北岳 (撤退)


- GPS
- 80:00
- 距離
- 50.6km
- 登り
- 4,266m
- 下り
- 4,266m
コースタイム
芦安駐車場12:10〜(旧道)〜夜叉神の森14:25/15:00〜広河原山荘20:15(冬期小屋泊)
●12月30日(日)
広河原山荘6:00〜大樺沢途中10:40〜広河原山荘12:15(冬期小屋泊)
●12月31日(月)
広河原山荘8:30〜大樺沢途中15:05〜広河原山荘16:55/18:00〜夜叉神の森22:15(テン泊)
●1月1日(火)
夜叉神の森5:45〜夜叉神峠6:35/7:20〜夜叉神の森8:00〜(車道)〜芦安駐車場10:00
天候 | ●12月29日(土) 晴れのち曇 -3℃ ●12月30日(日) 雨 -3℃ ●12月31日(月) 曇、場所により晴れ -17℃ ● 1月 1日(火) 晴れ -16℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(山の神ゲート悪天候で通行止めの為) |
コース状況/ 危険箇所等 |
●大樺沢コース、ラッセル膝下からヘソです。 ●夜叉神の森から夜叉神峠は凍結あるがアイゼンなしでも歩けました。 ●山の神ゲートは除雪作業が終わり開放されていました。 ●1月1日の時点では芦安から夜叉神の森まで路面凍結ありませんでした。 ●1月1日、夜叉神登山口は満車でした。 |
写真
感想
文章が長くなってしまったので目次?です(ーー;)
●1日目【芦安から広河原へ】12月29日(土)
●2日目【顔面殴打で撤退!!】12月30日(日)
●3日目【時間切れで撤退!!】12月31日(月)
●4日目【南アルプス撤退!!】1月1日(火)
去年は土壇場で行けなくなった北岳年越山行。
今年は万全の準備をして挑みました。
しかし北岳はそんなに甘くないですね。全く歯が立ちませんでした。
一年越しの夢敗れ去る(T ^ T)
(以後、敬語は省略します)
●1日目【芦安から広河原へ】12月29日(土)
昨日は雪混じりの雨。こっちは完全な雪だったのだろう。
悪天候のため山の神ゲートは再び閉鎖された。
どちらにしろ路面凍結が怖いので芦安駐車場に停める事も考えていた。
ここまでは想定内だ。
夜叉神峠への旧道(山道)を歩き、まずは夜叉神の森(夜叉神峠登山口)を目指す。
旧道で写真を撮っているとカメラが「ピー」となった。
「撮影可能枚数が0です」SDカードが入っていない!!
これは想定外。カメラと予備バッテリーがただの重りと化した。
今までの大した事のない写真は消す事にしてiPhoneに持ち替える。
しばらく歩いていると車道の方からブルドーザーが除雪作業をする音が聞こえてきた。
丁度、夜叉神の森に着いた時に除雪作業が終わったところだった。
ブルドーザーは帰って行く。
この後、山の神ゲートは開放されるのだろう。
なんか損した気分だ。でも帰りにまた積もっていたら嫌だし、これで良しとしよう。
夜叉神の森で一休みしたら、ここからが本番。
南アルプス林道を歩き広河原へ向かう。
広河原までは前回録ったコースタイムだと3時間。悪路を考えて4時間と言ったところか?
しかし荷物が重い。5日分の食料に加えて寸前まで持って行くか悩んだテント。アイゼン・ピッケル、シュラフにマット。何か余計な物が入っているのではないか?捨てられものは無かったのか?
やっと広河原に到着したのは20時半近くだ。5時間以上もかかってしまった。
とにかく冬期小屋に入り休むことにする。
明日は、ついに北岳にアタックだ。
●2日目【顔面殴打で撤退!!】12月30日(日)
30日は事前に調べておいた予報通り、雨。
雪になる事を期待したが-3℃位では完全な雪にはならないようだ。
まずは白根御池方面と大樺沢方面への分岐を目指す。
ラッセルは膝下辺りまでで浅い。それでもコースタイムの倍かかって分岐に到着。
分岐からは大樺沢コースへ。
沢を東側に渡る所で事故は起きた。
沢を渡ろうと足を出したつもりが、アイゼンが引っ掛かり上半身だけが前へ。
沢に顔から突っ込んだ。
顔面を岩に殴打し、鼻と口の内外とも出血。
前を開けていたので服がびしょ濡れ、手袋も濡れた。
顔にタオルをあててツェルトを被る。着替えて手袋も予備の物を出す。
寒さで痛みは分かりづらいが、鼻の骨は折れていないようだ。
骨は折れなかったが、心は折れた。
撤退しよう。
今日は広河原山荘に泊まり、明日芦安へ戻る。
今回の旅は、これで終わりだ。
●?日目
気付くと自宅の布団の中だ。
そんなはずはない。今、自分は誰もいない広河原の冬期小屋に居るはず。
そして『冬の北岳を目指している』はずなのだ。
顔は確かに怪我している。
日付を確認すると1月2日。3日も経っている。
もしかして遭難したのか??記憶が全くない。
手掛かりを得ようと人を探すが、なぜか幼児と外人さんしかいなくて会話が出来ない。
ここで目が覚めた。
ちゃんと広河原にいる。夢に会話の出来ない人しか出てこなかったのは、人と話したい欲求の現れか??
