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Yamareco

記録ID: 3271229
全員に公開
ハイキング
関東

奥久慈縦走:西金から下野宮(県北ロングトレイル)

2021年06月12日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
6
1〜2泊以上が適当
GPS
10:54
距離
23.1km
登り
2,099m
下り
2,056m
歩くペース
とても速い
0.60.7
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
9:34
休憩
1:20
合計
10:54
3:34
52
4:26
4:26
12
5:05
5:20
23
5:43
5:49
25
6:14
6:14
10
6:24
6:31
28
6:59
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14
7:19
7:20
9
8:03
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14
8:17
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44
9:01
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7
9:08
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27
9:35
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12
9:47
10:05
3
10:20
10:23
4
10:27
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11
10:38
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4
10:42
10:43
6
10:49
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4
10:53
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6
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5
11:07
11:13
4
11:17
11:19
10
11:29
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1
11:32
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6
11:38
11:39
3
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12
11:54
12:02
7
12:09
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7
12:16
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9
12:25
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16
12:41
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7
12:48
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23
13:11
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12
13:23
13:23
6
13:29
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6
13:35
13:35
11
13:46
13:46
42
14:28
ゴール地点
天候 曇り午後から晴れ
過去天気図(気象庁) 2021年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
西金駅駐車場に駐車し歩きました。帰路は下野宮駅から水郡線で戻りました。
水郡線の本数は極端に少ない(一日に8本くらい)のでダイヤは事前にチェックします。
コース状況/
危険箇所等
6月中旬としては不気味なほどに好天が続いたため、件の大子アルプスを含めコース状態は最良の部類でした。大子アルプスは真冬など乾きすぎると今度は蟻地獄になるのですが今回は滑りすぎず最高の状態でした。

大子アルプスはボランティアの方がコース整備をなさっていて、県北ロングトレイルとしての開通以前と比較すると格段に歩きやすくなっています。

とはいっても急斜面の登り下りが延々と続き、眺望もほとんど得られない試練と忍耐しかないコースです、と今までは思っていたのですが、森の緑を通り抜けて入る光と風はとても爽やかでした。いいお天気の日を選んで歩くと快適です。

今回の総累積標高は次の通り。
■累積標高:
ヤマレコによると
累積標高(上り): 1337m
累積標高(下り): 1266m
一方ヤマレコデータを記録した
スマホGPSによると
累積標高(上り): 2040m
累積標高(下り): 1955m
アップダウンの多さが伺われます。

その他危険箇所
男体山一般コース:赤土が露出した部分はきわめて滑りやすいです。頂上稜線は断崖沿いを歩いているので下山者とのすれ違い時は用心します。山側も急斜面になった結構やせた尾根です。

月居山縦走路:枝道が結構あるので標識に従って進みます。白木山分岐の先は道が崩落しかかっている箇所が何箇所かあるので用心します。

生瀬富士:まず生瀬滝上部の渡渉点ですが、今回の縦走時にはボランティアの方が渡渉用の長靴と、すのこの簡単な橋を置いてくださっていました。水量が多いときはこれらの用具は片付けられていますので、渡渉の判断の材料になるでしょう。筆者は渡渉は濡れることを前提にいつも持参のサンダルを用意します。

