木ノ芽峠〜鉢伏山〜山中峠☆鉢伏山地縦走〜旧北陸線の隧道回廊へ
- GPS
- 07:16
- 距離
- 14.7km
- 登り
- 702m
- 下り
- 848m
コースタイム
- 山行
- 6:17
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 7:14
今回の尾根は敦賀市と南越前町の境界尾根となっていて、風力発電計画が持ち上がっている。環境配慮書の縦覧も終了したので数年後には着工される可能性が高い。15〜20基、総発電出力84000KW、事業者は中部電力とOSCF社。標高700〜500mの尾根だが、個人的には年中強風が吹くというイメージはない。この尾根に沿って広域基幹林道 栃木山中線が整備されている n
天候 | はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
第一観音寺隧道(南側) 路肩スペースをお借りしました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
木ノ芽峠 古道で歩きやすいですが、積雪で慎重にトラバースする箇所あり。 鉢伏山〜山中峠 敦賀市・南越前町の境界に沿って、ピンクリボンあり |
その他周辺情報 | 鉄道遺産回廊 記憶の旅へ https://www.city.tsuruga.lg.jp/about_city/news_from_division/kankou/kanko_ka/tunnelcard.files/kiokunotabihe_map.pdf 敦賀駅の案内書にパンフレットがありました。 |
写真
感想
前夜に、yamaneko0922さんから、naojiroさんと共に敦賀の二等三角点、鉢伏山から山中峠に縦走し、旧北陸線トンネル遺構めぐりのお誘いをいただきました。自分では思いつくことすらできないすてきなプランに違いないと、同行を願い出ました。
敦賀駅で合流し、第一観音寺隧道の南側に一台デポ。その後、登山口に向かいます。行程は、この山域に詳しいyamaneko0922さん、naojiroさんにお任せです。鉢伏山へのアプローチは、木ノ芽古道から。緩やかなのぼりですが、積雪のためトラバースに少しばかり緊張する場面もありましたが、ステップを作ってくださったので無事通過できました。弘法水をいただいてのどを潤し、木ノ芽峠の前川家の主にご挨拶しました。naojiroさんがせっかくなのでぜひと、言うな地藏鉢へのお参りを勧めてくださいました。林道からは、真っ白に雪化粧した白山をはじめ、部子山、荒島岳、そして上谷山を眺めることができました。鉢伏山へは、yamaneko0922さんが言うな地藏の裏手の尾根から取りかれました。途中からゲレンデ、リフト下、管理道路を経て山頂へ。その後、境界尾根に沿って、山中峠を目指しました。雑木林の中のスノーハイクを楽しんだり、林道をつないで先へと時間を稼いだり、ルート設定はyamaneko0922さんならではです。山中峠に下ると、お地蔵様がおられ手を合わします。いよいよメインディシュの旧北陸線隧道で最長の山中隧道(1170m)です。国の近代化は、レンガを一つ一つ積み上げられた仕事があって成し遂げられました。殉職者慰霊碑に手を合わします。隧道と隧道の間で、夕日に映える敦賀湾が輝き、その懐の深さと穏やかさが厳しい歴史の荒波を包み込むかのようでした。
下山後、いろいろ調べて復習です。
木の芽古道
http://historia.justhpbs.jp/kodou1.html
鹿蒜道(かひるみち)
http://historia.justhpbs.jp/kaheru1.html
北陸線の伸長(木の芽山地越え)・旧北陸線隧道
http://historia.justhpbs.jp/railway.html
敦賀の歴史
http://historia.justhpbs.jp/index.html
鉢伏山から北に続く尾根を北上する計画をyamanekoさんから伺う。旧北陸線トンネル遺構群(日本遺産)を6月に歩いたが、今回はその上の尾根巡りということになる。
yamanekoさんを迎えに敦賀駅行くとchurabanaさんも居られた。churabanaさんとは初めてなのでご挨拶をさせていただく。車を終了ポイントにデポしてから木ノ芽古道の入口からスタートする。いきなりのスノーシューハイク、取り敢えず雪切れの心配は吹き飛んだ。
