進んでいく。
すると間もなく、1個目の核心のトラバースへ。高度感ありまくりのゴルジュ左岸をトラバースって感じ。当たり前だが落ちたらゴルジュ内に真っ逆さま。深さがホワイトウォッシュではっきりしないので、トラバース途中で落ちても大丈夫かどうかは微妙そう。
肝心のトラバースはというと、確かに記録で見たより岩岩していて、あまり踏める土がない感じ。とはいえトラバース自体の難易度は高くない印象で丁寧にホールドを拾っていけばいけそうな感じ。
嬉々として、yoshikitoリード。サクサク進んでいく。トラバースうめぇ。自分だったらもっと時間かかったと思うので、素直にすごいと思った。
途中に残置ボルトあり。ロープFIXで全員抜ける。とはいえ落ちても止められるほど強度あるランナーや数をとれないので後続も落ちないことが前提ですね。
そこを抜けるとまたまた滝が続いて、脇登ったり、巻いたりで抜けていくと、第2の核心の雪渓が現れる。威圧感がすごい。めっちゃ冷気出てるやん。。。
7月末の記録だと上に乗って抜けていたのと、雪渓自体は下から見る分には分厚そうに見えたので乗って抜けようと試みるが、途中のギャップが上手く繋がらない。ギャップの先が上手く繋がってるかどうかの確認も含めて、自分リードで側壁の土斜面トラバースを交えて突破し、先が繋がっているのを確認できたが、斜面が不安定でその部分を後続が渡ることが難しそうとのことで、そこからの突破は諦めることとし、自分が自分で張ったロープ伝いに後続のいるところにもう1回戻る。
自分的にはランナーもアンカーもとれてるし、行ってもいいと思ったが、そういった場面での感覚の共有はとても難しい。雪渓のギャップ先にいるメンバーを説得するのは無理がある。お互いの余裕のなさとか経験値の低さが出てしまった感じ。
こんな感じで時間を浪費してしまったので、上二俣まで抜けきるのが難しくなり、途中でBPがあるかどうかも不明だったので、雪渓手前のBPで行動打ち切りとする。丁度平らな場所があり、良かった。
初めての雪渓見ながらのゴルジュ内でのビバーグは冒険感が強くて、面白かった(笑)
流木は大量にあったので、盛大に焚き火しつつ、ハルさんの美味しいカレーを食べつつ、夜が更けていく。夜には星空も見えた。
2日目
この日はソエマツやピリカヌプリ登頂を諦め、七ツ釜の綺麗なあたりまでを楽しんで、下降する計画とする。
yoshikitoが雪渓下をくぐれるがどうか偵察し、行けそうだったので、この日は朝イチで雪渓の下をくぐることとする。生きた心地がしない。
全員無事に抜けられた。
抜けた先はだんだんの険しさが無くなり、美しさが際立ち始める。天気も快晴となってくる!
綺麗な大釜が連続し、花崗岩が沢にとても映える。本当に綺麗で感動した。みんなで記念写真とりつつ、楽しむ。
そのあたりで綺麗な大釜が連続し、渓相もとても綺麗だったので、このあたりを七ツ釜だと勘違い。下降する時間に余裕を持ちたかったのもあり、このあたりで下降開始することとする。だが、しかしこれが七ツ釜手前だったみたい。。。痛恨のミス。ごめんなさい。
下降開始するが、大釜で飛び込んだりしつつ、どんどん下降していく。天気も良くてとても楽しいー!yoshikitoもkaguさんも飛び込みまくってて笑った。
核心のトラバースはまたまたyoshikitoがリード。慣れたものでテクテクリードしていた。ここも無事全員通過できたので、後は難しいところもなく、下降していく。
結果的には下降は時間かからず、入口付近まで帰ってこれた。
せっかくなので、大きい釜でみんなで水遊びする。楽しいなー。ハルさんも珍しく釜に浸かって遊んでいた。
沢山遊んだ後、507m二俣に戻ると、先行パーティと会う。そしたらまさかの2週間前に春川ダイレクトで会った男女2人パーティだった!(笑)
おー、とテンションあがりつつ話していると、向こうはクマの沢遡行〜ピリカヌプリ南面直登沢〜右俣下降だったそうで、4日目だそう。レベルが違う。。。
また沢で会いそうですねと話して別れる。
その後はクマの沢出会いまで単調な歩き。河原歩きでなく、できるだけ左岸右岸についている踏み跡を辿るとかなり簡単に早くクマの沢出会いまでたどり着けた。その時間が早かったので、その日の間に下山してしまうことに。ヒグマも怖かったしね。
グダグダ歩いて、車まで戻る。お疲れ様でしたー。
いやー、1泊2日だけど本当に濃密な2日間でした。体感3級あったし、エッセンスが今まで無かったタイプだったので、余計に難しく感じた。そのレベルの沢をちゃんとこなせたのは嬉しかったし、自信になったかと思う。
そしてなにより、沢がとても美しく素晴らしかった。水の綺麗さ、釜の綺麗さ、ゴルジュの規模、それらと相まった壮大な景観。
日高一の美渓は伊達じゃないなと思いました。大満足です!!!
yoshikito、kaguさん、ハルさんみなさん本当にありがとうございました!!