渡渉後急登を登り返すと、断崖の脇を通るところがあり、袋田の滝など眺望が素晴らしいのですが墜落に気をつけます。

生瀬富士から北側に折れると北峰(いわゆるジャンダルム)の岩稜があります。最初の岩は少し難しいのですが巻けます。巻き道も滑落の危険があるので気をつけます。

危険ではありませんがかなりくもの巣が多くなってました。今回ブユは少なめでしたが出るときは相当うるさいので虫除けを用意します。

暑いので水は多めに持ちましょう。
その他周辺情報 月待ちの滝ーから駅へ向かって暫く歩くと、会社の自販機があります。これが下山後の最初の自販機で、いつも救われています。
西金交差点。3時30分を過ぎればもう薄明だ。
西金交差点。3時30分を過ぎればもう薄明だ。
奥久慈岩稜の朝焼け
奥久慈岩稜の朝焼け
曇りがちででかく見える盟主男体山。無事を祈願した。
曇りがちででかく見える盟主男体山。無事を祈願した。
古分屋敷手前でみる大円地越のくびれ。少し表情が違って興奮を新たにする。
古分屋敷手前でみる大円地越のくびれ。少し表情が違って興奮を新たにする。
こちらは大円地駐車場辺りから見えるくびれ。鋭くくびれている。
こちらは大円地駐車場辺りから見えるくびれ。鋭くくびれている。
木立の間から見える巨人の三兄弟と筆者が呼んでいる櫛が峯
登りは恒例により一般コースだ。
木立の間から見える巨人の三兄弟と筆者が呼んでいる櫛が峯
登りは恒例により一般コースだ。
一般コースでストーンバランスした。ちょっとジャコメッティーというかモアイというか
一般コースでストーンバランスした。ちょっとジャコメッティーというかモアイというか
大円地越の気温は5時20分で16-7度。前回より5度ほど高いが、暑いというほどではない。ちなみに常陸太田駅前温度計は3時前で17度だった。
大円地越の気温は5時20分で16-7度。前回より5度ほど高いが、暑いというほどではない。ちなみに常陸太田駅前温度計は3時前で17度だった。
頂上稜線を見上げてケヤキの森にあいさつ。ちょっとした急登なのだが一気に歩ける(序盤だから)。
頂上稜線を見上げてケヤキの森にあいさつ。ちょっとした急登なのだが一気に歩ける(序盤だから)。
頂上稜線に飛び出すといつでも愉快になる。
頂上稜線に飛び出すといつでも愉快になる。
頂上稜線から眺める下高塚山(左)と上高塚山。存在感のある双耳峰。
頂上稜線から眺める下高塚山(左)と上高塚山。存在感のある双耳峰。
頂上稜線のニッコウキスゲの群落。普段に比べて株の量が多い気がする。写真ではわかりにくいがずっと花とつぼみが続いている。
頂上稜線のニッコウキスゲの群落。普段に比べて株の量が多い気がする。写真ではわかりにくいがずっと花とつぼみが続いている。
奥久慈岩稜をしっかり眺めることができたが、山頂ではいっきに雲とのせめぎあいになった。
奥久慈岩稜をしっかり眺めることができたが、山頂ではいっきに雲とのせめぎあいになった。
良く見ようとして転落しないように気をつけなくては。
良く見ようとして転落しないように気をつけなくては。
アジサイの一種?
アジサイの一種?
山頂祠の裏にも咲くニッコウキスゲ
山頂祠の裏にも咲くニッコウキスゲ
男体山を駆け上がる雲。静止画ではわからないが、ふもとで沸き立った雲が一気に山頂を吹き抜けていく。
男体山を駆け上がる雲。静止画ではわからないが、ふもとで沸き立った雲が一気に山頂を吹き抜けていく。
虚空から忽然と雲が湧き、流れていく様子が大子地域全体に展開していた。気象現象のスケールの大きさに畏怖した。
虚空から忽然と雲が湧き、流れていく様子が大子地域全体に展開していた。気象現象のスケールの大きさに畏怖した。
ものすごい高山帯にいるような気分を味わってから、月居山を目指した。
ものすごい高山帯にいるような気分を味わってから、月居山を目指した。
キイチゴ。初夏の味覚を少し頂いた。
キイチゴ。初夏の味覚を少し頂いた。
緑の感じが心地よい。ちょっとした庭園の気分。
緑の感じが心地よい。ちょっとした庭園の気分。
自分にとって今回の縦走における主役の花は、ニッコウキスゲではなくてヤマホウシ。この白に出くわすと心が和まされる。
自分にとって今回の縦走における主役の花は、ニッコウキスゲではなくてヤマホウシ。この白に出くわすと心が和まされる。
第二展望台のヤマホウシと奥久慈の山並み。
第二展望台のヤマホウシと奥久慈の山並み。
第一展望台(鍋転山)には三角点がある。
第一展望台(鍋転山)には三角点がある。
杉林の中を下ると間もなく月居山だ。
杉林の中を下ると間もなく月居山だ。
例により筆者が月居山のジャンダルムと呼んでいる小岩塔へ立ち寄った。
例により筆者が月居山のジャンダルムと呼んでいる小岩塔へ立ち寄った。
男体山方面を振り返る。
男体山方面を振り返る。
八溝山方面を望む。
八溝山方面を望む。
降りて振り返るとこんな感じだ。
降りて振り返るとこんな感じだ。