古道は雪深くなっていく。沢沿いのため雪の片斜面トラバースが多い。雪崩の危険性はないが慎重に進む。ラッセルはyamanekoさん任せで心苦しい。やがて沢を離れ広い古道を九十九折れに上がると木ノ芽峠に着く。この峠には茶屋番 藁ぶきの前川家がポツンと一軒ある。ご主人にご挨拶してから言奈地蔵(いうな)を訪れる。祠は冬支度なので中は窺がえない。
言奈地蔵の裏から古道を離れ尾根に取付く。休業中のスキー場のリフト下を直登してゲレンデに出ると北東に美白の白山連峰、東に越美国境の峰々を望める。近江百山の上谷山が見えるので、churabanaさんの食指が今にも動きそうだった。やがて鉢伏山のなだらかな山頂が見える。山頂からは西側が大きく開けていて敦賀湾と敦賀半島が望める。ここで単独登山者に出合う。武生の方だった。写真を撮っていただく。
お礼を述べ別れた後は北尾根を下る。境界線に沿ってピンクのテープが頻繁に現れ拍子抜けする。道は無いはずだが枝払いの跡も窺がえる。雪は20〜50cmで小さなポコをいくつも越えて行く。尾根の両側が杉の植林、尾根芯はコナラ等の雑木林のパターンが多い。△点標鉢伏谷を少し下った所でランチタイム。yamanekoさんが調理された炒飯を美味しくいただいた。
ランチ後は山中峠を目指して下って行く。一部は広域林道を通り、比較的緩やかな起伏の尾根を下って行く。三角点495.5を越えた所で雪切れしてスノーシューを脱ぐ。尾根を下りきると静寂感漂う山中峠に着いた。この峠は旧河野村と今庄村をつなぐ峠であった。石積みの祠の中には石仏が鎮座。峠を北に下り山中トンネルの今庄側に出た。6月にyamanekoさん達と酒宴を開いた行き止まりトンネルの情景が思い起こされる。この後は今回も旧北陸線トンネル遺構群を巡り駐車地に帰還した。
最後にyamanekoさん、churabanaさんにご同行していただき感謝いたします。
※風力発電計画は未だ風況観測タワーも設置されておらず、目立った工事は進んでいないようだった。頻繁に境界尾根に付けられていたピンクテープは風力発電計画のマーキングと思われる。またブナはほとんど見られなかった。
福井県は嶺南地方と嶺北地方に分けられるがその境界が果たしてどこにあるのかは意外と知られていないだろう。木ノ芽峠から鉢伏山を経て山中峠に至る稜線が嶺南と嶺北を分け隔てる尾根となる。嶺南、嶺北という呼称は木ノ芽峠の別称である木嶺より南か北かということに由来するらしい。私自身、この稜線が嶺南・嶺北を境界尾根であることを知ったのはつい最近、初夏にnaojiroさんと旧北陸線のトンネルを歩いた時のことだ。山中トンネルを越えたところに木ノ芽峠を越えて栃ノ木峠まで通じる林道が尾根伝いに通じていることを知る。そして改めてこの稜線を踏破してみたいと考えることになる。
福井県は嶺南・嶺北という区分よりも古くは越後と若狭という二つの国があり、敦賀の西にある野坂岳から三国岳に至る尾根がその国境をなす。この嶺南・嶺北という区分は明治以降の新しい区分であったが、その背景を探ると意外な歴史が浮かび上る。廃藩置県により現在の福井県は敦賀県と福井県の二県が置かれることになる。しかしその後間も無く、敦賀港の開港に伴い二県は敦賀県として統一されることになるが、県庁所在地をめぐり福井と敦賀の間で対立が生じることになる。この対立を機に同じく若狭・越後という行政区分ではなく、敦賀と福井を分け隔てる新たな行政区分として嶺南、嶺北という地域区分が生まれることになったらしい。
ところで、この嶺南・嶺北の境界尾根を歩きたい思うにはもう一つ別の大きな理由があった。それはこ庄部谷山から芦原山、部子山〜銀杏峰、栃ノ木峠〜下谷山の稜線と同じく、この尾根が福井県が推進しようする大規模な風力発電の場所の一つだからである。尾根上に既に舗装林道が作られており、しかも送電線が既に通じているとあれば風力発電機を建設する条件は既に十分に整っている。風力発電機が立ち並ぶ前にこの尾根を歩いてみたいと考えていたのである。
naojiroさんと敦賀駅で待ち合わせて頂き、車をデポするために観音寺トンネルに向かうと周囲の山肌にはほとんど雪が見当たらない。スノーシューの出番がないことを心配する。しかし、木ノ芽峠への古道の登山口に向かうと雪の少なさに対する心配は全くの杞憂であったことを知る。古道の最初の取付きからそれなりの雪があり、しかも雪が既に腐り気味なせいか場所によっては膝下まで沈みこむ。
