阿弥陀岳南稜〜中央稜


- GPS
- 06:35
- 距離
- 10.2km
- 登り
- 1,218m
- 下り
- 1,218m
コースタイム
07:50 立場岳山頂
08:00 青ナギ 08:10
09:10 P3樋基部
09:15 P3樋 09:30
09:30 P3肩
09:50 阿弥陀岳山頂 10:05
12:35 船山十字路
天候 | 朝のうちガスのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【危険箇所】 《南稜》 P3ガリー取り付きの3m。 P4のもろいホールド/スタンスとザレ斜面。 《中央稜》 新御小屋尾根下降路(固定ザイル付き)から左折して中央稜に乗るポイント。目印なし。意識して左に身を乗り出してみないと踏跡も見えない。 中間部の稜線どん詰り岩塊直前小鞍部T字路左折。 【面倒くさい箇所】 《中央稜》 尾根終了後の河原ゴロ石歩き。 |
写真
感想
【プロローグ】
前夜中央道で八ケ岳入り。途中甲府盆地でものすごい豪雨。これはまずい。阿弥陀も豪雨だったらP3樋も文字通り雨樋になっていることだろう。
翌朝、P3ガリーが文字通りの雨樋になっている場合を想定して、装備の中からトレッキングブーツではなくアプローチシューズ、グローブも水でもフリクションの高いニトリルコーティングのワンダーグラブを選んで早朝、船山十字路を出発。
今回は間抜けなことにカメラを忘れてきたので、携帯電話で写真を撮る以外にない。
【船山十字路〜立場岳】
広河原林道、広河原橋を渡ってすぐのところに、南稜用の表示がある。ここを右折して砂防ダムの上を渡り、対岸を取り付く。
ダムに近いところに踏み跡があるが、斜面の土が露出しており、先日の地蜂の巣を踏んだアクシデントから地蜂恐怖となった私はそこを避けて、上流寄りの土壌露出していないところから取り付いた。
正しい踏み跡に乗る前に、正規の取り付きから登った男性がズンズン登っていくのが見える。船山十字路で準備中だった男性だ。
立場岳西尾根に乗ってすぐ、旭小屋方面からの登山道と合流。
あとはほぼ一定の斜度の登り易い尾根を登っていく。樹木の間から西岳を見ようとするが、ガスで展望きかず。
地元財産区のキノコ山なのだろう。北面に登山者が入らぬよう、ずっとワイヤーが張られ、頻繁に立入禁止の看板が出てくる。
標高2250mを超えた辺りから、一面苔生した幻想的な森の表情を見せる。
立場岳最上部はなだらかな凸面で、ピークが判然としない。
【青ナギ〜無名峰〜P3】
立場岳から少し標高を下げ、10分ほどで青ナギへ。先行した男性がカメラを持って阿弥陀のガスが切れるのを待っている。ここまで約2時間。
挨拶をして一緒に待つ。青ナギの立場岳側に2ヶ所焚き火跡がある。林間で風の直撃もなさそうなのでテン場に使ったのだろう。
5分ほどでガスが流れ、阿弥陀の勇姿が姿を現す。ナギ斜面の植物は紅葉していた。
しかし、権現・ギボシ・旭・編笠方面はガスで眺望きかない。まだカメラチャンスを待っている男性に声をかけて先に出発。
ここから先がバリの本領発揮。一般登山道のように枝打ちされていないので、昨夜の雨をたっぷり含んだハイマツなどが鬱陶しい。
場所によっては左右から被さる枝の為、まったく地面が見えないところもある。びしょ濡れの藪漕ぎが続く。
無名峰にでると、南側の権現・ギボシ・旭・ツルネが目前に。東には赤岳の大天狗小天狗、キレットもすぐそこに。
贅沢な眺めを味わいながら、ゆっくり歩を進めると、無名峰〜P1〜P2間のコルにテント張れるフラットあり。しかし西風直撃なので強風の夜には駄目だろう。
P1、P2は、ともに「左」に巻く。
P3直下の草原まで来ると、P3の詳細が見えてくる。左(西)半分は上のほうがオーバーハング気味となっていて、フリーで登るのは厳しそう。