月居山山頂の有形文化財(?)6灰皿。
月居山山頂の有形文化財(?)6灰皿。
山王山へ登り返し、稜線から望む滝のぞきの断崖から立神山、生瀬富士南峰までの峻険な稜線。あのがけっぷちを縦走路が走っている。
山王山へ登り返し、稜線から望む滝のぞきの断崖から立神山、生瀬富士南峰までの峻険な稜線。あのがけっぷちを縦走路が走っている。
今日の滝川(生瀬の滝上部)渡渉点。念のためサンダルに履き替えたが、うまく歩くと足はほとんどぬらさずに済んだ。但しルートファインディングを誤ると行き詰る。
今日の滝川(生瀬の滝上部)渡渉点。念のためサンダルに履き替えたが、うまく歩くと足はほとんどぬらさずに済んだ。但しルートファインディングを誤ると行き詰る。
ラストのすのこに飛び移るのは転覆の不安があったので、写真右下の石から、わざとすのこ手前の浅瀬に着地してすぐにすのこに乗った。ミドルカットの防水靴なら問題ないだろう。
ラストのすのこに飛び移るのは転覆の不安があったので、写真右下の石から、わざとすのこ手前の浅瀬に着地してすぐにすのこに乗った。ミドルカットの防水靴なら問題ないだろう。
立神山へ登り返す途中の滝のぞき。がけっぷちなので墜落注意。ヤマホウシがきれい。
立神山へ登り返す途中の滝のぞき。がけっぷちなので墜落注意。ヤマホウシがきれい。
山肌の随所にヤマホウシが白く存在感を出している。
山肌の随所にヤマホウシが白く存在感を出している。
満開のヤマホウシを縦走中に突然遭遇すると息を呑む。
満開のヤマホウシを縦走中に突然遭遇すると息を呑む。
そして元気をもらう。
そして元気をもらう。
男体山方面を振り返る。
男体山方面を振り返る。
このスイカズラのような(良く見ると形は違うが)のような白い花は何なのだろう。
このスイカズラのような(良く見ると形は違うが)のような白い花は何なのだろう。
立神山頂。日向は暑いが縦走中は森の中で快適だった。
立神山頂。日向は暑いが縦走中は森の中で快適だった。
前回に続き、生瀬富士は北峰(いわゆるジャンダルム)の岩稜を歩く。岩稜の上をすべて伝っていくとちょっとスリリング。
前回に続き、生瀬富士は北峰(いわゆるジャンダルム)の岩稜を歩く。岩稜の上をすべて伝っていくとちょっとスリリング。
茨城の天使と、北峰の岩稜。
茨城の天使と、北峰の岩稜。
そして生瀬富士の南峰。90度の鎖場を下っていよいよクライマックスの鋸21峰へ。
そして生瀬富士の南峰。90度の鎖場を下っていよいよクライマックスの鋸21峰へ。
しょっぱい登りとくだりがただただ続く大子アルプス鋸21峰の始まりだ。
しょっぱい登りとくだりがただただ続く大子アルプス鋸21峰の始まりだ。
大子アルプス縦走路の入り口にある標識。浅学にして読めない。
大子アルプス縦走路の入り口にある標識。浅学にして読めない。
タツナミソウの一種だろうか
タツナミソウの一種だろうか
この花もすごくかわいらしいかった。イチヤクソウの一種か。初にお目にかかるかもしれない。
この花もすごくかわいらしいかった。イチヤクソウの一種か。初にお目にかかるかもしれない。
見上げて撮影するとこんな感じ。
見上げて撮影するとこんな感じ。
シモツケソウ?今写真で見直すと随分白いが。
シモツケソウ?今写真で見直すと随分白いが。
筆者が勝手にゴリラ岩と呼んでいる巨岩の右をすり抜けて第19峰を目指している。まだ脚は動いている。
筆者が勝手にゴリラ岩と呼んでいる巨岩の右をすり抜けて第19峰を目指している。まだ脚は動いている。
三等三角点「赤坂」(第18峰相当)
三等三角点「赤坂」(第18峰相当)
岩の屏風沿いに歩いていく。
岩の屏風沿いに歩いていく。
17峰は眺望良し。大子町方面から更に久慈側右岸の山々を望む。
17峰は眺望良し。大子町方面から更に久慈側右岸の山々を望む。
このアセビのような花は何なのだろう。
このアセビのような花は何なのだろう。
2箇所ばかり縦走路から外れたピークがある。この杉の木立の先はp373(第14峰相当)。
2箇所ばかり縦走路から外れたピークがある。この杉の木立の先はp373(第14峰相当)。
第12峰。
トンネル上部は木が切られていてちょっとした草むらになっている。前回はウシハコベが咲き乱れていたが。今回はヘビイチゴ畑だった。今回の蛇遭遇はヤマカガシ1回。筆者の姿を見た途端、あっという間に逃げていった。
トンネル上部は木が切られていてちょっとした草むらになっている。前回はウシハコベが咲き乱れていたが。今回はヘビイチゴ畑だった。今回の蛇遭遇はヤマカガシ1回。筆者の姿を見た途端、あっという間に逃げていった。
第7峰。脚が止まり始めた。第7峰から一端旧道へ降り、横断して反対側に取り付く。
第7峰。脚が止まり始めた。第7峰から一端旧道へ降り、横断して反対側に取り付く。
ギンリョウソウ(ユウレイダケ)。きのこではない。
ギンリョウソウ(ユウレイダケ)。きのこではない。
ルート上にないもうひとつのピーク。p327(第6峰相当)。