木ノ芽峠に向かうかつての古道はかつては牛車や馬車が往来したのだろう。幅広い道が続いている。登り始めると古道の周囲に立派な石垣群が次々と現れる。どうやらかつての集落跡のようだ。
植林を抜けると谷の右岸をトラバースする道が続いてゆく。道は降り積もった雪により片流れになっている箇所が多いが、雪が柔らかいおかげでステップを刻むの難儀することはない。
渡渉して道が左岸に移ると、斜面をジグザグと緩やかに登ってゆく。峠の手前にさしかかると背後に敦賀の市街と野坂岳の展望が大きく広がる。上の方から間断なく犬の鳴き声が聞こえる。
峠にさしかかると一軒の茅葺き屋根の古民家が目に入る。その前では白い犬が待ち構えて、吠えているのだった。この峠に犬がいるということよりも、犬が飼われているのがこの古民家であるということに驚く。峠に到着すると彼方に白山が目に入る。景色に見惚れていると、ガラリと音がして古民家から老齢の一人の男性が出てこられる。「犬が吠えるものでな・・・」
民家の前には前川家之墓と刻まれた立派なお墓があるが、代々、この峠の茶屋を営んでこられた家系で、今も一人で住んでおられるらしい。しかし、果たしてこの男性の跡を継ぐ次の代がおられるかは甚だ疑問のようだ。男性にご挨拶して言奈地蔵に向かう。
斜面をトラバースする古い道からは白山の右手には冠雪した越美国境の銀嶺が連なり、さらにその右手でなだらかな山容を見せるのは江越国境の上谷山だろう。言奈地蔵の裏手から藪を漕いで尾根を進むとゲレンデ・リフトの下に飛び出した。今期はコロナの影響によりスキー場を営業していないお陰でスキー場の中を歩くことが出来るのが有難い。ゲレンデ・トップに到着すると南から一人の登山者が登ってこられる。
かつて鉢伏城があったという山頂には広々とした平地が広がっている。山頂の西側に展望が大きく開け、敦賀湾を挟んで敦賀半島の山々や野坂岳を望む。北にはこれから進む山中峠にかけてのなだらかな稜線が続いている。単独行の男性にご挨拶すると、いよいよ山中峠を目指して尾根を北上する。
藪尾根であることを心配していたが、尾根にはカエデやナラの快適な自然林が続く。やがてp722のあたりで西側から植林が登ってくるが、尾根芯には自然林が残されており、終始、明るい樹林の中を歩くことが出来る。
標高点603への下りで尾根を林道が横切るが、林道脇の植林の中に程よい切り株があり、そこでランチを調理する。標高点603から先は尾根には完全に植林が広がっており、また林道が尾根の近くを走るので、しばらくは林道を歩く。
林道が尾根を離れて右手に降っていくところで林道を離脱する。とはいえしばらくは植林の中に作業林道が続いている。小ピークca550mを左から巻いて、その先のピークca600mに登ると再び自然林の快適な尾根が続く。いくつもの小さなピークを越えることになるが、そのアップダウンは緩やかである。藪もなく、予想外に快適な尾根を歩いて最後の三角点ピークに到達する。
山中峠が近づくと再び植林の中の下降となり、雪も少なくなったのでスノーシューを脱ぐ。植林の中の峠は薄暗かったが、石組みの祠があり、その中にはお地蔵様が鎮座しておられた。峠を越える古道は今や鹿の通り道となっている。鹿のトレースを辿って山中トンネルの東側へと下降する。峠からは隧道の西側出口の方がはるかに近いのだが、もちろん、隧道を歩くことが今回の山旅のもう一つの目的である。
山中トンネルの東側出口に近づいて驚いたのは、旧北陸線トンネル群の中で最長のトンネルであるが反対側の出口の光が明瞭に見えることである。初夏の時期にnaojiroさんと歩いた時にはトンネルの中には霊気のような霧が立ち込め、わずか10mほど先も見えないような状況であった。トンネルの手前には信号もないが、トンネルの中での離合は不可能な筈である。
山中トンネルを抜けると伊良谷隧道、芦谷隧道、白谷隧道、観音寺隧道とトンネルが連続する。それぞれのトンネルの雰囲気が異なるのだが、その違いは歩いたものでなければ理解しえないだろう。トンネルを抜けるたびに日差しが黄金色を帯びてゆく。気がつくと敦賀湾に夕陽が綺麗に反射しているのだった。
※参照
https://www.library-archives.pref.fukui.lg.jp/fukui/07/kenshi/T5/T5-0a1-02-04-01-01.htm