右側にガリー状のクラックがある。オーバーハングはなさそうなので、あそこならばある程度行けるかな?などと考えるが決して実行しない。
踏み跡が誘導するP3ガリーへ歩を進める。草原のトラバースからP3を左から巻くと、踏み跡は粘土質っぽい滑りやすい土壌の下り斜面につながる。
踏み跡の右側は、P3岩塊の西面に相当し、斜めに降り始めるところからすでに金属のワイヤーが張られている。
このワイヤーが樋の縁の小リッペを超えて樋に回りこむ核心部に続いているのだ。
【P3樋基部】
Wストックでブレーキをかけながら、ワイヤー使わず、スリップに気をつけて下り斜面のドン詰まりの小フラットまで歩を進める。
ここで立っている土壌のフラットはすっぽりと切れて落ちていて先はない。
ワイヤーはベースから見て左上の方に延びていき、小滝の上、樋の縁の向こうに消えている。
ベースからは、上がって回ったその先の状況がまったくわからない。
ザックを下ろし、ワイヤーの状況を写真に撮り、携帯は落とすといけないのでザックの中へ。これからP3肩まで写真は撮れない。
きわどい場面では、チェストバッグの厚さも邪魔になるので、これもザックに収納。
ストックをサイドポケットに収納してグローブを出す。
登攀中、蜂に狙われないように白いタオルで頭を包み、黒い色を消した。
ガリーから滴る水の量はたいしたことはなかったが、小さな滝のようになっているベースの先の部分は、水が流れたところがコケのようなものがついて茶色く変色している。
足を置くとぬるっと滑るかもしれない嫌な状況を想像する。
【P3樋】
さて、ワイヤーを引っ張ると、今ベースに降りてきた斜面の最上部に支点が打たれていて、結構な距離があるため思いの外緩く、補助以外役に立たないことがわかった。
念のため持ってきたハーネスと長めのスリングでバックアップ取ろうかとも思ったが、これだけ緩いと落下速度が上がった状態でテンションかかるため、ボルトもワイヤーもあてにならないと判断。
しかし、案ずるより生むが安し。いったんワイヤーは役立たずと判断してフリーで取り付くと、ホールド/スタンスとなる岩の凸部が非常に硬くてしっかりしており、問題ない。
樋の縁を左斜め上方向に回りこんで、小滝上に出ると、そこからは45度程度のあっけないほどのゆるい斜度。
ガバが多く岩が硬くて崩れないため、濡れていて苔っぽいガリーのボトムにノータッチでガンガン上がっていける。
すぐに左岸にステップ豊富な草地が出現するので、右の方に進路をとる。
これもすぐに終了して、P3肩の稜線に到達。
問題のP3樋通過所要時間は15分足らず。
終わってみると、ベースから取り付いて小滝上に回りこむ最初の3m程度が緊張を強いられる位で、あとは楽勝。
この取り付き部分も、インドアクライミング初級者程度の3点支持スキルがあればほとんど問題ないのように思えた。
ただし、雨の後は普通の登山靴じゃなくて、フリクションの大きいアプローチシューズがおすすめ。
【P4〜阿弥陀頂上〜摩利支天】
P3肩で携帯取り出し、ガスが皆無となった360度の景色を撮影し、P4へ。
P4はP1〜3と同様、最初は左に巻くものの、中間部で右方にトラバースしてザレた斜面を岩登り。上段で再び左にトラバースして最後に岩塊を巻いていく。
個人的にはこのP4の方がP3よりいやらしく感じた。それは、岩質が赤サビ混じりでもろく、ホールド/スタンスの安心感がないのと、
ボロボロと崩れた岩砂のために斜面がザレていて滑りやすいからだ。
ちょっと嫌な感じのP4通過。あとは阿弥陀頂上直下南面を岩登り。傾斜が緩くなっているので大したことはないが、やはりザレている。
阿弥陀山頂着。船山十字路から約4時間。頂上は10人ぐらいの若者でごった返し?ていて、南稜とは別世界。