このあと第5峰のところにあるベンチに座り込んでしまった。普段はスルーだったがしっかり使って休ませていただきました。
ルート上にないもうひとつのピーク。p327(第6峰相当)。

このあと第5峰のところにあるベンチに座り込んでしまった。普段はスルーだったがしっかり使って休ませていただきました。
三等三角点「釜田」(第4峰相当)。自販機のジュースが欲しくてたまらなくなってくる)。
三等三角点「釜田」(第4峰相当)。自販機のジュースが欲しくてたまらなくなってくる)。
筆者が大子のチマグランデと勝手に呼んでいる第2峰。今回は猛禽(ミサゴか?)の威嚇は受けなかった。ひなは巣離れしたのだろうか。
筆者が大子のチマグランデと勝手に呼んでいる第2峰。今回は猛禽(ミサゴか?)の威嚇は受けなかった。ひなは巣離れしたのだろうか。
前回デジカメの電池切れで取らなかった久慈川流域の美田。奥久慈の米はうまい。奥久慈のコシヒカリで作った日本酒も、飯米で日本酒を作るのは難しいのだが、美味い。
前回デジカメの電池切れで取らなかった久慈川流域の美田。奥久慈の米はうまい。奥久慈のコシヒカリで作った日本酒も、飯米で日本酒を作るのは難しいのだが、美味い。
大子町とその向こうの山並み。奥行き感がすばらしい。
大子町とその向こうの山並み。奥行き感がすばらしい。
第2峰を過ぎれば快適な下りになる。体力は限界だが気力が再度みなぎる。風が涼しく、木漏れ日が美しいことに気がついた。
第2峰を過ぎれば快適な下りになる。体力は限界だが気力が再度みなぎる。風が涼しく、木漏れ日が美しいことに気がついた。
リンゴ園の屋根が見えて、木の階段を歩けば登山道のゴールだ。
リンゴ園の屋根が見えて、木の階段を歩けば登山道のゴールだ。
庚申塚にお礼した。
庚申塚にお礼した。
線路は続くよどこまでも。といってもこの線路が右に折れる更に先まで歩かねばならない。登山口から下野宮駅まで2km以上歩くのだが、不思議と元気は出る。
線路は続くよどこまでも。といってもこの線路が右に折れる更に先まで歩かねばならない。登山口から下野宮駅まで2km以上歩くのだが、不思議と元気は出る。

装備

備考 ヘッドランプ、雨具、ファーストエイド、手袋(ゴム引き軍手、商品名「タフレッド」)、スマホGPS、デジカメ、渡渉用サンダル、水3L、テルモスコーヒー、行動食。下山後の着替え

感想

■終盤に歩く大子アルプス鋸21峰は、いつも試練と忍耐ばかりだと思っていたが、アップダウンがゆるくなる第2峰以降は筆者が熱狂する男体山一般コースの大円地越から頂上稜線にも勝るようなフレッシュな緑のトンネルだった。

月待ちの滝登山口に出て初めて今日は暑いことに気がついた。案外快適な縦走路かもしれない。

−−以下自分のためのメモ−−

■3時台はすでに薄明
帰路の水郡線の汽車の時刻は11時台の次が15時32分、その次が17時29分、その次は常陸大子止まりなので西金へ戻るためには19時56分まで待つ。そしてこれが終電だ。快適に帰宅するなら15時32分に乗りたい。自分にとってこの縦走は12時間コースだから3時台スタートが望ましい。というわけで金曜日は8時台に早寝をして2時前には起床。予定より早めの3時過ぎには西金駅の駐車場に到着した。まだ暗い?いや3時を過ぎると薄明が始まる。車から降りると星の数がどんどん少なくなり、信号越しにも奥久慈の空が明るくなる様子がわかる。明るい時間帯を歩くことが基本であると考えれば、夏至に近いこの時刻はロングハイキングに一番向いているということになろう。

■日の出と主役の交代
西金駅から山田の脇を通り、湯沢、北沢の集落を抜けて大円地登山口を目指す。歩きはじめにはかえるの合唱がBGMだ。実は夜には鳥の鳴き声はほとんど全くといっていいほど聞こえない。ところがある時刻に起床の合図とばかりに一番鳥がさえずると一気に主役が変わる。今回も鳥の空耳アワーを楽しんだ。「Beach Beach Beach 来い来い来い」、中国語(書き写せない)も相変わらず長いスピーチだ。鳴き声から鳥の種類が聞き分けられたら山歩きの楽しみも膨らみそうだ。