外は雨が止み、強い風が吹いている。
明日は晴れるだろう。
明日、もう一度、北岳にアタックしよう。
●3日目【時間切れで撤退!!】12月31日(月)
朝、5時50分頃だったと思う。二度寝していると冬期小屋のドアが開いた。
人だ!!
ヘッドライトを点けた男性が入ってきた。
誰も来ないだろうと思って小屋の中を占領していたので慌てる。
干したシャツがカチカチに凍っている。
「すみません。誰も来ないだろうと思って……今、片付けます」
男性は「大丈夫です」と言って荷物を隅に置いた。
「これから北ですか?」
「ええ」
この時間に来るという事は、夜中歩いたのだろう。
相当、疲れていたらしく、シュラフに包まり寝てしまった。イビキをかいている。
男性を起こさないように少し早い年越し蕎麦を食べる。
8時半、再び北岳を目指して出発だ。
今日は昨日のトレースが残っているため、ずいぶん楽に歩ける。
分岐を過ぎて昨日転けた沢を東側に渡ると再びラッセル。
この辺りからは膝の上まで雪がある。
頑張ってもなかなか前に進めない。
ラッセルが腰辺りまでになると100mに30分もかかってしまう。
昨日の雨で雪の表面が凍っているのだ。
まずはその表面をピッケルで叩き割る。そして膝と足を使って足場を作って進む。
雪の深さは、ヘソ、胸へとエスカレートする。
二俣分岐まで後1時間という道標を過ぎると沢に降りるはずだ。
しかし降りる道がない。と言うか崖?を横切るように降りるのだ。
なるべく丘側に雪を踏み固めながら降りて行く。
この時点で15時。
ここは沢を西側に戻る橋の手前。
ここから白根御池まで後何時間かかるのだろう??
残念だが、時間切れだ。
今日も結局、撤退。
明日は元旦。このまま冬期小屋で迎えるのは寂しい気がする。
夜の南アルプス林道を歩いて夜叉神の森まで行けば、明日、夜叉神峠に上がる事が出来る。
明日、せめて朝日に染まる北岳を見よう。
●4日目【南アルプス撤退!!】1月1日(火)
日の出は6時50分。夜叉神峠までのコースタイムは約1時間。
無駄に速く着くと寒い中で待つ事になるので、5時45分に登山口を出発。
道は若干の凍結があるもののアイゼンなしでも歩ける。
日の出の少し前に夜叉神峠に到着した。
北岳が見える。計画では今あの頂に立っているはずだったのだ。
今年初の日が登り、北岳が赤く染まる。
この日の出をあそこから見ているはずだったのだ……
帰りは夜叉神の森から芦安までキレイに除雪された車道を歩く。
山の神ゲートは開放され、芦安駐車場もすっかり雪がなくなっている。車も無事だ。
南アルプスに来た時の恒例、ほうとうの小作に立寄り、今回の旅は終了。何か寂しいけど……
北岳には、また年末挑戦しよう。今年は休みが2日間多い。
計画を練り直し、身体も鍛え直す。
待ってろよ、北岳!!
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いつもレコみせていただいてました。
北岳は池山吊尾根ではなくて大樺沢をあがられたんですか?
あそこは雪崩がすごくないですか。
負傷されたところは大丈夫でしょうか。
お大事になさってください。
またレコをたのしみにしております。お疲れさまでした
レコみていただき、ありがとうございます。
池山吊尾根だと八本歯が恐いので大樺沢→右俣→肩ノ小屋のルートを計画しました。
大樺沢は、沢の西側にいる時には東側に雪崩の跡があり、沢の東側にいる時には西側に雪崩の後があると言った感じで、コース自体が雪崩を避ける様になっているようです。昔のコースを見ると沢の西側のみになっているので事故があって改善されたのかも知れません。
怪我は、まだ鼻に傷跡が残っているものの、だいぶ良くなりました。
お気遣い、ありがとうございます。
では良い旅を(^-^)/
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する