さて、これからどうしようかと思案。帰路の候補は、
(1)御小屋尾根(一般道)で船山十字路
(2)中央稜(バリ)で船山十字路
(3)行者に降りて、ほとんど登頂記録がない美濃戸中山のピークを踏んで南沢で美濃戸口
(3)は以前から気になっていながらも実現していないプラン。
「今の時期は人の行かない森林でまた地蜂の巣を踏んだりする危険があるので、雪が降ってからのほうがいいかもしれない。」などと考えていると、
西のほうから濃いガスが上がってきて、あっという間に視界不良に。
若者のうち6〜7人のグループが東(中岳方面)に降り始めた。「うむ、彼らの後を降りるのは止めておこう。」
ということで、(1)か(2)。(1)の不動清水を久しぶりに飲んで帰るのもいいが、どうせなら(2)でと決める。
しかし西の方が一向に視界が効かない。少しガスが上がるのを待って、誰もいかない西の道に歩を進め、摩利支天通過。
【中央稜下降〜船山十字路】
従来の御小屋尾根登山道が摩利支天稜線に突き当たるT字路に異変あり。
なんと御小屋尾根道が「危険立入禁止」の札とロープで封鎖されているではないか。
T字路の導標は旧来の御小屋方面の板が剥がされ、中央稜と同じ方に付け直されている。
摩利支天からの稜線のどん詰まり手前で、黒い固定ザイルが西面に伸びていた。これが新しい一般登山道ということの様子。
中央稜は、この固定ザイルの道を5m程度降りたところで左に巻かなければならない。
ここに気が付かないと、どんどん新御小屋尾根一般道を進んでしまうので要注意。
中央稜上部は、やはりザレていて歩きにくい。どんどん下りていくと、対岸に青ナギの裏面(北面)が見える。
良くみると2筋の崩落が見ることができる。何十年かあとには、こちらの北面も総崩れになってナギと化し、「北青ナギ」とでも命名されるのだろうか。
中央稜で次の要注意地点は、稜線のどん詰まりにある岩塊の巻き道であろう。
踏み跡がはっきりしている稜線を下りていくと、藪っぽい林を抜けたところに小さな鞍部があり、その先に少し登り返した形で大きな岩塊の絶壁に出る。
この鞍部、左方向に巻き道付き、T字路になっているのでここで左折。
T字路には白いタオルが棒に縛り付けられている。
左折すると高度を下げて、岩塊の下端の縁を舐めるように右に巻いて踏み跡は続く。
以後も概ね踏み跡は豊富なのだが、尾根が終わってカヤトに入ると踏み跡消失。その先の広河原川の河原に出てからがきつい。
ゴロ岩の河原を歩かねばならず、ちょっと辟易。
アプローチシューズは岩登りで絶大な威力を発揮するが、こういうところは苦手。靴底が湾曲するので歩きにくい。
ずっと昔から20数年前まで、まだ今の林道ゲートより上に簡易ゲートがあった時代、鎖を張っていた支柱が倒れていることが多く、平気で四駆で奥まで入れていたのであった。
その頃の記憶だと、結構奥まで林道はあったので、標高1800mのあたりからチラチラ右岸の上に林道がないか見ていたのだが、残念ながら目視できず。
3個目の砂防ダムのところでやっと右岸に林道があるのを見つけて河原を脱出。
林道はそこから上流方向がS字ヘアピンとなり、川から大きく離れた一段高いところを走っている様子。どうりで河原から見えなかったわけだ。
もっと前から林道に出られていたのに時間ロスで残念。
あとは勝手知ったる林道を船山十字路までひたすら歩く。
【エピローグ】
登り4時間、下り2時間半。総合的にはゴロ岩河原歩きが面倒くさいので、中央稜はもう勘弁という感じ。
まだ時間的に間に合うので、いつもの蕎麦屋に急行してガッツリ大量の蕎麦を手繰ったあと、樅の湯で汗を流した。
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