前回に比べて鳥のさえずりは控えめ。曇りがちだったことと関係があるのかもしれない。

■花の主役はニッコウキスゲかヤマホウシか
この時期のお楽しみのひとつは、男体山頂上稜線に咲くニッコウキスゲだ。今年のニッコウキスゲは当たり年ではないか。まだ一面に咲き誇るというほどではないが、例年ひとつふたつまばらに咲いている様子を大事に拝見しているだけだったが、今回は一度にいくつ物黄色い花を眺めることができ、しかもまだ相当数のつぼみが断崖に沿って広がっていた。

一方、だんだん勢いを増してきた緑のなかでいよいよ純白の存在感を見せるヤマホウシが素晴しい。奥久慈岩稜や月居山を臨めば所々に満開を見ることができた。特に袋田の滝の近くにその白さを競うようにして咲いていた幾本ものヤマホウシの木、その袋田の滝を覗いた後で立神山を目指す途中に突然飛び込んできた白い花に驚かされた。

■快適な大子アルプスでも激辛には違いない
生瀬富士のあとはいよいよクライマックスの大子アルプスだ。といってもワクワク感はない。これでもかとばかりに急登と急下降が続く。それでも県北ロングトレイルとして開通してからはボランティアの方のご尽力と増えたハイカーの踏み跡のおかげで、急斜面にもステップが切られるようになってきて回を追う毎に歩きやすさを実感している。

それでも辛いことには変わらない。またあまり劇的なメリハリもなく登り下りが続くので辛さにばかり頭が向いてしまう。それはそれで頭を空っぽにする、馬鹿になってひたすら歩くというのも悪くないが、今回は途中からピークの数を数えてみることにした。15個くらい数えたところで三角点「釜田」を通過することができた。歩いているときにはピークだと思っていても、そこはピークとして数えられていないような踊り場もあり、それが大子アルプスのしょっぱさをます原因のひとつとなっている。

■脚はつらなかったが止まった
奥久慈体力使いきり縦走と位置づけているこのハイキングを始めたころは、大子アルプスで両足がつり、後半戦はだましだまし歩き続けるというパターンだったがここ2回ばかりは足がつって動けなくなることはなくなった。とはいっても足が止まることには変わらない。林道を横断したあとからの急登がたまらない。間もなく三角点「釜田」なはずなのだが、ピークと思っていたところがピークでなくて登って登って登って、ちょっと緩むと今度は劇下りと、止めを刺される。足が止まり、水を飲む回数が増えてくる。水以外の飲み物が欲しくなる。

林道からの登り返しでギンリョウソウ(ユウレイダケ)を発見した。地面ばかり見て這いまわる大子アルプスではこうした小さな植物に癒される。芭蕉の句:山路来て何やらゆかしすみれぐさ、の心境になったような気分だ。

今までは謎のベンチとしてスルーしていた、5峰のところにあるベンチにとうとう座り込んで休憩してしまった。ボランティアの皆様ありがとうございました。このベンチは終盤直前で力尽きた人が最後のエネルギーを取り戻すために一息つくためのものだったのだ。

不思議なものでこれだけぼろぼろになっていても1峰を過ぎて後は楽な下りだけだと思うと、気分の悪さも消え、脚にも力が戻ってくる。ただし戻ってきているように感じるのは、ここからは緩やかな下りでそもそも一番身体を使わなくて良い道になるからでもあることは、忘れてはならない。

余裕が出てきて、日中であるにもかかわらず、風が涼しく、それでいて木立のトンネルは明るく快適であることに気がついた。この雰囲気、自分が大好きな男体山の頂上稜線にも似ている。

そして涼しい。今回の縦走が気温的には快適であったことが、下野宮駅のベンチで汽車を待つ間に気がついた。日陰でも駅はむしむしと暑かった。それでもあれだけ厳しく感じた縦走路では暑さで苦しむことは全くなかったのだ。まだ夏に入ってから歩いたことはないが、案外快適な道なのかもしれない。

車道とリンゴ園の屋根が視界に飛び込む瞬間がなんともうれしい。ひと歩きして更新塚に到着。頭を下げて縦走路のメインは終了した。登山口には到着したが、まだこの痕下野宮まで2km異常の距離を歩かねばならないが、水郡線の鉄路、岩がちな久慈川の表情、そして自販機の冷たい飲み物と、おたのしみが沢山だ。


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体力レベル
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