コメント
この記録に関連する登山ルート
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お三人さんのヤマレコいつも見て参考にさせていただいています。
里山も含めて300座登ってきました。
これからどこの山にも風力発電設備が建てられそうですね。
本当に残念ですが、これが世の動きですかね。
鉢伏山では写真を撮っていただきありがとうございました。最年長のnaojiroと申します。deekdeekさんの撮影を申し出なかったことを悔いております。
福井県は風車が乱立することになってしまいそうなので危惧しています。人気の銀杏峰は大問題ですね。幸いにも今回のコースはブナが少なかったので少し救われました。
deekdeekさん こんにちは churabanaです。
300座ってすごいですね。
地元、近江の山をぼちぼち登りながら、福井にも遠征させていただいています。
写真ありがとうございました。
また、どこかの山でお会いできることを楽しみにしています。
山頂での写真どうも有難うございました。
CPの観点からは風力発電がいいのかわかりませんが、まずは風力発電を建設するためにゼネコンを動かすことにベクトルが向かっているのかもしれません。その答えは10年後に明らかになるのだと思います。
山頂でお話しした己高山へのルートは以下の山行で辿ったルートです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2657592.html
また福井のどこかの山でお会い出来ますことを期待しております。
己高山より先はマニアな道ですね。
己高庵より周回時にどこ行くのかためしに降りて登り返したことがあり、整備されてた道だった覚えがあります。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昔、木ノ芽峠から鉢伏山まで歩いたことがあり、懐かしく読ませてもらいました。夏に歩いたのですが、古道は気持ちよく歩けた記憶があります。でも、スキー場の登りが暑くてへばったのを覚えています。ウラジオストックの案内板も高く見あげるような形でしたが、雪が積もればちょうどいい高さのようですね。
今庄365スキー場は今期は営業してないんですね。知りませんでした。コロナ恐るべしですね。
それから、ここも風力発電が並ぶのですか・・・残念です。
年末年始、雪が降りましたね。長浜市内は20cmちょっとくらいで、もう溶けかかっていますが、関西唯一の豪雪地帯の余呉中河内では140cm,柳ヶ瀬で85cmだそうです。
今年は雪山が楽しめそうで何よりですね。また、皆様のレコ、楽しみにしています。
(私は雪山やらないので、湖北は当分お預けですが)
yoneさん、明けましておめでとうございます。
他のスキー場はコロナ対策を施して営業するところが多いのですが、ここは町営なので民意が反映されたのではないでしょうか。
鉢伏山風力発電計画は南北9kmの尾根となっているので、鉢伏山〜山中峠の尾根だけではなく、更に南の木ノ芽峠〜栃ノ木峠の尾根も含まれるのではないかと推察しています。
こうなると南越前の計画と連なってしまい、音波山から栃ノ木峠、更に木ノ芽峠・鉢伏から山中峠までという長大な尾根に風車が建つことになります。
これを環境保護と見るか自然破壊と見るか、考えると溜め息がでます。
当地は30cmほど積もりました。重い雪です。雪かき大変 。雪山はもう歳なのでボチボチとやりたいと思います。ええー!中河内は140cmですか ❕
yoneさん 明けましておめでとうございます。
鉢伏山から先は、naojiroさんは山毛欅がないのが残念だったかもしれませんが、意外と自然林の快適な尾根が続いており、風力発電機が立ち並ぶ前に、違う季節に歩いてみたいと考えております。
スキー場は昨年は寡雪、今年は早々に十分な積雪があるにも関わらずコロナ禍で営業が出来ないとは気の毒ですが、雪の鉢伏山を自由に歩くことが出来るのは有難いことです。
昨年は己高山〜金糞岳、七曲峠〜カナ山とお付き合いくださり有難うございました。また本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
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