北海道は日高山脈のヌビナイ川右股沢へ。
お盆は北海道へ行くと決めていたので、長期山行としてはトムラウシ山周辺沢と、このヌビナイ川を計画していた。梅雨明けにも関わらず、台風が熱帯低気圧に変わり、あたかも梅雨っぽい感じの前線が北海道に居座っていて予報は明るくない。ギリギリまで相談して、少しでも天気の良さそうなヌビナイ川へ。北海道の大自然に溢れ、壮大な規模の沢でとても面白かったです。雪渓処理と飛び込み下降のレベルが上がりました。
飛行機、車移動、長い長い林道歩きを経て、やっとヌビナイ川の二俣に到着した。左俣は左に折れ、ゴルジュからは威圧的な雰囲気が漂っていた。幾分明るい右俣を進むとすぐに細くなってくる。それまで川だった地形が沢となり、分散していた水が集められて、大水量となって迫力満点。滝の落ち込みは真っ白に泡立っていて、落ちたら上がってこれないなという感じ。近づけないので水線突破はできず、直登できない滝が多い。いくつかの滝を巻き上がると核心のトラバースが現れた。少し進んだ位置にあるので、気持ちよくはないが、始点にハンガー、中間にリングボルトとお助け紐、終了点に浅打ちのハーケン2枚があった。おそらく30mで足りる。
ラインが綺麗に見えたので自分がリードする。開始位置が手前だったので、残置までロープが届かず、ハーケン2枚打って後続を確保した。また少し進むと、雪渓が出てきた。初めて見た。やばいとか言いながら、テンションはめちゃ上がった。これぞ沢登り!雪渓の上に乗り、Yutaさんが継ぎ目をロープを引いて抜けたが、土砂の斜面で悪く、始点のアンカーとしてフォローの滑落に耐え得るものがなかったので、上からの突破は諦めた。この時点で16時で、雪渓下を潜るにしても目的の二俣までは到着しないだろうと相談して、雪渓前でビバークすることになった。初の雪渓ビューのテン場である。薪は無限にあった。翌日のために、雪渓内を偵察した後、幕営して焚き火。相変わらず楽しい。
2日目。上流部には進みたいが、明日の天気が悪そうなので、遡行後に熊の沢出合までは高度を下げておきたい。ということで4:00起床して少し登り下降することに。冷気の漏れ出す雪渓を潜ってスタートした。続く小滝の釜がでかい。帰りのこと(飛び込めるか)を考えながら登る。七つ釜がすごく綺麗、花崗岩が白い。丁度良いところで時間的に引き返す。7:15。(後々、この先が七ッ釜手前だったことが分かったが綺麗なのに変わりない。)
下降は目星をつけていた場所で、飛び込みながら進んだ。とても冷たいが楽しいので仕方ない。垂直はザック背負ったまま、スライダーは抱えて滑ると良いことが分かった。背負ったままだと日本泳法、流されていくスタイルが楽。キャニオニングの動画でザックを先に投げ込んで、人が後に続くのを見たのでやってみたが、ザックは浮いて思いのほか速く流される。瀞でなければ泳いで追いつけない。
時間があったので、右俣入り口付近で水遊びをした。
ゴルジュ入り口で、ロープを引いてホワイトウォッシュに飛び込んでみた。下から湧き上がるのが見えているものは、ダウンストリームあるので明らかに危ないと思っていたが、そうでない部分についても中に入ると沈まないものの動けなかった。試しに滝の落ち口から流木を投げ入れると沈まないものの対流してかなりあとから出てきた。白くなっている部分には飛び込まないのがおすすめ。
反転流も意外と強い、ザック背負っていると、瀞っぽいところでも頑張らないと抜けられない。力抜いてると流されていく。
ライジャケについて。
ライジャケなくても脱力すれば顔が出る位には浮く。
キャプテンスタッグの背面フロート抜くと楽に浮く(嵩張るのとザック背負いづらいので抜いて持って行った。)
キャプテンスタッグのライジャケ正規だと楽々浮く。でも、下方の流れに引き込まれたらどうなるかは分からない。
早くに熊の沢出合まで到着してしまったので、下山することに。。今回はラバー足袋を履いていたが、全荷装備でこれだけ長い距離を歩いたことはなかった。足裏が痛いので、そっと歩くのに体幹使い過ぎてヨレヨレになった。いつかの鈴鹿以来のよれっぷりだった。荷物が重くて、歩行距離が長い時はシューズがおススメです。
昨年の夏と同じくらいのグレード感、でも違ったタイプの沢に来て、だいぶ余裕があったので(足裏以外は、、)成長も感じることができた山行だった。
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